17 吸血鬼の城
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>>249 [男の語る言葉、 硝子を掻くようにそれは不快感を伴う。 けれど気づいている、言葉が感情を波立てるのは真に触れるからに他ならない]
――…ならば私の血は既に、 家名に沿うものではないのでしょう。
[順に見据えていく眸に、 嗚呼、フロレスク――また鼓膜にその名が落とされる。
首をふる、飴色が揺れる、枷が鳴る。白手袋の爪が壁を掻く。 乱れた青は、けれど、掠れる声で言葉を絞りだし]
……私の望みなど、そんなものは存在しない。 あなたはなにがしたいのです、家名の責務を果たせとでも?
[浮かんだのは白薔薇とは形容しがたい、 投げやりなまでに華やかな微笑み]
(255) 2010/06/21(Mon) 20時半頃
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>>262 [何故―― 何故、不用意に名乗ってなどしまったのか。 男の言葉は聞くに堪えがたい、 誘惑者の甘言は本来闇に招くものだというのに、逆だ。]
帰りたい、などと…… 私はただ、堕ち切れぬだけ、それはただの甘さに――…
[手が触れる、けれどその手は冷たくはなかった。 違う、とぽつり、呟いて――青は空を見ない、ただ熱を持って滲むだけ]
――……稀なる、悦びを。
[答える声に潜むもの、それは甘やかな情欲の吐息。 頬に触れた手に白手袋の指先が一度添えば、離れた]
(267) 2010/06/21(Mon) 21時頃
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>>281 [一瞬の艶めかしさは、潤んだ眸に余韻を残して消える。 述べられた謝罪の言葉に向ける眼差し、それは白薔薇の棘に他ならず]
―――…罪を犯した心を救える薬があるとでも?
[そう、揺さぶられ抉られて、 男より述べられた言葉は酷く傲慢に聞こえた。 抉られた心からじわり、侵食する薄ぐらい闇]
どのみち、あなたは――……今宵、
――……今宵が過ぎれば、 あなたは私に救いをもたらす者になるかも、しれませんね。
[耳朶を掠める囁きに篭るかすかな熱、 白薔薇の香を残して、その身は離れた]
(292) 2010/06/21(Mon) 22時頃
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少し話を長引かせてしまったようで、 ――……申し訳ありません、お嬢様。
[現れた主が姿に、さしたる驚きを見せることなく ――白薔薇は折り目正しく礼を為す]
そのようなご冗談は、 あまりよろしいものはありませんよ、お嬢様。
[逢瀬の言葉にゆるやかに言の葉を返せば、 続いた言葉には恥じ入るように眼差しを伏せた]
――…ああ、いえ、お恥ずかしいかぎりです。
(307) 2010/06/21(Mon) 22時頃
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[男のじわりとあとずさる姿を見れば、白薔薇は常の優しげな声音]
あなたも味わうことが出来るのですよ? ――…私が味わったと同じ、稀なる、悦びを。
[少しだけ――手の触れた頬の熱を思い出したけれど、それもまた幻影。>>313 主が言葉には、その目蓋を伏せたまま、くすりと微笑って]
いじめられた、などと。 ……心配して頂いてありがとうございます、お優しいお嬢様。
[そして、主の求めがあれば、 いつでも動きに応じられるように一歩下がった**]
(321) 2010/06/21(Mon) 22時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/06/21(Mon) 22時半頃
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――救いが存在するとでも?
[その柔らかな声は歌をかき消した]
(353) 2010/06/21(Mon) 23時頃
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