人狼議事


216 宵闇駆けるは天つ星

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[振り下ろした太刀は弾かれること無く妖の尾を斬り裂いた。
その手応えは柔く、妖の幼さを際立たせるよう]

っ、

[斬り裂かれて上がる、高く大きな悲鳴。
耳がきぃん、と鳴るようだった。
それに顔を顰めた刹那、尾の動きが変わり、余四朗を弾かんとうねる]

ぐあ!

[予測が出来ぬ動きに対処しきれず、余四朗は左腕と胴を同時に打たれた。
打撃に朱蛇に喰らわれた傷から血が噴出すように飛び散り、辺りを朱に染める。
跳ね飛ばされた先には大岩が一つ。
右側面も打ちつけ、右肩から更に血が散った]


──くっそぁ……

[悪態が口から零れ出る。
打ち付けられた大岩に身を預けるようにしながら、体の向きだけは妖へと直して。
力が入りにくくなってきた腕に力を込めて太刀を握る]

…おらぁ、どげんした。
わしぃ喰ろうたるんじゃあねぇんけぇ?

[目を細め妖を見据えながら、挑発するように言って口端を持ち上げた*]


[右腕だけでなく、尾からも血が溢れ、流れ出る。
鋭い痛みに反射で跳ねた動きが男を打ちつけ、朱が地と空に弧を描く。
弾き飛ばした先、男が更に傷を負ったことにも気付かず痛み落ち着くまで叫び]

…あ、ああ、あ…


[痛みは変わらずあるものの、流れ出る血が徐々に麻痺させていく。
このまま放っておけば失血で動けなくなるも時間の問題、だが男が放っておいてくれる訳もなく。
沙耶もまた、男を放って逃げることなど出来なくなっていた]


[向けられた言葉に、睨みつける。
喰うとは言った、確かに言った。けれど沙耶は、約束をした。
人は食わないと、約束をした相手はいなくなってしまった。沙耶を置いて。
約束したのに、沙耶はずっと、約束を守っていたのに]


やく、そく。

さきに、やぶった。


にんげん、なんか。

しんじなきゃ、よかった。


[対峙している男は村の者じゃない。
それは解っていたはずなのに、元より幼く狭い視野は怒りで更に狭まる]



きが、かわった。

[尾から流す血を硬質に変えながら、男を殺意篭った瞳で見つめ]

おまえ、なんか。

くっても、やるもんか。

[ただ殺すだけ、と。
人すべてへの憎しみを男の頭めがけ、槍のようになった尾の切っ先を鋭く突き立てた*]


……約束?

[たどたどしい言葉に余四朗は瞳を細めた。
妖が言う言葉から察するに、この妖は人間と何らかの約束をしたらしい。
誰かと関わりを持っていたことは知れたが、それもまた状況を推測するには情報が足りない。
ふーっ、と呼吸を整えている間に相手の気に殺意が宿り、妖の尾の形状がやや変化していった]

はん、喰われぇもやられぇも御免被るき。

[負ける心算などあるはずも無い。
吐き捨てて、柔い手応えがあったはずの妖の尾が余四朗の頭へと迫る間合いを測った]


[背には岩、下がることは出来ない。
故に余四朗は敢えて、前方へと足を踏み出した。
身を屈め、鋭い尾先に頬を裂かれながらも速度は落とさず、妖の懐に飛び込まんとする。
狙うのは太刀による一撃ではなく、より近接しての腹部への蹴り付け*]


[沙耶の言葉が男に齎したもの、それに気付く余裕も既に無い。
純粋な殺意と変じた怒りのまま、男の頭を刺し貫かんと血の槍と化した尾が鋭く走る。

岩に阻まれ逃げ場が無い以上、男の命はこれで奪える───

その想定が招いた油断も、恐らくは理由の一つ]



───っ、

[顔のど真ん中を穿つはずだった尾は、頬を掠ったのみ。
仕留め損ねたと理解すると同時、腹部に走った衝撃が身体を浮かせた。
痛みと衝撃、その両方に息が詰まり後方へと身体が崩れる]


[尾の長さもあり、弾き飛ばされるというよりも倒れると言った方が正しいか。

それでも沙耶にとっては致命的に大きな隙を作ったと、冷静な本能が悟る。
即座過ぎるのは、芙蓉の言葉。

実の所、沙耶は祓うという言葉の意味を知らない。
今も正しい意味は解らない。

ただ解るのは、芙蓉が警戒を隠さなかったこと。
それと]


(ここで、さやが、はらわれた、ら)


(つぎ、は── ふよう、だ)


[沙耶を祓うという男を此処で止められなかったら、芙蓉が危ないということ]



───…さ、せ…ない

[腹を蹴られた痛みに、息を凝らしながら。
それでも、初めて知った”おなかま”を守ろうと。
自分自身も援護を受けていたことに気付かぬまま、しゅるり。
眼前の男を締め上げようと尾を波立たせた*]


武家の娘 沙耶は、メモを貼った。

2015/02/12(Thu) 00時頃


[蹴りは狙い通りに妖へと届いた
倒れ込む様子に一息ついて、頬から垂れる血を手の甲で拭い取る]

そろそろ、大人しゅう…──!?

[祓われろ、と。
言おうとした言葉は近付こうと動かした足がびくともしないことに驚き止まった。
視線をやれば、余四朗の足を伝って妖の尾が這い上がり、胴まで締め付けようと蠢いている]

ちぃっ!!

[太刀を向けようにも己が身に巻きつくために刃を揮い難い。
ミシミシと、骨をも砕きそうな圧迫が余四朗の身を襲った]


こ、んの……!

[肺腑の中まで押し出されそうな感覚に呼吸がし辛くなる。
腕から力が抜けそうだったが、離さず握っていた太刀を切先が下に向くようにして握った]

……、っ!

[声を出せぬまま、妖の尾目掛けて太刀を振り下ろし身の解放を狙う。
ただ、その切先は揺れ、どこか覚束無いものでもあった*]


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