17 吸血鬼の城
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まさに
度を越えた執着、だな。
[なるほど。
薬師の様子が
丁度部屋で話すイアンの喩えに当てはまる気がして
呟きを洩らす]
白薔薇
今宵の狩りは、薬師が勝ったのだから
あれの好きにさせて遣れば良い
……しかし、其の娘がひとり逃げるかどうか
いや、
彼女を、
いや、獲物を、
捕らえれば、いいの だろう?
[白薔薇の言葉にそう返しながら…。]
――…お兄様もそう仰っているのだから、
別の“獲物”になさい、セシル。
……逃げろ?
この宴から本当に逃げられるとでも思っているの?
逃げられなどしないわ。
そうでしょう……? お兄様。
嗚呼、けれど……
お兄様への捧げものに逃げろ、だなんて……
いけないこ、ね。
[絶望など消えたはずなのに――]
あれが良かったのです。
あの、毒が。
っふふ……宴から逃れる方法は幾つかあるぞ?
[ローズマリーに]
ひとつは、魂だけで逃げる方法
ひとつは、身代わりを置いて逃げる方法
[前者は死を意味し
後者は犠牲を意味する。
魔物狩人と名乗った男が選んだ道を思い出し、
薄く笑いながら告げた]
後は……我が眷族となる道もひとつの逃げではある、か?
二度とひとには戻れなくなるがな。
[隻眼の男のぬくもりが
失ったぬくもりを思い起こさせた。
同じようでいて違う。
違うようなのに似ている。
白薔薇の呟きにふ、と息を吐く]
それでも……
あの娘はサイラスの獲物なのよ。
――…そう、なの…?
[兄の囁きに不思議そうな聲。
けれどそうだとしたらサイモンの魂は逃げられただろうか。
それともまだ城の何処かに囚われたままなのだろうか。
あの優しい男のこと。
魂だけの存在となっても妹の事が心配で逃げずにいそう。
そんなことを思いながらも緩く首を傾げ]
如何してそんな話をするの、お兄様。
私は、逃げる為にお兄様と同じになったのでは、
ない……、でしょう……?
……そうだな
お前は望んで、私の妹となったのだから。
[無理矢理与えた真実を隠し
城主は彼女の聲に同意を向ける]
中には、そのような者もいた、と言うだけの事。
|
― 中庭 ―
[ヘクターとの別れを告げたトーニャと共に、リンダに会えば話しかける彼女(>>288)に会話を任したまま、静かに控えていた]
(297) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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グロリア・バイルシュミット。 旅人、ですわ。
[トーニャが名乗れば、自分も名乗る。 巻き込まれた――という認識も自覚にも些か欠けていたが、客観的事実を拾い集めるとそのような扱いで問題なかろうと思っていた]
(307) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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私が望んだから……
お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様……
如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
|
若し、以前お会いしていたとするならば、 お召し物が大分変わっていらっしゃいますわね。
[拙い記憶を頼りに一人場違いなほど、些事への話題をリンダに振った。傍らのトーニャの頭を血豆の出来た手で撫でながら、自分の今の服装を揶揄して笑う]
ふふ、恐らく私もですけれど……。
[人の死を数える事も、 自分の死に怯える事も、あまり宜しい傾向ではない。 死を待つ事も、望む事も……]
『それでも今どこかで――』
[それは世界の縮図。この城内だけで括る事に、何の意義があろうか。かの城主以外に]
(320) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
そう、お前の望みのままに。
[甘く幾度も同じ言葉を繰り返す。
其れが真実なのだと、惑わせるために]
遠ざけることなど、あるはずもない。
……私は何時でも、お前の傍に――…
[紡ぎ終える前に混じる眷族の呻き。
城主は暫し沈黙し]
――――解せぬ、薬師
[一言、零した]
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『人は死ぬ――いつでもどこでも、 唐突に、理不尽に』
[リンダの出した懐中時計を眺めつつ、霧に塗れた空を眺めた]
(331) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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