17 吸血鬼の城
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>>19>>23
…あいつは、死ぬわけじゃないのか。 [絞り出す声は、何を言ったらいいのか判らず 散々喉の奥で迷子になった末に漸く生まれ落ちた。
メアリーが言った言葉を思い出す。 ―サイラスは吸血鬼になったが感情をもなくしたわけではない、 そのような事を言っていた。
イアンの言葉に頷いて場所を聞きたいとの意思を示す]
(26) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 00時頃
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[イアンの言葉に、 悩ましげに小さく吐息を漏らす]
左様でございますか……? ……ああ、その方は既にご自身の客室へとお戻りですが、 まだお休みのままかとも思われます。
――どうぞ、お気をつけて。
[2人へ ゆるり、と微笑みを向けて――乱された襟を整えた]
(27) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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そうそう。もし困ったら、リンダさん。 あの娘を頼るといいわよ。 初めは酷く怯えていたけれど……目が、変わったから。
[墓地で別れ際(>>5:170)の表情を思い出し、唐突にそんな事をトーニャにだけ漏らした。そして、セシルに向き直ると]
従者さん、お薬、有難う。 ついでに聞きたいのだけれど……御堂みたいなところを見つけたのだけれども、立ち入ってもいいのかしら?
[そんな事を、唐突に尋ねた]
(28) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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――ありがとう。
[従者から場所を聞き出せば、軽く頭を下げた。 もう一度首筋に手をやってから、歩き出す。
ベネットの部屋にたどり着くまで、一切の言葉を発する事はないだろう]
― →ベネットの客室―
(29) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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―書庫―
[丁寧な細工の施された扉の前まで来て、足を止めた]
……
[ふ、と溜息をつき 踵を返す。 直接会って何を言おうというのか。 自嘲が漏れた]
(30) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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[俯いたまま考え事をすれば、華やかな香りに顔を上げる。 グロリアが隣に座るのと同時に、服に何かを差し込まれたことに気が付く。
指先だけで探ればそれは小さな紙片で、 セシルの様子を覗いながらこっそりと開き、書かれた文字を読む]
――……えっ?
[その内容に思わず声を上げそうになり、慌ててグロリアの顔を見上げた]
(31) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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>>27
[――客室。 気をつけて、とは。本当に吸血鬼になってしまったのだと 男は実感できないまま。 >>29 イアンの後を追い従者の横を通り過ぎる、その一瞬に] サンキュ。
[小声でそう呟いた。 ベネットの客室の場所は知らないのでイアンの後ろに付いていくが。 客室の中に入る気になれなくて 入口の横で壁に寄り掛かって胡坐をかいた。 何も目に入れたくなくて俯いて。]
― →廊下、ベネットの客室前 ―
(32) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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−墓場−
[水がたっぷりと入った樽バケツを片手に持ち、執事は墓場にやってきた。そこは、眷属達が眠る場所。ヒトではない者達だけが眠ることを赦された場所。そして…]
……旦那様の孤独の象徴、だな。
[両腕の袖を肘まで捲り、墓石をひとつひとつ磨いてゆく。 真新しいもの、朽ちかけたもの、苔むしたもの……墓石の群れは、無言でありながらも、幾重にも積み重ねられた歴史を雄弁に語っている。
幾世代も前のもの故に、黒薔薇には解読できない文字が刻まれた墓石を磨き終わると、一旦休憩がてらポケットから煙草を取り出した。]
あー………ひっさしぶりの味だ。
[血液に煙草の成分が入ってはならないからという理由で数ヶ月禁煙していたのだが、何かの風の吹き回しでその禁を破ったのだった。]
(33) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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[ゆっくりと、沈んでいた意識が浮上する。――……あれ。ここは、何処だっけ。自分は――未だに余波で痺れる頭に浮かんでくる疑問の答えを探すのは、唐突に訪れた激痛で中断され]
っあああああっ!?
[首が、焼けてしまいそうにあつい。がばりと飛び起きて痛みの原因を引きちぎって投げる。翼を模った銀のネックレス。細い銀の鎖ががしゃらりと鳴って床に落ちた]
(34) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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[>>28 尋ねられた言葉にはひとつ頷く]
――それは、構いませんが。 祭壇には聖体などは…… 神にまつわるものなどは、ございませんよ。
そちらで、いったい何をなさるおつもりですか?
(35) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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[眼鏡を外し、ネクタイを緩め、ぼんやりと空を眺める。 終わらぬ霧が広がる空に向けて、紫煙を思い切り吹き付けた。 勿論、そんなものは霧に届いたりはしないのだけれども。]
(36) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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グロリアさん、どうして……?
[彼女が大事な武器を手放す理由がわからない。 それに、困ったらリンダを頼れという言葉。
それはまるで、遺言のように思えて。 少女は息を呑んだ]
(37) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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―客室前→客室―
[少々迷いつつも、何とか客室の前まで辿りつく。 ここだろう、と当たりをつけてドアをノックした]
ベネット。 ――生きてるか?
[傍らに座りこむドナルドに苦笑しつつ、ゆっくりと扉を開く。 叫び声が聞こえたのは、ちょうどその時だったか>>34]
(38) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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……っ、はあ、はあ……
[一体何が起こったのか。わけも分からず、痛む首を押さえて銀の翼が床に落ちたのを見る。きょろきょろと部屋を見回し――]
(39) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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― 書庫 ―
[ふと気配を感じた。 紛う事なき城主の気配にゆるく扉を振り返る。 影を下がらせただけで開け放たれたままの扉。 その向こうには城主の後ろ背――]
ヴェスパタイン…… 逢いに来て呉れたの……?
[緩く首を傾ぐ。 これまでと違っていたのは城主への呼び方]
(40) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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ふふ、そりゃあそうよねぇ。
[セシルの言葉(>>35)に可笑しそうに笑う。別段嫌味の無い、爆笑といった風情でコロコロと笑うと]
子供の頃の夢を思い出したの。 良ければ、ちょっとお付き合いいただける?
[トーニャの視線(>>31)には無視をした。決めかねている者には選択肢は多い方がいい。そして自分は既に別の選択を選び取っていたのだ]
(そう。ここには、私の求めるものは何も無い)
[狂乱の果ての道筋が、自分の中で見えてきていた]
(41) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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―書庫前―
[声をかけられ、立ち止まる。 何時しか幾つかの影を従えていた城主は ゆっくりと振り返った。 揺らめく銀糸が燭台の灯りに、薄く染まっている]
否、其れを始末しに来たのだ。 私の城は常に美しくなければ。 人の屍骸など、何時までも放っておくと腐臭がする。
[冷たい声で言い放ち 銀細工を握らされた少女の身体を片付けろと影を這わせる]
(42) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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記者 イアンは、本屋 ベネットと目は合っただろうか。
2010/06/25(Fri) 00時半頃
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[>>41 華やかな笑い声には、 つられたようにくすりと笑って]
――まあ、言う間でも なきことでございましたね。
ここでの神たる存在は、 絶対者たる旦那様――なのですから。
夢、とは異なものですね、かしこまりました。 では、そちらへとご案内致しましょう。
[トーニャへも一度だけ柔らかな視線を落として、 そして戸口へと足を向けた]
(43) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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―廊下、ベネットの客室前―
[横でイアンが部屋の主にかける声>>38を俯いたまま聞いていた。 友の姿を見たいのか、見たくないのか 整理のつかぬ心境を持て余す。
部屋の中から叫び声と金属を叩き付ける音が聞こえれば 流石に入口の方を見やって。しかし未だ入れない。]
(44) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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[まだ痛みと突然の覚醒で混乱しているようで。 徐々に落ち着きを取り戻せば、思い出してはっと息をのむ。 城主である吸血鬼に咬まれて――……いや、でもそれは合わせ鏡の間だったはずだ。何故ここにいる?もしかして悪い夢だったのではないかと淡い期待をこめてそっと唇に手を伸ばし――]
(45) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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……っ、う、あ……
[鋭く伸びた犬歯に指が触れる。夢ではない。確かに自分には人ならざるものの証がある――]
(46) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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― 書庫 ―
[アメジストを思わせる銀糸に女は微かに目を細めた]
――…そう。
[僅かに気落ちするような声で呟き 影が少女へと這い寄るのに気づけば 花の髪飾りの一つを手に取り握り締めた]
でも、本当にそれだけ……? それだけなら…… 何時もなら態々足を運んだりしないでしょう? ロビンを呼ぶか……影だけに片付けさせるのに……
[冷たい声が怖いとは思わない。 ただ寂しくて哀しい。 やはり思い出してはいけなかったのだろうか。 涙に濡れた女の表情がまた翳る]
(47) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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―書庫― [気落ちするような声が、傍から聞こえる。 宴の序盤に一度触れてから どれほど時が過ぎたか 城主にとってはほんの瞬きほどの時間であるのに]
……嗚呼、最後に一度 亜麻色の髪を、其の顔を見ておこうと思ったのだ。
[そう言いながらも、視線を上げることは無い。 血の色をした瞳は、 影が運び暖炉の奥の暗い穴へ投げ入れようとしている 少女を見ている]
……苦しませて絶望の縁まで追い詰めて 殺してやる心算であったが……失敗したな。 是がお前に会う前に、喰らっておくべきだった。
(48) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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― 廊下 ―
昔、私の従姉が聖歌隊員をしていたのだけれど…… 司教様が弾いてらしたパイプオルガンがとても楽しそうに見えたの。
[相手は別にセシルでなくても良かった。聞く人すら不在でも構わない。ただ思い出した記憶を愛しそうに、語っていた。当たり前の事が、今まで当たり前でなかったのように]
三段の鍵盤、三つの足鍵盤、金銀の金管に幸せそうな小太りの司教様。 従姉達が歌うのも聞かず、祈る事も忘れ、ただそれだけを見入っていた。
[そこで、静かに一人頷いた]
うん、一度アレ弾いてみたかったの。
(49) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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[扉を完全に開き、部屋の中へと踏み出した。 混乱し、己の口元に手を当てる友の姿を見やる。 呻く彼。今はここに居ない銀糸の持ち主に、心の中で散々の呪詛を並べたてながら。 ――でも、死んでなくて良かったと思ってしまった。それは、ひょっとしたら死よりも辛いものなのかもしれないけれど]
やっぱり駄目なのか、銀。
[床に転がるネックレスが目に入った。 腕を組み、入口近くの壁にゆっくりと背を預けて、問うた]
(50) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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――…最後?
[ことりと女の首が傾がれる。 信じられない。 信じたくはない、と翡翠の眸が揺れた]
如何して此方を見て呉れないの? 如何して……如何して…… 傍に居ていいって言って呉れたのに……
[女を襲うのは更なる絶望。 ぎゅっと胸の上で両の手を握り締め 翡翠は城主の姿を見詰め続けた]
(51) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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――食事の間――
少女の視線は受け止められる事はなく。 グロリアの玉を転がすような笑声を耳に――どうして、とその意味を考えた。 その真情は、自分のような子供には理解出来ないものかも知れない。だから――]
……ありがとう、ございます。
[もう問うことはせず、立ち去るグロリアに小さな声で礼を述べた。 また、気紛れだと彼女は言うかも知れない。 それでも優しくしてくれて、助けてくれたのは確かなことだ。 セシルが此方に柔らかな視線を落としたことには気付かず。一人でぽつりと食事を続けた]
(52) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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……!――
[気がついてしまった喉の渇きは耐え難い。今二人が来てしまえば襲わずに居られる自信が無い。どうにか、来る前に――そう思った矢先に聞こえる声と、ゆっくり開く扉>>38]
っ、駄目だ、来ないで!!
(53) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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―廊下― [御堂へ向かう、それは必然的に墓地へと近い場所。 廊下の窓から、紫煙がたなびくを見れば一度目を細めた]
おや、オルガンが…… ということは、弾かれたことはないのですね。
それはそれほどまでに、 大切な記憶なのですか?
いえ、なにやらあなたの語り口調が、 とても弾むようなご様子、でしたので。
[白薔薇はゆるりと笑む、 魔性となれどやはり音楽は好ましい]
(54) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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[部屋から漏れ出る声を、それ以上聞きたくは無かった。 立ち上がり静かに移動する。
何のために死にたかったのか― 少し、理由が分かった。 だがもう遅い。
外の空気が吸いたくて、外に行こうと足を向ける先を決めた。]
(55) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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