17 吸血鬼の城
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言い訳が聞きたいわけではないな。
[溜息。 揺らぐ翡翠を何も映さぬ血の色が舐るように捕らえる。 眷族たる者達の声ならぬ聲に 幾らか常の調子を取り戻し]
そう、ならば行くが良い。 私の望みを叶えることこそ、お前の悦びなのだろう?
[妖艶な笑みを浮かべ、頬に触れた手へ 己の冷たい手を重ねる]
上手く私を愉しませたら、褒美をやろう。 お前の望む言葉を。
(97) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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[その声音は甘く、優しく]
ああ、もう限界なのでしょう? なんて苦しそうな声……おかわいそうに。
我慢など、 なさらなくてもよろしいのですよ? 加減さえ、間違えねば良いのです。
あまり渇きが酷くなってしまってからでは……
嗚呼、本当に
加減を間違えてしまうかも しれませんよ?
(*31) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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/*
記憶戻るのはやっぱ死ぬ時にすべきでした。 元々酷いキャラだけど この迷走っぷりは酷すぎる。 うわー、ほんとごめんなさい。
(-35) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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――客室――
結構、重たいなぁ。 私に扱えるかな……。
[ベッドの上に座り込み、グロリアの部屋から持ち出した猟銃を矯めつ眇めつ眺める。 弾丸もあるだけ持ってきてはみたものの、そもそも装填の仕方すら分からない。下手に弄くって暴発させたら拙い]
使い方は後でグロリアさんに聞くしかないか。
[食事の間での遺言じみた言葉が気になったけれど、振り払うように首を振った]
(98) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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さて、……次は、と。
[猟銃を枕の下に隠し、窓から外を見下ろした。 飛び降りるには高さが有り過ぎるようで、 まさか、影に脱出用にロープを調達させるわけにもいかない]
何とか城内を通らずに済ませたかったけど……仕方ないか。
[逃走経路を吟味するべく、中庭へと向かった]
(99) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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私は言ったぞ? 「早く此方へ戻って来い」と。 お前は 私よりもあの娘を選んだ。 事実は消えぬ。
[僅かな呟きを耳に受け 気だるげな溜息を零す]
汚名返上したければ、我が望みを叶えて来る事だな。
(*32) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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お褒めいただき嬉う存じます。 ……旦那様、私はもっと己の魔を深くしたいのです。
深く、深く。
忘れてしまえるように。
[それが唯一つの絶望を忘れる縁。 白薔薇は憂いのため息をひとつ]
(*33) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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― 御堂 ―
[歌う代わりに、言葉を音に乗せた]
目の前の出来事を、信じたくなく、無かった事にしたかった。 最初はそんな逃避から。
[途切れ途切れ、迷った処は手助けを請い、ゆっくりと丁寧に音を積み上げるようにして、重ね合わせていく]
甘い幻想は、幸せなる果実。 都合のワルイコトを、都合の良い事に置き換えた。
[とちったと自覚すれば、少し前からやり直す。何度でも構うことなく、ただ熱心に目の前の指捌きに集中する]
(100) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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騙しきれない自分を、騙しきるにはどうすればいい。 それを救いという逃げ道によって、先を拓いた。
(あの人が人殺しなら――私も人を殺そう。 多くの人を手に掛けた。善人はいなかったが、所詮は自分の物差しで恣意的だ。
あの人が化け物なら――私も人でなしになろう。 手招く狂気に身を委ね、自ら好んで毀れていった。怪物になる術を持たぬゆえ。
あの人が私を救う為に死を選んだのなら―――)
置き去りにされた惨めな生存者から――後を追う追跡者へと。
(101) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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[自分に血を分け与えた吸血鬼の言葉に、血がざわつく。咬み付きたい、飲み干したい、今すぐにと。 続けて聞こえる白薔薇の言葉に冷や汗が流れる。体が震える。我を忘れて噛み付いてしまえば加減もできない。そうなって、本当に命を奪ってしまったら]
……間違えなければ……
[頭の中でぐるぐるとその言葉ばかりが回り続ける]
(*34) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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裁き?
[そこだけは、音と外れる]
余人の誰が私以上に、私を裁けるというのかしら?
[いつしかコツをつかんだのか、大分つっかえることなく弾けるようになっていく//]
(102) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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/* ありがたいことに私の狂気は君達の神が保証してくれるというわけだ! よろしい ならばよろしい!
[...は満足気に言葉を繰り返す]
ならば私も問おう 君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね? */
(-36) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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おい、馬鹿野郎――
[覗いた牙が向かった先は彼の手だった。 ベッドの白に、赤が映る。 そこでふと思い至った。己の首筋に残る赤が、逆に彼を苦しめていたとしたら――
だが、いずれ、彼は飲むのだろう]
無理するな、と言ってる! ……俺が部屋から出れば、お前が苦しくなくなるってんなら俺は部屋を出るし、 …………俺の血を呑むことで、お前が苦しくなくなるってんなら、とにかく飲んじまえ!
[伸ばした腕は頭から彼の肩に。 苦しみに歪む友人の顔を、正面から――むしろ、睨みつけるように]
(103) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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記者 イアンは、良家の娘 グロリアに話の続きを促した。
2010/06/25(Fri) 02時半頃
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嗚呼、ならば後で私室へ来ると良い 直接にこの血を循環させてやろう。
下らぬ世迷い事など、全て消し去るほどに与えてやる。
[憂いを帯びた溜息を零す白薔薇へ 己の領域へ踏み入ることを許す。 未だ決心のつかぬ様子の眷族へは、後押しするように 薄く笑みを零した]
あまりに乾きに囚われ続けると 血だけを求め続ける…… 理性の飛んだ、人の言うただの化け物に変じるやもしれんぞ?
(*35) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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/* 飴どうも。 でもそろそろ限界が近い…。 */
(-37) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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――……ッ
[城主の指摘に息を飲む。 確かにあの時、彼女を選んだ。 言い訳など出来るはずもなく。
ふ、と過るのは諦めにも似た色]
(*36) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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>>100 [女の歌が止まれたば、手袋を外した。 鍵盤を這う冷たい指先は彩るように低音を奏で、時折女の指に触れ重なる]
逃避と幻想
救いと狂気
置き去りにされた生存者―――
[ふと、己の記憶にも重なるその言葉、呟けば、 浮かぶのは誰の顔だったか――乱れる心、かすかな薔薇の香]
(104) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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>>103 [睨みつけるような視線にびくりと体を震わせる。いくら体が丈夫になろうとも、いくら人ならざる怪力を身につけても、怖かった。――親しいヒトに嫌われるのが怖かった]
イアンさん……
[分かっている。彼が出て行っても渇きは収まらない。我を忘れて誰かに咬み付いて殺すのは、嫌だ]
……ごめんなさい……っ!
[イアンを抱き寄せて、甘い香りのする其処へ。温かい首筋へ牙を突き立てる。]
(105) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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―墓場― [元マフィアの返答はどうだったであろうか。
口調だけは落ち着いて、しかし殺気だった雰囲気は 何故か男を落ち着かせた。 それは城に逃げ込む前の追いかけっこを思い出させたのか、それとも。 話が一段落ついた所で男は立ち上がる]
そろそろ行くぜ、おっさん。 刺青見せてくれてサンキュー。
…ああ、最初の「どちらが幸せか」の答えだけど。 俺にとっちゃあ死ぬ方だな。 先に死ねば友人やらが死んだり、苦しんだりすんの見ないですむ。 [綺麗な記憶のまま死ねる、それは幸せだろうと。 それが自身の死を望む一因だと、友人が吸血鬼と化してからようやくわかった。
じゃーなぁ、おっさん。とヒラヒラ手を振り今度こそ向かうは友の部屋。]
(106) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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>>102
それは……また、
[言葉を聞けば白薔薇は微笑う、 少しだけ愉しげに微笑って]
頼もしいこと、 あなたはどのように我が身を裁かれるおつもりか。
どのような罰を持って、我が身を裁くというのです。
[女の指先が、かたちのついた旋律を 奏で始めれば、白薔薇はその手を引く]
救いがたき罪に、もたらすべき罰とは?
[女の双眸を覗く、天上の青]
(107) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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[思い悩むような間があった。 城主に触れていた手をそっと下ろし]
嗚呼、戯れが過ぎたよう。 御気を悪くしないで、お兄様。
――…お兄様の望む姿が この城で過ごした私の姿だと仰るなら
私はお兄様の望むままにあるだけ――。
[緩く頭を垂れ女は心を殺す]
(108) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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>>104 [...は時折触れるセシルの冷たい手に驚きつつも、 その手に導かれるように、曲を創り上げていく。 今となっては空々しい言葉を、寒々しい祈りを、届かぬ想いを後悔すら出来ぬ意志を、指先に込めながら]
ふふ。
[静かに笑う。置き去りにされていた狂心も、音色に弾んだように彼女の口元に戻ってくる。それを自覚する心を抱えつつ、狂いも共に歌いつつ、弾き上げた]
(109) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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>>105
大丈夫だ。 ――大丈夫だから。
[それは自分に対して吐いた言葉かもしれなかった。 ベネットは友人だ。無事で居て欲しい、友人の一人だから]
――く、
[腕が背に回った。首筋に牙が立てられる。 再び押し寄せる恍惚、やはり抗う事は出来ず。 友人がこれ以上泣かなければ良いとか、そんな事を思いながら、 やがて意識は薄れ消えて、その場に崩れるのだろう**]
(110) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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[眷属が呟く声には微笑う気配]
――……旦那様、
[その許可の言葉に、白薔薇の声音は震えて、 今しがた、女の呟きに乱れた心が、ただ闇の救いを求める]
とても……とても、 ありがたく、存じます――…
(*37) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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[触れていた手が離れていく。 温もりは互いに持たない]
嗚呼、気分は悪くない。 私がお前に望む事は、先ほど伝えた通りだ。 失敗は許さぬ。
[頭を垂れるローズマリーを一瞥し、踵を返すと]
褒美はきっとお前の気に入るものだろう。 ……検討を願っている。
[城主の姿は泡でなく霧になって、その場から消えた。 再び現れるは最上階の私室**]
(111) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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[生粋の魔性たる城主に何かを与えられるはずもなく。 血の色の眸に見据えられ女の柳眉が不安げに寄せられた]
――…私の、悦びは……
[翳る表情。 冷たく重なるその手をチラと見詰め 女は惑うように一歩後ろに下がる]
褒美……? 望む、言葉……?
[虚ろな翡翠が緩く細まる]
(112) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 03時頃
靴磨き トニーは、中庭を城門へと向けて、歩き出した**
2010/06/25(Fri) 03時頃
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嗚呼
[在り難いと 震えた声音に、城主は柔かに囁く]
お前が望むままに、与えよう 人との境から飛び立てる魔の翼を。
……部屋で待っている**
(*38) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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Fac me plagis vulnerari cruce fac inebriari Et cruore Filii.
[殉教者の如く、追従者のように、望むのは傲慢だろう]
(後を追うつもり――だった。)
[あの猟銃で頭を撃ち抜けば容易く、望みは達せされる事だろう。等しい罪を抱えながら、再会を望むのだ]
(けれど)
――そうねぇ。
[自死を選ばない。同じ場所へは望まない]
私は、自分からは死なないわ。
(113) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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――…心得ました。
[霧に溶ける城主に答える声に温度は消えうせて――]
(114) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/06/25(Fri) 03時頃
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Just be friends All we gotta do
[突然、ピアノの曲を弾きだして軽く歌い上げる。聖歌とは程遠い、恋人同士の離別の歌]
ありがとう、従者さん。 これでもう―――
[口元に薄く貼りついた笑み。招き寄せる混濁は、現実と妥協しつつ、緩やかに一つの事柄に...を没頭させていく]
(さようなら――)
[傍にいるセシルの存在を忘却し、ただ...は力尽きるか、己の意志が途切れるまでパイプオルガンを演奏し続ける。それだけが望みであるかのように、ただただ只管に、闇雲に、一途に――そう一途に奏で続けた]
(これだけが――)
[かつてミサの最中、パイプオルガンに興味を惹いていた彼女を窘めた人。その彼こそが……]
……私達の、絆。**
(115) 2010/06/25(Fri) 03時半頃
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