17 吸血鬼の城
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――客間――
んー。終わりかぁ……。
[もそもそと起き上がり、自分の身体を確認する。 描かれた紋様は見えないけれど、体内でこれまで意識しなかった回路がつながったような、そんな感覚を覚えた。
服を着ながら、背を向けたヘクターの説明に耳を傾ける]
(187) 2010/06/22(Tue) 04時半頃
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……うん。分かった。 気合が大事なのと、水に気をつければいいんだね。
[気合の方は兎も角、目に見えない紋様だ。 水で流れてしまっても少女には分からないだろう。 最悪書き直す手はあるけれど、こんな恥ずかしい思いを何度もしたくはない]
(――用心しないとね)
(188) 2010/06/22(Tue) 04時半頃
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……そうだね。 あんな怖い人達にいつまでも、付き合ってられないよね。
[城主が満足したとき、集められた面々のうち、どれだけの人が酷い目に遭わされるのだろうと想像して怖気を振るう。
寝る――そう宣言するや否や眠りについた、ヘクターのベッドに静かに腰掛ける。 森の中を彷徨い、城主と対峙した上に、あの複雑な紋様を描く施術をしたのだ。きっとヘクターは疲れ果ててしまったのだろう]
――おやすみ。
[こつりと額を合わせて彼に感謝をする。 それから少女も自分のベッドに潜り込む。
此処は魔物の城で今は恐怖に晒されているけれど、今夜は悪夢を見ない――何故かそんな確信があった**]
(190) 2010/06/22(Tue) 04時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/06/22(Tue) 04時半頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/06/22(Tue) 04時半頃
[決して自分はいい人間ではない。
それでも、薬師を選んだ理由を考えた。
そう、それは、今は眩しくてみれない。
純粋な心。
だけど、それは、魔の血によって塗り潰されていく。
いや、とっくになかったのかもしれない。
毒を処方する薬師になった瞬間に。]
――…嗚呼、聞こえている
愛しい 私のローズ
[小さな囁きも、全て
霧の包む城の中ならば城主の耳に届く。
娘の慟哭を後ろに
霧が留まるのは白薔薇の香に包まれた広間]
あの蒼天は、確かに
手にして留めておきたいものだが
元は人であるからか
執着の強いことだ
[呟く二人へ向けた声音は、微かな嘲笑を含む。
姿は今だ表さぬまま、気配を暫く残していた*]
愛しいお兄様……。
[城主の聲に返すのは何時もと同じ言葉。
蒼空と紡がれれば思考は其方に向かう]
留めておきたい。けれど彼は逃げなかった。
[これからも逃げずにいてくれるだろうかという期待と
離れていってしまうかもしれないという不安が交錯する]
………これが、執着?
[全ては執着ゆえのことだろうか。
兄が言うならそうなのかもしれない。
女から反論の聲はあがらなかった]
[新たな眷属の立てた音が鼓膜を震わす。
す、と細まる眸は僅かに愉しげな色を湛え]
――…サイラス。
お兄様の命をしかと成し遂げて
お兄様が喜んで下さるように――…
[囀る聲には常と同じ甘い響き]
[迷いを許さないといったローズマリーの声が
嬉しげに響く。]
そう、其れは執着。
[想いの無い吸血鬼には
彼女の心情は真に理解出来るものでなく]
愛しいだろう
傍に置きたいのだろう
お前達の望むままに――愉しむといい
――さあ
本性を隠す必要は無い
曝け出し、欲望のままに踊れ。
嗚呼
けれど、サイラス
お前は暫くひとを喰らうな。
あれの血を、蒼天を一時でも味わったのだからな
[新たに迎え入れた眷属の小さな返事]
――…そう。
いいこね、サイラス。
[愉悦の滲む聲には
くすくすと愉しげな音が混じった]
[心酔する城主の言葉に異論を唱えることはない。
生ずる感情の名さえ女には思い出せていないのだから]
愛しい……
[兄の言葉を繰り返せばまたツキンと痛みがはしる]
――…嗚呼。
[切ない吐息を聲にのせ女は心を揺らす]
[渇きに、また苦しそうな息遣いになった。]
――……ッ
[しかし、城主の、食らうな、の命に唇は震える。
そして、震えてなお、小さく小さく、やはり、はい、と返事をした。]
[一人、部屋に残り、息をつく。]
[渇きを癒したくて、水差しから水を注いで飲み干すけれど]
[もちろん、そんな渇きではないのだから、効果はない。]
どうした、サイラス……?
[城主は薄く哂う]
力が足りぬと言うのなら
我が身に流れる純血を――ひとたび分けてやらなくも無いが。
[お前は暫くひとを喰らうな。
その禁忌が、頭の中で繰り返されている。]
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――客室――
[>>213獲物を握り締め、部屋を去る男を見送るのは、部屋の隅に控える影の召使のみ。
眠りの園に安らぐ少女にヘクターの決意を知る術はなく。 あどけない寝顔に向けられた言葉をついに聞くこともなかった]
(332) 2010/06/22(Tue) 22時頃
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――…お兄様はお優しい。
[遠く囀る聲に他意はなく
ただ女の思った儘が紡がれている]
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[少女は幸せな眠りから解き放たれて。ふわ、と小さく欠伸をして、まだ眠たげな瞼を擦りながらベッドを抜け出た]
……ヘクター、……起きてる?
[遠慮がちに声を掛けながら、隣室の扉を開けるが ベッドは既にもぬけの空で、部屋には人の気配はない] ヘクター……。いないの? どうしたんだろ、一人で探索に行っちゃったのかなぁ……。
……起こしてくれれば良かったのに、って……ん?
(335) 2010/06/22(Tue) 22時頃
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[じくりと左腕を何かが通り過ぎる感覚がした。 おそるおそる視線を遣れば、左手の甲に薄らと色づく紋様が浮かんでいた]
これって、魔物の気配を知らせてるってことだよね……?
[ヘクターの言葉を思い出し、黒い瞳が不安に揺れた。 ときり、ときりと心臓が高鳴り、嫌な予感が胸をぎゅうと締め付ける]
ヘクター! いないの? ……返事してよ!!
(336) 2010/06/22(Tue) 22時頃
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――…喰らってしまいなさい。
咽喉が渇いて仕方ないのでしょう?
血が、欲しいのでしょう?
お兄様に刃向かう者には死を――…
当然の事でしょう……?
[新たな眷属となった男に甘く囁き誘う]
[聴こえてくるローズマリーの声に、ぼんやり
ああ、いいのか、と思う。思った。]
[ヘクターの目的を聞き、
ローズマリーの囁きを受け、城主もまた許可を下す]
……其の男を、喰らえ。
二度と其の槍持てぬように
――…問題ありませんよね、お兄様?
[緩く首を傾げ問う仕草。
女はこの城主のために在り
女はこの城主のために動くのが当然と思っている。
兄の聲に微かな安堵を過らせ]
手が足りぬ時は私もお使い下さい。
私は、お兄様のために在るのですから……。
嗚呼、問題無い。
……愛しいローズ
狼藉者を相手にさせたくは無いが……
滅多に見れぬ見世物かもしれぬ。
……来るか?
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[もしかして、ヘクターはドナルドやサイラスの部屋を訪れているのだろうか。一刻も早く魔物の気配を知らせなければいけないのに、行方が分からないなんて――]
(どうしよう――、どうすれば良い?――……)
[焦りの表情を浮かべながら、室内をぐるぐると歩きまわり。
もしかしたら――と思いついて、 部屋の暗がり、影の吹き溜まる場所に声をかける]
あのさ……。 ヘクターのいるところ、分かる? 分かるなら、すぐに案内して。
[尋ねる声に応えて、影が動き出した。 少女はその後をもどかしげに追って部屋を出た]
――客室→ ――
(351) 2010/06/22(Tue) 22時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/06/22(Tue) 22時半頃
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