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――…サイラス。
[男は何処まで見ているのか。
タイミングを見計らったかのように名を呼ぶ]
聞こえてはいるだろう?
私の聲が。
従者で遊ぶのは、程ほどにしておくことだ。
お前にはしてもらいたい事があるのでな。
満ち足りてしまっては、困る。
私のローズ。
……新たな同胞は気に入らなかったのか?
[血を分け与えた後の
彼女の心の揺らぎ
幾らか案じる風な響きを持った聲をかける]
ならば、次はお前が選ぶと良い。
お前の気に入った人間を
眷属に――
――……
[城主の声に反応する。]
はい
[眸の色は青色だが、
どこか気が抜けた感じになっている。が…]
満ち足りてはいません。
むしろ……
[しかし、その複雑な心境が表現できない。]
【人】 長老の孫 マーゴ白薔薇の――セシルさん… (121) 2010/06/22(Tue) 02時頃 |
お兄様――…だって……
私に目もくれずあの子に手を出したのよ。
失礼だとは思わない?
[兄と自分だけが啼かせて良いはずだった存在を取られ
更には女としての矜持さえ傷付けられて
好ましいと思える心境にはない。
言い訳染みた言葉をぽつぽつと紡ぐ。
優しく愛でてくれる兄ならその様な事はなかっただろう。
心酔する兄に対してだからこそそれを言葉に出来た]
――…次?
[兄の提案に女の表情から翳りが薄くなり
僅かに嬉しそうな気配だけが意識を通して伝う]
ふ……
[城主には其の瞳の変化も、”視えている”。
薄く笑い]
メアリー・トレメイン
覚えていよう?
後は、お前が毒華にしてしまった
あの葬列の娘
二人には是非、新たな姿を見せてやる事だ。
[襲え、とは言わず
彼女たちに其の姿を見せろと告げるだけ]
――………わかりました。
[そう、城主の言葉に逆らえない自分に、気づいている。]
メアリートルメリン、マーゴットキャンベル
両名を……。
[眼を閉じる。]
――…嗚呼。
[人の優しさに触れて閉ざしていた魔性の目が
意に添わぬ光景を映し女は悩ましげな音を紡いだ]
嗚呼……確かに、其の通りだ。
血を与えすぎたか?
欲に忠実に向かった先が白薔薇とは――…
[漸く紡ぎだした、恐らくは彼女の本心を聞き
城主は同意を向ける]
それでは、薬屋への仕置きは私が。
お前にはもう一度機会をやろう。
分け与える血の量は、違えぬようにな。
そう、其の2人の娘に変わり果てた姿を晒すが良い。
[
ただし
どれほど渇き、疼こうとも
其の二人の血は吸わせぬ。
私のローズを、軽んじた罰だ。
[反動が何処へ飛び火するか、其れもまた見物。
内心で思いながら、新たな同族に告げた]
[繰り返される事実に拗ねるような気配。
けれど目の前に甘えられる相手などいない。
小さく唸り唇を尖らせた]
――…血を与えすぎたなら私の不手際。
けれど私がお兄様に与えられた量よりも
うんと少なかったのに……
[新たな眷属から牙が向けられようと
兄も自分も害されはしない。
内に宿る力の違いは感じ取っている]
ありがとう、お兄様。
今度は間違いが起こらぬように致します。
[閉じた眸、だが、城主の声は響く。
それには、まだ青色の眼だったせいか頷いた。]
――……わかりました。
彼女らにそれであることを見せ、
されど、手出しはしません。
[それがどれほどの苦しみか、今は考えず、
深い眠りに入る。]
吸血の欲は、思ったよりも強いもの。
与えすぎては其れまでの全てが消え去ってしまう。
心せよ。
[
幾度も与え続ける事でより
闇の住人へと変わってゆくはずだった。
それでも、人のこころ、感情と言うものは
中々消え去るものではないようだが]
――…あの詩人は、しかし 惜しかったな
[喰らった後で、そう呟く]
どうせなら、無理矢理に血を与えてやればよかったか。
抗われてつい我を忘れた――…私もまだ、青い
――…良い子だ。
[
思わず笑みが毀れる。
其の先にある彼女たちの、彼自身の
苦しみを思って]
[静々と兄に了承の意を告げる。
自分の時は如何だったのだろう。
一瞬過る疑問に眉を顰めた。
知らない。
分からないままでいい。
思い出してはいけない。
何処かで声がする。
けれどもう一人の自分が思い出してと叫んでいる]
――…残念、でしたね。
[詩人に想い馳せる兄に対してそう呟くのは
兄が詩人に少なからず興味を抱いて居ることを知っていたから]
嗚呼……本当に、残念だ。
生まれ変わる時の、絶望の産声が聞きたかった。
[心底惜しいと呟く。
彼女の心のうちで叫ぶ声までは、聞こえない]
だが
まだ人間は幾らも居る。
……次の余興を考えるのもまた、愉しいものだ。
絶望の産声………
[単純な思考の女には兄の高尚な趣向はよく分からず]
全てが全て絶望するのかしら。
[ぽつ、と零されるのはこれから眷属に迎えようと
思う者に対しての思案。
自分もまた絶望したのだろうかという不安。
そんなことはない、と否定の言葉を欲し問う]
この享楽の宴はお兄様のためのもの。
お兄様が愉しめることを私は望みます。
――……、……。
[兄の深い孤独を想えばツキンと胸が痛む。
埋まらぬ孤独に想いを馳せ女は緩く目蓋を閉じた]
……あの詩人は、頑なに快楽を拒んでいたからな。
[全てが全てかと
そうではないだろうと否定の言葉を送る。
ただ、其れまでに幾らかの間があった]
私は充分、愉しんでいる。
お前も――…お前は……愉しめているか?
[虚無が襲う。
食あたりかと笑い飛ばすには、少し重い]
――…そう。
[兄の返事に思わず安堵が漏れた。
彼の置いた間に気づく余裕さえなく]
………、……。
[問い掛けに短くはない間が生じる]
愉しみたいのに……
お兄様から離れていると虚しさばかり……
[魔性となった自分を受け入れてくれるのはこの兄だけ。
そんな思いから呟かれた聲は微かな音色]
可愛いことを言う。
この狭い城のなか、離れている距離が寂しいか。
[柔かな声音で囁く]
――…私を求めるなら、名を呼ぶが良い。
何時でも傍に向かおう**
――…お兄様の姿が見えないと寂しいわ。
気配を感じてはいても触れられないのが寂しい。
[女が求めるのは確かな存在。
夢や幻で満たされる事は無く。
続く囁きに灯るのは喜び]
お兄様……。
[感謝の気持ちをのせ小さく囁いた]
[決して自分はいい人間ではない。
それでも、薬師を選んだ理由を考えた。
そう、それは、今は眩しくてみれない。
純粋な心。
だけど、それは、魔の血によって塗り潰されていく。
いや、とっくになかったのかもしれない。
毒を処方する薬師になった瞬間に。]
【人】 長老の孫 マーゴ― サイラスの部屋前 ― (198) 2010/06/22(Tue) 08時半頃 |
【人】 長老の孫 マーゴ[部屋の中で、人の動く気配がする。 (200) 2010/06/22(Tue) 08時半頃 |
【人】 長老の孫 マーゴああ、そうでした。お礼を…と。 (201) 2010/06/22(Tue) 08時半頃 |
【人】 長老の孫 マーゴ[サイラスの表情が、ほんのすこし和らいだのを見て、 (203) 2010/06/22(Tue) 09時頃 |
――…嗚呼、聞こえている
愛しい 私のローズ
[
霧の包む城の中ならば城主の耳に届く。
娘の慟哭を後ろに
霧が留まるのは白薔薇の香に包まれた広間]
あの蒼天は、確かに
手にして留めておきたいものだが
元は人であるからか
執着の強いことだ
[呟く二人へ向けた声音は、微かな嘲笑を含む。
姿は今だ表さぬまま、気配を暫く残していた*]
【人】 長老の孫 マーゴ[そうして、最初に来たときと同じようにベッドに腰掛け (205) 2010/06/22(Tue) 09時半頃 |
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