97 せかいがおわるひに。
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ブローリンは、商店街に向かって歩き出した。**
2012/07/21(Sat) 16時半頃
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[――1ヶ月前。
まだ慣れない道に苦戦しながら、ようやく天文台に辿り着く。 営業車から降り、丘になっている辺りを見渡すと、郊外の街並とまだ残る緑の林が一望できた。
事務機具のカタログを纏めた封筒を脇に挟んで待っていた男の前に現れたのは、まだ若い男性所員で。
互いに挨拶を交わす間にも、煩わしそうな空気を隠そうともしない様に見える相手に内心、苦笑した。
――まぁ、門前払いされるよりマシだろう。 固定の営業先ではあるが、最近は電話でのアポイントメントさえ取るのが難しい景気だ]
(99) 2012/07/21(Sat) 20時頃
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[応接室に通された後、新しいカタログの内容に沿って説明をする間も、相手は退屈そうにソファに座っているだけだった。 内心、諦め加減で帰るタイミングを男は考え始めていたが。
短い会話が終わった後、若い所員は、意外にも注文書に手を伸ばし。 いくつかの契約を手早く済ませた。
「納期は、いつでも」
若い所員は、相変わらず、興味の薄そうな声で言う。
終始、男は面食らいっぱなしの商談だったが。
――ありがとうございます。
そう、礼を言い若い所員から書類を受け取った。
変わった人だ。 だが、どこか憎めない。不思議な空気を纏う人だ。
そう思った**]
(100) 2012/07/21(Sat) 20時頃
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――商店街―― [立ち上る黒煙が間近に見えてくる。 今まで辿ってきた場所では、目にした事の無い光景が、自分が向かおうとしている先に広がっているのが見えた。 潰れた車。 黒く焦げた建物の壁面。 割れたショーウインドウの前に散乱するガラスの破片と、踏み潰されて見る影も無くなった玩具の箱。 そして、路肩や店の中に倒れて動かなくなった人の姿。 男は、暫く路上に立ち尽くした]
(119) 2012/07/21(Sat) 21時半頃
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[悲痛な悲鳴は、無かった。 残っているのは、何処かの警報機が鳴らし続けるサイレンと、時折上がる怒号。 誰かの名前を呼ぶ声。 ――終わりだ、もう終わりだ――そう、喚き続ける声も聞こえた。 男は、ゆっくりと顔を上げ、空を見た。
空の色が見た事も無い色調を湛えて、淀んでいるようだった。 すでに、裸眼にも映るそこまで、“アレ”が近付いているのが解った。 男は、商店街の町中を、歩き出した]
(120) 2012/07/21(Sat) 21時半頃
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[男は、歩き続けた。 知る人間の姿は、見渡しても見つからない。 それは、解っている。 解りすぎている事が、酷く辛くもあり。 だが、ある意味、救いでもあるのかも知れなかった。
アスファルトの上に座り込み、虚ろに宙を見つめているだけの見知らぬ男の前を行き過ぎる。 炎に巻かれる風が、破けた新聞紙の切れ端を地面からさらっていく。
ふと、手を胸にやる。 写真を挟んだ財布を、上着の上から抑え、じっと手を当てる。 ――行けなくて、ごめん。 すぐに諦めるのは、俺の悪い癖だけど。 でも、いっそ死んでしまおうと今まで思わずにいられたのは、お前達がいたからだ。 ――ごめんな]
(133) 2012/07/21(Sat) 22時半頃
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[黒煙が上がる建物の下。 路上を静かに進む男の脇を、誰かが駆け抜けていく。 誰も、男には目をくれようとはしない。 男の右手が離したゴルフクラブが、硬い音を立ててアスファルトに転がる。 刹那、男の頭上でガラスの割れる音が響いた。 噴き出す炎に煽られたガラスの破片と引き剥がされた窓枠が宙に吹き飛び。 男の頭上に降る。 鈍い衝撃と、切り裂かれる鋭い痛みを男が認識したのは、一瞬だけだった。 ――写真の中で微笑む妻の姿を浮かべていた脳裏から光が消えていくように、遠ざかると。 身体がアスファルトの上に崩れ落ちるのと同時に、男の意識は途切れた**]
(134) 2012/07/21(Sat) 22時半頃
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― 一ヶ月とちょっと前 ―
ねーぶちょぉお
あの脚本本気ー?
本気いー?
[ひたすら抗議をしていた。ひたすらだ。
だって馬鹿みたいな脚本で、馬鹿みたいな展開で、馬鹿みたいな ああもう、全てが馬鹿じゃないかと思える映画。
手はずは全て整って、クライマックスの天文台での撮影シーンも、既に許可は取ってあるという。 後輩女子からちょうおじょうさまな衣装の準備も整ってますといわれた。
こういう時の手際のよさはなんなの。まじでなんなの?毎度戦慄く。
映画研究部の部長も3年で、今年の夏休みで作るショートムービーを最後に引退する事になっていた。 それは私もだ。 あと少しだけだから、あんな馬鹿な脚本に修正依頼もださず(修正却下された事柄もかなり多いが)、おとなしく見事可憐で病弱な美少女を演りきってあげたんだけども。]
[絶対似合う。
と、わけのわからない根拠を持ち出して力説する部長の姿にじと目である。このお嬢様が男の好みの塊である事は、容易に想像がついて、睨み付けまくった。]
……
[最悪。と、思いながらも。
どこかで少しほほえましく思ってしまう理由は、何だっただろう。]
― 一ヶ月前 ―
[撮影当日。
あの衣装を着たまま移動するなんて屈辱すぎたので、着替えを持っていった。 トイレを借りて更衣する。
トイレから撮影場所までの道のりが遠い。 本気で、あの二人のシフトが入ってない日でよかった。 この日付だけは死守してもらった。
ルーカスは、セレストたちの所に遊びに行ったときに何度か見かけたので、本当に会いたくはなかったんだけど。
衣装とメイクと演技のせいで、誰かは気付かれないといいと、心底思っていた。 もう来れなくなる。
ドームに隣接する、野外観測用の屋上スペース。
なんだなんだ、と見学者はちらほらと集まっていた。 はずかしい。 にげたい。
でも、しかたないから。 ひらきなおるしかないから。
気合一発。懇親の演技が出来てしまった…。 少し後悔している。
聞こえる観客の笑い声は、救いだった。救いだったんだけども、笑い死ぬほど笑いまくっていた見覚えのある職員を、休憩中にじろりとものすごく睨んだのはよい思い出だ。
いやよくないけど。]
[こうして作られた黒歴史フィルムは公開された。
けれど、どういうわけか部長があまり広めなかった。
セレストが知らなかったのもその理由が大きい。
理由は――…。
察しはついたけれど、あんまり認めたくなかったものだから、知らないふりをした。
まあ結局、それがあんな悲しい事件を引き起こすなどとは、*思っていなかったけれど*]
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