17 吸血鬼の城
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牧人 リンダは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 10時半頃
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― 部屋 ―
[湯を浴びた女は姿見を覗き込む。 映る姿は朧でその存在感たるや希薄。 哀しみを消したその相貌に薄い化粧を刷いて 纏うドレスの色は何色にも染まらぬ黒]
今はこれが似合いの色。 ……そうでしょう?
[緩く首を傾げ鏡の中の自分に問うように。 ほの暗さを滲ませた翡翠は 医師の宣告を聞いたあの時と同じ色]
――…魂だけとなった貴女は… 貴女たちは如何か此処から逃げて。 これ以上哀しまないように、如何か……。
[逃げる術を知らされていた女は 懐に忍ばせた少女の形見の花飾りにそっと囁く**]
(134) 2010/06/25(Fri) 11時半頃
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[ふ、と床に何か光る物を見つけた。 腰を折りそれに手を伸ばせば摘んだ人差し指に奔る痛み。 グラスが割れたあの食堂から知らず運んでしまったのだろう。 硝子の欠片を影に託し、じ、とその傷ついた指の腹を見詰めた。 ぷっくりと赤い雫が浮かんでいる。
人の身と変わらぬ脆弱な魔性がながらえられるのは その傷を直ぐに癒せる魔力を備えているから。 けれどそれは女の意思が無ければ効力も無く ――治す気の起きぬ女はその傷を塞がぬまま。
赤い舌先が白に咲く花弁を舐める。 血の味が分からない]
――…血を得るのを止めれば 私は灰になれるかしら。
[終焉を望む己に気づき自嘲的な笑みが浮かぶ]
(135) 2010/06/25(Fri) 12時頃
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― 城門前 ―
[影から隻眼の男の行方を聞き出し女は部屋を出た。 霧に紛れることなく自らの足で其処に向かう。 此方と向こうを隔てる城門の前に 自分よりも大きな人影とくゆる紫煙]
――…逃げ出そうという気になった? ドナルド……
[黒のドレスの裾が風に靡く。 攫われそうになる亜麻色をそっと手を押さえ 捕食者たる女はドナルドの言葉を待つ**]
(136) 2010/06/25(Fri) 12時頃
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水商売 ローズマリーは、執事見習い ロビンに話の続きを促した。
2010/06/25(Fri) 12時頃
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―最上階・城主の間― [濃厚に満ちる魔の気配、白薔薇は招かれるまま 歩み寄れば、屑折れるように主が元に、縋りつく]
……はい、 ありがたく頂戴いたします。
[畏怖と崇拝、どこか惧れを伴ってた主が傍らが今は酷く安らいだ。白薔薇の素肌が宵闇に抱かれる、まこと高貴なる血の香り、本能のままに薔薇が棘をさらけ出せば、魔の口唇が皮膚を掠める]
―――ッ、 生まれ 変わる……では、 今度こそ、本当に終わるのですね、 この ゆめ が………
(137) 2010/06/25(Fri) 13時半頃
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―――ぁ くッ……
[掠めたものは忘れたいと願ったものか、 それを手放すべくここにいるというのに何故であろう。 幸せ、不幸せ、狂気より醒めた女の言葉、矛盾。
過ぎる想いはけれど一瞬、 巡る血の齎す官能に、はしたなくも薔薇は啼いて堕ちていく]
(138) 2010/06/25(Fri) 13時半頃
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[呪いのような甘き囁き、
幾度も聞いた彼女への言葉が、今は己に向けられる]
――……、旦那様……
[昂揚に思考を霞ませたまま、白薔薇は不思議そうに首を傾いだ。
未だそこに残る枷のしゃらりと鳴る]
………同じ、翼を
[白薔薇は天上が色を映したその双眸を滲ませて、
嬉しげに微笑み、まどろみの中へと耽溺すれば――己が目覚めの時を待つ]
[御伽噺の正しい道筋。
そんな終焉は訪れない。
白薔薇の囁きを思い出し眉を寄せる]
私達は間違ってしまった。
何処から運命の歯車が
狂ってしまっていたのかしら。
[小さな呟きは深い闇に溶けた**]
奏者 セシルは、闇のまどろみの深くに堕ちれば、ただ目覚めの時を待つ**
2010/06/25(Fri) 14時頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 16時半頃
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―城門前―
[息苦しさで近づいてくる人物に気付いていれば声を掛けられたところで驚くべきもなく。] …いいや。 逃げ出す程の価値あるモンを置いてきた覚えはねー。 で、お嬢さんは会いたい人には無事に会えたか?
[最後に一息、煙を門の向こう側に吹き込んで―男は煙に何を託したのだろうか― 靴の裏で煙草の火を消す。]
(139) 2010/06/25(Fri) 18時頃
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― 城門前 ―
――…逃げ出すほどの価値… 誰も大切な人、いなかったの?
[ドナルドの吐き出した紫煙だけが外に逃れる。 問い掛けて如何するというのか。 もう、彼を逃す事など出来ないのに]
会えたけれど、会えなかった。 少し、気づくのが遅かったみたい。 私は結局、――…あのこを苦しめるだけの存在だった。
[血の気を失った可憐な少女の相貌を思い出せば 女の表情は翳り溜め息まじりの吐息が零れる。 距離を保ったまま男の隻眼を見詰める。 ――魔性たる力は滲ませず**]
貴方は人みたいだって言ってくれたけど やっぱり私は人にはなれない。
(140) 2010/06/25(Fri) 18時半頃
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愚かな情など捨てるが良い、同胞達よ
……お前たちは最早ひとではない
同じものを見る事など叶わぬ
[淡い微笑みを白の薔薇に見る。
意識が戻るまえ、耳の傍で戯れに囁くこえ**]
ひとの思う幸せとやらは
我等には訪れぬ。
我等は我等の歯車があろう。
間違えたと言うならば、其れは私に見初められた事と思え。
[白薔薇は恐らく初めて人を憎んだ。
信仰と祈りを礎となし、善美を求めたその心の博愛、
それは生ける者に区別なく平等に齎されるべきもの。
無為なる日々の中、罪を犯しながら己のあり方を捨てられぬ。
自死に至らなかったのは、己の本質に染み付いた嫌悪より。
既に信仰も祈りも失くしたのだから、形だけ戒律に沿うても意味などないとわかっているのに――そう、どこかで捨てきれぬ何かがあった。それが己の血ゆえかどうかは、知らない。
罪深き優しさ。案ずることも優しく接することも、それはそのように造られているのだから当たり前のことなのだ。本質を失った紅茶のように、優しいだけの欺瞞。
けれど、白薔薇は初めて人を憎んだ。]
[そして憎しみという糧は白薔薇を生かした。
対象が失われれば行き場のない感情だけが残った。
―――ただ、それだけのこと]
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[それが目覚めるは闇の中]
(141) 2010/06/25(Fri) 18時半頃
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>>140
それなりに楽しい毎日だったよ。 [問いに対する直接的な答えは言わないが、十分伝わるように言葉を選び、男は応える。] もとから考えてたんだ、年取って体中にガタがきて死ぬのは嫌だって。 つまらなくなったら死のうと決めて、熱愛なんて起こりようもねー。
…会えなかったのか。 [女を拘束した己のせいで会えなかった可能性が頭に浮かべば、それ以上は何も言えず。
女の目から片目を逸らす事はせず、人になれないと言う言葉を受け止めた。 その真意を測るべく促すようにして、次の言葉を待つ]
(142) 2010/06/25(Fri) 19時頃
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[瞬き思い目蓋を開ければ、くらり、思考は揺らいだ。 確かに何かが欠けた気がする、何が欠けたのだろう。わからない。わからないと思ったけれど、わからないと思う己自身がわからない]
――……あ、わたし は……
[ゆると、顔をあげる。高貴なる魔性の血色の眸を探す。 ただ、その声だけを覚えている]
私は、白薔薇 ――あなたの白い薔薇……
[躯を何かが脈動している、それは時に己自身を引き裂きそうなほど。強い魔の血、同化を拒絶する祈りの血が己の中が蠢いている**]
(143) 2010/06/25(Fri) 19時頃
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―私室―
……嗚呼
[重く暗く篭る闇が幽かに揺らぐ。 同胞の目覚めに視線を投げた。 肌蹴た夜着を着なおすでもなく、寝台の上 彼の髪へに冷たい指先を伸ばす]
そう、お前は私のもの。 愛しい私の――白き薔薇……
[甘い囁きはつい先刻まで、幾度も血を交えた彼女に与えていたもの。其れを同じ調子で、白薔薇へ向ける]
さあ――…人を喰らい、美しく咲き誇れ。 お前の其の姿が、私を悦ばせるだろう**
(144) 2010/06/25(Fri) 19時頃
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――…そんな風に言える貴方が少し羨ましいわ。 私は、ずっと、後悔してばかりだったから。
歳を取らずに…… ずっとずっとそのままの姿で居れると言ったら 貴方は、――…死にたくなくなる…?
[ドナルドが如何思おうと それを為すことを命じられているのに。 赦しを求めて卑怯な物言いをする自分に嫌悪する。 ――何に対してか、ゆるゆると首を振り]
これから、私は貴方の、人としての生を奪う。 貴方を私と同じ……、吸血鬼に……してしまうの。
[途切れ途切れに囁く口許には白く小さな牙が覗く。 彼に逃げる事を望んだ口で告げる言葉は残酷なもの]
(145) 2010/06/25(Fri) 19時頃
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>>145
[ローズマリーの唇が全ての音を発し終えた時 男は静かに目を見開いて、そして目を細めた。 常の癖で皮肉気な笑みを顔に貼り付ける]
死にたいと言ったら不老不死の薬が差し出されるとは なんとも皮肉な話、だな。
ぬくもりを奪うのは嫌、じゃあなかったのか?
(146) 2010/06/25(Fri) 19時半頃
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[ドナルドの浮かべる笑みにそわりと眼差しが揺れる]
薬なら良かったのだけれど…… きっとこれは毒。 私は貴方から全てを奪おうとしてる。
貴方のぬくもりも 貴方の人としての心も 私が貴方の血を吸えば貴方も、変わってしまう。
[女は動かず、少しだけ柳眉を寄せたまま]
――…貴方からぬくもりが無くなってしまうのは とても……、残念、ね。
[人肌まで、とぬくもりを呉れたあの時の事が過り 殺したはずの女の心を苛んでいた]
(147) 2010/06/25(Fri) 20時頃
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――ど阿呆。
アンタこそ、チンピラに見せかけた、ただの人の良い兄ちゃんじゃねえか。
[霧の向こうに投げかけるように、男はぽつりと呟いた。 それが誰に向けられたものかは、神のみぞ知る――]
(148) 2010/06/25(Fri) 20時頃
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執事見習い ロビンは、ランタン職人 ヴェスパタインに話の続きを促した。
2010/06/25(Fri) 20時半頃
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―最上階・城主の間― [髪に触れた指先から、甘い囁きから いばらのように絡みつく、呪縛――
天の青は闇の血色を見つめ 黒い夜着に触れようと、白い指先の伸びる]
愛しい方―― 私はあなたの為だけに咲く、薔薇……
[目覚めた魔性は夢見心地のまま、微笑んで]
――ええ、 あなたが為に誰よりも美しく咲きましょう、 我が身が深紅に染め上がるまで……
[そして、白き薔薇は、 己が花弁を染める贄を求めて、紅の月下へと]
(149) 2010/06/25(Fri) 20時半頃
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―――ああ、硝煙とネズミの匂いがする。
[厭わしそうに呟いた**]
(150) 2010/06/25(Fri) 20時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 20時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 20時半頃
[漂うは虚無感。
女はただ静かに聲に耳を傾けるのみ――]
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 20時半頃
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>>147
[男は何も言わず、女の言葉を聞いていた。] 吸血鬼になるってことは、 確かに人として死ぬ事らしいな。
[残念という言葉に、眉を寄せた表情に 耐えきれぬ様に男は大きく息をついた] 今からそれをやろうとしてんのにそんな顔すんじゃねーよ。 殺してやるでもなんでも嘘ついて、その時に やっちまえばいいじゃねーか。 [足を踏み出しローズマリーの横まですれ違うかのように歩いて 避けられなければその頭に軽く手を置こうと。 恐らくローズマリーの本心からでないことは表情から推測できた] 女の嘘を許すのが男ってもんだろう。
―まあ、もう聞いちまったから騙されてやれねーけど。
(151) 2010/06/25(Fri) 21時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 21時頃
小悪党 ドナルドは、奏者 セシルに話の続きを促した。
2010/06/25(Fri) 21時頃
小悪党 ドナルドは、水商売 ローズマリーに話の続きを促した。
2010/06/25(Fri) 21時頃
本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 21時頃
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……ん……
[目をこする。どうやら椅子に座ったまま転寝をしていたらしい。目の前のイアンはまだ眠ったままで心配そうに見つめる]
……。
[部屋の隅でなにやら伸び縮みしている影に、ベストを脱いで投げつける。どうやら洗濯物と思ったか、持って立ち去っていった。]
……やつあたりにもならないや……
[ぼやいて再び椅子に腰を下ろす]
(152) 2010/06/25(Fri) 21時頃
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――回想 自室――
(隠しておいたつもりで、取り上げられたら元も子もないしなぁ。 ……やっぱり、持ってった方がいいかな)
[枕の下に隠した猟銃を引っ張り出し、背中に担いで上からショールを被る]
これで、大丈夫……と。
[その場でとん、と飛び跳ね肩を回す。 銃が動きの邪魔にならないことを確認し部屋を出る]
(153) 2010/06/25(Fri) 21時頃
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[目の前にいる隻眼の男は変わるのだろうか。 それとも魔性の力に抗うのだろうか。 答えは見えない。 大きな吐息とともに紡がれる言葉に 少しだけ驚いたように瞬きをした]
――…貴方の言うとおりね。 嘘を吐いて騙してしまえば良かった。 次に目覚めた時は―― この関係も変わっているでしょうし。
[ぬくもりだけでなく記憶を失うかもしれない。 こころさえも失って変わってしまうかもしれない。 奪おうとしているぬくもりが頭に触れる。 彼に向ける女の表情が泣きそうに歪んだ]
許してくれる優しい人なんて、いないもの。 ――…騙されなくてもいいわ。だから……
[逃げて、と声なく唇だけで紡ぐ]
(154) 2010/06/25(Fri) 21時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 21時頃
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――城門前――
[石畳の上を音を立てぬよう慎重に歩く。 中庭を抜け城門に至れば、霧の中に人影が見えた。
そっと様子を覗い見れば、寄り添うように佇む 亜麻色の髪の魔物と隻眼の男の姿]
(ドナルドさん、……だめだよ)
[二人の睦言のような会話が風に乗り、少女の耳に落ちた]
(155) 2010/06/25(Fri) 21時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 21時頃
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―最上階/私室― [戯れに髪へ指を絡め弄ぶ。 白い指先が触れ、ひくりと喉が震えた]
嗚呼――…良い子だ。
[同じ体温である事への安堵と、何か 胸の内に広がる甘く苦い感覚]
白い花弁を血に染めて ……私の元へ、帰ってくるのを……待っている。
[硝煙と、ネズミの臭い。 知っている。ひとが、己の眷族が何をしようとしているか、くらいは。 月は霧に紛れて朧気に気配を変えてゆく。 翼を広げる彼を見送り、ゆるりと寝台から下りた]
(156) 2010/06/25(Fri) 21時半頃
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……ん……
[泥の中に深く沈んでいた意識が、ゆっくりと浮かび上がる。 柔らかなシーツの感触。重い瞼を開いた。 どうしたのだっけ、確かベネットが――]
ベネット……?
[椅子に座る友人の顔を、朧気ながらも捉える。 何だか様子が変わったな、と思うのは気のせいだろうか]
……お前、着替えたのか?
[寝覚め一番に、問うたのはそんなことで]
(157) 2010/06/25(Fri) 21時半頃
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