17 吸血鬼の城
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 23時頃
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>>1 ――……んあッ……
[囁きとともに、ローズの唇だけが脳裏を過ぎり、 いつしか、聴こえてた唄も聴こえなくなった時…。>>2:353 それは、痛みなはずなのに、痛みに感じず、 歪めた表情は、やがて融けて、眠たげなものに変わる。]
――…あ…あ…んあ……
[その身体はやがて小刻みに痙攣を繰り返し、やがて崩れ落ちた。
だが、次にその乱れた髪が動いた時、 手は口端から垂れた唾液を拭い取って……。]
――…はぁ はぁ ……む……
[見上げた眸は、紅に。]
(6) 2010/06/21(Mon) 23時半頃
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[血を与えるのは女にとって初めてのこと。
兄と同じように、と。
兄の行為を思い出しながら牙を突きたてた。
サイラスの身に纏わる薬の気配を感じながら
女は血の甘さに酔う]
く……ッ
[それは、めくるめく一瞬だった。
淫らに表情を人前で緩めるなど、以前のその男には考えられぬことで……。
襲い掛かるのは、羞恥と人でなくなったという絶望。だけど、それよりも、痺れた脳髄は、]
渇いた……。
[そう、すぐに求め始めるのは、赤い、血液……。]
薬屋 サイラスは、奏者 セシルを、紅い眼で凝視した。
2010/06/21(Mon) 23時半頃
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>>14
[そして、ローズの声を聴けば、紅い眼は、すうっと細まる。 その甘い囁き声とは対照的に、男の声は、すぐには出ず……ただ、荒い息をついた。
そして、渇望するのは、
人の血。
視線は、出口付近にいる白薔薇に向く。]
(16) 2010/06/21(Mon) 23時半頃
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――…ふ。
[目の前の男の聲に思わず笑みが漏れる]
うまくいったのは良いのだけれど
ちょっと効き過ぎてしまっているかしら。
[白薔薇へと紅い双眸が向かうのを認め
困ったように首を傾いだ]
[何年ぶりだろう、
聲が増えた]
目覚めた……か
[離れた場所の同胞に、
満足そうな声音を向ける]
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 23時半頃
ぐぅ……
[頭に声が響くことにも慣れておらず、
また頭を振る。
そして、それが城主の声だとわかると、肩で息をしながらも、思案をし…やがて…]
――……渇く……
[搾り出すはやはり本能の呟き。]
く……くく
[加減もせずに力を注いだのだろう。
吸血の本能に襲われているらしい薬屋の聲
城主は事も無げに言ってみせる]
渇くなら、満たせばいい。
血が
欲しいのだろう?
[一時ならワインで誤魔化す事も出来るだろうが
其れを教える心算は、己には無い]
この城に招いた人間はまだ幾らも居る。
其処の従者は、お前の従者でもあるのだ
好きに使うが良い。
――………。
[ツキン、と。
また胸が痛む。
柳眉を寄せてふるりと小さく首を振るった]
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>>22>>25
[白薔薇の微笑みと、ローズマリーの諌める声。 きっと薬売り特有の敏感な鼻が、より、人間の血を選別し、紅い眸は白薔薇に向いた。
いや、もしかすると、人間の血というだけではなく、そのフロレスクの血の匂い、より、清廉された血を嗅ぎ分けたのかもしれない。]
――……渇いた。
[呟く言葉、そして、やはり、視線は白薔薇を捉えるが…。]
(37) 2010/06/22(Tue) 00時頃
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――……従者、
ああ、従者ならば、
良い?
[吸血本能に理性を失っている今、
制止がなければ、手は白薔薇を摘み取ろうと動き始める。]
――お兄様が良いと仰られるなら
私はただ、其れを受け入れるのみ。
[女は俯き小さく聲を響かせた]
サイラス。
[人であるときの名を呼び、男を止める]
……血の吸い方は、知っているか?
間違えるな
あれは、未だ殺してはならん。
[かかる城主の声には、微かに反応する。]
殺しては……いけ ない
[ぼんやりと虚ろにそれは理解しただろう。]
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[>>40
歩み寄った白薔薇に手を伸ばした時、 ローズマリーは、闇に消えていく。>>42
その表情はもちろんわかるはずもない。 従者を呼んだ声も、彼に聴こえていないのと同じで。
ただ、頭に直接響いてくる城主の声。 従者の血を吸うことを許可する響きに、生まれたばかりの魔物は頷いて…]
嗚呼……
[そのフロレスクの血を求め、白薔薇を強引に抱き寄せようと…。]
(50) 2010/06/22(Tue) 00時半頃
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そう、殺すな。
……アレの血を吸っても構わぬが
殺してはならぬ。
[幾度となく我等に血を捧げてきた
白薔薇ならば構わないと城主は告げ
けれど、殺すまでは吸うなと念を押した]
――…私のローズ
お前が嫌だと言うならば
私は其れを止める事もする。
お前の望みは、何処にある?
――…お兄様。
[城主の聲に頼りない聲が返される]
私、は………
[望みを問われ心の軋む音。
聲無く頭を振りうずくまる]
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>>56 [そして、白薔薇の微笑みに、また頭がくらりとしたか。 その首筋に貌を寄せる。 そのまま、本能のまま、枷のない部分、耳の下につぷりと牙をたてた。]
(61) 2010/06/22(Tue) 00時半頃
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私のローズ……お前は何も我慢する必要は無い。
お前の望むままに
あれはお前が作った眷族だろう?
[彼女の心の内を知ってか知らずか。
心もとない聲へ、城主は優しく語り掛ける。
まるでひとの兄妹を錯覚させるような]
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>>59 [そう、露出のない白薔薇の、唯一見せる肌の部分に、その変化した牙が食い込んでいく。
その手は獲物が暴れぬようにと身体を縛るように抱く。
殺さぬように…
そう指示されたのを思い出すのは数十秒後か。 血を飲み込めば、紅の眸がまた暗い泉の青色に戻っていく……。]
(65) 2010/06/22(Tue) 00時半頃
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[血を飲み込めば、渇きは満たされるだろう。
代わりに戻ってくるのは、
人としての理性。
眸の色は、青色に戻って……]
我慢、なんて………
[滲む聲は兄の言葉を否定出来なかった。
けれど如何して良いのか分からずに
ただ途方にくれてしまう]
お兄様……
私は此処に居ても良いのでしょうか。
[優しい兄の聲に縋るように甘く頼りない囁き。
女は居場所を無くしてしまうのが怖かった]
私のローズ
お前が此処以外に何処へ行くのだ?
[可笑しな事を言う
そんな風に笑い]
……お前は、わたしのもの。
そうだろう?
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>>73 [セシルの身体が崩れ落ちる時、代わりに渇きを癒した吸血鬼は、その身体を抱きとめる。
眸の色は、渇きが癒され、青色に戻るが…。 その興奮はまだ身体の中に渦巻いて……。
また大きく大きく息を吐いた。]
(嗚呼……自分は、
人ではなくなった)
[ぼんやり思う。 思っているのに、それがぼんやりなのは、その飲んだ血が、また身体に火照りを与えるから。 そう、血の持ち主の恍惚とした表情に、頭が融ける。]
(81) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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――…嗚呼。
そうね……、私は此処以外の場所を知らない。
お兄様の傍以外では生きられない。
[ゆるく目を伏せる。
言い聞かせるように繰り返される言葉]
私はお兄様のもの。
そうよね……、お兄様。
[聲には未だ覇気がなく頼りなさばかりが目立つ]
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2010/06/22(Tue) 01時頃
そうだ、
お前は私のもの。
そして
新たに生み出した眷属は、おまえのもの。
[力関係を改めて教え込むような淀みない聲
熱を帯びているのは、食事の後ならば致し方ないもの]
憂いを帯びた貌も美しいが
……お前にそのような揺らぎを与えるものは
相応の罰が必要だ。
どうしたい、私のローズ
お前の望みを言ってみろ。
私はお兄様のもの。
[僅かに頷く気配が伝う]
新たな眷属は――…私の………。
[その言葉は最後まで続かずにふるふると首を振るう]
いいえ、全てはお兄様のもの。
私はお兄様が喜んで下さればそれで……
[殊勝な言葉を口にして儚い笑みを湛えた]
お前は、わたしのもの。
お前の物は、わたしのもの。
[くすくすと、吐息交じりの笑み。
虚しさが混じるのに気付かれても、答えはしない]
私の悦びか、そうだな
――…其処の人間だったものに、客人を襲わせてみたい。
共に閉じ込められたはずの人間が
同じ立場の人間を襲う――…
良い見世物だと、思わないか?
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>>90 [見れば、快楽に打ち震える白薔薇が腕の中にあって、 それは、誰が見ても、淫靡で美しいものだっただろう。
戻りかけた理性の頭。されど、もう人でなくなった事実とあいまって、
その身体をそっと、部屋のベッドに下ろすと……。]
――………
[その蒼穹の眼に溜まった雫を舐めとり、彼の高まった性を静めようと、手と唇を伸ばした。
やがて、服を乱した白薔薇が甘く咲くとともに、彼の嬌声が部屋には響くだろう。]
(105) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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