17 吸血鬼の城
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―食事の間― [すれ違うドナルドに、城主の姿が見えたかどうか 闇に紛れるように黒いローブを纏った主は 音もなく部屋へと入ってくる]
生身を捨てきれぬ人間が 幻に生きることなど、出来はしまい。
[くつくつと、喉を鳴らし哂う。 先ほどの言葉も聞こえていた風]
(318) 2010/06/21(Mon) 22時半頃
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城内の全てが私のもの 伝わってしまうものはどうしようもあるまい?
[ユリシーズの手から落ちたグラスが動揺を表している 城主はそう思い、薄く哂った。 乱れたままの夜着の内、情欲の名残もそのままに 扉の前に立ちはだかる]
頑なだな。 ……しかし、何時まで持つか
[腕を掴み引きとめようと、冷たい手を伸ばした。 官能を目覚めさせるかのような手つき]
(329) 2010/06/21(Mon) 22時半頃
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誰しも快楽の前では素直になると言うのに ……強情な。
[もがくその手を強く掴む。 長く鋭い爪が食い込んだ]
(334) 2010/06/21(Mon) 22時半頃
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―食事の間―
黒薔薇、監視は後で良い。 ……此処へ。
私の食事に邪魔が入らぬよう、見張ってくれ。
[影に向けて囁く。 其れはユリシーズにも聞こえる声で。 二人きりの食事の間で、何をするのかなど言うまでも無い]
(338) 2010/06/21(Mon) 23時頃
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[滲む朱を啜ろうと、詩人の身を引き寄せ]
詩にはなりえずとも お前の身は其れを欲しているのではないか?
[睨みつける眼差しに、城主は愉しげにそう言って 夜のにおいを残したままの身を押し付ける]
……痛みすら、甘く蕩けてしまうほどの快楽 心が抗ったところで 身は――どうだろうな。
(349) 2010/06/21(Mon) 23時頃
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