17 吸血鬼の城
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[血を与えるのは女にとって初めてのこと。
兄と同じように、と。
兄の行為を思い出しながら牙を突きたてた。
サイラスの身に纏わる薬の気配を感じながら
女は血の甘さに酔う]
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[革の上着を脱いで、トーニャに差し出す。]
湯冷めすっから着とけ。
[部屋に戻ろうと促す。]
(11) 2010/06/21(Mon) 23時半頃
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く……ッ
[それは、めくるめく一瞬だった。
淫らに表情を人前で緩めるなど、以前のその男には考えられぬことで……。
襲い掛かるのは、羞恥と人でなくなったという絶望。だけど、それよりも、痺れた脳髄は、]
渇いた……。
[そう、すぐに求め始めるのは、赤い、血液……。]
――…ふ。
[目の前の男の聲に思わず笑みが漏れる]
うまくいったのは良いのだけれど
ちょっと効き過ぎてしまっているかしら。
[白薔薇へと紅い双眸が向かうのを認め
困ったように首を傾いだ]
[何年ぶりだろう、
聲が増えた]
目覚めた……か
[離れた場所の同胞に、
満足そうな声音を向ける]
ぐぅ……
[頭に声が響くことにも慣れておらず、
また頭を振る。
そして、それが城主の声だとわかると、肩で息をしながらも、思案をし…やがて…]
――……渇く……
[搾り出すはやはり本能の呟き。]
|
わかってら! 海より深く反省してる!
[ドナルドの呼びかけに怒鳴ってから]
あ…おれがトーニャ泣かせた件じゃないのかよ。
ん、なんか騒ぎか? 群れるのはそんなに好きじゃねぇが、気になるか。
[ギザームの刃を危なくないように立てて持ち、発生源に行ってみてもいいぞと示す。]
(29) 2010/06/22(Tue) 00時頃
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く……くく
[加減もせずに力を注いだのだろう。
吸血の本能に襲われているらしい薬屋の聲
城主は事も無げに言ってみせる]
渇くなら、満たせばいい。
血が
欲しいのだろう?
[一時ならワインで誤魔化す事も出来るだろうが
其れを教える心算は、己には無い]
この城に招いた人間はまだ幾らも居る。
其処の従者は、お前の従者でもあるのだ
好きに使うが良い。
――………。
[ツキン、と。
また胸が痛む。
柳眉を寄せてふるりと小さく首を振るった]
――……従者、
ああ、従者ならば、
良い?
[吸血本能に理性を失っている今、
制止がなければ、手は白薔薇を摘み取ろうと動き始める。]
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[廊下で、詩人がいないと皆が騒いでいるのを聞く]
それがどうした。
出てったにせよ、食われたにせよ、そいつになんかしてやれることがあるのか?
見つければ助けてやれるってんなら、こんなところでグズってる暇ねぇだろう。
あぁ? 食事の間を探してないから、そこにいるかもって?
[それは、さっき、城主が歩いて行った方向だな、頭の中で図面をひく]
(43) 2010/06/22(Tue) 00時頃
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――お兄様が良いと仰られるなら
私はただ、其れを受け入れるのみ。
[女は俯き小さく聲を響かせた]
サイラス。
[人であるときの名を呼び、男を止める]
……血の吸い方は、知っているか?
間違えるな
あれは、未だ殺してはならん。
[かかる城主の声には、微かに反応する。]
殺しては……いけ ない
[ぼんやりと虚ろにそれは理解しただろう。]
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…浮き足立ってやがる。 トーニャ、巻き込まれんなよ。 集団暴走ってのはタチが悪ィ。
[集まった顔ぶれを見回す。]
客で欠けてんのは、「詩人」と「薬売り」と「行かず後家」か。
(52) 2010/06/22(Tue) 00時半頃
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そう、殺すな。
……アレの血を吸っても構わぬが
殺してはならぬ。
[幾度となく我等に血を捧げてきた
白薔薇ならば構わないと城主は告げ
けれど、殺すまでは吸うなと念を押した]
――…私のローズ
お前が嫌だと言うならば
私は其れを止める事もする。
お前の望みは、何処にある?
――…お兄様。
[城主の聲に頼りない聲が返される]
私、は………
[望みを問われ心の軋む音。
聲無く頭を振りうずくまる]
私のローズ……お前は何も我慢する必要は無い。
お前の望むままに
あれはお前が作った眷族だろう?
[彼女の心の内を知ってか知らずか。
心もとない聲へ、城主は優しく語り掛ける。
まるでひとの兄妹を錯覚させるような]
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[イアンの視線を受けて顎をこする。]
暴走ってのは云い方が悪かったな、許せよ、取材者。
ただ、前にも見たことあるのさ、おれは。
(62) 2010/06/22(Tue) 00時半頃
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[血を飲み込めば、渇きは満たされるだろう。
代わりに戻ってくるのは、
人としての理性。
眸の色は、青色に戻って……]
我慢、なんて………
[滲む聲は兄の言葉を否定出来なかった。
けれど如何して良いのか分からずに
ただ途方にくれてしまう]
お兄様……
私は此処に居ても良いのでしょうか。
[優しい兄の聲に縋るように甘く頼りない囁き。
女は居場所を無くしてしまうのが怖かった]
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[ドナルドの情報にはひとつ頷き、トーニャに声をかけている様子に、ニマリ]
おまえさん、ロクデナシかも知れねぇが、ヒトデナシじゃあなさそうだ。 安心したぜ。
(76) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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私のローズ
お前が此処以外に何処へ行くのだ?
[可笑しな事を言う
そんな風に笑い]
……お前は、わたしのもの。
そうだろう?
――…嗚呼。
そうね……、私は此処以外の場所を知らない。
お兄様の傍以外では生きられない。
[ゆるく目を伏せる。
言い聞かせるように繰り返される言葉]
私はお兄様のもの。
そうよね……、お兄様。
[聲には未だ覇気がなく頼りなさばかりが目立つ]
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[黒薔薇の恬淡とした口ぶりに、唇を歪める。]
かの詩人は桂冠詩人に任命されたってワケじゃなさそうだ。 そしたら「どうぞお入りください、お食い初めに」ってコトになりそうだからな。
…吸血鬼になってねぇなら用はない。 トーニャ、部屋に戻るか。
(89) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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そうだ、
お前は私のもの。
そして
新たに生み出した眷属は、おまえのもの。
[力関係を改めて教え込むような淀みない聲
熱を帯びているのは、食事の後ならば致し方ないもの]
憂いを帯びた貌も美しいが
……お前にそのような揺らぎを与えるものは
相応の罰が必要だ。
どうしたい、私のローズ
お前の望みを言ってみろ。
私はお兄様のもの。
[僅かに頷く気配が伝う]
新たな眷属は――…私の………。
[その言葉は最後まで続かずにふるふると首を振るう]
いいえ、全てはお兄様のもの。
私はお兄様が喜んで下さればそれで……
[殊勝な言葉を口にして儚い笑みを湛えた]
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[黒薔薇の問いかけに足を止め]
「伺ってもお答え戴けぬ気がします。」とは、おれと違って謙虚だな、使用人。
あんたが何を求めて吸血鬼に従っているんだか知らないが、基本的に、人間は強いものに憧れるモンだろう。
おれも例外じゃないってコトだ。 フクザツな男心ってヤツよ。
(98) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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[躯の紋様が疼く。 闇が濃くなっているのを伝えてくる。
誰かが、堕ちたのではないかと感じたのに、詩人は違うという。]
ところで、 …あいつは、セシルか妹君と一緒か?
誰にも心配されてない可哀想な「薬売り」のコトだよ。
[黒薔薇に問いかける]
(100) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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