17 吸血鬼の城
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――…ぅ、……くっ
[酷い頭痛が女を苛む。
城主の聲が、何処か遠く聞こえた]
私のローズ
お前が誰のものか……言えるだろう?
[僅かな嗚咽。
城主はうって変わって、穏やかな聲を響かせる]
――…お兄様、の……
[穏やかな城主の聲に返す聲は何処か虚ろで]
愛しい私のローズ……
そう、お前は私のもの。
[閨で情人にかけるような囁き。
彼女のひととしての嘆きを拭い
魔へと――己へと繋ぎとめる為の]
其処にあるのは、遠い夢。
……早く此方へ、戻ってくるのだ。
今其れを影に片付けさせよう。
[白薔薇の嫣然とした吐息、
満たされた今、揺らぎはなく、それは目覚めの時のように]
御伽噺の正しき道筋……
嗚呼、そんな終焉は訪れはしないのですから、
ではどちらにしても
我々は間違ってしまったのでしょうね?お嬢様――…
[彼女が「為した」者の手で、
彼女の「大事なもの」が奪われる、その因果]
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嗚呼、お前にとっても悪い話ではないぞ? 生かしてやろうと言うのだからな。
[>>184銀の刃に向かう薔薇の棘はひとつ。 やがて追い詰められる頃には棘はふたつに増えていた。 二人から少し離れた場所で、其の様子を見物していたが ゆらりと近づきナイフを持つ手を其の上から掴もうと腕を伸ばす]
お前に永遠を授けてやろう。 ――…私の眷族となれ。
私に喰わせたくないのなら、お前が喰らえば良い。
(187) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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ふふ…… ひとの身が私に刃向かおうとしたのだ 其れ相応の報いは受けるべきだろう? 元よりお前に選択権など、ありはしない。
仇もとれず お前は私と同じ、魔に変じる
――それほど嫌悪する存在に、自らが変わり やがて本能のままに血を求め お前は其の二人も喰らってしまうのだ。
[ベネットにとっての絶望は何処にあるだろう 城主が思いついたのは其れ。 壁際に拘束された彼のナイフを持つ腕を引き、首筋を露にさせた]
(192) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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……良い子だ。
[銀のナイフを奪った黒薔薇をそう褒める。 またしても、目前でひとを喰らう事を彼はどう思っているのか。 首筋に顔を埋める姿を見せ付けるように、ちらと視線を投げた。 ベネットの視界は一瞬銀に染まる]
嗚呼、ベネット? あまり暴れては傷がつく。
……魔と化せばもう人には戻れぬ 全てを覚えたままに変じるのと 全てを忘れ本能のみを残すのと どちらか、選ばせて遣っても良いぞ?
[様々な角度で、城主が人に血を分け与えようとする様が映し出されていた。 返答を待ちながら、鋭い牙が皮膚に触れる]
(205) 2010/06/24(Thu) 23時頃
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[甘い囁きが耳朶を擽る。
其れを心地好いと女は思う。
全てを思い出しても
其れは変わらず――]
貴方が好きよ、
ヴェスパタイン……。
でも、如何して私に優しくして呉れたの?
私は、貴方を傷付けたはずなのに……
如何して妹として慈しんで呉れたの?
[抗ったあの瞬間を思い出し
問う声は何処か不思議そうに――]
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