17 吸血鬼の城
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苦しくても、しあわせなゆめ。 しあわせでも、苦しいゆめ──…
……ねえさまは、ゆめを、──…ころしたの…?
[翡翠を見つめる、はしばみの色。 遠い昔に相対したように、それとはまるで違うように、色の違う2対の瞳が見つめあいます。
手を伸ばした先の銀、懐かしい羽根の飾りに瞳が揺れました。]
(111) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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お兄様の為なら幾らでも捧げましょう。 私はお兄様の為にあるのだから……
[兄の目的など知らぬまま 言葉どおり受け取り]
それでは手を増やすために 誰かを私と同じにしてしまうの……?
[兄を誰かに取られてしまいそうで 少しばかり不安げな聲が漏れた]
(*5) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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花売り メアリーは、水商売 ローズマリーの言葉にゆるく首を振り──
2010/06/21(Mon) 01時半頃
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>>105
[「食らってやる」その言葉が鼓膜を震わせる。 首筋を這う冷たい指が、何かを震わせる。
少し色のさめた目はいまだ座り込む友人に向かっている。 そうしていれば左目の、刺青の、傷の疼きが薄まると経験したから。] さっきまでは何か、あったんすけどね。 どうも自分でもまだ理解してないんです。 城主サマが今度、酒でも付き合ってくれるなら分かるかもしれねーすね。
[いつもの人の悪い笑みを貼り付けようと、 しかし実際は少し引きつった笑みで。] 今は、まだ。 生まれたての小鹿のような震え方の友人を 励ましてやんねーと。
(112) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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>>109
[セシルから状況を聞かずとも、予測はついてきていた。]
――…名前……
[白薔薇では駄目かと問われ、首を傾けたが……。 それには答えず、]
今宵、君の主たちは、また、誰かを襲うのか?
[今宵、と表現はしたが、時間がここで流れているのかどうかはやはりわからず、
そう、窓の外はいつまでも黄昏時な気もした。 とりあえず、マーゴの身体がまたふらつくのを見止めると、それを支え、抱き上げる。
片目には、死体を抱いていた女が城主の妹に近寄るのを見た。]
(113) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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…………、お兄さまの言う通りね。
大好きな、わたしのマリーねえさま。
───時を、どこに置いて来たの…?
[兄も同じ気持ちであったのでしょうか。 不安に揺れる翡翠を見つめ、伏せた瞳から一筋涙が零れ落ちました。]
(114) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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嗚呼……そんな聲を零すな。 私のローズ 幾度も血をわけてきただろう? お前は特別だ。
[人としての記憶が薄れるほどに、血を分け続けた 彼女は純血ほどの力は無くとも、ただ眷属となった者よりも 魔力に秀でているはずで]
お前と同じにするためには 幾年もの時間が必要だ。 そう簡単には、選ばぬよ。
[其の為従者は何時までも人のまま。 彼らを人である身から解き放つのは容易いと言うのに]
(*6) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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……うん、分かったよ。
[強がるな、顔見知りにも気をつけろ――そんな言葉に小さく頷き、勧められるまま椅子に腰掛ける。 『城主と瑠璃色のドレスの娘』が魔物なら、白薔薇の執事は――]
あのさ、ヘクター。……さっき、白薔薇の人と少しだけど話したよ。……やっぱり、あの人も――そうなの?
[魔物の仲間なの?――と]
(115) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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───イアン。
[振り返り、睨むように強い視線を向ける記者へと僅かに微笑みます。 優しい青年へと笑みを送る様は、僅かに窓から差しいる黄昏の光に照らされていました。]
……わたくしは、お兄さまとは違います。
[その言葉の意味は、通じたでしょうか。 案ずるようにその場を離れない青年へと、静かに言葉を向けたのです。]
(116) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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[隻眼の男に、今は己の魅了が左程届いていないと気付く。 瞳が此方へ向いていない。 嗚呼と小さく吐息を洩らすと、身を離す]
――…酒ならば、ワインを。 気が向けば共に過ごしても良いぞ。
そこの小鹿も、機会があれば――戯れに 構ってやろう。
[僅かに引き攣ったドナルドの口元を見遣りそう返すと 今度こそ其の美しい魔物は 着乱れたローブを直す事もせず、冷たい地下牢から出て行った]
(117) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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[メアリーは現実を見ているのだろうか。 問われた言葉にはしばみに見入る翡翠は伏せられて]
ころしてしまった。 私は自分を守る為に、貴女の大事な者を奪った。
[記憶が戻ればきっと自分は壊れてしまう。 そんな予感から女はサイモンと会う事を拒んでいた。 それでも自ら手を下すことになったのは――]
貴女があの人の仇を討ちたいというなら それは享受しましょう。 私はあの方のモノだけれど……
[それくらいは許してくれるだろうか。 メアリーの続く言葉に女の声は途切れ]
私は……私の、時、は………
[違うと否定しきれぬのは揺らいでしまっているせい。]
(118) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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白薔薇の人? …ああ、セシルか。 おまえも風雅な名前をつけたもんだな。
[一時期はセラフ(熾天使)と呼んでいたのも遠い思い出。]
あれは人間だぞ。 間違いない。
(119) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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[微笑みが、向けられる。 そして発せられる言葉。ローズマリーの様子。
本当に良いのか。 サイモンの死体が、まだそこにあるのに。良いのか?]
……分かりました。 ですが、無事で居て下さいね。
[区切りをつけるために、大きく息を吐き]
俺では無くて、あなたに直接任せた方が良いみたいだ。
[去り際、佇む従者へとそう声をかける。 叫び出したい気持ちを抑えて――二人、入口ですれ違った――よろめくように廊下へと踏み出す]
―→廊下―
(120) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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魔物になった奴にうっかり近づいて不意打ちされたりしないよう、おれの躯には細工がしてある。
[片袖を抜いてみせれば、胸元から肘のあたりまで、紋様が宵闇色に染まっている。]
(121) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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>>105 なっ……
[わざと自分の前で喰ってやろうと哂う城主にうろたえる。その言葉の後には一体何が続くのか想像もできないけれど、今はもう聞きたくない。 幸いにも今度は地下牢から去っていき、ほっと息を吐くといつの間にか此方を見ている友人にちらりと恨めしそうな視線を向け]
……誰が小鹿だよ……
(122) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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―>>106グロリアの部屋前― [城主が向かう先は、錯乱した女へ宛がった部屋。 言付けどおりに向かっただろう黒薔薇の傍へ。 扉の向こうから、泣き喚く声。 人間の使う異国の言葉は幾らか知れど、その意味まではわからない]
……ロビン。
[黒薔薇ではなくそう呼んで 着崩したローブの裾から覗く足で歩み寄った]
(123) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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>>113 [――薔薇の香は、かすかな血臭と混ざり合う。 答えのないことに、その眸の色は薬売りを詰るように憂いた。 けれど、ここで問うべきことでは、ないのはわかっている]
――……いえ、今宵はもう、 心安くお休みいただけるはずですよ。
お連れの方も、そのような身体でわざわざいらっしゃらずともよろしいでしょうに。……ご病気でしょうか?
[抱えられる少女を見る、 病の身ならそれは主らに“相応しくない”]
(124) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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―客室―
[向かった先は己の部屋。 窓から差し込む薄気味悪い黄昏の光。
寝台を一度けっ飛ばし、その上に寝転んだ。 彼女は死んだのだ。あんな風に殺されたのだ。
死の瞬間、恍惚の表情で、何もかも忘れて!
そして、死体は永遠に帰らない。失踪者として片付けられて、葬られる事すら無い]
……。
[鋭い視線で天井を睨みつける。 睡魔は全く訪れそうにない――**]
(125) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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>>117 [肌に届いた微かな吐息に、堪えるように目元に力を入れた。 冷たさが離れていく。 その冷たさは、男の体温を分け与えていたような名残惜しさを、肌に残して。
ワインを―覚えておきます。 そう背中に投げかけた。
そしてどしゃりと座り込む。それどころか仰向けに寝転んで]
……おう、ベネット。吸血鬼はいたんだな。 お前の姉ちゃん、……うん。 [小鹿云々には華麗なスルーを決め]
(126) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 02時頃
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――…私に必要なのは記憶ではない。 此処で生きた十二の年月が私の全て。
私はお兄様の傍でしか生きられない。 私はあの方の為に存在するの。
私は――…ヒトならざる者。 ヒトには戻れなどしないのだから。
[女は自らに言い聞かせるように紡いだ。 それでもメアリーになら殺されても仕方がないと そう思えてしまえるのは気まぐれか それとも彼女に感じる懐かしさがそうさせるのか]
――……。
[記者の男が部屋を出るのを認め小さく息を吐く]
(127) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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セシル……さん? さっき食堂で誰かがあの人のこと、白薔薇って呼んでいたから、 [人に風雅な綽名を付けられるほど、叙情的な感覚は磨かれていない。それよりも、白薔薇――セシルは間違いなく人間だと聞かされて]
人間?……それなら、どうしてあの人は魔物の召使なんかやってるのさ? [セシルも自分のように、城主の赤い目を見てしまい訳がわからなくなってしまったのだろうか]
(128) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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[>>106 客人とのやりとりの合間を縫って、 影のささやきが音なく耳を入るを聞けば、小さく囁く]
……ええ、こちらは大丈夫ですから。 あなたもお気をつけて。
[>>120 そして客人の一人が部屋を辞するを見れば]
よろしいのですか? ――……お休みになれなければ、 酒精をお持ちすることも出来ますので。
[ゆるやかに頭を下げて送り出す]
(129) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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[つと、翡翠の瞳が伏せられるのに哀しい微笑みが過ぎります。 そ…っと指先は銀の羽根飾りを、そうして亜麻の髪を撫でるように滑り落ちて、力なく身体の横へと下ろされました。]
…マリーねえさま。 仇打ちを、サイモン兄さまは……「望んでいない」わ。
望んで…いないの。
[兄の死に顔が安らかなのは、その所為でしょう。 いくら逃げよと促されても──決して自らは逃げようとしなかった、兄の想いは量らずとも自ずと知れます。]
───のぞみは。
[言葉を切り、黙って揺れる白い顔を見つめました。]
(130) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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−グロリアの客室前−
申し訳ございません、旦那様。 お叱りも、どんな仕打ちも、なんなりとお受けいたします。
……ですが、ここから先は私の領分。 たとえ貴方様の下で働く役目を追われようとも、私の腹が収まりません。
今更ではございますが、「外の世界の流儀」の監視をさせていただきますよ。
[ギラギラした目で、城主を見上げる。それは、常なる仮面のような表情とは程遠いものだ。]
(131) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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>>124
なるほど、君の主人は、そう大食漢ではないということ でよろしいか?
[そして、連れと呼ばれたマーゴを病気かと指摘されれば、首を振り、]
いや、疲れているだけですよ。
[そう言って、なれば、とまた部屋に戻っていく。 そして、部屋にマーゴをまた寝かすと、静かに、と動かないようにだけ、助言して、またサイモンの部屋に戻っていった。]
(132) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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………。
[ありがとう、と。
迷うような声に告げた言葉は、背中の越しに。>>120 大きな息が溜息のようにも聞こえて、僅かに目を伏せました。
そうして鈴を転がすような懐かしい声が、己に言い聞かせるように紡ぐ言葉をじっと黙って聞いたのです。>>127]
(133) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 02時頃
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やつが魔物の従者をやってる理由なんざ――…
……負けたからだろ。
[肉の悦びという甘美な枷を説明するには、トーニャは無垢すぎて。]
(134) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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[髪に触れるメアリーの指先から伝うのは自分とは違う温度。 サイモンに与えられたぬくもりを思い出し 女の相貌が何処か哀しげに歪む]
望まない……?
[繰り返すのは疑問まじりの声。 サイモンの様子をみていればその答えは想像できたのに 彼女から大事な者を奪ってしまった罪悪感からか 直ぐには其れを受け入れることができない]
のぞみは…………?
(135) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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とにかく――
[強引に話を戻す。]
この刻印は魔素を吸収して色がつく。 おかげで魔物がいればわかるし、緩衝剤になって身も守れるって代物だ。 むろん、布に水を吸わせるようなもんで、限界はあるがな。 たまに絞るっていうか、浄化してやらなきゃならん。
(136) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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[>>131従者の常とは異なる貌を見遣り、 訝しそうな視線を向けるは一瞬。 其処には問いかけず、頷きをひとつ]
是の見張りは、「任せる」。 解っているな? 私の機嫌を損ねたら、お前の望みは永遠に叶わぬと知れ。
[凍えそうな声音で告げて、さらりと彼に背を向ける]
(137) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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おれのは恒久的なモンだが、何年単位で仕込んだもんだ。 おまえにそこまで施術してやれる時間はない。 できるのは、ハーブウォーターで肌に直描きの一時的なやつだな。
[洗面ボウルに浸されているレモングラスを示す。]
まあ、効果は一日二日ってとこか。 水で流したら終わりだからな。
(138) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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