97 せかいがおわるひに。
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[この感情は、なんだろう]
[遠く、天文台が見える。
その周辺の様子まで見えはしないけれど。]
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楽しく無いだろう?
[ドームの小さな宇宙に煙を吐きながら、微かに口の端を上げる。]
綺麗だから、逆に困る。 憎くてしょうがないが、……早く堕ちてほしいとも、思う。
[スティーブンに同意するように頷いて、一歩そちらへと踏み出した。こうして穏やかに話している間にも、あの藍色は確実にこちらへと距離を詰めている。]
スー、なんか薬持ってねえ? よく眠れるようなヤツ。
[あくまでフランクに言葉にするが、その内容は酷く重く]
(106) 2012/07/20(Fri) 22時半頃
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[美しい感情を閉じ込めたまま。
美しい光景を胸に残したまま。
そんな瞬間に死ねるならばどんなにいいだろう。けれど藍色ははきりよく落ちてくるほど出来たモノではない。]
早く、は、や、く
[会いたいと思った人が居る。
まだ話したいと思う人も居る。
なのに、残り火のような世界に残っていたいとも――思えずに。]
― 現在:部室 ―
…
[天文台を見つめながら、携帯を取り出した。
電源をつけるとメールの着信がずらりとある。
送信者に眉を寄せながら。
天文台の電話番号を引っ張り出した。]
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だよなぁ、ああ……可笑しい。
[面白くないと真面目に語らうのもまた可笑しいと、低く笑い声を漏らす。あんなにも美しくても、何一つとして希望は生まれ出ない。]
粛清されるってか? 性質悪りいよな、最後まで夢も見させちゃくれねえ。
[鍔に触れながら白く煙る溜息をひとつ。 地球が悪、思ったこともなかったその発想>>108に、軽く肩を竦めながらも同意していた。]
……なんだ、湿気てんな。 薬ででも飲んで楽に死のうと思ったんだがよ。
[けらけらと声を立てて笑うのも随分と久しぶりだった。従兄を鉄色の瞳で真っ直ぐに見つめる。]
な、スー。 やっぱ死ぬのってさ、怖いか?
(113) 2012/07/20(Fri) 23時頃
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[別に電話がなったとしても。
出なくても構わないと思っている。]
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あんなデカイ隕石寄越す宇宙人だったら、見てみたいね。 さぞおっかねえんだろうな。
[鉄色を細め、口の端を上げる。 これだけ研究をしていても宇宙人は見つからなかった。結局彼らが存在するかどうかは、男も知らぬところで]
……相変わらず厳しいねぇ。
[共に笑うスティーブン>>121。それが渇いた笑いでないのが、少し不思議だと思う。ふと街中で再開し、立ち話をして、談笑し――その延長線上に立っている。そんな気すらする。]
怖いけど、……何時か来るんだよな。 アンタにも、俺にも。その時がさ。
ありがとな、スー。
[藍色の隕石を見たときから、鉄色は色を変えることをやめた。まるで初めから死の色に浸かっていたかのように染め抜かれ、怯え。 だからこそ従兄もが、同じ気持ちで居ることが、純粋に嬉しかった。この感情を曝け出すことを抑えていたから、尚更に。
――本当に、嬉しかった。]
(129) 2012/07/20(Fri) 23時半頃
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[ふと、耳に届いたのは罅割れた電子音>>116。研究室に置いた携帯電話が音を立てているようだ。]
……悪い、電話だ。
[短くなった煙草を灰皿に投げ捨て、ドームを出ようと扉に手をかける。 けたたましく鳴る音を聞きながら、もう一度従兄に鉄色を向けた。]
――元気で。
[そう一言だけ残し、螺旋階段を下っていった。]
(130) 2012/07/20(Fri) 23時半頃
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―― 天文台・研究室 ――
[螺旋階段を下り、奥の別の扉へと入る。 そここそが男の職場であり、研究に勤しんでいた部屋。 たくさんのディスプレイと、惑星の図、模型、たくさんのものがごちゃごちゃと詰め込まれたその空間が、たまらなく愛おしかった場所。]
…………ん?
[携帯電話のディスプレイに表示された電話番号は知らないナンバー。手にとって、通話ボタンを押した。]
……誰だお前。
[素っ気無い言葉を、向こう側に伝え。]
(131) 2012/07/20(Fri) 23時半頃
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あ?わかんねえよそれじゃ。 ああでも待て、聞いた声だな……
[突如として聴こえた声>>136は女性のもの。携帯を耳に当てたまま、窓を開ける。 もう既に昼に差し掛かる陽射しは眩しく、それに誘われるように窓枠を乗り越えて外に出た。]
あ、そ。 暇つぶしか?ご苦労なこった。
[やはりどこかで聞いた声だ。ブローリンのときのように、ゆっくりと糸を手繰り寄せる。]
美少女?……美少女ねえ。 俺が知ってる美少女は、演劇かなんかやってたアレしかいねえわ。
[くつくつと笑い声を上げる。]
(144) 2012/07/21(Sat) 00時頃
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あの子もどうしてんだろうなぁ。
ちょっと歩いただけで、未だに瀕死だったりすんのかね。
[電話越しには笑みを含んだ声が届くだろう。]
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[天文台の裏手、街外れの山並みに沿って流れる川があった。下っていけば十分に涼を取る場所となりうるが、丘になっている天文台からその川までは随分と高定差がある。 その崖ギリギリに立てば、ふと煙が恋しくなり]
……悪い、火つけられねえ、ちょっと待て。
[電話の相手へそう告げて、足元に携帯電話を置き、また谷底からの風で飛ばされそうになるシルクハットを置いた。]
(145) 2012/07/21(Sat) 00時頃
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そういう設定だもの
きっとこういう状況なら、恋人さんにずっと抱きしめてもらってるんじゃないかなぁ
[含みのある言葉に、投げやりな答えを返して。
カチ、カチ
わずかに聞こえる音に耳を済ませる。]
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[立ち上る紫煙と、オイルの香り。 何時もと変わらぬそれらが己を満たしていく。
もうすぐ世界は滅ぶというのに、何故か男は酷く穏やかな中に居た。 鉄色は相変わらず、怯えの色に染まりきってしまっているけれど。]
……なんでかね。
[会いたい人に、会えたから? 欲しかった言葉を、貰えたから?]
(148) 2012/07/21(Sat) 00時頃
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[ふと、谷底から風が強く吹く。 金髪が乱れ、視界を遮る。]
っあ、――
[掛けから一歩引こうとして、その足元には何も無い。 呆気なく、踏み外す――大地を。]
[また会いたい。 思考はすぐに、消えた。]
(152) 2012/07/21(Sat) 00時頃
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