17 吸血鬼の城
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― グロリアの客間 ―
[殺気染みた気配と共にロビンが姿を消せば(>>2:345)、静かに扉が開く]
やはり、いない。
[優れた獣であれば、足音など何の頼りになろうか。まるで照準の合わない直感だけが、彼女の原動力]
お風呂に、入りたいわ。
[ふらりふらりと浴室へ、着替えを抱えて歩いていく。律儀に猟銃は油紙に再び包まれて部屋の隅に転がっていた]
(5) 2010/06/21(Mon) 23時半頃
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[血を与えるのは女にとって初めてのこと。
兄と同じように、と。
兄の行為を思い出しながら牙を突きたてた。
サイラスの身に纏わる薬の気配を感じながら
女は血の甘さに酔う]
良家の娘 グロリアは、小悪党 ドナルドの姿を見ても、他人のような関心ですれ違った。
2010/06/21(Mon) 23時半頃
く……ッ
[それは、めくるめく一瞬だった。
淫らに表情を人前で緩めるなど、以前のその男には考えられぬことで……。
襲い掛かるのは、羞恥と人でなくなったという絶望。だけど、それよりも、痺れた脳髄は、]
渇いた……。
[そう、すぐに求め始めるのは、赤い、血液……。]
――…ふ。
[目の前の男の聲に思わず笑みが漏れる]
うまくいったのは良いのだけれど
ちょっと効き過ぎてしまっているかしら。
[白薔薇へと紅い双眸が向かうのを認め
困ったように首を傾いだ]
[何年ぶりだろう、
聲が増えた]
目覚めた……か
[離れた場所の同胞に、
満足そうな声音を向ける]
ぐぅ……
[頭に声が響くことにも慣れておらず、
また頭を振る。
そして、それが城主の声だとわかると、肩で息をしながらも、思案をし…やがて…]
――……渇く……
[搾り出すはやはり本能の呟き。]
く……くく
[加減もせずに力を注いだのだろう。
吸血の本能に襲われているらしい薬屋の聲
城主は事も無げに言ってみせる]
渇くなら、満たせばいい。
血が
欲しいのだろう?
[一時ならワインで誤魔化す事も出来るだろうが
其れを教える心算は、己には無い]
この城に招いた人間はまだ幾らも居る。
其処の従者は、お前の従者でもあるのだ
好きに使うが良い。
――………。
[ツキン、と。
また胸が痛む。
柳眉を寄せてふるりと小さく首を振るった]
――……従者、
ああ、従者ならば、
良い?
[吸血本能に理性を失っている今、
制止がなければ、手は白薔薇を摘み取ろうと動き始める。]
――お兄様が良いと仰られるなら
私はただ、其れを受け入れるのみ。
[女は俯き小さく聲を響かせた]
サイラス。
[人であるときの名を呼び、男を止める]
……血の吸い方は、知っているか?
間違えるな
あれは、未だ殺してはならん。
[かかる城主の声には、微かに反応する。]
殺しては……いけ ない
[ぼんやりと虚ろにそれは理解しただろう。]
そう、殺すな。
……アレの血を吸っても構わぬが
殺してはならぬ。
[幾度となく我等に血を捧げてきた
白薔薇ならば構わないと城主は告げ
けれど、殺すまでは吸うなと念を押した]
――…私のローズ
お前が嫌だと言うならば
私は其れを止める事もする。
お前の望みは、何処にある?
――…お兄様。
[城主の聲に頼りない聲が返される]
私、は………
[望みを問われ心の軋む音。
聲無く頭を振りうずくまる]
私のローズ……お前は何も我慢する必要は無い。
お前の望むままに
あれはお前が作った眷族だろう?
[彼女の心の内を知ってか知らずか。
心もとない聲へ、城主は優しく語り掛ける。
まるでひとの兄妹を錯覚させるような]
[血を飲み込めば、渇きは満たされるだろう。
代わりに戻ってくるのは、
人としての理性。
眸の色は、青色に戻って……]
我慢、なんて………
[滲む聲は兄の言葉を否定出来なかった。
けれど如何して良いのか分からずに
ただ途方にくれてしまう]
お兄様……
私は此処に居ても良いのでしょうか。
[優しい兄の聲に縋るように甘く頼りない囁き。
女は居場所を無くしてしまうのが怖かった]
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いい湯でしたわ。
[城内の全ての事柄――数刻前の自分自身でさえも他人事のまま、若しくは忘れ去ったまま]
あら? どうかなさいましたか。御具合でも?
[身に纏う不快感を洗い流すべく湯に浸り身体を洗い、火照った身体を覚まそうと中庭に出れば蹲る白いドレスの人物を見つけ(>>66)、声を掛けて近寄った]
(72) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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私のローズ
お前が此処以外に何処へ行くのだ?
[可笑しな事を言う
そんな風に笑い]
……お前は、わたしのもの。
そうだろう?
――…嗚呼。
そうね……、私は此処以外の場所を知らない。
お兄様の傍以外では生きられない。
[ゆるく目を伏せる。
言い聞かせるように繰り返される言葉]
私はお兄様のもの。
そうよね……、お兄様。
[聲には未だ覇気がなく頼りなさばかりが目立つ]
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えっ。
[声を掛けた目の前の女性から名を呼ばれた事に少し動揺したが、すぐに笑顔を取り戻した。]
『こういうことは、よくあるもの』
[こんな所と言われれば、確かに随分と荒れ果てた中庭だったと気が付いた。殺風景にも程があるが――]
気分が……それはいけないわね。胸が苦しいのかしら?
[...は無防備に近づいて、胸を押さえたまま立ち上がる彼女の背に手を伸ばし摩った]
(86) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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それとも何か持病でも? ここに、お医者様はいなかったかしら。呼びに行きましょうか?
[何故か、以前こうした光景があったことを思い出す。あの時、鞄を背負った薬師が声を掛けてきてくれたような――はて、それは何時の事だったか]
薬屋さん、いましたっけ?
[その問いは、背を摩るローズマリーに向けられたものではなく、自分の中への問い。無論、中なる自分からの答えなどある筈も無い]
(88) 2010/06/22(Tue) 01時頃
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そうだ、
お前は私のもの。
そして
新たに生み出した眷属は、おまえのもの。
[力関係を改めて教え込むような淀みない聲
熱を帯びているのは、食事の後ならば致し方ないもの]
憂いを帯びた貌も美しいが
……お前にそのような揺らぎを与えるものは
相応の罰が必要だ。
どうしたい、私のローズ
お前の望みを言ってみろ。
私はお兄様のもの。
[僅かに頷く気配が伝う]
新たな眷属は――…私の………。
[その言葉は最後まで続かずにふるふると首を振るう]
いいえ、全てはお兄様のもの。
私はお兄様が喜んで下さればそれで……
[殊勝な言葉を口にして儚い笑みを湛えた]
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苦しい…の?
[自分への不思議そうな声よりも、涙を零す彼女に、形の整った眉を少し歪めて一層心配そうな顔をしてみせた]
身体が冷えてしまっているわ。 もし歩けるようだったら、室内に戻った方が……
[無論、彼女の体の冷たさは外気のせいではないのだが、...は気付くことなく背を撫でながら、そう誘ってみせた]
(96) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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お前は、わたしのもの。
お前の物は、わたしのもの。
[くすくすと、吐息交じりの笑み。
虚しさが混じるのに気付かれても、答えはしない]
私の悦びか、そうだな
――…其処の人間だったものに、客人を襲わせてみたい。
共に閉じ込められたはずの人間が
同じ立場の人間を襲う――…
良い見世物だと、思わないか?
愛しいお兄様。
[そう紡ぐことでしか心を支えられない
兄の聲に宿る感情に気づきはしても
感化され虚しさを共有してしまうのみ]
それは愉しい余興となりましょう。
お兄様のお望みのままに――…
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ええ、勿論。
[独りになりたくないと言う彼女(>>101)に対し、躊躇うことなく即答した]
もし歩き辛ければ、肩でも腰でも手を廻して構いませんよ。
[全ての事柄の一切に深入りすることもなく、ただ辛そうなローズマリーを助ける事だけに心を砕く。差し伸ばされた手を取って、そっと身体を寄せた]
お風呂上りですから――少し湿っているかも知れませんよ。
[本人は冗談のつもりで、笑顔を向けた]
(108) 2010/06/22(Tue) 01時半頃
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