6 偽りの聖戦《ｲﾐﾃｰｼｮﾝ･ｼﾞ･ﾊｰﾄﾞ》
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牧人 リンダ！ 今日がお前の命日だ！
2010/03/26(Fri) 18時頃
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― 虚無の中空 ―
[虚空の中へ、一筋の箒星《シューティングスター》が煌く。
それと同時刻、一筋の闇が逆方向へと駆けて行く。宙を落ちる娘目掛けて。
今やカルヴィンは人の形を取らず、霧状の闇に少年の上半身を覗かせるような姿をしていた。]
おおおおぉぉっ……！！
[ぼこりと右腕の辺りから、錘が生じて熾天使を貫こうと迫る。
しかし――！]
(10) 2010/03/27(Sat) 00時頃
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[ギィィィィィィィィィン…−−−！！！！！]
[すんでのところで、金色の翼持つ者に阻まれてしまった。
娘の身を抱き王に対峙するのは――いつかも自分に首を振った青年。]
――ほう。また、首を振りにきたのか？
[口角をつり上げて笑みを見せるも、その力の波動が気にかかった。
我が妻《ビアンカ》のものと似ているようだが、微妙に異なる。
不可思議な、しかし鮮烈な光の力を持つ世界樹に眉をひそめ問いかけた。]
貴様、何だ……？その力は。
(11) 2010/03/27(Sat) 00時頃
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[影の下半身をズズ…と音を立てて騎馬の形へ収束させ、右手には巨大な槍を生じさせながら、鋭き目で睨み付ける。しかし対峙する男女は抗う姿勢を崩さないだろう。
その決意を悟れば、苛立たしげに首を振った。]
どいつもこいつも愚か者どもめ……このままの生では、平穏な幸せなど、得られぬというのに……！
その身をもってしか……分からぬというのかああぁぁぁっ！！がぁっ！！はぁっ！！
[憤怒の一撃《ラース・インパクト》。
憤怒を覇気に乗せて衝撃波を放つ。二度、三度と波を送り込めば隙も生まれるだろうか。
それが叶うなら漆黒の半身半馬《ケンタウロス》は風を駆り、その隙をついて巨大な魔神の槍《ゲイボルグ》を振りかざす！]
意思なき力は空虚！
力なき意思は虚勢！
私を阻むつもりなら、その意思と力、見せてもらおうではないか！！**
(12) 2010/03/27(Sat) 01時頃
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>>15 >>17
ビアンカの願い、だと……！？
何も知らぬ童がッ、気安くその名を呼ぶでないわ！！
[その名を出されると、頭に血を上らせて憤怒の一撃《ラース・インパクト》を放った。
その翼から漏れ出ずる陽光に彼女の名残を感じさせ、それが尚更腹立たしい。]
平穏な幸せ…それは争いのなき調和の世界よ！！
力など不要な、不幸など欠片もなき世界！
[幸せは、不幸と表裏一体…その言葉も、王は鼻で笑い飛ばす。]
笑止！！
そのような甘言、欺瞞に過ぎぬ！！
(53) 2010/03/28(Sun) 01時頃
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その幸せ、幾度涙を流せば得られる！
幾度流血を浴びれば得られるのだ！！
何千何万の悠久（とき）を経ても、なおも戦いの中苦しむ者がおる……
ウィ・ナ！お前こそそうではないのか！！
(54) 2010/03/28(Sun) 01時頃
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[しかし、娘から告げられるのは、信じられぬ真実>>24。]
……紛い…物《イミテーション》…？
私が、闇夜を統べる者《ノスフェラトゥ》の私が、紛い物《イミテーション》だと……！？
何を言う。魔神の槍《ゲイボルグ》をも操るこの力が、紛い物だと言うのか……？
(57) 2010/03/28(Sun) 01時半頃
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……認めぬ。
(58) 2010/03/28(Sun) 01時半頃
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私は認めぬぞおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ！！
[怒りに狂った闇の王は、雄叫びをあげて娘の元へと突進した。
その雄叫び《スクリーム》すら衝撃波となり、影の城を震わせる。
自らの矜持を折られかけている虚栄の王は、最早誰であろうと構わず破壊するする衝動に襲われていた。]
ぉぉぉおおおおおおおッ！！
私は正しいッ！！私の力は本物なのだあああああアアアアッ！！
[雷光を纏った神槍《ゲイボルグ》は、空間すらも切り裂いて、全てを断ち切ろうと迫る！]
(59) 2010/03/28(Sun) 01時半頃
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― 深層世界・翔太の心の障壁 ―
[遠く、声が聞こえてきた……
暖かな光の差し込むような、声。>>21
この闇の中、その光は少年の冷え切った心を溶かすように照らすだろうか。]
[間違いを起こさない人などいない…
後悔しない人などいない…
変えよう、やり直そう、そう思う心があればいくらでもやり直せるっ…！！！]
やりなおせる、のかな……
……ぼく、にも。
[ぽつりと漏れた心の声。しかしそれを聞く者は、いない。]
(62) 2010/03/28(Sun) 01時半頃
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ウィ・ナ……お前にはまだ分からぬのだろう。
意思ではどうにもならぬ、運命（さだめ）の鎖は確実にお前を縛っている。
現にお前は人の子として生まれ変わってもなお、
この戦いの場へと足を踏み入れているではないか！！
[感情が溢れ出し、黒い雫が絶え間なく頬を伝う。]
お前だけではない。ビアンカも、フォウルも、皆！！
私を、私の理想を、理解などしてはおらぬ！！
この……愚か者どもが！！
(67) 2010/03/28(Sun) 02時頃
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[光と闇は平行線。歩み寄る寄り辺を失ってしまった。
そもそも存在していたのかも分からない。
暗い闇の中、王は黒い飛沫を撒き散らして慟哭した。]
もういい……もういい！！
言葉も通じぬ愚か者どもがぁぁっ！！
お前達全て、私の手で生まれ直させてやろう！！
全てが終わった後、世界を見渡し私に感謝で平伏すがいい！！
[穂先が唸る。風を切るその音は悲しみへ狂う叫び《スクリーム》。
黒き雷を纏いし渾身の一撃は、何物をも寸断せんと猛攻する。
悲 愴 闇 神 雷 撃
《パトス・オブスキュラ》
《聖戦》の時代、天地を震わせ多くの魂を葬りし、伝説の技――深き重き悲しみの一撃が今、二人を襲う――]
(76) 2010/03/28(Sun) 02時半頃
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[グレーテルの煉華《グレーテル・ハウリング》の紋章《エンブレム》と悲愴闇神雷撃《パトス・オブスキュラ》の斬撃、相反する力がぶつかりあう。
激しすぎる力の衝突に小爆発が起こり、二人の姿が包まれる――
そしてその靄が晴れた時。
悲鳴を上げているのは、闇王の方だった。]
ぐるぅぁああああああああ……！！
なん…だと……ぉぉおお！？
(77) 2010/03/28(Sun) 02時半頃
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[《聖戦》の元凶――漆黒の王《モーリアン》の全身は、微笑む少女の蒼炎に包まれて悲鳴をあげていた。
全身を構成する闇は蒼き炎に削り取られ、その奥に隠されし希望の欠片《エスポワール》もその存在を示し始めるだろうか。
皮肉げな微笑みを浮かべていたその顔も、今は苦悶の色に染められている。]
……そんな筈はない……
私の、私の闇は……こんなものではなかった筈だ！
どういう事だ……まさか、本当に私は、紛い物《イミテーション》なのか……！？
この聖戦《ジハド》も、理想《イデア》…も……？
……認めん、認めんっ……！
[全身を灼かれながらもなお、破壊を続けようと槍を生成する。しかしその大きさは先程のものより数段見劣りするものだろう。]
(78) 2010/03/28(Sun) 02時半頃
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>>87
[危なっかしくも父の猛攻を受け止めるリンデル。
歴戦の猛将たる漆黒の王《モーリオン》ならば、そんな防御も容易く弾き飛ばしている筈。
それができずにいるのは、彼の思いに揺らぎが生じているから――]
世界……世界、だと？
それは――！
[続く言葉はない。迷っているのか、下らないと思っているのか。
しかしリンデルを攻め立てる勢いは、弱まり始めているようにも見える。]
(119) 2010/03/28(Sun) 23時半頃
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[しかし。それでも。
妻を封じ。
息子を殺し。
彼はもう、戻れない所まで来ていた。]
世界……世界など……！！
[残る力を振り絞り、詠唱中のリンデルへと迫る。
しかしその闇の波動も、羽ばたく囀り≪フラップ・ソング≫にかき消されてしまうだろう。
その秩序の光を目にすると、漆黒の王《モーリオン》は明らかに動揺の色を見せた。]
秩序の鍵《コズミック・キー》…だと…！？
どういうことだ…それは私が、この手で折り捨てた筈……！！
[彼が恐れるのは、解放。
内なる希望の光《エスポワール》の解放だ。]
(123) 2010/03/28(Sun) 23時半頃
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― 深層世界・翔太の心の障壁 ―
[光が、見える。声が、聞こえる。
いつも見ている光。うるさいぐらいに話しかける声。]
リィン……リィンなの？
どうして、どうして！？
死んじゃったんじゃないの、リィン！
ベネットさんと、一緒にいるの！？
[動揺と喜び、二つの感情が少年に力を灯す。
暗い闇の中、顔を上げて光を追おうと手を伸ばした。
しかし――まだ、届かない。]
(125) 2010/03/28(Sun) 23時半頃
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ぐ……ぅ……！！
[リンデルの《答え》に、ベネットの《訴え》に、そして秩序の鍵《コズミック・キー》のの輝きを前に、王はその腕を止める。
己の中に渦巻く感情、あまりにもたくさんのものがありすぎて、名前がつけられぬその気持ちが、自らを縛った。]
…私は…私は……！！
[迷いが止まらない。
輝きを放つ秩序の鍵剣《コズミック・キーブレード》の切っ先を、かわすこともできないだろう。]
(136) 2010/03/29(Mon) 00時頃
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キィ……ン……！！
[澄んだ硬質な音が響き渡る。
光に満ちた小さな手と手が繋がった。]
『ショウタ……迎えに来たよ……！』
[今、心の障壁の《鍵》は、開かれた。
闇の内から光の奔流が溢れ出す！！]
(143) 2010/03/29(Mon) 00時頃
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― 深層世界・ふたりの心の交差点《クロスロード》 ―
ねぇ、おじさん……
かるびん、さんだっけ。
僕、知ってるんだ。
いっぱいいっぱい、ひどいこともしたけどさ。
おじさんほんとは、みんなのことが大好きなんだって。
僕も、みんな大好き。
おじさんのことも、大好きだよ。
だから、ねぇ――一緒に、やり直そうよ。
僕も《リィン》も、ついてるからさ！
[交差する"ふたり"の心。
光に包まれた少女の手を握る少年は、そっと手を差し出した。
背を向けたままの、王の答えは――]
(146) 2010/03/29(Mon) 00時頃
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