17 吸血鬼の城
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自身が変わることで、得られるものもあるらしいですよ。
[付きつけられた指に、たじろく事はない。 要らぬと、苦い声音。 同情はしない。するものか。
く、と一度喉を鳴らした。絶対的な強者だと思っていたのに――]
俺は恐怖しています。 俺は、絶望しています。
多分、恐怖していない人間なんて、この城には居ない。
では、それでいいじゃないですか。満足して、血でも何でも啜ってしまえばいいのに。
[ほら、と自身の首筋を指差す。唇は吊り上げたままで]
(313) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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[そして、唇を離して、マーゴの貌を覗き込むと、]
これで、貴女は、 私の………………
[そして、微笑んだ、と同時に、 その毒素が、全身に回り始めたのを感じ、
言葉は唐突に途切れ……。]
(314) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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私が望んだから…… お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様…… 如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
(*88) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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[あれ、と首を傾げた。ベネットやドナルドといたのは別の人だったか。それよりも]
三人……も、いなくなっちゃったんですよね。
[ヘクター以外の犠牲者のことは知らないに等しかったから、実感はなかったけれど。 大切な人の姿を思い出し、瞼の淵がじわりと濡れた]
(315) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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薬屋 サイラスは、本当に、呆気なく、その場に沈んでいく。
2010/06/23(Wed) 23時頃
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[ドアをノックし、入室の許可を得る。]
……ベネット様。 そんな場所で、何をなされているのですか?
[低くくぐもる声。だがそこには、ほんの少しだけ、不思議そうな色が篭っていた。]
(316) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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[柔らかな肌に、サイラスの牙が差し込まれる。 それは、微かな痛みと――歓びを、もたらすもので…]
――…ぁ ……いけ、ま…せん ――… わたし、は…
[弱々しい否定の声は、サイラスの身を案じてのもの。 サイラスの頭と腰とに、緩く手を回しながら くらり、と膝から力が抜けて。
頽れた、サイラスの横に、膝をつく。]
(317) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―――……ああ、
[厭わしき血の匂い、本能的に感じている。 それが自らに滅びをもたらすものであると――
けれど、それが、欲しくて。
一度伸びかけた手は、落ちる]
(318) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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>>304>>305 [グラスの破片は煌めいていたのだろうか、 片目の男にはその存在は確認できない。 冷たい体温をもつローズマリーの体が密接すれば香るは甘い誘惑。 男の鼓動は静かに、だが力強く暖かい血液を送り出している。
視線がそらされれば、見捨てられたような表情で 男は女の首元に顔をうずめる]
……俺にもわかんねー。 ただ死にたい。そんだけだ。
[本当はもうちょい生きて人生楽しんでから死ぬつもりだったんだけど。そう男は続ける]
この城にきて吸血鬼に会っちまったら 今死にたい、って思った。
(319) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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若し、以前お会いしていたとするならば、 お召し物が大分変わっていらっしゃいますわね。
[拙い記憶を頼りに一人場違いなほど、些事への話題をリンダに振った。傍らのトーニャの頭を血豆の出来た手で撫でながら、自分の今の服装を揶揄して笑う]
ふふ、恐らく私もですけれど……。
[人の死を数える事も、 自分の死に怯える事も、あまり宜しい傾向ではない。 死を待つ事も、望む事も……]
『それでも今どこかで――』
[それは世界の縮図。この城内だけで括る事に、何の意義があろうか。かの城主以外に]
(320) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
(*89) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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……サイラス、さ…ま――
[サイラスの手からこぼれ落ちた薬瓶に手を伸ばし。 目に涙を溢れさせて、その名を呟いて。
もう一度、ナイフに手を伸ばす。]
(321) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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サイラスもセシルも、吸血鬼になった後の変化や確執が描けててイイねぇ。
吸血鬼化はこの村の売りとはいえ、オイシイです。
(-98) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
(*90) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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/* 理由もなく死にたがる なんて楽しい!
(-99) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――お勤めも果たせず
あの方も、殺められず。
――あなたが、いない世界で
わたくしが、わらうなど……
[ゆらり、たちあがって。 ふたたび短剣の切っ先を喉元に当てて。]
(322) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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グロリア、さんですね。
[名乗りをあげるグロリアの名を確認し、静かに控える彼女にぺこりと頭を下げる。]
ト、トーニャさん!?
[急に瞼の縁を濡らすトーニャに驚き、慌てて駆け寄る。]
大丈夫、ですか?
[近寄り、取り出した懐中時計をその耳元へと近づける。]
時計の秒針の音は、胸の鼓動に似たリズムを刻むそうです。
[自分に、この方法を見せてくれた詩人の顔を思い出し、胸に痛みが走ったが、堪える。]
……落ち着きましたか?
[しばらくして、トーニャに尋ねた。]
(323) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――……これから、どうなっちゃうんだろ。 どうすれば、良いのかな……。
[助けてくれる大きな背中はもうない。 紋様は血と泥に汚れ、ところどころ消えかけていて、まだ役に立つのか少女には分からなかった。
俯いた頭をグロリアに撫でられながら、ぽつりと不安を零してしまう]
(324) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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其処までして得るほどのものか。 可笑しなことだ。
[首を振る。 己の部屋の傍、崩れ落ちる眷族の姿は 城主には理解出来ぬもの。 あれもまた過ぎた執着の結果かもしれぬと内心思いながら、爪先だけでなく、指で、掌で、鼓動を聞く]
恐怖し、絶望した人間の心の音とは違うぞ。 これでは――足りぬが。
[そういえば未だ、全てを投げ捨て自分の醜い部分まで晒し、命乞いをする姿を誰も見ていない]
啜って欲しいなら、そら……首を出せ
[掌を胸元へ這わせたまま、再びゆっくりと身を寄せる。漂う色香はひとのものに在らず]
(325) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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わたくしも、ともに―――
[サイラスへと覆い被さるように前へと倒れれば、 短剣の鋭い刃は、あっさりと喉をつらぬいて。
あかい血が、高く、吹き上がった。]
(326) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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>>316 ん……?
[ベットから上半身を起こして声がした扉を見る。たしか今の声は黒い服を着た方の従者。もしかして、聞かれただろうか? 扉を開けばやはりそうで。あせりを声に出さないようにゆっくりと喋る。]
……こんな場所で何をって。 客室で休んでいることは別に変じゃないと思うんですけど……
(327) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
(*91) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―中庭―
えっ、ああ、はい……。
[グロリアの言葉>>320に頷く。]
替えの服が、無かったもので。 この様な服は、着慣れていないのですが……。
[と、ドレスの裾を摘み、確認するように視線を遣る。]
(328) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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[その身体からは白薔薇が香ってはいるだろう。]
(329) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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おや… あんたの時計は、形を変えて、ちゃんと時を刻んでいるじゃないか。>>323
(+15) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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/* やっぱり、三人以上だとどうしても多角会話に無理が生じちゃうなあ。
(-100) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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[薔薇の香気が満ちる中
折り重なって倒れる二人の身体は
あかく、あかく――そまっ て い く …]
(330) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
(*92) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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そう、お前の望みのままに。
[>>*88甘く幾度も同じ言葉を繰り返す。 其れが真実なのだと、惑わせるために]
遠ざけることなど、あるはずもない。 ……私は何時でも、お前の傍に――…
[紡ぎ終える前に混じる眷族の呻き。 城主は暫し沈黙し]
――――解せぬ、薬師
[一言、零した]
(*93) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2010/06/23(Wed) 23時頃
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『人は死ぬ――いつでもどこでも、 唐突に、理不尽に』
[リンダの出した懐中時計を眺めつつ、霧に塗れた空を眺めた]
(331) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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それは紅く、染まるけれど。
(332) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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