…そうだな、自由に表を歩ける立場ではないから
自由の利く、…という訳にも行かないけれども。
――む、…別に当てつけの心算で言った訳ではないぞ?
[居心地が非常に悪そうなのは理解しているが、と僅かに眉を寄せる。
其れでも、よかった。と。その言葉にぱちりと瞬いて。
…一寸の間、僅かに破顔する。有難う、と述べる言葉は少しだけ楽しげに。]
…君はまたの休暇ですら、真面目に仕事の消化に勤しんでいたからね。
だからというべきか…君が、己の地位を解放するのは少しだけ意外だった。
まぁ、――酷く君らしいとも、思ったけれど。
にしても。既に悩んでいたら後々苦労するぞ。
[今後どうする心算なのか、と笑いながら何気なしに問うた先。
ふと、思案気に再び組まれた腕に、僅か首を傾ぐ。
――それ程に難しい問いをした心算は、無かったのだが。
さらりと僅かに波打つ癖のある髪が、黒く揺れた。]
(333) kairi 2011/04/06(Wed) 01時頃