人狼議事


313 【完全RP村】朝焼けの穹に、さあ一杯。

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羽化昇天道 イナリは、メモを貼った。

kumiwacake 2022/08/17(Wed) 17時頃


【人】 羽化昇天道 イナリ

── 朝焼けカクテル ──

[やがて、朝日がまあるく浮かぶ。
機関車は、時が来ればあの場所へ。]

(18) kumiwacake 2022/08/20(Sat) 13時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[かろん、と、グラスの底で音が鳴る。]

どうぞ。この星に。

[離陸と共に、狐は一杯を差し出した。]

(19) kumiwacake 2022/08/20(Sat) 13時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[カクテルグラスを満たすのは、宇宙。
星々の小さな光と、光を映す暗闇と。
注意深く見つめれば、暗い底に何かが見える。
まぁるく浮かんだ、一つの星が。
その星の夜が、グラスの中で明けて、
たなびく雲から、徐々に白く色が抜ける。
雲の隙間から覗く星は緑地が広がっていた。
雲の隙間から覗く星は赤土が広がっていた。
雲の隙間から覗く星は青水が広がっていた。
やがて星は再び夕陽に染まり、闇の中へ。
闇から薄紫色に変じて、昼へ。
一時も留まることなく幾度も色を変じながら
星はただそこに在った。]

(20) kumiwacake 2022/08/20(Sat) 13時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[狐は目を伏せたまま囁いた。]

飲み頃を過ぎますと、光に飲まれて
星が溶けますのでご注意ください。

[光に溶けぬようにもできた。
だが狐はそうしなかった。
機関車が降り立った地もまた、
やがては恒星に呑まれるから。
広い宇宙、長い時の中で、星の命は一瞬のこと。
時の隙間を縫うようにして、この星に降り立ったのだ。]*

(21) kumiwacake 2022/08/20(Sat) 13時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

── どこかの時間で・光の輪 ──

[どれほどの時間だったか。
機関車に戻った狐は、コンロに火を灯した。
カチカチ、という音が鳴る。]

色々あったので、
、、
あれは、しばらくの間作れないと思っていたのですが……

[独り言は、キッチンに静かに落ちた。]

(95) kumiwacake 2022/08/21(Sun) 22時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[使うのは、夜空から汲み上げたキュラソー。
それに、>>5:20キャンディが好きな
南十字星座の生まれたての星で作ったワイン。
それから、提供してもらったモイの花のうち
とびきり美しいものの選別に取り掛かった。

誰かが戻ってきたのは、おそらくは狐が
光の輪を調理し終えた後のこと。
もしも誰かに、光の輪の行き先を尋ねられたなら
冷蔵庫に手をかけたまま、
「もうしばらくお待ちください」と答えただろう。]

(96) kumiwacake 2022/08/21(Sun) 22時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[それから、数刻の後か。
狐は冷蔵庫からリング型を取り出すと
皿にひっくり返し、注意深く数度叩いた。
以前、スタッフからこう聞いていた。
『光の輪は、丁寧に扱わなければ
途中で光を失ってしまう』と。
だから、最後まで気を抜けない。

皿の上にそれを盛り付ければ、
繊細な光が、失われぬまま手を照らし、
狐は安堵の溜息をついた。
飾り付けの星屑をきらきらと振りかけて
ようやく客人の元へと届ける。]

(97) kumiwacake 2022/08/21(Sun) 22時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ


ソルフリッツィ様、お待たせいたしました。
エンゼルリングゼリー、とでも呼びましょうか。

[そこには、夜空と、命と、天使とが在った。

まず目に見えるのは、宙から引いてきた夜空。
青い銀河の中に、命の色のモイの花が咲いている。
そして底では天使に見立てた光の輪。
白く雲がかかったような淡い光が、
夜空の星のきらめきと、夜露に濡れるモイの花とを
柔らかく照らしていた。]

同僚とも、依然話していたんです。
光の輪の透き通る爽快感は、生が一番味わい深いと。
彼はカクテルにしていましたが……

[さて、ソルフリッツィは
以前そのカクテルを飲んでいただろうか。]*

(98) kumiwacake 2022/08/21(Sun) 22時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

── お見送り ──

[ヤツデの声>>102と同時に、
狐は手を止めた。
そのまま窓に向き直ると丁寧に合掌した。
神獣たちは朝日の中で影を落としながら
じっと機関車を見つめている。]

……お邪魔いたしました。

[この星が彼らのものなのかは分からない。
が、一時同じ星に在った者に
狐は別れを告げた。
威圧されるような圧迫感は
もはや、彼らからは感じなかった。]*

(138) kumiwacake 2022/08/22(Mon) 06時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

── それはいつかの未来>>131 ──

[それはいつのことか。
幾度もあった来訪は、突然途切れた。
夜ごと、ただ一つの呼吸ばかりが繰り返される。
狐は寝台で半身を起こしたまま、
光の亡骸の中でじっと手元を見つめていた。
やがて衣擦れの音を残して扉の前に立つと
薄い一枚の扉を撫でて、額を寄せる。
知らず落ちた、愁いを帯びた息。
その孤独な反響が、狐に気づきを与えた。
一つの夢が終わったのだと。]*

(155) kumiwacake 2022/08/22(Mon) 22時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

── 回想・『いつか』の少し前 ──

[やがて来る終わりを告げられて>>195
狐は合わせていた視線を落とした。
その口の端は下がることも無く、
上がることも無く。
全ての事象は、始まった瞬間から
終わりに向けて収束していく。
これもまたその一つ。]

(198) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 08時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

── はい。

[狐は一瞬返答に迷った。
確かに一度も拒まなかったが、
それはあくまでも今までの話。
この身の温もりだけを差し出しているうちは良かった。
時を重ねるにつれて、夜を迎える前には
その姿が現れるまで、まんじりともしない
胸のざわめきを覚えるようになった。
疑念と妄想に囚われた時間は、
決して快いものではなく。
かと思えば、来訪者が訪れれば
終わりの日は今日ではなかったのだと
酷く安堵する心がある。

そのような関係性の有り様が、
これから先もずっと続けられるとは
狐には到底思えなかった。
ただ、今までは『今日ではなかった』だけで。]

(199) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 08時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[狐は俯いたまま沈黙していたが、
問いかけ>>197に、頬に影を落とす睫毛が
ゆっくりと上向いた。
二人の視線が交錯する。

狐は黄玉の瞳を揺らめかせ、
相対する赤を映し込む。
彼の真意を覗き込むように。
あるいは、自らの心を見つめ直すように。
随分と長いことそうしていたが、
やがて瞬きで頷いた。]*

(200) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 08時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[──そうして。
終わりの時>>155はやってきた。
扉に額を当てたまま、狐は呼びかける。]

おいで。

[するとどこからともなく蛇が現れた。
抜け殻は手にするりと巻きつき、甘えてくる。
その頭を一つ撫でて、狐は囁いた。]

行きましょう。
けじめをつけなければ。
 

(210) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 08時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ


[──それは、赤い目玉の蠍の近く。
星屑の光がとぐろを巻いていた。
とぐろは頭をもたげると、
シュゥと舌を出しながら二人を見つめた。]

「狐か」

はい。

「それも連れてきたのか」

はい。

[狐の影から、抜け殻が恐々と現れた。
その光と比べると、相対する蛇は
はっきりと色濃い。
狐は、からみつく抜け殻を撫でた。]

(211) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 08時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ


見事なお召し物です。
私のいる所でも、よく働いてくれています。

[抜け殻の主は、特に愛着も示さず視線を外す。]

「捨てたものだ。
お前の好きにするがいいさ」

[その言い様を、狐は嗜めた。]

もとはあなたでした。

「そして、今は俺ではない」

[にべもなく言い返されて、黙り込んだ。]

(212) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 08時半頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[やがて蛇は鬱陶しそうに頭を振る。]

「遠路はるばる、俺を咎めに来たのか」

……いいえ。

「ならば何をしに来た」

教えを乞いに。

「答える義理が俺にあるか」

いいえ。ですが、お教えください。
あなたのお心の内を。

[しばらくの間、蛇はじっと狐を見た。]

(213) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 09時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

「そいつの話か」

はい。あなたにとっては。

「今は俺ではない。だがかつては俺だった。
良き肌であり、良く俺を守った。
それでも少しずつ俺たちは離れ、
やがて存在が毒になった。
ならば、離れるのが道理だろうて。
そして一度離れたなら、元には戻らない。
そういうものだ。
さて──
好ましい者との別れは辛い。
心の傷が、明確な体の痛みとなるほどに。
その傷は、心を近づけるほどに深くなる。
忠告しよう、博愛の狐よ。今のうちだと」

(214) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 09時頃

【人】 羽化昇天道 イナリ

[狐は沈黙した。抜け殻の蛇は、
おろおろと狐と蛇とを見つめている。
長い時間の思慮深い沈黙の後に、丁寧に合掌した。]*

(215) kumiwacake 2022/08/23(Tue) 09時頃

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