6 偽りの聖戦《ｲﾐﾃｰｼｮﾝ･ｼﾞ･ﾊｰﾄﾞ》
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[刹那。]
[愛しき光が、白銀の前に舞い降りる――――]
――……うぃ、な…………、っ、ウィ・ナ……！？
(95) 2010/03/26(Fri) 13時頃
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[父が怯むのを確認すると、愛しい片翼に向き直る。
白銀が纏うのは漆黒の翼。闇]
…………にいさま。
あなたの痛みを。
あなたの狂死（くるし）みを。
――私にも、背負わせてください。
[その闇すらも受け入れる。
熾天使は。
――愛しい堕天使の身体を、優しく抱きしめた]
(96) 2010/03/26(Fri) 13時頃
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……ウィ、ナ――……
っ、私は……！ 私は……、どうしようもない、翼だよ。
あいして、あいして…… ――あとは、堕ちるだけの、翼。
おまえは。
それでも、おまえは……
背負うと、謂うのかい？
私の痛みを。
私の狂死(くるし)みを。
[白銀(しろ)を包む、宵闇(しろ)。
その光(しろ)は、純白(しろ)を染めてゆく――――]
(97) 2010/03/26(Fri) 13時半頃
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――ああ。宵《ウィ・ナ》。光《ウィ・ナ》。
愛すべき、私の片翼…… 愛しき、熾天使(ひかり)……――
[堕天使は、熾天使を強く、抱き返す。]
[暁と宵の背の翼が、六枚に増える。
暁の右は宵の蒼に、宵の左は暁の紅に――染まる。]
(98) 2010/03/26(Fri) 13時半頃
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――ええ。
にいさまがその痛みを、狂死（くるし）みを、ひとりで抱えるのが重いなら。
[片翼を光（しろ）で包みながら、穏やかに言った]
(99) 2010/03/26(Fri) 13時半頃
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…私も背負って歩きましょう。
あなたは私の翼、私はあなたの翼なのですから。
にいさまはとうさまと、ひめさまを、あいした。
…じゃあ、そんなあなたを愛するのは？
あなたが堕ちることで、愛してくれる神がいなくとも。
――私が、あなたを愛する役目を受けましょう。
(100) 2010/03/26(Fri) 13時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 13時半頃
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……ウィ・ナ。
私の宵《いもうと》。私の月《せかい》。 私の、翼《ひかり》――
[憎悪(あいじょう)。苦痛(あいじょう)。逃れる術は――
――逃(あい)してくれる術(かみ)は、ただひとつ。ただひとり。]
――私、は。
[紅と金から、泪(ひかり)が――零れる。]
(101) 2010/03/26(Fri) 14時頃
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護りたい。
[あいするしかない、どうしようもないこのせかいで。]
……私は、おまえを。護りたい。
[喪いたくない、詩(つばさ)。]
(102) 2010/03/26(Fri) 14時頃
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[腕を離し、彼女の身体を解放する。
――――そして。]
[大窓から、《城》の外へ――
――――その身体を、突き飛ばす！]
(103) 2010/03/26(Fri) 14時頃
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にいさま――――……っ！？
[片翼に耳を傾けていると、身体が解放された。
そして、外に身体が投げ出される。
落ちるさなか。
――まず湧いたのは、私はまた彼を止められなかったという後悔。自責。
――しかし、悟った。
これこそが片翼の…後悔のない選択なのだと。
彼に、こころのなかで語りかける。]
(104) 2010/03/26(Fri) 14時半頃
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[ねえ、にいさま。
ひとつだけ、誓ってくださいますか？
もしにいさまが私の目に見えなくなってしまっても。]
(105) 2010/03/26(Fri) 14時半頃
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[私と共にあってくださると。
私の翼でいてくださると。
最後の監獄《ジュデッカ》ではなく、私の元に還ってきてくださると。]
(106) 2010/03/26(Fri) 14時半頃
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[両の瞳から泪(ひかり)を零し。
暁は、微笑う。 ――触れれば壊れそうな笑顔で。
震える唇で、詞《おと》を、紡ぐ。]
――――いきて。
おまえは、いきて、ウィ・ナ。
[運命の鎖《リーニュ・ディスタン》。銀色の絆(あい)。
結ばれた、その先は――――]
……誓うよ。
[還る場所は、そう、最初(はじめ)から。産まれた瞬間(とき)から、
―――― ひとつ。]
(107) 2010/03/26(Fri) 14時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 15時頃
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>>55
変わらんな、その態度。
いつになったらその反抗期は終わるのだろうな。
[冷ややかな目で見られるのも、昔から変わらぬ事。]
後悔などない。何千何万の刻と犠牲を、そのために費やしたのだから。
[真っ直ぐに見つめ返す黄昏色は、揺らぐことはない。
しかしセシルの憎悪（あいじょう）>>56を知ると、ややその表情は変わるだろうか。]
お前は、死（あい）に飢えているのか。
そんなにも、飢えているのか。
(108) 2010/03/26(Fri) 15時頃
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― 回想・遠い遠い昔話《long long ago》 ―
むかしむかしのおはなしです
ひとりのおとこと ひとりのおんなが こいにおちました
おとこは やみでした
ふかいふかい やみ
すべてをおおいつくし みうしなわせる やみ
おんなは ひかりでした
つよいつよい ひかり
すべてをやきつくし めをくらませる ひかり
ふたりは あいしあっていました
おたがいに たいとうにふれあえる
ゆいいつのそんざいでした
しかし それはけっして
しゅくふくされたこいでは ありませんでした
それでも ふたりは あいしあうことをやめませんでした
(109) 2010/03/26(Fri) 15時頃
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やがてふたりは こどもをもうけました
おとこのこと おんなのこ
あかつき と よい のなまえをつけました
どちらも ひかり と やみ のさかいめ といういみです
しかし つよいひかりと つよいやみ
ふたりのこどもは ちからをもちすぎていたのです――
(110) 2010/03/26(Fri) 15時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 15時頃
/*
オゲ。▼セシル▲リンデル の予定です。
遅れましたが昨日は絡みありがとうっ！！
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[戦の申し子《チルドレン・オブ・ウォーズ》。戦いの宿命が刻まれた子供たち。
力在るがゆえに、安寧の時は訪れず。悲しみの連鎖は終わらない。
人の子として生まれ直せば幸せに生きられるかと翼を奪うも>>1:99、やはり巻き込まれるは戦渦の中。
その度に彼らは傷付き、涙を流す。
幾度それを阻もうとしても、結局無駄に終わってしまう。
ただ、穏やかに幸せに。それだけを願うのに。
運命が――力が、それを許さない。]
(111) 2010/03/26(Fri) 15時頃
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[何がいけない。
王は苦悩した。死を経てもなお、彼らの運命は変わらなかった。
それならば――最初から、やり直すしかない。
世界を作り直し、力在る者も安らかに生きることのできる世界を、造るしか。
それも、何ものも阻むことのできぬよう、徹底的に、だ。
故に王は決意した。]
[滅びの連鎖《カタストロフィ・チェイン》――
全ての世界の 破壊と 再生を。]
(112) 2010/03/26(Fri) 15時半頃
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>>56
何を莫迦なことを。
私は生まれた時から、お前のことを
あいしているのに。
[魂の慟哭を聞き届ける。
白銀(しろ)き旋律《戦慄》のためか、漆黒の聖母像がわずかに震えた。]
(113) 2010/03/26(Fri) 15時半頃
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[――ありがとう。にいさま。
私の愛しい翼（ひかり）。
誓いは私とて同じです。
――たとえ、にいさまの目に見えなくなるようなことがあっても。
あなたの傍らにありましょう。
あなたの翼でいましょう。
あなたの還る場所になりましょう。
――運命の鎖《リーニュ・ディスタン》は、永遠（とわ）にあり続けるのですから]
(114) 2010/03/26(Fri) 15時半頃
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>>71>>72
[雷を纏う竜巻や鎖に襲われると、王の四肢は闇となって弾け飛ぶも、霧状の闇は再び元の位置へと戻って形を成す。
首から下は全て闇と化し、全て闇色の紳士服に包まれた少年の姿となった。
相手も自分を本気で消滅させるつもりがないのは、その攻撃から悟れる。]
……。
[痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い。
声なき叫びは、王の耳にも届いていた。]
解放（あい）して欲しいなら――
望む通りにしてやろう。
[表情は変わらない。
しかし、つー…と左の目から、黒い筋が走った。
闇の涙が一滴、頬に軌跡を描いたのだった。]
(115) 2010/03/26(Fri) 15時半頃
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牧人 リンダは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 15時半頃
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[右手を錐状に変化させつつ振り返る。
何度も問われる問い>>83。]
造り直してみせるさ。
ご覧、外（そら）を。
[そう告げて、左手を聖堂の窓へと向ける。
外は虚無の筈なのに、星空のようにたくさんの何かがチカチカと光っていた。]
あれは何だと思う？
――魂なのだよ。
喪われた魂は、ここに集まり輪廻《再生》を待つのだ。
この大聖堂も、その魂を拝借して造りあげたものだがね。
……確かに私だけには無理だろう。しかし光《ビアンカ》はすでに手中にある。
世界が喪われた後なら、彼女も私に力を貸さざるを得まい。
――全てが叶う刻は、近いのだよ！！
[ぐんと右腕を伸ばし、息子《セシル》の雷《ギター》を貫いた。]
(116) 2010/03/26(Fri) 16時頃
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[さらにお返しとばかりに、闇の竜巻を生じさせてセシルへとぶつけてゆく。
しかしその竜巻も、セシルが生み出すものより数倍威力の強いものとなっているだろう。]
純粋な漆黒の闇と、その亜種である純白の闇――
どちらが強いかは、知っている筈だ。
何故戦う！何故抗う！私に素直に従っているなら、こんな苦痛《ペイン》を味わうこともないだろうに……！
[苛立ちを隠せずに、セシルへと迫りその胸倉を掴んだ。]
(117) 2010/03/26(Fri) 16時頃
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[しかし――]
…ぐ……っ！？
[唇から紡がれる光の詩(うた)>>93に、その闇は僅かに霧散させられる。
身体を形成する闇の密度が落ち、その隙に純白はその身を引き剥がした。]
くそ……闇にも光にも成れぬ、半端者め。
[闇が薄められたことで、その内へと密かに隠された一つの存在が、僅かに浮かび上がった。
その存在とは――]
(118) 2010/03/26(Fri) 16時頃
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― 深層世界・翔太の意識 ―
[暗く、冷たいところにいる――
閉じた世界の中、少年の魂はそこに押し込められていた。]
ごめんなさい……
ごめんなさい……
僕の、せいで。
ちゃんと話を聞いていたら。
ごめんなさい……
[幼き魂は、深い悔恨に支配されていた。]
(119) 2010/03/26(Fri) 16時頃
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奏者 セシルは、小僧 カルヴィンに、その瞳を向ける。
2010/03/26(Fri) 16時頃
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―左の焔に眠る真実の記憶―
[父王の言いつけを破り、飛び出した先。深い深い森のなか。とらわれの片翼。
籠のなかの小鳥を連れてかえった日。
砦にもどった少年は、父王にこっぴどく叱られた。
双の紅から泪を零し、少年は父にこう問うた。]
――父上は、ぼくのことが、おきらいですか？
[溢れる泪は哀情(あいじょう)となり降り積もる。
やがてそれが憎悪(あいじょう)に換わるまで、そう時間は掛からない。]
――父上は、僕がお嫌いですか？
――父上は、私を愛してくれますか？
――わたしを*あいして*くれますか？
(120) 2010/03/26(Fri) 16時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 16時頃
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[うっすらとその存在がもれ始め、多少焦りの色を見せる。害はないものの、その存在を、悟られる訳にはいかなかった。
近くの《影》を錐となった手で貫き吸収することで、再びその気配を覆い隠そうとする。]
この子も、後で消去《デリート》しないといけませんね……
[その間にウィ・ナも派手な音を立てて舞い込み、フォウルと抱き合っていた。
運命に翻弄された、哀れな子どもたち。
カルヴィンの目に決意の色が宿った。]
ウィ・ナも来たのですね――
いいでしょう、二人揃って、《星》にして差し上げます！
[もう一体《影》を吸収し、右手を大きな矛へと変化させると、二人を貫こうと迫る。
しかし矛が純白を貫く寸前。
堕天が熾天の身を強く突き飛ばした！]
(121) 2010/03/26(Fri) 16時半頃
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くっ……！
[矛が純白の胸を貫き、王はそのままその身を抱きしめるようにした。]
ウィ・ナを、逃がしたのですか。
愚かな事を……苦しむ刻が、延びるだけだというのに。
[ぐ、とさらに矛に力を込める。
右の目からも、黒い雫が筋を作った。]
――解放（あい）しましょう。永遠（いつ）までも。
私の愛しい息子 天上の調べ《マイスタージンガー》 フォウルよ
[その身が事切れた時、彼の身体は純白（しろ）い光となり、窓の外へと飛び出してゆくことだろう。
――虚無の中の星の海に、光がまた、一つ。]
(122) 2010/03/26(Fri) 16時半頃
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[崩れたセシルの身を地へと横たえると、ウィ・ナが消えたその先を見据える。
再び近くの《影》を捕らえて数体吸収すると、]
ウィ・ナ。
お前も、解放（あい）してあげましょう……！
[その後を追って、王は地を蹴った。
漆黒のマントが風を孕み、黒い影が宙へと舞う**]
(123) 2010/03/26(Fri) 16時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 17時頃
本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/03/26(Fri) 17時半頃
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