17 吸血鬼の城
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嗚呼……良い、悲鳴が聞こえる。
[満足気な囁き]
良い子だ
私のローズ
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[城のどこかで少女の悲鳴が静寂をつんざく。 そしてまた、地の底からも絶叫がこぼれた。]
始まったか――…
(33) 2010/06/21(Mon) 00時頃
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お気に召したなら……良かった。
[満足げな聲にほっと胸を撫で下ろし]
お兄様……
そちらも騒がしいようですが……
従者のいずれかを向かわせましょうか?
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[感覚を研ぎすませて、城の魔気を探る。]
奴ら、眷属を増やしたのか――いや、これは“食餌”か。
満腹した吸血鬼も狙い目ではあるけれど… 城主も妹も、いささか高嶺の花だな。
(52) 2010/06/21(Mon) 00時半頃
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嗚呼、思った以上に
愉しかった。
[胸を撫で下ろすローズマリー
彼女がサイモンに囁いた言葉も
彼の恍惚とした表情も
其の先に待つ未来故に、城主を酷く満足させた]
いや……元凶は部屋に戻ったようだ。
[騒がしいと言うのには、もう済んだと短く答える。
実際の所、始まるのはこれからかもしれなかった]
私のローズ
黒薔薇に、あれの監視を怠るなと
それだけを。
[兄の言葉に嬉しそうな表情が過る]
それなら……
[緩く頷き従者への言伝を繰り返す]
あれの監視を怠るな、ですね。
――…伝えておきます。
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[十年。 変わらない彼ら。 それを傍らで見続けたセシル――]
…思い出に浸っちまっていけねぇな。 寝ちまおうか?
[と、軽い足音が聞こえ、トーニャが飛び込んできた。]
――お。戻ったか。
(72) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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良い子だ。
後で……部屋へ向かう。
啜った其の血を、私にも分けてくれ。
[循環を目的と言いながら
城主の狙いは彼女の記憶を薄め
純血種に近づかせる事にある]
さて……集った人間達は
どう出るか
是から、愉しくなると良いが
私たち二人ではゲストが手持ち無沙汰になるやもしれんな
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酷い目に…ああ、そうだな。 あれは襲われた当人ってよりも、ヤバいものを見ちまった、って感じだったが。
[どこかで、猟銃特有の轟声]
…へぇ、この城に銃なんかあったのか。
(74) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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おお、すまんすまん。
だが、おまえの方こそ、何処に行ってたんだ? 食欲なかったようだが、具合はもういいのか?
(92) 2010/06/21(Mon) 01時頃
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そうか。 大丈夫ならいいが、おれの前では強がるんじゃねぇぞ。
ああ、施術の説明、ちゃんとしないとな。
[ベッドに腰を落としてマットレスを沈みこませ、トーニャにも椅子を勧める。]
(108) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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あの広間にいたうちで、城主と瑠璃色のドレスの娘、あれは魔物だ。 人間に見えるが、そういう連中なんだよ。
そして、この先、何人かは闇の力に飲まれて、あちら側についちまうかもしれない。 次に会ったときは要注意、って奴だ。
例えば、おまえに声をかけてくれたドナルドやグロリアにしても、だ。 悲しいけどな。
(110) 2010/06/21(Mon) 01時半頃
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お兄様の為なら幾らでも捧げましょう。
私はお兄様の為にあるのだから……
[兄の目的など知らぬまま
言葉どおり受け取り]
それでは手を増やすために
誰かを私と同じにしてしまうの……?
[兄を誰かに取られてしまいそうで
少しばかり不安げな聲が漏れた]
嗚呼……そんな聲を零すな。
私のローズ
幾度も血をわけてきただろう?
お前は特別だ。
[人としての記憶が薄れるほどに、血を分け続けた
彼女は純血ほどの力は無くとも、ただ眷属となった者よりも
魔力に秀でているはずで]
お前と同じにするためには
幾年もの時間が必要だ。
そう簡単には、選ばぬよ。
[其の為従者は何時までも人のまま。
彼らを人である身から解き放つのは容易いと言うのに]
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白薔薇の人? …ああ、セシルか。 おまえも風雅な名前をつけたもんだな。
[一時期はセラフ(熾天使)と呼んでいたのも遠い思い出。]
あれは人間だぞ。 間違いない。
(119) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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魔物になった奴にうっかり近づいて不意打ちされたりしないよう、おれの躯には細工がしてある。
[片袖を抜いてみせれば、胸元から肘のあたりまで、紋様が宵闇色に染まっている。]
(121) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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やつが魔物の従者をやってる理由なんざ――…
……負けたからだろ。
[肉の悦びという甘美な枷を説明するには、トーニャは無垢すぎて。]
(134) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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とにかく――
[強引に話を戻す。]
この刻印は魔素を吸収して色がつく。 おかげで魔物がいればわかるし、緩衝剤になって身も守れるって代物だ。 むろん、布に水を吸わせるようなもんで、限界はあるがな。 たまに絞るっていうか、浄化してやらなきゃならん。
(136) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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おれのは恒久的なモンだが、何年単位で仕込んだもんだ。 おまえにそこまで施術してやれる時間はない。 できるのは、ハーブウォーターで肌に直描きの一時的なやつだな。
[洗面ボウルに浸されているレモングラスを示す。]
まあ、効果は一日二日ってとこか。 水で流したら終わりだからな。
(138) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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で、それやるとしたら、おれの前で裸になってもらわんとならん。
[ガシガシと頭をかいて]
やるかどうかはおまえさん次第だな。 魔物を見分ける方法なら他にもあるし。
(139) 2010/06/21(Mon) 02時頃
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――…私はお兄様のモノ。
[ふ、と繰り返すのは記憶が蘇る事を怖れて。
特別、と囁かれると安堵の色が宿る]
嗚呼、早くお兄様のもとへ行きたい。
[花飾りの少女と話しているとこれまでの自分が揺らぐ]
お兄様に選ばれた者はしあわせね。
だって、私も……
お兄様の傍に居られて、しあわせ、だもの。
[それは幼子が甘えるような口振りにも似て――]
そうだ、お前は……大切な妹。
特別なのは、言うまでも無いだろう?
[閨で囁く子守唄のように、甘く低く聲を届かせる]
嗚呼、私も早くお前の顔が見たい。
其処へ行こうか、私のローズ。
[永遠とも思われる虚無を彩る華の名前を呼び
城主はつと気配を向ける]
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あぁ。期待されたら根性見せるのがオトコノコだからな。
おまえがいてくれて、励まされらぁ。
(155) 2010/06/21(Mon) 02時半頃
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そうか。なら、腕をフルってやろうじゃないか。
[親指をたてて合図]
にしても、先に風呂を使うといいぞ。 着替えも影に云っときゃ出してくれる。
ひとりで歩くのが怖けりゃ、浴室までついてってやる。 おまえが風呂使っている間に、おれは書庫に行ってくるよ。
まあ、眠れるうちに寝ておくというのもいいけどな。
(158) 2010/06/21(Mon) 03時頃
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お兄様との逢瀬には
此処は少し無粋だから……
部屋に戻ってから、と思ったのだけど。
[存外早く兄に会えた事に喜びながらも
ぽつぽつと言い訳染みた言葉を紡ぐのは
手を煩わせてしまったかという心配から]
嗚呼、そうだな
ただ
私が待ちきれなかったのだ。
[態々出向いたのは
影伝いに視る彼女の異変に
幾らか危機を感じた為でもあった]
私もお会いしたかった。
だから……
お兄様が来てくれてとても嬉しかったの。
[兄の訪れにより女の不安は掻き消えた。
彼の姿があればメアリーの言葉に
女の心は揺らがないはずで]
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[トーニャに浴室までの送迎を求められれば、もう一度、いつもの服に着替え直す。
洗面ボウルからスキットルを取り出して尻ポケットに納め、トーニャと一緒に部屋を出た。]
(165) 2010/06/21(Mon) 03時頃
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[書庫への道すがら]
セシル。 トーニャには、おまえの心が闇に負けた、と云ったが…
おまえにそんな犠牲を強いたのは、おれだな。
この不覚者が、おまえを身代わりにしたんだ。 それなのに、おまえは――
[足下を睨み、イヤリングをつけていない耳朶に*爪をたてる*。]
(166) 2010/06/21(Mon) 03時頃
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