82 謝肉祭の聖なる贄
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>>12 [娘が頭を垂れれば、脇に手を差し入れて立たせ、先と同じように正面から双眸を見据える。]
そなた、名は何と言う。
[此度はそれ以上その身体に触れることはせず、娘を仔細に眺める。]
汝はあのように堂々と輩の前で我のものと宣ったのだ。 であれば、我が汝の名を知らぬ訳にはゆくまい。
(15) 2012/03/16(Fri) 01時頃
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[娘はちゃんと名を口にするだろうか。 その名を告げられれば、一度声にせず名を反復した後、]
クラリッサ。 汝は我のものなれば、我の許可なくして他のものにからだを開くことは許さぬ。 輩でもそれは同じ。 拒めぬ時は自死せよ。
それ以外であれば、同輩の命は我の命と同じと思うて従え。 我に恥をかかせるな。 我は汝の主ゆえ。
[屹度言い付く声は淡々と。**]
(18) 2012/03/16(Fri) 01時半頃
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>>30 [しとやかに諾(うべ)なう娘の頬に涙一筋。 瞳に揺らめき伝うものを見定めた後、先だってと同じく滴を舌先で舐め取る。]
汝はよく泣く。 干からびぬと良いが。
[舌先に乗せた滴を、丹念に味わうように唇を舐め]
恐れを隠す必要はない。 ただ恐れをも超えてひたすらに我を望め。 我が汝に求めるはそれのみ。
[約束を与えるようにそっと娘の唇に、温度の低い自らのそれを重ねた。]
(35) 2012/03/16(Fri) 09時頃
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[そうして、唇を離したあとも暫し鼻先が触れる距離で見詰め、娘の内にあるものを量っていたが]
さあ、ゆけ。 我の同胞を饗応せよ。 先の言葉、ゆめ忘れるな。
[小声で囁くと、すいと身を離し、娘に他の大神たちをもてなすようにと身振りで示した。**]
(36) 2012/03/16(Fri) 09時半頃
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[けなげに言いつけどおりに同胞のもとへ向かう娘の後姿を見送った後。>>41 銀灰の狼はおもむろに立ち上がった。
ゆらり、茶の輩とその膝に乗った灰青の輩に歩み寄り。 少し距離をとって傍らに立つと、絡み合う贄ふたりを一瞥した後、物憂げにふたりを見下ろした。]
(54) 2012/03/16(Fri) 16時頃
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[離れていても、酸く甘い花蜜の香は膚から馨る。 その香は次第に濃くなり始めていた。 今はまだ、明確な形を持って兆してはおらず、白い貌は冷たく鎧われているが、自制の堰が切れるのもそう遠い先ではあるまい。 その証拠に、こちらへ近付いてきた時の足運びや、こうして見下ろす佇まい、物憂く半眼に閉じた目元に、既に仄かな艶が滲み始めていた。]
(*8) 2012/03/16(Fri) 16時頃
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>>55 [今気付いたと言うように、平伏する金髪の贄に視線を動かした。 あるかなきかの薄色であった双眸に、今はひといろ足されて深みを増したかのよう。 ひたと金髪の贄に据えられ、僅かに口の端を引く反応を引き出した。]
椅子になるのはどうであった。 辛かったか。
[命じた灰青が傍にいるにも拘らずの問い。 贄に本心など答えられよう筈もないのに、それに頓着した様子はない。]
(56) 2012/03/16(Fri) 17時頃
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[かつて茶の輩が銀灰を味わったは。 充分に贄を喰らえず、狂熱を鎮めかねて狂乱寸前に陥った隙をついて――のであり、必ずしも本意の交わりではなかったが。 事後はともかく交わりそのものは、犯し犯されるを熱望して、自らもあますところなく輩のからだを味わったのだった。
自ら引き裂いて暴いた腹腔の、臓物と血の様々な色合いの赤に飛び散った純白の精、 跨った輩の腰の上でそれを喜悦を浮かべて眺め、熱い息を零す。 その一方で、からだの奥深くに埋まった剛直から、より一層の快楽を搾り尽くさんと身を引き絞る。 もっと喰い易いようにせよと凄艶な眼差しで強請り、頭を抱き寄せると眼球に舌を這わせて抉り取り……
そうして、血肉を貪る長い交接の果てに、漸く充ち足りた銀灰が獣の姿に戻ってまどろむ頃には。 茶の輩の体重は半減――とまではいかぬまでも、相当に減っていた筈だ。 大神であっても危うい深手の傷、癒えるまでに如何ばかり掛かったことか――]
(*9) 2012/03/16(Fri) 17時頃
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>>59 [金髪の贄の言葉に、すいと唇の端を横に引く。 細めた目に、興がる色がさざなみとなって煌めきを与えた。]
旨いことを言う…… 汝の生は椅子となる事にあらず、と言いたいのか。
我らの姿を見ていたいと申したな。 であれば、誰を望む。
[言葉の使い方をひとつ間違えれば大神たちの不興を買い、また贄同士の妬心を煽る問いかけ。 先刻灰青の大神の命を撥ね付けた娘は幸い何の咎めも受けなかったが、此度もうまくいくとは限らず、金髪の若者はあの娘のように特定の大神の所有物と認められてはいない。 それを尋ねる真意は如何に。]
(60) 2012/03/16(Fri) 19時頃
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ヴェスパタインは、サイラスの真っ直ぐな瞳を真っ向から受け止め、そこに映るものを覗き込む。
2012/03/16(Fri) 19時半頃
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>>64 [ゆら、と揺らめくように身体を傾ける。]
理由を。 述べよ。それがあると申すなら。
[抑制の効いた、淡々とした声音ながら、しどけない艶が滲む。]
(67) 2012/03/16(Fri) 20時頃
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[肩から銀灰の長い髪が零れ落ち、白い貌の半面に垂れかかった。]
(68) 2012/03/16(Fri) 20時頃
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>>69
……聞きたければ汝を喰えと?
[ハ、と短い嗤いが洩れた。]
(70) 2012/03/16(Fri) 20時頃
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この贄を。
喰いたいものはいるか。
[金髪の贄を見据えたまま、低い囁きを。]
(*13) 2012/03/16(Fri) 20時半頃
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ヴェスパタインは、エリアスの小さな吐息を背に聞き。
2012/03/16(Fri) 20時半頃
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いちいちびくつくな。
[と冷淡に無理難題を吹っかける。 若い輩が怯えるほど虐待したのは当の本人なのを棚に上げている。]
では喰え。 そして、答えを聞け。
(*16) 2012/03/16(Fri) 21時頃
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[あの青の奥にあるものを確かめたくて、他の輩に渡せばどうなるかと、手放したのが失策であったらしい。 だが、ちいさい輩の勇を奮っての言葉とあれば]
主が我の顔色を窺うたびに、此方の方が情けなくなってくるわ。 辱められたを恨むなら、むしろ怒れ。 堂々としておれ。
[冷酷な言葉投げつけるが、それは彼なりの詫び、なのかも知れぬ。]
(*20) 2012/03/16(Fri) 21時頃
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>>75
いや? 面白いものを見せて貰った。
[口の端の浮かんだ残酷な嗤いは消えることなく残り、]
――……
[ふと何かを思いついたか、 膝をついて控える贄の前に自らも腰を落とし、眼の高さを同じに揃えて向き合う。]
(76) 2012/03/16(Fri) 21時半頃
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[間近に迫れば、銀灰の髪から白い膚から、漂う鋭く甘い香気が、鈍いヒトの嗅覚でも感じられるほど強く薫っているのが分かる筈だ。 小さく贄の姿を映した瞳には銀のさざなみが立ち、その底に熱を秘めていた。
不意に。 両手をさし伸ばし、贄の纏った衣の下へ差し入れて、その素肌をまさぐろうとした。 そうして、唇を開き、贄のそれに重ね――]
(77) 2012/03/16(Fri) 21時半頃
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>>*21 [相変わらずに返って来る情けない返答に、ふんと鼻を鳴らした。]
(*22) 2012/03/16(Fri) 21時半頃
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>>81 [指先をゆっくり丹念に、筋肉の隆起に添って滑らせる。 農作業で鍛えた身体、それは強靭さを感じさせる弾力を備えていたろう。
瞳は閉じず、細まる青を臨み、そこに浮かんだ悦を確認しさざめいた。 仰け反った金の頭を捕らえて深く唇重ね、、贄の舌や口蓋の感触、あまい唾液を味わおうと]
(83) 2012/03/16(Fri) 22時頃
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早く、せねば、 取るぞ――
[情欲に擦れた声。]
(*23) 2012/03/16(Fri) 22時頃
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>>85 [一度唇を離すと、贄の口から蕩けた呻きが洩れる。 ゆると濡れた青を心地よく感じ、贄の開いた口の端から零れた唾液を舐め取る。 二度三度と唇触れたのち、今度はより深く貪ろうと口を大きく開き掛けたところで、
振り向いて、呻くように、或いは威嚇するように喉を鳴らす白金を見上げた。]
(89) 2012/03/16(Fri) 22時半頃
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ヴェスパタインは、ふと笑い、退いた。
2012/03/16(Fri) 22時半頃
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[静かに呼吸してじわりと溜まってきた熱を逃がそうとする。
まだ外からは見えねど、黒衣の下では抑えきれぬものが形を成しつつあった。]
(*25) 2012/03/16(Fri) 22時半頃
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[ゆっくりと後ろに下がり、白金と、金の髪の贄から離れる。 今ふたりはそれに気を払う余裕はあるまいと思われた。
ふと、固唾を呑んでこちらを見守る娘の姿が目に入った。>>95 小さく笑みを見せ、大儀そうに立ち上がった。]
(100) 2012/03/16(Fri) 23時頃
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[強くなった花蜜の香をうっそりと身に纏う。 食欲とないまぜになった情欲がじわじわと身のうちを蝕み、苦痛なほどだ。
今また贄が喰われるを見れば、もう歯止めは利かぬ。]
(*26) 2012/03/16(Fri) 23時頃
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>>106
――だそうだ。
[肩を竦め皮肉な笑いを浮かべる。 内実餓えに苦しみ切羽詰っていても、まだこのスタンスを崩すつもりはないらしい。]
(*27) 2012/03/16(Fri) 23時半頃
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>>107 [ゆらり立ち上がると、独り取り残された娘を手招く。 唇に張り付いた笑みは消えず。]
(109) 2012/03/16(Fri) 23時半頃
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>>111 [招きに応じ駆けつけた娘を前に、
暫し瞬(まじろ)ぎもせず見詰める。 そして、出し抜けに娘を抱き上げると、その胸に顔を埋めた。]
(117) 2012/03/17(Sat) 00時頃
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[とつとつと脈打つ、娘の心臓の音に耳を傾ける。
この熱くやわらかい肉を引き裂きたいと、じりじりとその身を焦がされながら。]
(*30) 2012/03/17(Sat) 00時頃
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>>122 [身動ぎもせずやわらかい肉の狭間に顔を埋めて。 左胸に耳を当てているのは、娘の心音を聞いているのだろうか。
娘がそっと抱き返せば、抱き締める腕にほんの少し力が加わった。 娘を抱き潰さぬ程度に力を加減しているのか、少しきつく感じる程度であろう。 その大神は、呼吸を整えるかの如く、ゆっくりと肩を上下させている。]
(129) 2012/03/17(Sat) 00時半頃
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[だが逆に、この肉の質量を、温かさと心音を、正気を繋ぎ止めるよすがとなす。
今、この娘を喰らうつもりはない。 少なくとも、今はまだ。]
(*32) 2012/03/17(Sat) 00時半頃
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