30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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……こんなことしなくても、僕はもう充分に「肉欲の奴隷」なのに。
[ひっそりとした笑い]
(-8) 2010/09/08(Wed) 02時頃
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[閉じた目蓋の裏には、太陽を仰ぎ見たときのような紅と緑のロールシャッハーテストの時のような模様が見える。 紅滲む文様は、最初は蝶か毒蛾を思わせる形状で、ラルフの閉ざされた視界を飛ぶうちに、不気味な蝶は紅い鱗粉をまき散らしながら、紐状に解けて行く。触手のようなそれは渦巻く茨。茨は毒の棘を持ち、ドナルドではないが上背のある少年の肩を突き刺す。巻き付く茨の色は、紅から紫、緑ではなく蒼へ移り変わる。 何処かへ倒れ込む少年の背のヴィジョン。その少年がサイラスである事に、ラルフは気付く。]
──…ッ サイラス──
[取り返しが付かない事が起きようとしている。 ぞわと背筋を走るとてつもなく気持ちの悪いモノに──ラルフが、この部屋の扉を開く為に立ち上がろうとすると、強くなるのは薔薇の香り。目が眩む。このままでは駄目だ、と強く思う。]
(33) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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―屋根裏部屋― >>4 >>5 [目許に薄紅いろを昇らせ、付着した白い汁をひと舐めし。 ぶるっと身震いし、身の内に先程までとは比べ物にならぬほど激烈に起こり始めた情欲に打ち震えた。]
(34) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[目の前の姿は確かに後輩の姿で、 けれども――…何かが、違って。]
…セ シル…?
[呼ぶ名前が、声が、少し違って。 目の前の相手が誰だかわからなくなって。 手を引こうとするけれども引くことができない。
傷から膨れて零れる赤い雫はセシルの手も汚して。 先程はあれほど綺麗だと思ったのに、 今はそれが…綺麗だとは思えなくて。]
(35) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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――…ぁ、 あっ
[強く走る痛みに零れるのは けれども甘い声で。 掠れた声が耳朶に響けば、濃い蒼い花の香に酔わされる。 言葉は、ずっと望んできたもの それなの に。 けれどもそれは目の前の後輩に望んだものではなくて…
薄く、唇が開く。呼気が荒くなっていくのを止められない。 それは痛みからなのか、それともそれよりももっと強い、]
セシ ル…
[懇願するような声音は、乞うものなのか、逃げるものなのか。 わからない―――…わかるのは、 このまま囁く声に囚われてしまえば
きっと もう元には戻れない…。]
(36) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[頬へと触れる優しい指。それに感情は堰を切ったように溢れる。]
…好き、なんすよ。 好きなんすよ、もうおかしくなっちまうくらい! アンタが欲しい!アンタに愛されたい!モノにしたい!嫌われたくない!
けど、俺きっと、アンタのこと壊しちまう。アンタに嫌われちまう、から…ッ。
[駄々っ子のようにしゃくりあげながら、溢れ出す思いの丈。]
それに…、それに…
ベネさん…ディーンのこと…好きなんだろ? …きっと、俺なんかより…。
(37) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[現れた蕾に、狂気をねじこむことは出来た。 けれど]
……、……――――
[ぴちゃり―――水音が薔薇の香りの中、部屋にたゆたう。 血に濡れたディーンの唇は、サイラスの上がった尻の間に。 舌先が、蕾を傷つけぬように、襞の一枚一枚を丁寧に濡らす。
嗚呼……―――そうなのだ。
弟に覚える感情は、恐怖などという負のものもあれど、それだけではない。赦したいと救いたいと、奢りだと思っている感情の底にも、想いはある。
けして、弟のことを完全に厭っている訳ではない。 同じく、サイラスのことも。 望みを叶えたいと想うくらいには……――――。]
(38) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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――医務室→寮内――(>>9>>21) ……っ、て、泣いてないよ、ないったら。
[泣かなかったね? えらいな。 からかうように覗き込むルーカスの視線に、少年は顔を背けて隠れようとした。右手で目元をこすり、溜まっていた涙を拭う。それは苦痛からよりも、奇妙な快感を押さえ込もうとしたが為のものだった]
んんっと、ルーカスはこれからどうする? 僕はちょっと、話、しておきたい相手がいるんだ。 できれば、一対一で。
[気を取り直すように一息吐き、少年はルーカスに言葉を向けた。 ベッドの傍へと寄ってユーリィの額を軽く撫で、小さく頷く。 ルーカスの答えがどのようなものであれ、少年は“その相手”を探しに行こう、と決意していた]
(39) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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トニーは、ルーカスと別れ、廊下を歩んでいった。
2010/09/08(Wed) 02時半頃
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>>36
――……フィル もっと、顔を崩して?
ドナルドと一緒にこんなところにきたってことは、 ドナルドにヤラれたかったでしょ? ドナルドが好き?
それならそうとセシルに言ってあげなよ。 ああ、それとも、その「先輩」が好き?
セシルは君が「大事」なんだって。
でも、君はセシルのこと「大事」じゃないよね。
[くすくす笑う。見た目はセシルな彼が。]
(40) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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/* まあ、サイラス死んじゃってるけどねー☆
でも実は、ロビンも“その相手”だったりするんだよね。 対面で話したい相手が一人、とは言っていないのです。
(-9) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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―屋根裏部屋― [丁度おぼつかない足取りで扉に向かった時だっただろうか。 扉を開けたドナルドとフィリップにばったりと出くわした。
導き入れられるフィリップを眺める眼差しは、滾る熱で潤んでいる。震えを抑えるので手一杯だったが、これから起こるであろう出来事は容易に想像がついて、むしろ羨望の色さえ湛えていただろうか。
ドナルドを連れて行け、と仕草で命じられれば、逆らうことは無く、こくりと従順に頷いた。]
(41) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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/* セシルは今日死ぬからってトバしてんなー。 まあ、その逆よりも悪いことではないよね。
(-10) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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君を「大事」に思うセシルなんて、いらないよ。 ね、君だって、本当は
「抱かれたい」んでしょ?
ねぇ、フィル……。
一緒にセシルを殺さないか?
[そんなことを言って、フィルの身体を引き寄せると、その口唇に口唇を寄せた。 吹き込むのは蒼薔薇の香。 惜しみなく……。]
君がこうされたいのは、わかってるんだ。
[そして、服に手をかけると、下からたくしあげて、その胸に手のひらを当てる。]
(42) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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… ディーン──
[下肢にはじわりと滲むような鈍痛と違和感が続いている。 それは、昨夜の行為の痕跡。緩く断続的な痛みは、懐かしいようでいて、以前恐怖していたものとは性質がまったく異なったもの。今、そんな事を思い返している場合ではないにも関わらず、薔薇の香の壁に阻まれる身体が、痛みや違和を快楽にすり替えようとする事に気付く。下着を付ける時間がなかった熱は、ズボンの繊維の摩擦に。]
…… 違 う。 駄目 だ。 嫌だよ、ディーン……ッ。
[悲鳴のような声。自身の肩や腕に爪を立てるだけでは抵抗には足らず、咄嗟にポケットをまさぐる。見付けたのは、バカンス先からの母親の手紙を開けた時に使ったペーパーナイフ。それは刃物と言うには、繊細すぎたけれど、ラルフの行動は昨日のトニーに似る。]
(43) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[堰を切ったようにしゃくり上げる大きな子を抱きしめ、その背中を撫でる]
……やっと言ってくれた。ドナルドの本当の気持ち。
[ぎゅっと抱きしめて背伸びをすると、隻眼から零れる涙を拭う様に口付けて]
僕もずっと想ってた。 君が好き。君に愛されたい。 ドナルドになら、壊されたっていいんだ。 僕はずっと。それを望んでいたんだから。
[大きな駄々っ子をあやす様に、その耳元に優しく告げる]
ディーンの事確かに好きだけれど……違う。 ディーンは僕にとっての主と同じなんだ。
(44) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[そして、フィリップがなんといおうとも、その先の行動をやめることはない。
そのまま、屋根裏の床にフィリップを押し倒すと、抗えないよう薔薇の呼気を出しながら、全身に口付けを落としていく。
敏感なところを見つければ、くつりと笑ってそこを責めたてながら…。]
ねぇ、気持ちいいところがあったら声、出して?
[フィルの服を引き剥がし、ボトムのボタンにも手をかけて……。
金色の茂みを開けば、その中から頭をもたげるそれ…に口唇を寄せた。]
(45) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[識れず、涙が頬を伝う。 サイラスが背を向けていて佳かったと、密やかに想う。]
―――……入れるぞ?
[わざとクツっと喉を鳴らした。 後ろからのしかかり、昂りを濡らした尻のあわいに宛がう。 サイラスの反応を待たずに、ぐっと奥まで一気に貫いた。 後はもう、蒼薔薇の香りが誘うまま、獣のごとく、相手の望むまま壊すがごとく、腰を穿ち続ける。]
(46) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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うぁ あぁっ あっ
[肌蹴たサイラスの蒼薔薇の呪いある肩に、いつの間にかモノクルの飛んだ左眼を宛がい、獣のように咆哮する。精は彼の裡に。呪いは左眼へと移る。
――……何度、裡に放ったか。
彼の人の望み通りに、彼の人は壊れ。
そして]
は、はは、ははは……―――
[左眼を抑え乾いた笑いを零す少年も、また、何かを壊した。 そんな2人を嘲笑うかのように、サイラスの肩口の蒼薔薇は、ディーンの涙に濡れ、まるで朝露に濡れたように生き生きと蒼を誇っていた。]
(47) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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―階段― [ベネットのことを告げられたドナルドがふらふらと出て行くのを追って、自分も部屋を出た。 何よりも、今は先程含んだ樹液の所為で、全身が灼け尽きそうなほどに篭る熱に苛まれていた。
ドナルドに期待をしていた訳でもないのだけれど、第一に彼は薔薇の棘に囚われた者で。 昨夜口だけでしか味わえなかった彼のからだを知るのもまた楽しいだろうかと想像したのもある。
その足を止めたのは、ドナルドの行き着いた先にベネットがいたからだった。]
(48) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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―――…っ
[違うと謂い切れない、此処に来た理由はそれで。 けれども違って。
セシルであってセシルでない誰かが紡ぐ言葉は 耳を塞ぎたくなるような、裡を切り付ける刃にも似て。
かた、と初めて身体が震えた。 得たいのしれない恐怖に、けれども逃げられない。 厭だ、違う、その言葉も紡げない。 蒼い香がそれを赦してくれない。
―――…そう、なるかもしれなかった。 置き去りにされて叶わなかった恋情が過去にある。 その記憶の人と同じ、それ以上の想いを抱くには まだ、その想いは育ちきっていなくて…]
(49) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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/*>>44 いやそれまっとうなキリスト者の台詞じゃねぇから!
(-11) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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>>44 ああ、最後の行がってことね。 その上は読んでないけど。
(-12) 2010/09/08(Wed) 02時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/08(Wed) 02時半頃
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[からり、]
―――…セ シ ル…
[引こうとすればポケットの中で鳴る硝子球。 赤と青の色はセシルと約束をした色。
けれども吹き込まれる蒼い香に翡翠が見つめるのは もうセシルではなくて…、蒼い花に触れられれば 耐え難い甘さに掠れた声が零れていく。
その、蒼い瞳に
囚われた。]
(50) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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―廊下― [そこにあるのは、泣き崩れるドナルドと、それを聖母のように抱くベネット。 全身を駆け巡っていた熱を一気に醒ますほど、虫唾の走るお涙頂戴の――]
……詰らない。
[端整な顔を歪め、吐き捨てるように呟いた。]
(51) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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[紙を切るだけのナイフにはさしたる威力は無い事を知っている。 だから、ラルフは眉を顰め、銀灰の瞳を自身の左手に向けた。 広げて握る手のひら、華奢な切っ先を迷わずに、左手の親指の爪と肉の隙間に突き立てた。]
──……アッ! 痛ッ
[そう、中世ヨーロッパの異端審問すなわち拷問の要領だ。 幻覚ではなく、鋭い痛みに貫かれて、目蓋の裏が真紅に染まる心地。 正気を取り戻したラルフは立ち上がり、鍵の掛かっていないサイラスとディーンの居る部屋の中へ──。]
(52) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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ラルフは、飛び込んだ部屋の中で見たものは──…。
2010/09/08(Wed) 03時頃
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[…――自分で望んだことのはず。なのに。なのに。何故か零れる涙。 そこから薔薇の香りは淡く放たれ。 自分だけが知りうるディーンは手に入れた、つもりなのに。
なんで。こんなにも悲しいのだろう。]
[相手が欲しくて、知りたくて。そして
…―間違えた―――…。]
(+1) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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サイラスは、そのことに気づけずに放心している
2010/09/08(Wed) 03時頃
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――廊下―― [ある程度距離を隔てた処に小柄な人影の佇むらしきを認め、]
ん、あれ……ロビン?
[ひどく苛立ったような雰囲気を帯びていることに困惑を覚えた]
(53) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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トニーは、ロビンの更に向こうに居る二人には気づいていない。
2010/09/08(Wed) 03時頃
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[抱きしめられ、閉じた瞼へと触れる柔らかな唇。 囁かれた言葉に、どうすればいいのかわからないと言った顔。
されど、薔薇の棘の毒は、じわりと胸の内側を侵していく…]
(54) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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[ひくりひくり、薔薇の夜露のように涙はあふれ。 思いを遂げたはずなのに―――…。]
…莫迦、野郎……。
[小さく、零した呟きは誰へのものだったのか。 …―それっきり気を*失った*]
(+2) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2010/09/08(Wed) 03時頃
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/* つーか、人物所在がまったくわからん。 しまったメモでその呼びかけするんだった。
(-13) 2010/09/08(Wed) 03時頃
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