103 善と悪の果実
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/* 降霊者に届いちゃう死者の声は、 名前欄が『?』になるんですね。 ヘクターは人間のようです。
(-4) 2012/09/28(Fri) 07時頃
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[大広間での騒動を、止めるでも無く ただじっと、この場にいる人々を観察していた。
殺気立つ深紫の眸 騒ぎの渦中にありながらも気儘に振舞う口の悪い男 うろたえ怯えて逃げ出す者 平然としている者 そして、その横で静かに日常的な食事風景を繰り広げている二人―
一人、二人と散り始め、硝子の残骸と乱れたテーブルを使用人が 片付け始める。
別の整えられたテーブルに広げられている食事を見ても、 とても喉を通りそうになかった。
黒い蝶に手を伸ばす少女をしばし見詰めた後。
そっと大広間を抜けて廊下を進むと、そこに人影が在った。
蹲って小さく見えるそれは、大広間には居なかった金髪の警官だ。]
(8) 2012/09/28(Fri) 10時頃
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[その足元には
くすんだ赤髪]
……ミスター?
[強張った声で、呼び掛ける。**]
(9) 2012/09/28(Fri) 10時頃
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[>>11こちらからでは警官の身体に隠れて赤髪の全貌は見渡せない。 ただ、転がっているがっしりとした躯体に深く、深く刺さりすぎて 柄しか見えぬ兇器から広がった鮮やかな色が、 さらに服を染め上げていくのを見た。 既に事切れているためか、大きく見開かれた瞳は濁り始めている。 その表情は、今にも怨嗟の声を轟かせそうな――]
誰かに… ミスターは、何か見られましたか?
[近く、顔を覗き込まれると、ジェフの眸の色が見えるようになる。]
大丈夫ですわ… 少し、驚いただけですから…
(20) 2012/09/28(Fri) 13時頃
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[一晩の内に様々な出来事があり過ぎたせいで 感覚が麻痺しているのだろうか。
禁断の果実に手を出してしまった者がいるこの場所では、 既に呪いにかかってしまったこの館では、 人死にを前にして悲嘆に暮れるだけのような心で いられるはずも無い。
男から伸ばされた手によって、冷たかった頬に体温が伝わる。
探るように覗き込まれた瞳の奥。 そこに何かを見ようとしているのは、私だけでは無いのだろう。]
(21) 2012/09/28(Fri) 13時頃
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[使用人がやって来ると、 彼は手慣れた風に幾つかの指示を飛ばし、 部屋で休むようにと言われれば]
まだ、大丈夫です… お気遣いには、感謝します。
[連れ添おうとする使用人を軽く手で遮ると、 ふと、何かに気付いたように廊下の端へと行き 花瓶に飾られていた花を一輪摘む。
魂の無くなった、事切れたままの状態のそれに、 気紛れにそっと純白の花を手向けた。**]
(22) 2012/09/28(Fri) 13時頃
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―大広間から程近い廊下―
[>>30何も見ていない、と言う男に対して]
そう、ですか……
[言葉を紡ぐその口を、目を、見逃さないように観察する。 動揺や、取り繕いのようなものは無いか。
安心させるように微笑って身を案じる言葉を受ければ、 礼を述べつつ、少しでも自然な笑みを返せただろうか。]
(60) 2012/09/28(Fri) 20時半頃
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[男がこの場を立ち去る姿をちらと目で追って、思考する。
刑事がただ一人で刺青の男の傍に蹲っているのを見た瞬間 その光景から彼がやったのかと連想した。 だが、遠くから見ただけでは男が柄を掴んでいるのかすら 見ることは叶わず。
こことは別の場所で、新たにもう一つの物言わぬオブジェが 生まれている事は、未だ知らない。]
(61) 2012/09/28(Fri) 20時半頃
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―回想・大広間―
[刺青の男と夕闇伯の騒動の最中、 少女と、その傍らに寄り添っていたストロベリー・ブロンドは 血を流して争っていた二人とは違う意味で目を引いた。
二人の周囲にはただ、穏やかさのみがあった。 喧騒など、遠い世界での出来事であるかのように。
少女が黒い蝶細工を受け取り、ストロベリー・ブロンドがその手に口付ける姿を。 少女が熱に浮かされたように相手を見詰める様を。
大広間全体を見渡すために少し離れた場所に居たため 会話は聞こえなかったものの、ただ、見ていた。
私が大広間を後にしたのは、ストロベリー・ブロンドがそこから去ったしばらく後の事。]
(62) 2012/09/28(Fri) 21時頃
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―大広間から程近い廊下―
[>>39騒動を聞きつけてやって来たのだろう。 ポーチュラカは一度刺青の男を一瞥すると、すぐに目を逸らした。
……見ない方が良いだろう。 言葉にはせず、後ろからそっと少女の肩に手を掛けて、感情が捉えられないその表情を見詰めた。
>>43『姉様に、もう一度会ってくる』と駆け出した少女を見送った後、林檎を探すために幾つかの部屋を回っていると、慌てた様子の使用人と擦れ違う。
刺青の男の件で慌しいのだろうか、と思っていたが、どうやら話が違うようだ。
グロリアの寝室で新たな事件が起きていたと言う知らせを聞き、慌てて3階へと向かう。]
(65) 2012/09/28(Fri) 21時半頃
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―グロリアの寝室―
[扉が開いたままのその部屋へ、足を踏み入れる。 ガウンに覆われた小柄な少年一人分の膨らみ。]
……こんな、小さな子どもまで……
[頭を押さえるように手を持ち上げ、息を吐く。 この部屋にはすっかり血の臭いが染み付いてしまっているのではないだろうか。
地面に広がる染みから、大きな傷を受けた事が分かる。 ガウンを退ける気には到底なれず、そのままじっと、隠し切れていない浅黒い肌を見詰めた。]
(70) 2012/09/28(Fri) 22時半頃
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…………?
[その細い足首に巻き付いた金属。 それが意味する事柄など、想像も付くはずが無い。
もう目にする事が出来なくなった濡烏の眸を思い出して少しだけ感傷に浸った後。
何人も犠牲が出たこの一連の騒動、一人で作り上げられるものでは無いと考える。 皆、林檎の甘い香りに酔ってしまっているのだ――]
(71) 2012/09/28(Fri) 22時半頃
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[>>76声を掛けてきたのは。]
ミスター・ジョセフ。 嫌な事件が、続きますわね…
[目をやると、何故か袖は捲り上げられ、相変わらずおどおどとしているようだ。 男の様子を観察しながら、訊ねる。]
大広間では大変でしたね。 もう、落ち着かれましたか?
(78) 2012/09/28(Fri) 22時半頃
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[そっと、服の下に、ベルトで巻き付けただけの即席ホルダーに押し込めた拳銃に触れる。 大広間に居た時と、また少し雰囲気が違うようだ。 服装が変わっているせいだろうか。
彼は、狂っていないのか? 果実に目が眩み、蛇に唆されてはいないのか?]
(81) 2012/09/28(Fri) 23時頃
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[>>82空のグラスを玩ぶ手。 飲み物が入っていたのであれば 多少でもグラスは濡れているものだろうに、 下ろしたてのようなその器。
答えは、疑問系で返ってくる。 まっすぐ、奥を見透かそうとするようにその眸を見据える。]
おかげさまで、大事ありませんわ。 ミスターは、どこかお怪我でも? 上着はどうされました?
(84) 2012/09/28(Fri) 23時頃
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………!
[>>85グラスを振り回す男から、ポーチュラカを遠ざけるように腕を引く。]
何をっ……
[スカートを捲り上げ、腿に縛り付けていた拳銃をその手に掲げる。 脅しだ。 明らかに彼は不審であり、放っておく事はできない。
ひた と、震えないように両手で銃口を向ける。]
(86) 2012/09/28(Fri) 23時半頃
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[頭の中で、何かがガンガンと鳴り響いているようだ。 音が、遠のく。 何とか狙いは付けれているが、 冷や汗をかいたその手は冷たい。
既視感――― 嗚呼、これ以上は]
(89) 2012/09/28(Fri) 23時半頃
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手を………?
[>>88ここからでは、手に怪我をした様子は見えない。 もし、もっと近くで見たなら、拭き取りきれていない擦れた赤色が見えたのだろうか。]
………暴れないで頂きたいんです。
[もし、これ以上ここで血が流れるような事になれば きっと少女は悲しむのだろう。 少女の、異常なまでの栄光への執着には未だ気付かねど。
脅しは効いているのだろうか。 グラスを振り回す手は止まったが、このまま銃を下ろすのも危うい気がして。]
皆さんの居る所に、戻りましょう…?
(92) 2012/09/28(Fri) 23時半頃
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[>>93グラスは、欠片となって鋭さを増し 正気とは思えない男が、一歩ずつ、向かってくる。]
………林檎を。その場所を、知っているのですか?
[男の問い掛けには答えず、今、思いついた事を口にした。 少女はもう逃げただろうか――― じわりと、少しだけ足を動かし、踏み止まる。]
(95) 2012/09/29(Sat) 00時頃
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[>>94恐ろしい、と男は言う。
だが。これを下ろしたら、彼は一体どう動く?
信じられない。信じられない。信じられない!]
私は、貴方が怖いのです―― お願い。近寄らないで。
[カチリと、撃鉄を起こす。]
(96) 2012/09/29(Sat) 00時頃
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[>>99男の答えは曖昧なものだった。 何かに取り憑かれたかのような顔をしている――]
………場所を、教えて下さい。
[もう、正当な所持者のグロリアは居ない。 皆が禁断の果実を求めて争っている。 この屋敷は、楽園から堕ちてしまった。 ならば。 誰とも分からぬ人間の手に渡るくらいなら。 私の手に―――]
(103) 2012/09/29(Sat) 00時半頃
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[>>100同じ言葉を繰り返す。
それまで一歩、一歩と詰められていた距離が。
突如、男が大きく動き、一気に踏み込んでくる。
その手には、灯りを受けて鋭く光る透明な切っ先。]
(104) 2012/09/29(Sat) 00時半頃
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――――………嫌っ!!!
[引き金を引いた。 反動でぐらりと体が傾く。
銃弾は、どこに飛んだのか。 硝子が振り下ろされた先は。]
(105) 2012/09/29(Sat) 00時半頃
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―銃声が響く前―
[>>107紙の擦れる、小さな音がした。]
……やってみないと、分かりませんわ。
[男の思わせ振りな態度。 演技派とは思えないが、果たして本物だろうか。]
……教えて下さる気に、なったのかしら?
[当然のように、答えはNO>>108
亡霊に急き立てられるように、男が喚く。
男の中で五月蝿く鳴り立てるその音は、果たして幻聴なのか、禁断の果実が唄い掛けているのか―――**]
(109) 2012/09/29(Sat) 01時頃
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