17 吸血鬼の城
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[新たな眷属の立てた音が鼓膜を震わす。
す、と細まる眸は僅かに愉しげな色を湛え]
――…サイラス。
お兄様の命をしかと成し遂げて
お兄様が喜んで下さるように――…
[囀る聲には常と同じ甘い響き]
[迷いを許さないといったローズマリーの声が
嬉しげに響く。]
そう、其れは執着。
[想いの無い吸血鬼には
彼女の心情は真に理解出来るものでなく]
愛しいだろう
傍に置きたいのだろう
お前達の望むままに――愉しむといい
――さあ
本性を隠す必要は無い
曝け出し、欲望のままに踊れ。
嗚呼
けれど、サイラス
お前は暫くひとを喰らうな。
あれの血を、蒼天を一時でも味わったのだからな
[新たに迎え入れた眷属の小さな返事]
――…そう。
いいこね、サイラス。
[愉悦の滲む聲には
くすくすと愉しげな音が混じった]
[心酔する城主の言葉に異論を唱えることはない。
生ずる感情の名さえ女には思い出せていないのだから]
愛しい……
[兄の言葉を繰り返せばまたツキンと痛みがはしる]
――…嗚呼。
[切ない吐息を聲にのせ女は心を揺らす]
[渇きに、また苦しそうな息遣いになった。]
――……ッ
[しかし、城主の、食らうな、の命に唇は震える。
そして、震えてなお、小さく小さく、やはり、はい、と返事をした。]
[一人、部屋に残り、息をつく。]
[渇きを癒したくて、水差しから水を注いで飲み干すけれど]
[もちろん、そんな渇きではないのだから、効果はない。]
小悪党 ドナルドは、記者 イアンに話の続きを促した。
2010/06/22(Tue) 20時半頃
小悪党 ドナルドは、水商売 ローズマリーに話の続きを促した。
2010/06/22(Tue) 20時半頃
小悪党 ドナルドは、薬屋 サイラスに話の続きを促した。
2010/06/22(Tue) 20時半頃
どうした、サイラス……?
[城主は薄く哂う]
力が足りぬと言うのなら
我が身に流れる純血を――ひとたび分けてやらなくも無いが。
[お前は暫くひとを喰らうな。
その禁忌が、頭の中で繰り返されている。]
――…お兄様はお優しい。
[遠く囀る聲に他意はなく
ただ女の思った儘が紡がれている]
――…喰らってしまいなさい。
咽喉が渇いて仕方ないのでしょう?
血が、欲しいのでしょう?
お兄様に刃向かう者には死を――…
当然の事でしょう……?
[新たな眷属となった男に甘く囁き誘う]
[聴こえてくるローズマリーの声に、ぼんやり
ああ、いいのか、と思う。思った。]
[ヘクターの目的を聞き、
ローズマリーの囁きを受け、城主もまた許可を下す]
……其の男を、喰らえ。
二度と其の槍持てぬように
――…問題ありませんよね、お兄様?
[緩く首を傾げ問う仕草。
女はこの城主のために在り
女はこの城主のために動くのが当然と思っている。
兄の聲に微かな安堵を過らせ]
手が足りぬ時は私もお使い下さい。
私は、お兄様のために在るのですから……。
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― 階段→廊下 ― [一体いつまでそこに座っていたのか。 酒を飲むでもなく、男はただそこにいた。 客室の方から大きな物音が聞こえてきたが―]
[――そちらに行きたくはなかった。 男は自分の有り様を、望むものをいまだ理解できずにいた。 この城から逃げ出すべくは理解しているが、何かが男を引き留める。 それはあの吸血鬼と対峙したときに湧きあがった思い。 うすうす、その正体に勘づけど男には未だ信じられぬ思い。]
…っし!このドナルド様に、うじうじするなんて似合わねー。 考えるより前に行動、それにつきらぁ。 [物音が起こったと思われる方向へ、小走りで。 ふと気付けば視線の先に宴の開幕以来会っていない友の姿>>322。] おい、イアン! お前無事だったか。
(346) 2010/06/22(Tue) 22時半頃
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嗚呼、問題無い。
……愛しいローズ
狼藉者を相手にさせたくは無いが……
滅多に見れぬ見世物かもしれぬ。
……来るか?
――…良かった。
滅多に見れぬ見世物……?
それは、愉しそうね。
お兄様が呼んで下さるのなら
私は何処にでも参りましょう。
|
>>355
[思わず立ち止まる。 それほど友の声は、宴の開幕前、事件を暴くことへの熱意にあふれた声は沈んだものに変わっているように思えて。]
…無事ってようにゃあ見えねーんだけど。 年のいったほうの執事と、食事の間の前で対峙してたのは知ってる。 そっから……何かあったのか?
[忘れたように、俺は平気。と付け足して。 それから地下牢で城主と対面し知った事実を思い出す。 ミッシェルの死の真相を、イアンは知っているのだろうか。] な、お前、ミッシェルのこと――
[先に続く言葉に詰まって困ったように頭を掻いた]
(365) 2010/06/22(Tue) 22時半頃
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おいで、私のローズ。
……白薔薇が少し、心散らされている。
[心を持たぬ城主には
彼を静める術が無い。
音も無く傍らに現れたローズマリーへ
城主は僅かに眉を寄せた微笑みを向けた]
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