17 吸血鬼の城
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……理不尽を与える権利が、お前達にあるのか……
[冷静に死体の様子を告げる従者。理不尽な死、との彼の言葉に呻く。 理解の範疇を越えていた。化け物とは、そういうものなのか]
……それは……
[女にずばりと言い当てられ、声が揺らぐ。視線が離せなかったのは事実だ。 持ち上がった口元の端。結局、見惚れてしまっているのだ――]
(53) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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あ、あ、ああ。
[発狂という均衡を得たことで得たものは、覚醒と共に失われる]
あ、あれ。 あれ、どうして? え?
[あれだけ手に馴染んでいた銃身が、命乞いをする御者の脳天を撃ち抜いた引き金が、何度も何度も繰り返してきていた装填が、まるで別人に戻った如く上手くいかない]
あれ。あれ、あれ?
[獣が逃げてしまう。それは無論、先ほどの吸血鬼を名乗る城主でもなく永遠に失われた獣人と化した婚約者でもない]
どうして? どうしてよっ! 逃げちゃう! 逃げちゃう!
[苛立たしげに、震える手を叱咤する。その無様な姿は酷く滑稽で、そして彼女自身が何より望んでいた、真なる発狂への発芽でもあった]
(54) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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>>44 [こちらに伸びてくる象牙色の指先に、死を覚悟してぎゅっと目をつぶる。 が、どうやらあの女性の絶叫のおかげで自分は助かったらしく。ぽかんとして出て行ったほうを見ていたが、城主が背を向けるのを見たとたんに力がぬけて床に座り込む。]
……姉さん……
[食事のために墓など作らないのだと――とるに足らないものだと言われて怒りは収まらない。だけどどうしたらいいというのか……姉のことを思い出してか。または恐怖のためか。涙が頬を伝う]
(55) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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サイラス、さま……
[怯えの表情を浮かべたまま、上体を起こす。]
…いまのは、一体――
(56) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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[兄の言葉に嬉しそうな表情が過る]
それなら……
[緩く頷き従者への言伝を繰り返す]
あれの監視を怠るな、ですね。 ――…伝えておきます。
(*3) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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>>51 いいえ、白薔薇。 これ以上無い、ちょうどいい頃合いです。 メアリー様のお心が落ち着き次第、この方のお体をしかるべき場所へ。
[くすりと微笑み、泣き崩れるメアリーを見下ろす。]
それから、申し訳ございませんが、お客様の帯同はお断りしたく申し上げます。特にそちらの、好奇心旺盛なお方は。
[記者の男をちらりと見た。]
(57) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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>>44 [ベネットから離れる様子を見れば安堵し ―それと同時に少し残念がる気持ちがあるのを知った] 結局、城主サマが本当に吸血鬼かどうか、 俺にゃあわからねーんだけど。
[去ろうとする城主の背中に声をかける] ベネットは納得してるらしいんだけど 俺には眼帯の奥と刺青ぐらいが疼くくらい。
…吸血鬼さまにゃあ何ができるんすか? [挑発するような言葉づかいになろうとも 表情は真剣そのもの。ただ右目の奥では何か待ち望んでいるような期待するような色を乗せ]
(58) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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……お風呂は、もう、いいや。
[震える声音で影に告げ、白薔薇の去った廊下を引き返す。 こんなときにのんびり風呂に浸かっていられないし、悲鳴の聞こえた方に確認に行くほどの勇気はない。
恐怖に鳴り出しそうな歯を食いしばり、早足で部屋へと逃げ帰った]
(59) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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小悪党 ドナルドは、本屋 ベネットが座り込んだことは視界の隅で確認し、しかし城主を見続ける
2010/06/21(Mon) 00時半頃
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[何か起こるのか。 ――るのか。
空白を埋める言葉は自分でも分からず、 ただ唇の端に少しの笑みを乗せ、右目は真剣なままで]
(60) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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はぅっ!
[乾いた音。 ロクに準備も整わぬまま発射された弾丸は、壁の何処かへ固い音を立てて当たるのみ。 その様子は彼女の背に、その部屋に潜む影達によって伝えられているとも知らず判らず、 手元から跳ねた銃身は硬い床に落ち、弾かれた彼女自身は引っくり返る]
(61) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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>>53 遅かれ早かれ、人間は死を迎えます。 もしこの方が今お嬢様に噛まれなかったとしても、どこかで強盗に遭うなり、戦争に巻き込まれるなり、老いるなり病にかかるなりで、いずれ数十年の内に息絶えましょう。
理不尽な死を彼に与える可能性があるのは、何もお嬢様おひとりではございません。
人間の死というものは、永遠の命をもつ種族のそれと較べれば、短く、またはかないものにございます。
(62) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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― サイモンの部屋 ―
[礼儀正しい声が聞こえた。 白薔薇ことセシルの訪れに女の興味が記者から逸れる]
二人きりで……と、思ってはいたのよ。 でも、お兄様が望まれたから……
[渇きが満たされた吸血鬼の肌がほんのりと上気していた。 それは人間であったと示すものか 吸血鬼としては半端であることを示すのか定かでない]
――…あ。 ロビン、お兄様から言伝があるの。 『あれの監視を怠るな』ですって。
[ふと思い出したように黒薔薇の執事に告げた]
(63) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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>>56
[続けて、グロリアの発狂する声も響いてきたか。 とりあえず、はきっちり扉を閉めて、マーゴに寄った。]
――…誰か、襲われたようですね。 ここは、やはり、
魔物の城ですから。
[怯えた表情の娘には目を伏せながら……。]
様子を見てこようと思いますが、貴女はどうしますか?
(64) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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執事見習い ロビンは、城の中で響く銃声を聞き、顔色を変えて扉の外へと振り向いた。
2010/06/21(Mon) 00時半頃
良家の娘 グロリアは、自分でも訳がわからぬまま「うわぁぁぁ」静かに泣き出した。**
2010/06/21(Mon) 00時半頃
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――客室――
[ばたばたと騒がしい音を立てて、自室に飛び込んで。 そのまま後ろ手で施錠し、力尽きたようにその場にぺたりと座り込んだ]
……誰かが酷い目にあったん、だよね。
[やだ――消え入りそうな声でぽつり呟く]
(65) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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野で獣を狩る貴方がたは如何なの? 獣に理不尽な死を与える権利はあるの?
[不思議そうに首を傾げ記者に問い返す]
――…ふ、ふ。 嗚呼、可愛らしいひと。 もう少しで私を愉しませてくれる気に なってくれたのかしら、ね。
[満たされ心が高揚を隠せぬ女は記者に嫣然と微笑んだ]
(66) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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[ローズマリーの言葉>>63が聞こえるかどうかのタイミングで、小さく舌打ちをする。]
白薔薇。 すまないが、この方を運ぶのは、少し待ってくれないだろうか。
私にはもうひとつの仕事があってね。 そちらの方を先に片付けてくるよ。
[そう告げて、返事を聞かぬまま銃声の方へと走り出した。]
(67) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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[カツン。爪先で石壁を弾けば、影がざわめく]
……猟銃のあれは、錯乱したか――其れとも
[座り込んだベネットに視線すらくれず 声をかけられた相手へ振り返る]
どうした。 私に芸でも見せろと言うか。
[>>58証拠が欲しいと言う。 眉を寄せて作った笑みはすぅっと凍りつくように消える。 音も無く、瞬時に鉄格子を抜けてドナルドの傍へ 温度の無い両手を伸ばす先は真っ直ぐに喉元へ]
(68) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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>>57 この場にあっては、 こちら方の心が落ちつかれるようには見えません。 ――お引取りいただいたほうが、よろしいかと。
[生命なき骸は、既に生者に答えることなどない、 メアリーへ向けられる面差しは、黒薔薇とは対照的なもの]
……そちらのご令嬢をお任せしてもよろしいですか?
[記者に向ける言葉は場違いに柔らかな声であったが、 この場から立ち去るように、との要求には違いなく]
(69) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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腐り、はて──…
[黒薔薇の言葉に怯えたように>>47、兄の頭を掻き抱きます。 ぼやける視界、瞳から零れるものに気付く余裕はありませんでした。
死の香る部屋の中、それでも瑠璃を纏う姫君は、一層美しく微笑むのです。亜麻色の中の銀を、翡翠の瞳を見上げるはしばみ色の双眸に、大粒の涙が溢れていました。]
マ、リー……
[震える唇が僅かに開き、声を押し出そうと震えます。 けれども言葉にはならず、ただ視線だけが嫣然たるひとへと向けられました。]
(70) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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不痴不聾不做家翁。
[...はもし扉の向こうから誰かに声をかけられれば、東洋のそんな諺を口にして、泣きながら鍵をかけたまま部屋に*引き篭もった*]
(71) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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[十年。 変わらない彼ら。 それを傍らで見続けたセシル――]
…思い出に浸っちまっていけねぇな。 寝ちまおうか?
[と、軽い足音が聞こえ、トーニャが飛び込んできた。]
――お。戻ったか。
(72) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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――妹さんが、そこにいらっしゃるんだが。
[従者の言葉>>62に、嫌悪の情を隠さずに吐き捨てる。 もう一人の従者が現れ、サイモンの遺体をどこぞに持っていこうとして――だが、これは自分が口を挟むべき問題ではないだろう]
[獣を狩る人間のこと。 そう言われてしまうと、何も言い返せなかった]
……ヒトの形をしていなければ、理不尽は感じなかったかもしれない。
[微笑む女に、喉から声を絞り出す]
(73) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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良い子だ。 後で……部屋へ向かう。 啜った其の血を、私にも分けてくれ。
[循環を目的と言いながら 城主の狙いは彼女の記憶を薄め 純血種に近づかせる事にある]
さて……集った人間達は どう出るか
是から、愉しくなると良いが 私たち二人ではゲストが手持ち無沙汰になるやもしれんな
(*4) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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酷い目に…ああ、そうだな。 あれは襲われた当人ってよりも、ヤバいものを見ちまった、って感じだったが。
[どこかで、猟銃特有の轟声]
…へぇ、この城に銃なんかあったのか。
(74) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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襲われ……た、…――
[魔物の城。贄の宴。 教えられてはいても、理解にはほど遠く。 現実を突きつけられて、揺らぐ。]
――…、……っ………
[口元を押さえ、声をかみころした。 いったい、誰が。 誰に。
問いが、脳裏を巡る]
――… わたくしも、参ります。
[静かに答えて、ベッドから足を下ろす。]
(75) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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>>63 旦那様のご希望でしたら、 それは、仕方ありませんね。
[満ちたりたその頬の上気する様に、 まぶしげに目を細めれば、銃声は響いて >>67]
……嗚呼、そちらがお忙しければ、 こちらは私一人でも構いませんよ、お気をつけて。黒薔薇。
[走り出した彼に声が届いたかはわからない]
(76) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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―自室―
今度は銃声……?
[村で幾度か聞いたことのある音。 それは、何かを傷つける物が発する音。]
もう、嫌……!
[首から下げたロザリオを、強く握りしめ、何かから逃げるように頭から布団を被った――**]
(77) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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花売り メアリーは、サイモンの遺体を引き寄せるようにして抱きしめ──
2010/06/21(Mon) 01時頃
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い、や。いや、いやよ。 お兄さま、お兄さまが眠っているもの。
……ねえ、マリーねえさま。 サイモンお兄さまが、お…っ、お花を……
しろいばら、を───…
兄さま、兄さま……っ!!
返事をして─────!!!!!
(78) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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身内が居るのに、葬る事すら許さないのか。
[もう一人の従者にも、怒りを隠さずに言う。 遺体が腐敗してしまうという現実は――あるのだろうけれど。
柔らかな声で、メアリーを連れての退出をはっきりと命じられる。 厳しい視線で睨み返したが、ここには吸血鬼が居る。自分はともかく、メアリーを危険に遭わせる訳にはいかないだろう]
……メアリーさん。 ここに居たら、危ない。
[届くかどうかは分からなかったが。 座り込むメアリーの方へとよろり踏み出し、おずおず声をかける]
(79) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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>>75
[気丈にベッドから起き上がる様を見る。 その足がふらついているようにも見えて、 ご無理はなさらず、と一言添え、部屋から廊下に出た。]
――…さきほど、セシルが行った方向……。
[サイモンの部屋へ、そんなに遠くはなかった。 その間もマーゴのほうには振り向いて、異変が他にはないか確かめつつ……。]
→サイモンの部屋
(80) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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