17 吸血鬼の城
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[咬みたくないと頑なに拒む新たな眷族の聲
其れを心地良いと感じる事で幾らかの余裕が生まれる]
失った記憶を取り戻してなお
私の傍に居たいとは酔狂な事だ。
其れが望みなら
傍らで咲き続けるが良い
――…白の薔薇と共に
[切なる聲に、城主は顔を歪めそう告げた]
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−墓場−
物騒もクソもねえよ。 元よりこれが俺の素性さ。 ただ、ここの城にゃ似合わねえから使ってないだけの話だ。
……驚いたか? ま、アンタは敬語だとあっちの方が縮み上がるようだから、アンタに合わせて暫くこれで喋ってやるよ。
[笑みが消えた男の片目をじっと見る。]
ああ、ご名答。 俺は、「ブルーノ卿」の「息子」さ。 もちろん血を分けてない方のな。
[先代のボス、と彼が告げた者の名を出した。]
ちょっとした気まぐれって奴で、今此処にいるのさ。
(67) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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>>60 ――ええ、もちろん、構いませんよ。 どなたかに演奏を……というのも、 とても久しぶりですので――上手にお教えできるかはわかりませんが。
[そして、ふと、この廊下を かつて友人と共に歩いたことを思い出す]
過去は己の礎をなすもの。 記憶が存在を作り上げる、といっても過言ではないでしょう。
もっとも欠落もまた、己の一部なれば―― 手放そうが、奪われようが、逃れらぬものなのかもしれませんね。人は空洞を意識するものでしょう。
[あるいは、それは人ならざる魔も同じと、口には出さず思う]
手放した記憶の価値―― 手放すだけの理由があったのならば、大切であろうとなかろうと。 それは自身にとって何事か、重要であることには、代わりはないのでは?
(68) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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[憎まれていた訳ではないと知れば過る安堵。 歪む城主の表情を認めれば女はゆらと立ち上がり ゆっくりと、僅かに覚束ぬ足取りで彼に歩み寄り]
貴方が時間を与えてくれようとしたのに 怯えて拒んで……貴方を傷付けて…… ごめんなさい……
[白く儚い手が、城主の頬へと伸ばされる]
私も貴方の傍が心地好かった。 傍に居てくれる事が、嬉しかった。
(69) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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あの2人 は?
―――ならば、誰ならよろしいの?
[くすりくすり と それは哂う]
執事見習い ロビンは、小悪党 ドナルドに、「おひとつどうぞ」と、おどけた仕種で、煙草を差し出した。
2010/06/25(Fri) 01時半頃
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[歩きながら、思う。...は思い続ける]
(倦んだ永久の主は、 人の感情を獲る事を以って退屈への糧とする。
―――今の私はかの主のお気には召さないことだろう。)
[居もしない獣を狩るべく、目的が適う事など無い復讐者を気取って、記憶と真実を拒絶してきた気違いを以って、自分を保たせてきた。そんな自分だからこそここに招かれたのだろう。見世物としては適当だった。]
(けれども……
目を背けていた事に気付き、忘れたいものを忘れられず、 正常を心に押し付けられれば、
――私に、先はない。
"冷めた"ことで、持ちえる筈の深い絶望や諦めすら、既に置き去りにしてしまった。 そんな人間、餌としても果たして美味いかどうか……)
(70) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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>>62 ……イアン、さん…… いつまでも我慢できそうに無いんだ……お願いだから、早く部屋から出て……咬みたくないよ……
[声を絞り出して訴えて。シーツの上にぽたり、透明な雫が落ちて広がる。]
あ……
[先ほど鎖をちぎって投げてしまった、姉の形見の銀の翼。]
火傷……分からない。わからないよ……っ、
[また渇きが襲ってくる。]
……イアンさん、……それ。持ってってください……僕には……もう、触ることすらできない。 きっと、姉さんもイアンさんなら許してくれるから……
(71) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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―書庫>>69―
可笑しな事を言う。 確かあの時…… 人を喰らう事を頑なに跳ね除けていたのでは無かったか?
[先刻のベネットの様子に重なる。 望んで受け入れるものなど、ほんの一握り。 欲しいモノは無理矢理に奪うのが常。 与えられる事に不慣れな城主は 伸びてきた手を避けるように、ひとつ後ろへ下がった]
魔力を分けた相手だ 傍に居れば心地好いのは、当然のこと。
(72) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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>>67
[己に合わせた言葉遣いで、という元マフィアに そいつは有り難ぇこって。 と居心地の悪そうな表情で告げる。]
へーえ。 ちょっとした気紛れで組を抜けられるほど 家族の団結ってやつは緩くないと思ってんだけどな。 あんたは、有力な―何て言ったらいい、始末屋か? それだったらしいし。
[男は正直に言って、この元マフィアとの距離を測りかねていた。 マフィアは相手にするのは面倒臭い相手だと認識していたから余計 接し方というのを探しあぐねて。その思いは表情にでていたかは判らず。 ただ元マフィアの刺青は男の興味を充分に惹いた。 自然と目線は腕へと集中する]
(73) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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好きだから傍にいたいの
[女が城主に抱くのは恋心ではなく
それよりも深い情愛。
仮令それが伝わらずとも――]
愛しているわ
[漸く口に出来た言葉に
女は綻ぶような笑みを城主に向けた]
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――食事の間――
[中庭でセシルに示唆され、グロリアの言葉と意思を受けたことで。自分に何ができるか、何をしたいのかを考えた]
『ヘクターの仇を討って、この城を出る』
[そう出来れば最善――けれど、非力な刃が魔物に届くとは到底思えない。 ヘクターが視た自分のトーテムは卑弱なスナネズミで。 それは、怯えて逃げ回るだけの自分を象徴するように思えたけれど]
――それでも、スナネズミにも立派な牙と爪があるんだよね。 [両腕に浮かび上がった紋様に視線を落とし、人狼の牙に手を触れる。それは、大切な人がくれた力。 スナネズミに与えられた、ささやかな武器だ]
(74) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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>>73 ――いいえ、 とても興味ぶかいお話でございます。
[御堂はすぐそこ、ステンドグラスは飾られど、 そこに7色の光導く陽光はない。]
ええ、そうですね。 何かの切欠で思い出す、ということもありますね。忘れていたつもり、の何かを……
[>>70 どこか思い耽るような婦人、 その横顔を見れば、白薔薇は薔薇がごとくに沈黙する]
(75) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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記憶が存在を作り上げる――ね。
[(>>68)そうだとすれば、あの人を失ってからの自分はどんな存在だったと言う事か]
なくしてしまえば…… そう、なくなってしまえば……
きっと不幸で、幸せだったのよ。
[矛盾したことを平然とその薄い唇から漏らす]
生きていたのだと思う私と、 生きていなかったのだと感じる私。
生ける屍人――なんて気取る気はないけれど、 そうねぇ。
[自分の心の中だけの思い出をなぞって喋る...は正気であっても十分に異質だっただろう]
もっと賢ければ、もっと強ければ、違ったのかしらね。
(76) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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小悪党 ドナルドは、執事見習い ロビンに「……これはどうもご丁寧に」と微妙な表情をしつつ一本受け取る
2010/06/25(Fri) 01時半頃
……あ、
[「誰なら」そうだ。誰なら良いというんだ?自分はあの二人以外ならどうでもいいと、そう考えていた……?先ほどまで思っていたことに愕然とする。]
……それ、は……
[誰も咬みたくなければこの渇きに絶えながら餓死でもするか、或いは殺されるかするしかない――]
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>>71
[ベネットの言葉にゆっくりと頷きつつ、屈んで銀の翼を手に取った。 許してくれる――苦しむ友人の声が聞こえる]
一応、聞いて良いか。 俺がこのまま部屋を去ったとして、お前、どうするつもりだ? 吸血鬼の渇きは、耐えようと思えばいつまでも耐えられるのか?
[まだ身は起こさない。 シーツを掴む彼と、同じ目線になるように]
俺はな、良かったって思ってるんだぞ。 ミッシェルに続いてお前まで死んだら――死んだら、話すら出来ないんだからな。
(77) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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あ、別に少しの時間で上手に弾きたいなんて思ってはいないわ。
[...は童女のように笑った。かつてそれと共に見せた気の触れた素振りは既に潜めていたけれど]
ちょっと、触って満足したいだけ。
[リクエスト曲はStabat Mater(スターバト・マーテル)。聖母マリアの悲しみを共に偲び、苦しみを重ね合わせることで神の恩寵を請い祈る歌]
(78) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 01時半頃
[腑に落ちぬ顔をする]
あいしている……か
[戯れに人へ向けたときに、あの記者は何と言っていたか]
私は……何かを失ってまで得たいものか?
そのような強い執着心を与える気でいるのか
私には
解せぬな。
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−墓場>>73−
さっきも言ったろ? 俺は「ブルーノ卿の息子」であって、今のヨアヒムの豚野郎の息子じゃァねぇ。おまけにアホみたいな御家騒動まで勃発しやがってなァ……。
……って、まあいい。それは重要な話じゃあねえ。
まだ俺がファミリーにいたころ、偶然見ちまったのさ。この城で、吸血鬼がヒトの首噛んで血を吸う所を。
それが俺がここに来た理由だ。
(79) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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― 書庫 ―
私は人だったから…… 同じ人の命を奪うことが怖かった。 けれど、私は変わってしまった。 貴方と同じ魔の者になった。
[伸ばした手は城主に触れる事が叶わず 何処か残念そうな表情が過った。 理由を示されればふるりと首を振り]
それもあるかもしれない。 けれど……、それだけではないの。 私に触れられるのは、いや……?
[諦めず触れようと離れた一歩を埋めて手を伸ばす]
(80) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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私のしたいこと――……私の出来ること。
[出来ることは――魔物たちの隙をつき、この城から逃げること。 したいこと、後のことは――それから考えれば良い。 此処を出られれば時間は幾らだってあるのだから] ……よし、はじめようか。
[食事を終え、ぱんと頬を叩いて気合を入れる。 城主や召使達に脅されれば、すぐにへし折れてしまうかも知れないけれど。
それでも、目を瞑って待ち続けても悪夢は醒めないから。 誰かが手を差し伸べてくれるのを待つだけの、自分が嫌だから。
少女は立ち上がる]
―― →グロリアの客室へ――
(81) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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>>79
それのどこがここに来る理由になんだよ。 [思わず突込みを入れて]
吸血鬼に憧れた、から?吸血鬼になりたくて、 だから元マフィアのあんたが従者やってんのか?
それぐらいしか思いつかねーんだけど。
…んでさ。その話ししながらでもいいから、刺青見せてくんね? さっきから気になって気になって。 [そう言って、男は黒い薔薇を指さす]
(82) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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――…執着じゃない。
これは想いよ。
貴方に喜んで欲しい。
貴方に笑っていて欲しい。
貴方に、しあわせになって欲しい。
[純血の魔性である城主に
それを望み伝えるのは難しい事かもしれない。
それでも伝えようとするのは深い想いゆえに]
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―書庫―
ひとの記憶が戻っても……人を喰らうに躊躇はせぬと? それでは、お前の苦悩する顔が見れぬではないか。
[曇った表情を見遣り、一度首を振る]
……好きにするが良い。
[距離を埋められると僅かな溜息を漏らし 瞳を伏せた]
(83) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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>>77 ……。
[泣きそうに顔をゆがめる。シーツから手を離して膝を抱え]
……分かってるよ……いつまでも耐えられるものじゃないって…… でも、嫌なんだよ……あいつらの言う通りになるのは、姉さんを喰ったバケモノと同じように……血を、飲むのは……
[死なないでよかったと、その言葉はうれしかったけれど――その代わりに得た代償は、大きい]
(84) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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其れは私には存在せぬもの。
……私を喜ばせたいならば、ひとの絶望をもっと此処へ
私の笑みが欲しいなら、ひとの恐怖をもっと見せてくれ
私の幸せは
人々が苦しみもがく姿をこの瞳に映しながら
其の血を啜ること
[ひとと魔は相容れぬもの。
望む愛を手に入れたらしいのに
期待していた満足感が得られない。
胸に篭る靄が――目前を曇らせる]
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[>>78 あどけなく笑う女から、 伝えられた曲名にはひとつふたつ瞬いて]
……それは、また楽しい曲、からは遠いものですね。
[御堂へ足を踏み入れれば、 そこは暗い七色の降る空間――
魔性の城の聖堂で、白薔薇は女に向き直る。 それは懺悔を問うが如くに]
悲しみにくれる聖母――
悲しみがあなたの、手放された記憶? 賢ければ、強ければ、と後悔に似た何かと共に。
[薔薇の香はかすか、青は静かに見下ろして]
(85) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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>>82 あいよ、どうぞ。 ……と言っても、腕全部に入ってるから、シャツまで脱がないと見せられないけど。
[そう言って、腰にかかった3つの剣を落とさぬよう慎重に動きつつ、窮屈なベストとドレスシャツを脱ぎ、上半身は袖の無いシャツ1枚の姿になった。
細身ながらも均整の取れた筋肉を晒して、入れ墨を観察させる。]
……ああ。理由ってのはちょっと違うな。 別に吸血鬼に憧れてた訳じゃあない。
彼らが持つ究極……『死に至る痛み』……そいつを知りたくてな。
(86) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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― 書庫 ―
だって、私はもう人ではないもの。 貴方と同じ――…
[たとえ触れてもぬくもりを与えられぬ事を思い出し 伸ばしたその指先が惑うように微かに震え]
苦悩する顔がみたいなら そういう顔をさせるような事をすれば良いわ。
[それはあまり愉しい事とは言えないけれど 困ったように微笑を浮かべた。 好きに、という声に嬉しそうに頷き 眸を伏せる城主の頬へと繊手を宛がう]
(87) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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――あの2人でなければ、
誰がよろしいのでしょう。
ほら、耳を済ませてごらんなさい。
ちかくに他の人間の気配はありませんか?
……もっとも、あなたのすぐ目の前に
甘い甘い血の芳香を漂わせている方がいるのでしょう?
とても、とてもいい匂い……
[渇きを誘うように、囁いて囁いて]
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ああ、そうだな。 嫌だよな、あんな奴の言う通りになるのは――
[月並みな台詞ではあるけれど。 そんな事しか言えなくて、膝を抱えるベネットの頭にゆっくりと手を伸ばす。 拒まれなければ、くしゃりと撫でたかった]
でも、俺は。 お前がそれを拒んで死んでいくのを見るのが、嫌だなあ。 やっぱりさ、俺は――お前とドナルドには、生きていて欲しいんだよ。
(88) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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