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どうしたい?
[齎されたシンプルなひと言。直截なそれにこくりと顎を動かし、当然のごとく言い放った]
そんなものはシンプルだ。 彼女に何か――そう、贈り物をしたい。 この手で作った何かを身につけて欲しい。 そしてそれを大切にして欲しい。心を、繋ぎたい――
ああそうだ。 ただそれだけの話だ。
――ふん。
[自明であるとばかりに頷き再度上下にミッシェルを見て]
たまには役に立つじゃないか。 兄貴も奇矯なことをしていると思っていたが。
[見直した、などという素直な言葉は伝えることもなく]
(1) 2010/07/03(Sat) 01時半頃
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ならば職人である本人の教えを請うべきか? いや、コイツのものなど知れている。 まずは己で歩くべき。 近道など必要はない――こうしてはいられない
[誤解を招きそうな発言を呟きながら、足早にその場を立ち去ろうとする**]
(2) 2010/07/03(Sat) 01時半頃
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――馬鹿な。
[工房へ戻る途中、自警団員に呼び止められる。普段なら煙に巻く処だが、尋常ではない様子に興味を惹かれ]
――なぜ。 なぜ僕らが死ななければならない!? 街に行けば助かるかも、だって!? 冗談じゃ 冗談じゃない! 村の連中で街に出たことがある人間など数えるほどしかいないだろう? 僕らはここで生き、ここで死んできたんだよ! 嘘だと言えよ。 僕らは敬虔に生きてきた。 教えの通り、慎ましやかに――。 このような悲劇に巻き込まれる謂れはないはずだ!!
[自警団員の胸ぐらを掴み、吐き捨てた。けれど、自警団員のほうも男に釣られ激昂し、知るかそんなこと、などと戸惑い、行き場のない怒りを顕にした。じわりと男の中で理解が広がっていく]
しかも――リンダが死んだだって? 病でか。 あんなに元気そうだったじゃないか。
(234) 2010/07/03(Sat) 21時頃
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[リンダと深い関係にない男には、必死で病のことを隠すつもりだったリンダのことなど知らず]
なぜだ――なぜ。 なぜこんなことが起こる!? 悪魔の呪いにでも魅入られたっていうのか、この村が――
[膝を落とし、震えながら呟く。不意に、はたと顔を上げて]
――ピッパだ。 あの女のせいじゃないのか!? あの呪いを受けた女を始末しなかったから、こんなことになってるんじゃないのか!? あいつは悪魔に呪いを受けたんだ。 殺してしまおうって声だってあったじゃないか!! そう、今からだって遅くは――
[そんな言葉が口をついた。口元を抑える。 ――ピッパと親交がないわけでもない。ピッパの両親のことを知らぬわけではない。呪われた、などと言う罪の重さを、『眠り姫』などという詩的な揶揄で曖昧にしたその本人が、致命的な言葉を口にしていた。 視線を感じて振り向く。想い人が、こちらを――]
(235) 2010/07/03(Sat) 21時頃
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[突き動かされるように、自警団員を突き放した。 辺りがざわめく。予想以上に人目を引いていたらしい。
――ピッパとリンダは親しかったし。 ――まさか。
そんな言葉が聞こえてくるようだ。 そんなつもりはなかった。それでは済まされない気配に、男は表情を歪め、足早にその場をあとにした]
――くそっ。
[想い人の姿を見て、初めて声を掛けなかった。 掛けることが出来なかった。 ただその表情が 男の瞼に灼きついた]
(237) 2010/07/03(Sat) 21時頃
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[村を出る者はどれほどいるのだろう。男には想像がつかなかった。 孤立した小さな村社会。希望を持って街に出るのはほんの一部で。決して助かるかもわからない。どれほどの人が村を捨てることが出来るだろう。街に出たところでどうやって暮らそうというのか。
村長は幾人かを主導して治療法を探しに行くという。 彼についていけばもしかすると街でも巧くやれるかも知れない。藁に縋りつく村人もいるだろう。ひょっとすれば助かるかも知れない。
しかし――この案に乗ることが出来ない者がいる。
突如眠りに落ちる、などという原因不明の病状持ち。この事態の原因かも知れない彼女を連れていこうだなんて奇特な人間はいるのだろうか。
もしかしたら彼女も街へ逃げたかったのかも知れなかった。けれど――。 皆で助け合いながら行くのと少人数で行くのでは生存率が変わってくるはずだ]
――僕は。
[そんなことを思ってもみなかった、などというつもりはなかった。口をついた、ということは奥底に疑惑があったからだ。 それでも。 想い人の表情が忘れられなかった]
(238) 2010/07/03(Sat) 21時半頃
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[彼女は、どうするのだろうか。
村で静かに? それとも、生きる可能性に賭ける?
どちらの方が彼女らしいのか。言われれば自明のような気がする。けれど――この村を出て行く姿は、あまり愉快とは言えないものだった。 いつかの光景と、重なるから]
――兄貴。 なんだ、こんなところで。 馬車に乗るんだったら準備しないと間に合わないぞ。
[気だるげに髪を掻き上げて、浅く息を吐いた]
(240) 2010/07/03(Sat) 22時頃
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何――? 何も。 いつものように馬鹿をした。 それだけの話さ。
[つまらなそうに吐き捨てる。村を出て行った兄。たまに戻ってくる彼の姿は、どんどんと小さくなるように感じていた。それでも、一時は輝きを増していたというのに]
そうか。 街への案内くらいは引き受けるのかと思っていたが。
[兄の返事に予想していたとでも言うように、淡白な返事を返す]
僕――僕か。 僕の腕なら街でも通用するだろうか? 街には商工会のギルドというものがあるという。 そうそう簡単に職人を増やしたり出来ないだろう。 しかしいっそ雇われて、丁稚から始め、やがて独立することも出来るだろうか。
――今更?
(242) 2010/07/03(Sat) 22時頃
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あの日兄貴を見送ることしか出来なかったのにな。 それに、どれほどの年月がかかるかもわからない。
[自嘲するように喉を鳴らす。常よりも薄暗い空気を纏わせて]
あの子を連れて街へ行く。 夢のような話だ。 そう出来たらどんなにいいだろう。 素晴らしいことだろう。
なぁどう思う兄貴。 あの頃も今も。僕は何も変わっちゃいない。
今だから言うよ。 兄貴が義姉さんを連れて家に帰ってきたとき、僕はやっぱりって思ったんだ。 そんなに上手いこといくはずがなかった、ってね。
笑えるだろ。
[深く、息を吐いて、兄を見下ろす。奇妙な遠近感。いつも不自然な違和感を感じて仕方がない。身体ばかりが大きくなって]
(243) 2010/07/03(Sat) 22時頃
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愛しのあの子は今まで僕に振り向いてくれたことはなかった。 あの子を連れて街へ?
―― 夢物語としか思えない。
[常日頃夢のような語り口をしていた男とは思えぬほどの、暗い口ぶりだった]
(244) 2010/07/03(Sat) 22時頃
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…………。
[兄の言葉に黙と押し黙る。その言葉を吟味しているようで――そこに現れたミッシェルに眉を顰める。 双方向の愛。 思わせぶりな言葉に片眉を上げ]
兄貴は。 なんでこんなところにいるんだ。
[それは村に帰ってきたことか、それとも、今村を出ていかないことか。 どちらをも指しているのか。そんな言い回し]
願えば、叶うのか? 動けば、叶うのか?
[ミッシェルを視界から外し、まっすぐに兄を見た]
(255) 2010/07/03(Sat) 23時頃
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[ミッシェルに顔を向ける兄の姿それに何かを察したか男は呟いた]
外でオルガンを弾くよりも、か。ふん。
[ふたりを見て、あっさりと鼻で笑う]
分かった。好きにしろよ。 願わなきゃ。動かなきゃ? 分かり切っているさ。そうとも。 いい。乗ってやる。
[調子を戻したか、いつものように不遜な態度で言葉を吐き捨てて]
兄貴も愚図ってると――死ぬぞ。
[訳がわからない、そんな顔をしているミッシェルに言い捨て、男は踵を返す]
ただ、腐ったんじゃなくて、よかった。
[そんな呟きが、聞こえたかどうか]
(259) 2010/07/03(Sat) 23時半頃
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だから 諦めるのか?
だったら 厚意に あぐらでもかいてればいいさ。 言葉じゃなくても 出来ることくらいあるんじゃないのか?
モラトリアムは 長くないぜ
(=2) 2010/07/03(Sat) 23時半頃
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さて――
[聞こえるということ、伝わるということ。一呼吸の間にどうでも良くなって]
どうだかな。 願っても動いても叶わないことは あるからな。 要は 自己満足出来るかどうか それだけだ。
だから――礼を言われる筋合いはない。
[いつものようにざくりと切り捨てて]
まぁ――脈はなくもないんじゃないか?
[皮肉るように言って話を打ち切った]
(=4) 2010/07/04(Sun) 00時頃
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