17 吸血鬼の城
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――…よほど欲しかったのね。
[獲物をサイラスが見つけた事を影を通じて知った女は
くすくすと愉しげな笑みを漏らした]
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―自室―
[伏せていた瞳を上げる。]
マーゴットさんも、イアンさんも、ドナルドさんも、どうか無事で……。
[呟きは部屋の中の虚空に飲まれて消える。]
……少し、外の空気が吸いたいですね……。
[そう言って、自室を後にした。]
―→中庭―
(261) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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強い執着は時に命取りとなるやもしれんが
……さて、あれはどうするのだろうな?
[愉しげな気配混じる声音。
城主の部屋に近い場所、
霧の届く場所ならば全てを見通せる
蠢く影達はあるがままを己が主人たちへと伝えてゆく]
――ああ、つまらない。
最初から、近くにいるのがわかってらしたのでしょうに……。
[少しだけ拗ねたような声音が呟く]
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―中庭―
[枯れ果てた中庭に、女は一人佇んでいた。 周囲は霧に包まれ、ただ薄い闇を生み出していた。]
……本当は、気づいてるのに。逃げる方法なんてないんだって……。
[霧の中で、女は一人喋り続ける。]
でも、私、認めたくなかったのかな……。
[認めたら、心が折れてしまいそうだったから。 胸のロザリオを握り締め、俯く。]
(269) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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――…そんな聲を出さないの。
あの娘以外にも“獲物”はたくさん居るでしょう?
[拗ねた白薔薇の聲に宥めるような聲が重ねられた]
牧人 リンダは、長老の孫 マーゴに話の続きを促した。
2010/06/23(Wed) 22時頃
ふふ……
私はお前の拗ねた貌が見たかっただけかもしれぬ。
[白薔薇の声音に、くすくすと笑み混じる囁きが返る]
そう、私のローズが言う通り
獲物はまだ幾人も残っている。
宴はまだ続いているだろう?
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―中庭―
誰……ですか?
[霧の向こうに、人の気配を感じて、声を投げかける。 おそらく城主や女吸血鬼ではないだろう、と女はその気配から判断。 しかし、いつもどおりにその声は警戒の色を含んでいた。]
(280) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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――……ここは、下がってもらおう。
[白薔薇が拗ねた声を出すのとは対照的に、
暗い声を出して……。
そう、彼らにとっては、なんでもない、余興の一つ、きっと自分のことも滑稽にみえているのだと、わかっていても。]
―――お嬢様、
この狩りのこの“獲物”はそれのみ、ではありませんか。
[宥める声に答えるは、まるで道理を諭すように]
ああ、旦那様まで、
意地の悪いことを仰られて……
ですが、我らが同属は“獲物”に逃げろなどと。
[声音には冷笑の混じる]
喰らわぬのですか?
―――毒花を。
いらぬのならば、もらいますよ?
[恐らくその毒は、己が身にも効くだろう。
予感していながら、囁きは流れて]
まさに
度を越えた執着、だな。
[なるほど。
薬師の様子が
丁度部屋で話すイアンの喩えに当てはまる気がして
呟きを洩らす]
白薔薇
今宵の狩りは、薬師が勝ったのだから
あれの好きにさせて遣れば良い
……しかし、其の娘がひとり逃げるかどうか
いや、
彼女を、
いや、獲物を、
捕らえれば、いいの だろう?
[白薔薇の言葉にそう返しながら…。]
――…お兄様もそう仰っているのだから、
別の“獲物”になさい、セシル。
……逃げろ?
この宴から本当に逃げられるとでも思っているの?
逃げられなどしないわ。
そうでしょう……? お兄様。
嗚呼、けれど……
お兄様への捧げものに逃げろ、だなんて……
いけないこ、ね。
[絶望など消えたはずなのに――]
あれが良かったのです。
あの、毒が。
っふふ……宴から逃れる方法は幾つかあるぞ?
[ローズマリーに]
ひとつは、魂だけで逃げる方法
ひとつは、身代わりを置いて逃げる方法
[前者は死を意味し
後者は犠牲を意味する。
魔物狩人と名乗った男が選んだ道を思い出し、
薄く笑いながら告げた]
後は……我が眷族となる道もひとつの逃げではある、か?
二度とひとには戻れなくなるがな。
[隻眼の男のぬくもりが
失ったぬくもりを思い起こさせた。
同じようでいて違う。
違うようなのに似ている。
白薔薇の呟きにふ、と息を吐く]
それでも……
あの娘はサイラスの獲物なのよ。
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―中庭―
[霧の向こうから返ってきた問いかけに、相手も自分と同じ立場なのだとわかり、ほっと息をつく。]
……はい。貴女も、ということは、貴女達も、ですか?
[歩み寄りながら、問いを返す。]
(291) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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――…そう、なの…?
[兄の囁きに不思議そうな聲。
けれどそうだとしたらサイモンの魂は逃げられただろうか。
それともまだ城の何処かに囚われたままなのだろうか。
あの優しい男のこと。
魂だけの存在となっても妹の事が心配で逃げずにいそう。
そんなことを思いながらも緩く首を傾げ]
如何してそんな話をするの、お兄様。
私は、逃げる為にお兄様と同じになったのでは、
ない……、でしょう……?
……そうだな
お前は望んで、私の妹となったのだから。
[無理矢理与えた真実を隠し
城主は彼女の聲に同意を向ける]
中には、そのような者もいた、と言うだけの事。
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―中庭―
トーニャ……さん?
[確認するようにその名を口にする。]
私は、リンダです。 リンダ・ハーシェル。
[彼女の言う皆さんというのが、誰のことを指しているのかは女にはわからなかったが、少なくとも、]
私の知る限りでは、まだ……犠牲者は三人、だと思います。 とは言っても、実際に自分の目で見たわけではないのですが……。
[まだ三人、なのかもう三人、なのか。 女は少し言いにくそうに答えた。]
(306) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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私が望んだから……
お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様……
如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
|
グロリア、さんですね。
[名乗りをあげるグロリアの名を確認し、静かに控える彼女にぺこりと頭を下げる。]
ト、トーニャさん!?
[急に瞼の縁を濡らすトーニャに驚き、慌てて駆け寄る。]
大丈夫、ですか?
[近寄り、取り出した懐中時計をその耳元へと近づける。]
時計の秒針の音は、胸の鼓動に似たリズムを刻むそうです。
[自分に、この方法を見せてくれた詩人の顔を思い出し、胸に痛みが走ったが、堪える。]
……落ち着きましたか?
[しばらくして、トーニャに尋ねた。]
(323) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
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―中庭―
えっ、ああ、はい……。
[グロリアの言葉>>320に頷く。]
替えの服が、無かったもので。 この様な服は、着慣れていないのですが……。
[と、ドレスの裾を摘み、確認するように視線を遣る。]
(328) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
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