17 吸血鬼の城
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私はお兄様のもの。
[僅かに頷く気配が伝う]
新たな眷属は――…私の………。
[その言葉は最後まで続かずにふるふると首を振るう]
いいえ、全てはお兄様のもの。
私はお兄様が喜んで下さればそれで……
[殊勝な言葉を口にして儚い笑みを湛えた]
執事見習い ロビンは、微かに開いた扉の中を、横目でちらりと見た。
2010/06/22(Tue) 01時半頃
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−食事の間 >>98−
ええ。私めがここに居るのも、「複雑な男心」に衝き動かされたが故のこと。
……どうやら、貴方様と私は「同類」らしい様子。 ご縁があれば、よしなに。
[去り行こうとするヘクターの横顔を、湿気を帯びた視線で見つめた。]
(102) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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お前は、わたしのもの。
お前の物は、わたしのもの。
[くすくすと、吐息交じりの笑み。
虚しさが混じるのに気付かれても、答えはしない]
私の悦びか、そうだな
――…其処の人間だったものに、客人を襲わせてみたい。
共に閉じ込められたはずの人間が
同じ立場の人間を襲う――…
良い見世物だと、思わないか?
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……お客様。
[なめ回すような視線で、イアンを見つめる。]
ただ今、旦那様より、入室の許可が下りました。 取材なり歓談なり、お好きなように。 くれぐれも、旦那様に失礼の無い範囲でお願いいたします。
(106) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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愛しいお兄様。
[そう紡ぐことでしか心を支えられない
兄の聲に宿る感情に気づきはしても
感化され虚しさを共有してしまうのみ]
それは愉しい余興となりましょう。
お兄様のお望みのままに――…
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>>100 生憎私は、お嬢様の言付けも戴いておりませんし、「城の全てを見通す目」を持ってはおりませんので、確実な情報は提供できませんが。
……もしかしたら、お嬢様が食事をされた可能性があるやもしれません。一度お会いになってはいかがでしょう?
もしくは、白薔薇……旦那様はもちろん、お嬢様のご寵愛を一身に受ける彼ならば、知らぬとは申しますまい。
(110) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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――…サイラス。
[男は何処まで見ているのか。
タイミングを見計らったかのように名を呼ぶ]
聞こえてはいるだろう?
私の聲が。
従者で遊ぶのは、程ほどにしておくことだ。
お前にはしてもらいたい事があるのでな。
満ち足りてしまっては、困る。
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或いは。 この城の全てを見渡せる旦那様ならば、サイラス様の状況をご存知かもしれません。
どうぞ、お好きな方へ。
(115) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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私のローズ。
……新たな同胞は気に入らなかったのか?
[血を分け与えた後の
彼女の心の揺らぎ
幾らか案じる風な響きを持った聲をかける]
ならば、次はお前が選ぶと良い。
お前の気に入った人間を
眷属に――
――……
[城主の声に反応する。]
はい
[眸の色は青色だが、
どこか気が抜けた感じになっている。が…]
満ち足りてはいません。
むしろ……
[しかし、その複雑な心境が表現できない。]
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>>114 さようですか。 ……ええ。或い意味、ヘクター様と私は「異なる」者でございましょう。 少なくとも、ヘクター様は旦那様に忠誠を誓ってはおられません。
[明らかに友好的でない少年(らしき人物)に応える。]
私が申し上げたのは、別の類の話。 いずれお見せするやもしれませんね。 その時を、どうぞお楽しみに。
(118) 2010/06/22(Tue) 02時頃
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執事見習い ロビンは、記者 イアンに微笑むと、右手で扉を開け放った。その背後に見えるのは……
2010/06/22(Tue) 02時頃
お兄様――…だって……
私に目もくれずあの子に手を出したのよ。
失礼だとは思わない?
[兄と自分だけが啼かせて良いはずだった存在を取られ
更には女としての矜持さえ傷付けられて
好ましいと思える心境にはない。
言い訳染みた言葉をぽつぽつと紡ぐ。
優しく愛でてくれる兄ならその様な事はなかっただろう。
心酔する兄に対してだからこそそれを言葉に出来た]
――…次?
[兄の提案に女の表情から翳りが薄くなり
僅かに嬉しそうな気配だけが意識を通して伝う]
ふ……
[城主には其の瞳の変化も、”視えている”。
薄く笑い]
メアリー・トレメイン
覚えていよう?
後は、お前が毒華にしてしまった
あの葬列の娘
二人には是非、新たな姿を見せてやる事だ。
[襲え、とは言わず
彼女たちに其の姿を見せろと告げるだけ]
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>>120 消去法しか提示できぬことをお許しくださいませ、ヘクター様。 この城に在りながらもそれしか告げられぬ、私めの「憂き身」をお察しくだされば幸甚にございます。
[扉の脇に立ち、手を振るヘクターに恭しく一礼した。]
(125) 2010/06/22(Tue) 02時頃
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執事見習い ロビンは、ランタン職人 ヴェスパタインの血が滾る気配を感じ、薄笑みを浮かべた。
2010/06/22(Tue) 02時頃
――………わかりました。
[そう、城主の言葉に逆らえない自分に、気づいている。]
メアリートルメリン、マーゴットキャンベル
両名を……。
[眼を閉じる。]
――…嗚呼。
[人の優しさに触れて閉ざしていた魔性の目が
意に添わぬ光景を映し女は悩ましげな音を紡いだ]
嗚呼……確かに、其の通りだ。
血を与えすぎたか?
欲に忠実に向かった先が白薔薇とは――…
[漸く紡ぎだした、恐らくは彼女の本心を聞き
城主は同意を向ける]
それでは、薬屋への仕置きは私が。
お前にはもう一度機会をやろう。
分け与える血の量は、違えぬようにな。
そう、其の2人の娘に変わり果てた姿を晒すが良い。
[サイラスへ、冷たい声音が降り注ぐ]
ただし
どれほど渇き、疼こうとも
其の二人の血は吸わせぬ。
私のローズを、軽んじた罰だ。
[反動が何処へ飛び火するか、其れもまた見物。
内心で思いながら、新たな同族に告げた]
[繰り返される事実に拗ねるような気配。
けれど目の前に甘えられる相手などいない。
小さく唸り唇を尖らせた]
――…血を与えすぎたなら私の不手際。
けれど私がお兄様に与えられた量よりも
うんと少なかったのに……
[新たな眷属から牙が向けられようと
兄も自分も害されはしない。
内に宿る力の違いは感じ取っている]
ありがとう、お兄様。
今度は間違いが起こらぬように致します。
[閉じた眸、だが、城主の声は響く。
それには、まだ青色の眼だったせいか頷いた。]
――……わかりました。
彼女らにそれであることを見せ、
されど、手出しはしません。
[それがどれほどの苦しみか、今は考えず、
深い眠りに入る。]
吸血の欲は、思ったよりも強いもの。
与えすぎては其れまでの全てが消え去ってしまう。
心せよ。
[ローズマリーへ向ける城主の言葉には、彼女が記憶をなくした理由がある
幾度も与え続ける事でより
闇の住人へと変わってゆくはずだった。
それでも、人のこころ、感情と言うものは
中々消え去るものではないようだが]
――…あの詩人は、しかし 惜しかったな
[喰らった後で、そう呟く]
どうせなら、無理矢理に血を与えてやればよかったか。
抗われてつい我を忘れた――…私もまだ、青い
――…良い子だ。
[城主に従う彼の言葉
思わず笑みが毀れる。
其の先にある彼女たちの、彼自身の
苦しみを思って]
執事見習い ロビンは、扉の側に控え、城主の命令があれば動く*心算でいる*
2010/06/22(Tue) 02時半頃
[静々と兄に了承の意を告げる。
自分の時は如何だったのだろう。
一瞬過る疑問に眉を顰めた。
知らない。
分からないままでいい。
思い出してはいけない。
何処かで声がする。
けれどもう一人の自分が思い出してと叫んでいる]
――…残念、でしたね。
[詩人に想い馳せる兄に対してそう呟くのは
兄が詩人に少なからず興味を抱いて居ることを知っていたから]
嗚呼……本当に、残念だ。
生まれ変わる時の、絶望の産声が聞きたかった。
[心底惜しいと呟く。
彼女の心のうちで叫ぶ声までは、聞こえない]
だが
まだ人間は幾らも居る。
……次の余興を考えるのもまた、愉しいものだ。
絶望の産声………
[単純な思考の女には兄の高尚な趣向はよく分からず]
全てが全て絶望するのかしら。
[ぽつ、と零されるのはこれから眷属に迎えようと
思う者に対しての思案。
自分もまた絶望したのだろうかという不安。
そんなことはない、と否定の言葉を欲し問う]
この享楽の宴はお兄様のためのもの。
お兄様が愉しめることを私は望みます。
――……、……。
[兄の深い孤独を想えばツキンと胸が痛む。
埋まらぬ孤独に想いを馳せ女は緩く目蓋を閉じた]
……あの詩人は、頑なに快楽を拒んでいたからな。
[全てが全てかと言うのには
そうではないだろうと否定の言葉を送る。
ただ、其れまでに幾らかの間があった]
私は充分、愉しんでいる。
お前も――…お前は……愉しめているか?
[虚無が襲う。
食あたりかと笑い飛ばすには、少し重い]
――…そう。
[兄の返事に思わず安堵が漏れた。
彼の置いた間に気づく余裕さえなく]
………、……。
[問い掛けに短くはない間が生じる]
愉しみたいのに……
お兄様から離れていると虚しさばかり……
[魔性となった自分を受け入れてくれるのはこの兄だけ。
そんな思いから呟かれた聲は微かな音色]
可愛いことを言う。
この狭い城のなか、離れている距離が寂しいか。
[柔かな声音で囁く]
――…私を求めるなら、名を呼ぶが良い。
何時でも傍に向かおう**
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