52 薔薇恋獄
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スティーブンは、蓮端の顔色が、心なしかよくなっているように見えた。
2011/05/20(Fri) 00時頃
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すみません土橋君、ラジオ、もう暫く借りていて───……?
[借りていて良いかと訊こうとしたところで、再びの停電。 急いで懐中電灯をつけようとするが、それよりも早く、明かりは戻った。
けれど───]
あ、れ……?
[おかしい。 明らかに、人数が足りない]
(1) 2011/05/20(Fri) 00時頃
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……石神井君? 蓮端君?
[右を見て、左を見る。 皆の様子も伺ってみる。
けれど、いない。 かわりに、大須がいなくなった時と同じように、咽せるような薔薇の香り]
────……!!
[さぁっと、血の気が引いた]
(10) 2011/05/20(Fri) 00時半頃
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すみません! ちょっと行ってきます! 皆さんは、出来るだけ一緒にいるようにして下さい!
[その場にいた者達にそう言い残し、走り出す]
先生! 鳴瀬先生、どこですか!
[まずは大広間を覗くが、いない。 耀の姿が見えたなら、所在を訊き、礼を言ってまた走り出す]
先生、いますか!
[そして、鳴瀬と甲斐の部屋の前に着くと、かなり強く戸を叩いた]
(19) 2011/05/20(Fri) 00時半頃
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スティーブンは、もしかしたら、微かに女の姿を見たかもしれないが。今はそれどころではない。
2011/05/20(Fri) 00時半頃
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先生! いますか!? 先生っ、石神井君と蓮端君が!!
[だんだんと、五月蝿いくらいに扉を叩く。 反応がないようなら、こちらから開けてしまうかもしれない]
(34) 2011/05/20(Fri) 01時頃
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あ……!
[扉が開かれると、そこに鳴瀬がいたことに、安堵したように息を吐く。 けれど、すぐにはっとしたように、厳しい顔つきになる。
今は、何よりすぐに伝えなくてはならないことがあったから。 軽く呼吸を整えてから、話し始める]
先程の、停電の直後に。
石神井君と蓮端君の姿が、消えました。 近くに、浜那須君達も居ましたが……彼らは、無事です。
それと、蓮端君達が消えた後に、その……薔薇の匂いが……。
[顔や指先には、やはり血の気がないままで。 声も、やはり震えている]
(40) 2011/05/20(Fri) 01時半頃
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[鳴瀬の手が肩に触れると、びくりと身を震わせた。 伝わってくる掌の温度。 眉を寄せた不安げな表情も、すぐ近くに見える。
───緊張の糸が、ぷつりと切れた]
すみま、せ………っ。
すぐ、近く……いたん、です……。 ……なのに、何も……でき、ないで……。
こんなこと、に………っ。
[膝が崩れ、嗚咽が漏れる。 両手は、無意識のうちに、鳴瀬の服を強く掴んでいるかもしれない**]
(43) 2011/05/20(Fri) 01時半頃
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はい……。
薔薇の……。 ……それで、消え……。
[おそらく、鳴瀬の声が、背中に触れる手がなかったら、言葉すら紡げていなかっただろう。 今まで、意識していなかった……いや、意識しないようにしてきたが。 自分にとって、鳴瀬がどのような存在なのか、強く思い知らされた気がした]
はい……すみ、ませ………ッ。
[髪に鳴瀬の指が触れ、軽く引き寄せられたなら、片手を伸ばして眼鏡を外し、寄せられるままに肩口に顔を埋める。 その時感じた鳴瀬の背丈は、自分より、少しばかり低かったろうか]
……――――。
[やさしさに甘え、3分ほどそのままでいれば、漸く、顔が上げられる程度には落ち着いてきた]
(67) 2011/05/20(Fri) 08時半頃
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[鳴瀬の声が耳元に聞こえる。 あぁ……そういえば、まだ見回りの途中だった]
甲斐君、ですか……。
[眼鏡をかけ直し、部屋の中を見てみれば、そこに甲斐の姿があった。 居たことには、気付いていた筈なのに、今の今まで、意識から消えていた。 大切な生徒だというのに、何てことだ……と、苦々しく唇を噛み締める]
分かり、ました。
鳴瀬先生も、気をつけて……。
[向けられた笑みには、こちらも精一杯応えようと、少し不格好ながら笑みをつくる。
自分の立場を弁えないと。 そう、何度も己に言い聞かせて**]
(70) 2011/05/20(Fri) 08時半頃
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はい、気をつけて……。 ───…………。
[部屋を去ってゆく鳴瀬の背に、そう言った後。 声には出さず「消えないでくださいね」と付け加えた。
甲斐の方へと向き直り、部屋にあがり、畳の上に正座する。 暫くは、黙って彼の動きを見ていたが、マドレーヌを差し出されると、ふっと笑んでそれを受け取り]
ありがとうございます。 そうですか、お母さんが……。
いただきます。
[口に含むと、甘い味が広がった]
(89) 2011/05/20(Fri) 11時半頃
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[少しずつ、ゆっくりマドレーヌを食べながら、時折窓の外へ視線を向ける。 雨は、やはり止む気配はない]
……甲斐君は。
甲斐君は、鳴瀬先生のことは、好きですか?
[ふと、そんなことを訊ねてみる。 それは、自分としては、鳴瀬のことを教師として──顧問として好きかどうかと、訊ねたつもりではあった**]
(90) 2011/05/20(Fri) 11時半頃
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─ 鳴瀬&甲斐の部屋 ─
そうですか。
[少々の間は、特には気にならなかった。 真っ直ぐに好きだと返されれば、その言葉をそのまま受け取り、笑顔になる]
良かったです。 いい後任顧問が見つかって。
[鳴瀬が生徒達、部員達に好かれているというのは、素直に嬉しい。 年若いのにしっかりしていて、やはり彼は良い教師なのだなと、改めて思った]
(131) 2011/05/20(Fri) 18時頃
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[浜那須が訪れた音に、膝立ちになり、そちらを向く]
浜那須君。 どうしました?
…………。
[外を見に行くと告げられれば、苦々しく眉を寄せ]
もう遅いですし、この雨ですし……やめておいた方が良いと思いますよ。
[甲斐と同様に、忠告する。 しかし浜那須は、やはり外に行くつもりらしい。 なので再度、少し強く言うべきかと思ったところで───]
……甲斐君?
[どこか不自然な、甲斐の言葉と行動に、怪訝な表情を浮かべ彼を見た。
その間に、浜那須は去ってしまっただろうか]
(132) 2011/05/20(Fri) 18時半頃
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[来訪者の去った部屋には、また、雨の音がやけに大きく聞こえていた]
甲斐君。
もしかして、何か知ってますか?
[静かに問いかける。 無理強いはせず、彼の意思で答えてくれることを待とうと思った。
けれど、それとほぼ時を同じくして、また新たな来訪者が]
2人とも、どうしました?
[今度は座ったままで、珀と耀の方を見る。 視線が彼らに向いている為か、甲斐の表情の変化にはまだ気付いていない]
(133) 2011/05/20(Fri) 18時半頃
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─ 鳴瀬&甲斐の部屋 ─
[結局、甲斐の言動については有耶無耶になってしまった。 いつか、時が来れば話してくれるだろうかと、ぼんやり考えながら、友人達に菓子を差し出す彼を見る]
でしたら、私は……。
[もし彼らが3人で何か話したいというならば、席を外した方が良いだろうと、立ち上がる]
(147) 2011/05/20(Fri) 20時半頃
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私にですか?
[立ち上がろうとしたところ──中腰のまま動きを止める。 そして、次いで訪れた浜那須に呼ばれれば、ひとまず一旦背筋を伸ばし]
えーっと、そしたら。 先に、珀君達の話を……で、良いですか?
[彼らに、了承を取ってみる]
(158) 2011/05/20(Fri) 21時頃
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野久君が?
[珀と浜那須の顔を見て、2人の用件が同じ事を確認すると、頷き]
分かりました、すぐ診に行きましょう。
[鳴瀬に甲斐のことを頼まれてはいたが、倒れたという野久をそのままにしておくわけにもいかない。 それに、珀と耀もいるなら、きっと大丈夫だろうと判断した]
(167) 2011/05/20(Fri) 21時半頃
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……。
[浜那須の肩を軽く叩き]
さぁ、行きましょう。 野久君のいる部屋はどこですか?
(170) 2011/05/20(Fri) 21時半頃
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──浜那須君。
[常より、少し低い声で浜那須を諫める]
少し、落ち着きましょう。 行きますよ。
[ひとまず、珀や耀達と彼を引き離そうと、背を軽く押し、野久のいる部屋へ向かう]
(177) 2011/05/20(Fri) 22時頃
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スティーブンは、セシル(鳴瀬先生)とは、野久の部屋に向かう途中、会ったかもしれない。
2011/05/20(Fri) 22時半頃
スティーブンは、ディーン(甲斐)の所には、珀と耀がいることを、鳴瀬に伝えた。
2011/05/20(Fri) 22時半頃
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─ 野久の部屋へ向かう途中 ─
はい、分かりました。 生徒達には、必ず誰かと同室になるように言いますね。
[これ以上、鳴瀬にばかり負担をかけるわけにはいかない。 もっと気をしっかり持って、自分も動かなくては]
それじゃ、ちょっと診てきます。
[そう告げると、浜那須とともに足早に野久の部屋へ向かった]
(207) 2011/05/20(Fri) 23時頃
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─ 野久の部屋 ─
[着いたのは、野久が目を覚ます少し前だったろうか]
あ、目……覚めましたか?
いいですよ、そのまま横になっていてください。
(210) 2011/05/20(Fri) 23時頃
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お化け? それは、さっき言っていた女の人……の、ことですか?
[少し怪訝な表情で訊ねながら、野久の額に手を当ててみる。 熱は、おそらくないだろう]
変わったこと……そうですね。
[隠していたところでどうにもならないと、深い溜息をついて]
先程の停電の時、石神井君と、蓮端君の姿が……消えました。 大須君は、まだ見つかっていません。
(221) 2011/05/20(Fri) 23時頃
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[額に宛っていた掌で、そのまま、野久の髪を軽く撫でる]
そうですか、そんなものが……。
[怪談のような。 俄には、信じがたい話ではあったが。
けれど、ここに来てからの幾つかの不思議な事象───そして、ぼんやりと聞いていたバスの中での話を思い出せば、その話は、とても嘘だとは思えなかった]
分かりました。 そしたら、今日はもう遅いですし、ゆっくり休むようにしてください。
それと……これ、大事なことですから、必ず守って下さい。 けして1人にはならず、必ず、誰かと一緒に。
(240) 2011/05/20(Fri) 23時半頃
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浜那須君も見ましたか……。
[さっと、血の気が引く。 やはりここには、何かがいる。 自分は、まだ何も見てはいないが……これだけのことが揃えば、いよいよ疑う余地はないだろう]
……浜那須君? どこに────っ!
[浜那須が縁側に続く窓を開ければ、大粒の雨が吹き込んできた。 そして、雨の中に幾つかの人影]
───え……なに……。
(271) 2011/05/21(Sat) 00時頃
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何やってるんですかあなた達は!
[思わず声を荒げる。 浜那須は既に駆け出てしまい、履き物はない。
野久をそのままにして置くわけにもいかず、ただ、縁側に佇む]
(276) 2011/05/21(Sat) 00時頃
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