17 吸血鬼の城
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お前は、わたしのもの。
お前の物は、わたしのもの。
[くすくすと、吐息交じりの笑み。
虚しさが混じるのに気付かれても、答えはしない]
私の悦びか、そうだな
――…其処の人間だったものに、客人を襲わせてみたい。
共に閉じ込められたはずの人間が
同じ立場の人間を襲う――…
良い見世物だと、思わないか?
愛しいお兄様。
[そう紡ぐことでしか心を支えられない
兄の聲に宿る感情に気づきはしても
感化され虚しさを共有してしまうのみ]
それは愉しい余興となりましょう。
お兄様のお望みのままに――…
――…サイラス。
[男は何処まで見ているのか。
タイミングを見計らったかのように名を呼ぶ]
聞こえてはいるだろう?
私の聲が。
従者で遊ぶのは、程ほどにしておくことだ。
お前にはしてもらいたい事があるのでな。
満ち足りてしまっては、困る。
私のローズ。
……新たな同胞は気に入らなかったのか?
[血を分け与えた後の
彼女の心の揺らぎ
幾らか案じる風な響きを持った聲をかける]
ならば、次はお前が選ぶと良い。
お前の気に入った人間を
眷属に――
――……
[城主の声に反応する。]
はい
[眸の色は青色だが、
どこか気が抜けた感じになっている。が…]
満ち足りてはいません。
むしろ……
[しかし、その複雑な心境が表現できない。]
|
まあ…消去法だな。 ありがとさん。
ご縁は――必要になったら造るさ。
[黒薔薇に手を振る]
(120) 2010/06/22(Tue) 02時頃
|
お兄様――…だって……
私に目もくれずあの子に手を出したのよ。
失礼だとは思わない?
[兄と自分だけが啼かせて良いはずだった存在を取られ
更には女としての矜持さえ傷付けられて
好ましいと思える心境にはない。
言い訳染みた言葉をぽつぽつと紡ぐ。
優しく愛でてくれる兄ならその様な事はなかっただろう。
心酔する兄に対してだからこそそれを言葉に出来た]
――…次?
[兄の提案に女の表情から翳りが薄くなり
僅かに嬉しそうな気配だけが意識を通して伝う]
ふ……
[城主には其の瞳の変化も、”視えている”。
薄く笑い]
メアリー・トレメイン
覚えていよう?
後は、お前が毒華にしてしまった
あの葬列の娘
二人には是非、新たな姿を見せてやる事だ。
[襲え、とは言わず
彼女たちに其の姿を見せろと告げるだけ]
|
よし、トーニャ。 待たせたな、行こう。
[支援の言葉には微笑んで耳打ちする。]
まあ、おれは人間としても規格外だからな。
(123) 2010/06/22(Tue) 02時頃
|
――………わかりました。
[そう、城主の言葉に逆らえない自分に、気づいている。]
メアリートルメリン、マーゴットキャンベル
両名を……。
[眼を閉じる。]
――…嗚呼。
[人の優しさに触れて閉ざしていた魔性の目が
意に添わぬ光景を映し女は悩ましげな音を紡いだ]
|
[昨日よりは具合のよさそうなマーゴに]
薬なら、後でもらってきてやってもいいぞ。
…キャンベルの人間が無茶するのは、止めねぇけどな。
(129) 2010/06/22(Tue) 02時頃
|
嗚呼……確かに、其の通りだ。
血を与えすぎたか?
欲に忠実に向かった先が白薔薇とは――…
[漸く紡ぎだした、恐らくは彼女の本心を聞き
城主は同意を向ける]
それでは、薬屋への仕置きは私が。
お前にはもう一度機会をやろう。
分け与える血の量は、違えぬようにな。
そう、其の2人の娘に変わり果てた姿を晒すが良い。
[サイラスへ、冷たい声音が降り注ぐ]
ただし
どれほど渇き、疼こうとも
其の二人の血は吸わせぬ。
私のローズを、軽んじた罰だ。
[反動が何処へ飛び火するか、其れもまた見物。
内心で思いながら、新たな同族に告げた]
[繰り返される事実に拗ねるような気配。
けれど目の前に甘えられる相手などいない。
小さく唸り唇を尖らせた]
――…血を与えすぎたなら私の不手際。
けれど私がお兄様に与えられた量よりも
うんと少なかったのに……
[新たな眷属から牙が向けられようと
兄も自分も害されはしない。
内に宿る力の違いは感じ取っている]
ありがとう、お兄様。
今度は間違いが起こらぬように致します。
|
―― 客室 ――
[あてがわれた部屋へ戻ると、器用に火を起こして暖炉に薪をくべ、洗面ボウルを近くに寄せた。 尻ポケットに入れておいたスキットルの中身もボウルに空ける。]
裸にして、おまえが風邪ひくとよくないからな。 少し、部屋と虫除け聖水が暖まるまで待て。
[レモングラスを揺すって、香りをたたせる。]
こいつはお肌にもイイと、どっかの女将が云ってたぞ。 おれは甘ったるい香水は嫌いだが、こういう爽やかな香りはいいな。
(134) 2010/06/22(Tue) 02時頃
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|
『ブッシュミルズ』が欲しい。
[部屋が暖まるのを待つ間に、影に銘柄指定でウィスキーを持ってこさせ、空になったスキットルに注ぐ。 だが、作業にかかる今は、口にはしない。]
(135) 2010/06/22(Tue) 02時頃
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[閉じた眸、だが、城主の声は響く。
それには、まだ青色の眼だったせいか頷いた。]
――……わかりました。
彼女らにそれであることを見せ、
されど、手出しはしません。
[それがどれほどの苦しみか、今は考えず、
深い眠りに入る。]
吸血の欲は、思ったよりも強いもの。
与えすぎては其れまでの全てが消え去ってしまう。
心せよ。
[ローズマリーへ向ける城主の言葉には、彼女が記憶をなくした理由がある
幾度も与え続ける事でより
闇の住人へと変わってゆくはずだった。
それでも、人のこころ、感情と言うものは
中々消え去るものではないようだが]
――…あの詩人は、しかし 惜しかったな
[喰らった後で、そう呟く]
どうせなら、無理矢理に血を与えてやればよかったか。
抗われてつい我を忘れた――…私もまだ、青い
――…良い子だ。
[城主に従う彼の言葉
思わず笑みが毀れる。
其の先にある彼女たちの、彼自身の
苦しみを思って]
[静々と兄に了承の意を告げる。
自分の時は如何だったのだろう。
一瞬過る疑問に眉を顰めた。
知らない。
分からないままでいい。
思い出してはいけない。
何処かで声がする。
けれどもう一人の自分が思い出してと叫んでいる]
――…残念、でしたね。
[詩人に想い馳せる兄に対してそう呟くのは
兄が詩人に少なからず興味を抱いて居ることを知っていたから]
|
悪さはしねぇ。 指切りしてもいい。
[そればかりは真顔で云って、ベッドをポンポンと叩く。]
まず、背中からいくか。
(145) 2010/06/22(Tue) 02時半頃
|
嗚呼……本当に、残念だ。
生まれ変わる時の、絶望の産声が聞きたかった。
[心底惜しいと呟く。
彼女の心のうちで叫ぶ声までは、聞こえない]
だが
まだ人間は幾らも居る。
……次の余興を考えるのもまた、愉しいものだ。
絶望の産声………
[単純な思考の女には兄の高尚な趣向はよく分からず]
全てが全て絶望するのかしら。
[ぽつ、と零されるのはこれから眷属に迎えようと
思う者に対しての思案。
自分もまた絶望したのだろうかという不安。
そんなことはない、と否定の言葉を欲し問う]
この享楽の宴はお兄様のためのもの。
お兄様が愉しめることを私は望みます。
|
おめぇはいい子だよ。
[トーニャがベッドに上がれば、自分も膝を突いて、その躯をまたぐ形になる。
腰を浮かせて体重はかけないまま、左掌をトーニャの脊髄に沿わせると、順次、下ろしてゆく。 呼吸をあわせ、時折、確かめるようにプッシュした。 尻の手前まで来ると、今度は躯の脇たどり、再び、上へ。
その手が「天使の翼の名残」――肩甲骨のあたりでしばし止まる。]
…ほう、こいつはカワイイな。
[“視得た”モノに破顔する。]
トーニャのトーテム(守護獣)はスナネズミか。
(153) 2010/06/22(Tue) 02時半頃
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スナネズミにだって、立派な牙と爪としっぽがあるだろう。 おれのトーテムなんかヤマアラシだ。
――ちょっとひやっとするぞ。
[警告してから、ハーブウォーターを指先につけて、トーニャの陽光に灼けた小麦色の肌に見えない護符を描いてゆく。
こんな風に気を読むのを許している相手ならぱ、経絡に沿って官能を呼び覚ましてやることも可能なのだけれど。]
スナネズミ、スナネズミ――…
[そう唱えれば、欲を伴わない愛しさだけが笑みになる。]
(159) 2010/06/22(Tue) 03時頃
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|
背中は終わりだ。 仰向けになれ。
[タオルを投げて、なんなら顔を覆ってろと示唆する。]
(160) 2010/06/22(Tue) 03時頃
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――……、……。
[兄の深い孤独を想えばツキンと胸が痛む。
埋まらぬ孤独に想いを馳せ女は緩く目蓋を閉じた]
……あの詩人は、頑なに快楽を拒んでいたからな。
[全てが全てかと言うのには
そうではないだろうと否定の言葉を送る。
ただ、其れまでに幾らかの間があった]
私は充分、愉しんでいる。
お前も――…お前は……愉しめているか?
[虚無が襲う。
食あたりかと笑い飛ばすには、少し重い]
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[初で可愛いな、おい…
そんな感想は口には出せず、背中と同じように気の流れを確かめてゆき、指が膨らみきらない胸をよぎる段になれば、トーニャの緊張をほぐしてやろうと話しかける。]
そうそう、もうひとつの魔物探知の方法ってのだが――
魔物ってのは、たいてい驚異的な治癒能力をもっている。 斬りつけて、その傷があっさり塞がれば、そいつは魔物とみていい。 乱暴なやり方だがな。
…人間だったときの謝罪も面倒だ。
[幾度か経験がある、と云わんばかりの口調。]
(170) 2010/06/22(Tue) 03時半頃
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