人狼議事


62 あの、夏の日

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…メアリー?

[頭の中に響いて来ていた、彼女の声が聞こえない。
そして――その姿も、消えてしまった]

……目覚めて、しまったのか?

[確かに目の前に居た彼女が消えた。
それは、現実での彼女が目覚めたのと同義で]


 
……は、

はは……っ


…結局、俺だけが残ってしまったのか。

[男の渇いた笑いには、もう誰も答えない]
 


[本気で現実から逃げようとしていたのは、男ただ一人だけだったのだろうか?
その答えは、誰も答えてはくれない]

……

[どんなに酷い現実逃避でも、いつも優しく同意してくれていた彼女の声は…もう無い]

…………

[男は、談話室に置かれた燭台を見つめる。
彼女が持っていた物は残っているのに、彼女は――]


[男は、暗い天井を見上げ]


――現実から逃げ続ける卑怯者は

俺だけで良いじゃないか――


[声は、暗闇に吸い寄せられ]


 


……何も、彼女まで巻き込む事は無かっただろうに。



[呟く「ごめんな」の言葉も。
吐き出す息と一緒に、空に掻き消えて行った――**]

 


[廊下に伸びる影はとても薄く、男が此処に居るのを嗤っている様にも見えた]

……分かってる!

[そう、ずっとこの夢の中に居ても。
大人になった皆が本来の時間を重い出し、夢を徐々に壊していくのだ]

分かってるさ…!!

[夢を保とうとして、それらを除外すれば。
結局は「そして誰もいなくなった」と言う状況になる]




[きっと、そんな事になって]

                  [そんな言葉を言う羽目になるのは]


            [――男自身なのだ]

 



[誰も居ない、夏の寮]


[人声の無い、学校]


[そんなものは――]
 


[夜の帷の下、強い雨に打たれながら]

……あの時。

[メアリーが、男の言葉に対して。
一度言葉を詰まらせていたのを思い出す]

…お前は、現実でも良いと思っていたんだろうな。

[その答えを、男が知る術も無く]


――それが、一番良い選択…か。

[男は、ヤニクの背後で苦笑する]

……独り善がりの下らん夢語りなど、同意してくれる者が居なければ


――所詮、妄想に過ぎん。

 


[そろそろ、現実の迎えが来る頃なのかもしれない。
それは今か、はたまた明日か。それは分からないけれど]

……なあ、メアリー。

[何度、この世界で彼女の名を呼んだだろうか]

独りで抱える妄想は、実に淋しいものだな。

[彼女に届くか分からない声を、絞り出して]


夢を見るなら、皆一緒が…良いな。

[その意味では]

なら、現実も――悪くないのかもしれないな。


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