315 【La Mettrie〜存在という機械が止まる時】
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[一度思い出し始めると、次から次へと湧き上がってくるもののようだ。
あの日、恋人と妹が戻ってきたのは、日付も変わろうかという程遅い時間だった。妹はひどく上機嫌で――さらに美しくなったように見えた。
どうして?と聞きたかった。 隣にいて、と言いたかった。
けれども、代わりに出てきた言葉は――]
あまり遅くまで連れ歩かれては困ります。 あの子も嫁入り前なのですから。
[バツの悪そうにしていた彼も、私の言葉に堰を切ったように私を責めはじめた。]
『君はいつも冷静で、他のことを優先する』 『君が拒むから』
[彼の言葉に、そうなの、と返して微笑むのが精いっぱいだった。 こんな自分よりも、明るくて朗らかな妹の方がいいに決まっている。]
(105) 2023/01/03(Tue) 22時頃
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[庭園から小径にさしかかったところで、響く轟音に頭上を仰ぎ見た。 もとより昏い靄がかった空、尚深い影を落とすエンジェルシイラ。 視界は腹側でいっぱいだったから、その背に跨がるシルエットには気づかない。 ただ、随分低いところを滑空しているなと思ったら、噴水の方に降りてゆく]
いよいよ 喰われる……?
[パックリ割れた果実のような頭蓋と臓物の惨状を思い出して、ぶる、と背筋を震わせた]
(106) 2023/01/03(Tue) 22時頃
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[―― いつだって、妹が羨ましかった。]
(107) 2023/01/03(Tue) 22時頃
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[なのに、私は。
妹が化け物に襲われて亡くなったあの日 血に塗れて欠損した妹の抜け殻を見て、安心してしまったのだ。
誰にも言えない、醜い感情を、私も抱えている。]*
(108) 2023/01/03(Tue) 22時頃
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マーゴは、エンジェルシイラから降りるマリオが見えれば、おかえりなさいと腕を広げたことでしょう
2023/01/03(Tue) 22時頃
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― →古城 厨房へ ―
[誰かと顔を合わせるのが気まずくて、噴水とエンジェルシイラを遠巻きに迂廻する。 人目を避けるように、暗い壁際と死角を移動する様は、盗人と大差ない。 厨房に忍び込むと、マーゴの手で整えられたのだろう食卓が目に入った。 くつくつ煮詰まるシチューの匂いは、残念ながら馨しく感じられなかったが、殺風景な廃墟に仄かに灯った明かりに、晩餐会の和やかさが想像できて、唇が薄く弧を描く。 ミタシュの無事と、フェルゼとマリオの帰還を祝える宴になるといい――]
(109) 2023/01/03(Tue) 22時半頃
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[そこに自分の席があることが、嬉しくて申し訳なくて、震える唇を噛み締めた。 がり、と滲む血の味に、喉奥から漏れる嗚咽が止められない]
オレは 喰えねぇて 言ってンのに
――莫迦だな ほんっと
[自嘲気味に吐き捨てて、約束の蜂の巣と三つの卵を簡素な食卓に並べ置く。 それから来た時と同じように、忍び足で厨房を抜け出した]
(110) 2023/01/03(Tue) 22時半頃
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──泉のそば──>>93
[ヨナの背中から降りると 髪からパラパラと砂が落ちた。 ずいぶん土埃にまみれたから 髪はほつれてごわごわだし 色だって黄色くくすんでいるだろうな。
帽子は、風で飛ばないように お腹に挟み込んでいた。 帽子の中にしまっていた風花は 崩れることなくおさまっていたから 少しホッとした。 ロイエお姉ちゃんへのお土産、 潰れちゃったら悲しいもん。
地面についても、まだ体が慣れていなくて ふわふわと浮いてるみたいだ。 湿った水の香りだけしか感じないけど フェルゼお兄ちゃんは違うらしい。>>93]
(111) 2023/01/03(Tue) 22時半頃
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あの人って……誰?
[まさか、マーゴお姉ちゃん達だろうか。 不安になってきょろきょろと見渡せば 腕を広げるマーゴ姉ちゃんと目が合った。]
マーゴお姉ちゃん!
[胸の中に突進して抱きつく。 頭を寄せれば、トクトクと刻む鼓動が気持ちいい。]
フェルゼお兄ちゃんと、 ミタシュを探しに行ったんだ。 だけど、居なかった……
[顔を埋めたまま伝えれば 声は、寂しい音がした。]
(112) 2023/01/03(Tue) 22時半頃
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[しばらく命の音を聞いていたけれど ふと、誰かの気配を感じて>>109体を離した。 隠れているのか、誰も見つからなかったけど。
中庭にはラルフお兄ちゃんも居た。 あの怖い人の姿は無い。]
ジャーディン……さんは?
[フェルゼお兄ちゃんの言った 「あの人」>>93は、 ジャーディンさんのことなんだろうか、と ぼんやり考えた。]*
(113) 2023/01/03(Tue) 22時半頃
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[中庭に着いてからほどなくして、 ジャーディンも戻ってきたようだった。 気配を感じて厨房を覗くと、 簡易な机と不揃いの椅子で食卓が作られていた。 中央の更に、蜂の巣らしき物体と、 子どもの手の平サイズくらいの卵が 並べられている。
ジャーディンを見かければ、 ありがとな、と声をかけただろう。 それから中庭に、人の気配が戻って来ていた。]*
(114) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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掃除夫 ラルフは、メモを貼った。
2023/01/03(Tue) 23時頃
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マーゴさん、あと、ラルフさん、
ああ、彼の方はいませんね。
[血の匂いは、 朱い実を飾る彼と、 神を名乗る男と]
ヨナ、って呼んでくれるんですね。
[マリオからの離れ際、それだけを告げると、 血の匂いを辿っていく]
(115) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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ジャーディンは、折れた支柱の影から、噴水の方を窺っている。
2023/01/03(Tue) 23時頃
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RP村の細かい作法うろ覚えなんだけどw死亡ロールまわすよな?ここからどうやって死ぬんだろう…
(-9) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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フェルゼは、ジャーディンに気がつくと、フラフラと歩み寄る。
2023/01/03(Tue) 23時頃
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>ちなみに死亡ロールは青ログでしてもらっても構いません。 希望があれば、遅くはなりますが、天声を、使って、表に貼ります。
なるほろ
(-10) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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ジャーディンは、フェルゼに見つけられてビクリと硬直した。逃げられずにいる。
2023/01/03(Tue) 23時頃
ジャーディンは、マリオに話の続きを促した。
2023/01/03(Tue) 23時頃
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ごきげんよう。 どうしました?
[白い眼は、ジャーディンを射抜くが、 表情はあまりなく、近寄る]
水は飲みましたか?
(116) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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よぉ 無事だったんだな
[非常に居心地悪そうに言葉を探しつつ、諦めて出頭した。 フェルゼの視線を避けて、もの問いたげにエンジェルシイラを睨んでから、マーゴに抱きとめられたマリオへ。ミタシュ、とやらの姿は見えなかったが、口にはしない]
まだ 飲んでねぇよ ラルフに血を貰う約束だったしな
[けれど、今なら導きに身を委ねても構わない心境になっていた]
(117) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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血を飲めば 永らえる 水を飲めば 終焉を迎える
[謳うように予言めいた言葉を残したのは、誰だったか]
飲みたくなったら 飲んでいいのか?
[今度はひたと血に染まる瞳で視線を受け止めて。 ズクリと寄生根が不穏に脈打った]
(118) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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>>112 [おかえりなさい、と、マリオの小さな頭を撫でると ぱらぱらと土埃が落ちた。 >>111 ]
そう、いなかったの
[ミタシュは何処へ行ってしまったのだろうか。こちらでも見かけなかったわと、どこにいっちゃったのかしらね、と、こちらでおこった事件は伏せてーーいずれ嫌でも耳には入るだろうから。]
>>113 ジャーディンさんは、食べ物を探しに行ってくれてるの。 そろそろ戻ってきてもいいころなのだけど…。
帰ってきたらみんなでご飯食べましょう。 スープを作ったから、よかったら食べない?
ああ、ほら、帰ってきたわ >>117
(119) 2023/01/03(Tue) 23時頃
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マーゴは、マリオの髪を手櫛で梳いて、土埃を落としている。
2023/01/03(Tue) 23時半頃
マーゴは、皆がそろっていたら、厨房へと誘った
2023/01/03(Tue) 23時半頃
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そン時がきたら ラルフでも フェルゼでも
オレの後に 残ったモンは ぜんぶ 『生命の導き』で 封じてくれ
寄生されても 生き延びたいって モノズキがいたら 構わねぇけど
――渇きっぱなしの永遠なんて 生き地獄だからな
[己の喉から胸元へ、紅色の蔦を指で伝いながら唸る]
そこいらの動物や害蟲に寄生しても危ねぇし ――頼んだぞ
(120) 2023/01/03(Tue) 23時半頃
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ジャーディンは、マーゴに、オレは行けない、と申し訳なさそうに断った。
2023/01/03(Tue) 23時半頃
マーゴは、眉を下げてジャーディンの様子を見守っている。
2023/01/03(Tue) 23時半頃
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約束したんだ。 血が欲しければいつでも、──
[ジャーディンはどことなく様子がおかしかった。
頼んだぞ、なんて、まるで遺言のようだ。]
(121) 2023/01/03(Tue) 23時半頃
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なるほど。
あなたは、そういう存在なのですね。
[水は、清らであれど、 だからこそ]
(122) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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この水は、私のものではありません。 あなたが思う時に、 あなたがらあなたであるうちに。
ただ、私は、願われると断れないので、 承知はいたします。
[どこか、思い詰めた男のことのは、受け止める所存]**
(123) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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[ ―― ああ、こんな時に、なんで。
中庭で、尋常ではないジャーディンの様子を見守っている時だった。酷い眩暈に襲われて立っていられなくなる。
もし誰かが気づいて、声をかけたら、いつものようにこう答えただろう。
ああ、ごめんなさい。 よくあることなの
邪魔をしてはいけないと、ひっそりと地面に蹲り、なんとかそれをやり過ごそうとする]
(124) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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マーゴお姉ちゃん、食べ物作ったの? 道理でいい匂いがすると思った!
[あの謎葉っぱで作ったのなら どんな料理になったのかは気になる。 そしてふと、マーゴお姉ちゃんが ごく当たり前にジャーディンさんを 仲間のように呼んでいることに気づいて── 怖くないの、と問いかける前に 本人が姿を見せた。>>117 フェルゼお兄ちゃんと話している。 >>120向けられた言葉は、 フェルゼお兄ちゃんだけじゃなくて みんなへの言葉に聞こえた。
言ってることが、よく、分かんないや。]
(125) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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>>121 そうだな オレに血ぃくれるって莫迦は オマエ が 二人目だ けど 他の人じゃ やっぱりダメだった
[『 』を思い出せなくなっていく。 顔も、声も、香りも、肌触りも、指に絡めた髪の質感も、共に過ごした幸いの日々も、最期に啜り尽くした生命の味さえも。 別の誰かの味で忘れたくはない。
寄生主が渇望するのは、栄養となる人間の血のみ。 宿主(ジャーディン)が希むものは、――もう手に入れた。
目蓋の裏に、暖かみの濫れる食卓の光景が描き出される。 久しく忘れていた『幸せ』の色をしていた]
それでも あ ありがとう
[頭を掻きながら小さく小さく嘯く。 瞳だけでなく赤くなっているだろう顔を、俯き隠して]
(126) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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[追って質問をする前に マーゴお姉ちゃんがしゃがみこんだ。]
マーゴお姉ちゃん! どうしたの? よくあることって……お顔が真っ青だよ。
[おれは両手に水を汲むと マーゴお姉ちゃんの口元に差し出した。 ぱたぱたと、雫が落ちる。 飲めるかな。少しでも楽になるといいんだけど。]
(127) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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干からびるとこなンて 見られたくないから さ
――じゃあな
[その場の面々の視線を振り切るように踵を返して走り出す。 走って、走って、喉の渇きに耐えられず、当初は洗濯に使おうと、フェルゼの塒から無断拝借した瓶の中身を勢いよく呷った。 灼け付くように熱い血潮と反対に、芯を凍えさせるほど冷え冷えと感じられる液体が、身体の中心へ滑り下りていく。 不快そうに身動ぎしたのは、寄生体か宿主か]
(128) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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[その間にも、あんなにも怖いと思っていた ジャーディンさんが、 ラルフお兄ちゃんやフェルゼお兄ちゃんに 何かをお願い? していて── ああ、何が起こっているのか、分からないや。]
(129) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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――う゛ あ゛あぁ
[子孫を残そうと足掻く寄生根が、結実に必要な体中の水分養分を吸い上げていく。 断末魔の悲鳴はすぐに嗄れて、末端の爪先指先から、木乃伊のように燥いて罅割れ、音もなく塵と散り。 爪一枚、髪の一本、歯と骨のひとかけら、全て余さず枯れ尽くすだけ]
(130) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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[最期に残ったのは
咲ききらぬまま散った薄い楕円の花弁が二枚
血の色をした真珠大の種が一つ*]
(131) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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あっ
[ジャーディンの背中には、何も言葉をかけられなくて。 結局、別れの言葉も言えなかった。 ジャーディンさんにも。マーゴお姉ちゃんにも。 また。]
(132) 2023/01/04(Wed) 00時頃
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