254 東京村U
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(136) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[脳梗塞の後遺症で、左半身に軽い痺れが残った。だが後遺症は、リハビリを行えばほぼ残らないまでになるだろうという。
まだ若いのだし。と、医師には言われた。 どのみち入院はまだ暫く続きそうで、職も危ういだろうかと思われた。なんといっても、そこは切るにも手軽な契約社員だ。]
………、
[やれやれと諦め気分の息をついて、病室から窓を見遣る。リハビリは順調に進んでいて、この分だと思ったよりも早く退院になりそうだ。
あれから、考えるだけの時間はたっぷりとあった。母と言葉交わす時間も存分にあった。そうして己を省みるだけの時間が、充分にあった。]
(137) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[長男だから寺を継げって。修行が大変そうで。 田舎が嫌で。でも現実は思うよりも厳しくて。 アパートは従妹も招けない程に古く狭くて。 それでも、着るものだけは…外側ばかりは取り繕って>>3:+9
帰りたい───、帰りたくない。 出たい───出られない。出たくない…?
なんだ、そんな理由か。それだけの理由で、それだけのちっぽけな見栄と意地で…逃げで、自分で自分を縛り付けていたのか。出口と入口を同じくして迷い続けていたのは一体誰だ?それは自分、己自身だ。]
(138) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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…出られないはずだ。
(-139) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[苦い笑みが口元に浮かぶ。 自覚してしまえば子供っぽい、下らない意地だと思った。そんなことも分からずに…、いや。分かっていたのに、分からないフリして過ごしていたのだ。迷路の出口から目を逸らして。]
(139) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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迷路を作り出していたのは、
…、 俺 だったんだから。
(-140) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[自分自身の心が。現実から目を逸らし、逃げ続ける心こそが迷宮を作り出していたのだろう。
鈴里みよ子は、それと分かっていたのではあるまいか。 聞いてみたかったものだと思う。言えば彼女は笑っただろうか。 ふふ。と、四つ指を口元にやわらかに当て。]
(140) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[入間澪音が見舞いに訪れれば、東蓮寺は少し情けなそうな顔で眉を下げて彼女を迎えた。]
ごめんな、澪音ちゃん。 あんな時に一人にさせちゃって、心細かっただろ。
俺から連絡出来なくなっちゃってごめん。 もう、大丈夫かい…?
(141) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[最初に顔を合わせた時、彼女に真っ先に告げたのは謝罪であった。ずっと気にかかっていたことだ。あの不気味な恐怖、他人が身内に成り代わっていたという冷たい恐怖と嫌悪感、あれらを共にしたことを覚えている。他者にはきっと分かりえない不気味さではないか。
入間家に上がりこんでいた不審者らは警察に捕まった>>113とは、後に聞いた。澪音の両親が消えていたことの顛末も、その時聞いた。一件落着、良い結末だったといえるだろう。 とはいえ成り代わりの、あの当時の不気味さばかりは親にも言えず、むしろ言って上手く理解が得られるもののようにも思えなかった。
それは澪音も同じなのではないかと思う。 いやむしろ、彼女にこそ、その思いは強いのではあるまいか。だからこそ事情を知る、唯一の従妹へと案じ顔を向ける。]
(142) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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……俺はね。
[と、従妹相手に話したのは何度目かの見舞いの時だ。少し早めの退院の日取りが決まったと従妹に告げ、何となく「今後のこと」に話が向いた時のこと。]
(143) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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俺は退院したら、暫くこっちで勉強して…受験、してみようかと思っててさ。 仕事はどうも、なくなりそうだし。時間も空きそうだし───多少の貯金くらいは、これまでもしてきたからね。
せっかくだから、大学を受けてみようと思うんだ。 丁度こっちに、うちの寺の宗派の大学があってさ。 K大学って世田谷の。知ってる?
[大学名を挙げて従妹へと視線を流す。これは自ら長い時間で悩み、考え、そして母とその後上京してきた父とも話して決めた結論だ。自分に出来るだけのことを試したいのだと、その為にも再び学び直したいのだと話した結果、経済的支援は受けないとの条件で了承を得た。]
(144) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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俺は結局、決められたままの道が嫌だったんだよね。 寺の長男だから寺に入って、後継いで。
でも嫌だ嫌だとだけ言って飛び出したけど、自分の望みなんて分からないままだった。何でもいいから家を飛び出して、あてもないままフラフラとしていただけ。
だから───、もうやめたんだ。そういうの。
(145) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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この年だけど、俺はもう一度挑戦してみるよ。 澪音ちゃんと同じ、高校の勉強をし直してみる。
澪音ちゃん、今度得意分野を教えてくれないか? 現役相手に聞けたりすると心強いから嬉しいんだけどな。
[従妹相手にお願い一つ。以前よりも柔らかな印象の笑みで穏やかに頼みを告げて、目を細めた。]
(146) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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俺──…迷ってたんだよね、ずっと。 ずっと、出口が見えない迷路の中で。 もがいて、あれこれと探し回っても出口がまるで見えなくてさ。 でも気付いたんだ。…やっとわかったんだ。
入口も出口も結局は同じものだって。 気が付いてしまえば出るのなんて簡単なんだ。 出口は気付けばいつだって出られるくらいに、すぐそこにある。
……だからね。俺はもう迷わない。 迷わないで行けるとこまで進んでみようと思う。 進んだ先が、元からあった道に近くなったとしても、さ。
[独り言めいて落としてすぐ、照れたような笑みを浮かべた。 誤魔化すように「頼むね」と再び添えて、東蓮寺琉衣は随分と動くようになった左の手のひらを、確かめるかのように軽く握った───*]
(147) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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(148) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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─ 新宿不動産 ─
[退院後、やはり辞職することとなった新宿不動産に手続きの為に顔を出した。同僚や、正社員のオネエサマ方は随分と心配した顔を見せてくれたものだが。 その反応も、……今は暖かい、ありがたいものだと素直に思う。 余裕だのポーズだのと、捻くれたような気持ではなく。
顔を出したついでに真嶋家のマンションのことを聞き、そこで初めて日菜子がベランダから落ちた事故の話を聞いた。 一家は今もそこに住んでいるらしいと聞いて、頷いた。 あとできっと、訪ねてみようと内心思う。]
(149) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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えっ、いいんですか? ……、分かりました、ありがとうございます。 では、お言葉に甘えてこれは頂きます。
[頼んであった写真>>1:270を渡された。 記念だからとお金は要らないと渡された封筒入りの写真を、せめてもの気持ちと共に受け取り懐に仕舞う。]
(150) dia 2016/10/09(Sun) 22時半頃
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[新宿不動産の入るビルから出れば、聞き慣れた街の雑多な音が身を包み込む。何となく少しだけ切ない気持ちでそれを聞いていた時、見渡すように見遣った先に見覚えのある女の子の姿を見つけた。
訪ねようと思っていた人の姿に、東蓮寺の目が少しだけ大きく見開かれた。]
───日菜子ちゃん!
[雑踏に負けないよう、大きく呼べば彼女は振り向いたか。 ああ、彼女も覚えているだろうか、あの不思議な白い迷宮を。 まるで知っている街なのに見知らぬ場所のようだった、あの不可思議な巨大迷路を。]
(151) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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元気そうで良かった。 事故のこと聞いたんだ…それで、おうちを訪ねようかと思っていたんだけども。
[ここで会えて良かったと、笑顔で告げ。 少し言葉交わしたのちに名を問われれば、あっと小さな声を上げて笑い、己の迂闊さを謝った。]
ああ、そうか。そうだったね、ごめん。 俺の名前は───…
(152) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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[彼女が覚えているのなら、あの不思議な迷宮の話を再び語ろう。そして小さなハナコの思い出を語らおう。
そうしてひそやかに、そしてささやかに。 不可思議な体験は静かに共有されていくのだ。 人の口の端に上らなくとも…確かに、そこにあったはずのものとして。]
(153) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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(154) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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[あれから、東蓮寺琉衣が奇妙な迷路に踏み込んだということはない。時にはあれはやはり、夢ではなかったかとも思う。
それでも、折に触れてふと思ってしまうのだ。 あれは一体どこであったのか、と。 街行く時に道の端に見つける見覚えのない小さな路、その先は見知らぬ街に通じていたりはしないだろうか…、と。
人の心が作り上げる幻想迷宮、果たしてあれはそれだけのものだったのだろうか?鈴里にだけ通じた通話、あれは真に夢の出来事であったのだろうか。
確かめる術は最早なく、それでも日常は淡々として流れゆくのだ。まるで何ごともなかったという顔をして。]
(155) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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……はあ…っ
[今日も人でごった返す新宿駅で満員の電車から開放され、東蓮寺琉衣はひとつ大きく息を吐いた。
新宿ダンジョン。 そう呼称されることもある巨大な駅は、今日も世界で最も多いといわれるほどの人間たちを飲み込み、また送り出していく。 小路は人知れず生まれ、また消えていく。 店はめまぐるしく入れ替わり、街は人に違う顔を見せ続ける。 街並みは今日もまた少しずつ、確実に変貌を遂げていくだろう。
新宿の街は今日も人々を呑み続ける。 変わり続ける眠らない街…それはまるで、変化を続ける巨大な生きた*迷路のように*]
(156) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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\1ページまるごと俺のターン/
くっっっそ、なげえ!!!ww って書きながらなりました。くっそなげえ!!!
お邪魔しました!!! 東蓮寺琉衣、ひとまずこれで〆ます!
(-141) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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/* 東蓮寺は、みよ子さんに騙され続けてみることにしました。もういっそ、いいアドバイスだったとか思っているよ!!!
澪音ちゃん、勝手に見舞い越させた上に語ってすまない……日菜子ちゃんは教えてくれたので会社の前で!!!退職前(?)に会えたよ、やったね!
高校から離れて暫く経ってからの社会人入試とか、普通に茨道だと思います。生活費も稼ぐんだぞ、頑張れ。だが根無しみたいにフラフラと働いてるよりも、いい顔しそうだなとも思っています。
迷い道は日常の中にも、ふっとあるのかも知れません。 あんまりそれっぽさ出なかったなあwwお粗末さまでありました!
(-142) dia 2016/10/09(Sun) 23時頃
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/* ちらとらっと
>>-144澪音ちゃん おお、良かった良かった……互いに「あれ」を経験した者同士というかね。あの時共にいた人間じゃないと分からない感覚ってあるよな…みたいな気分になりそうなやつ。澪音ちゃんには、あの迷路の話もするんだろうなあ。自分でも現実かどうか、時折自問するような話だけれど。
>>250日菜子ちゃん んんん!!!嬉しい!!! うんうんうん、ハナコちゃんの話が出来るのもこことだけだからね…嬉しいね。日菜子ちゃんとあの時の話が出来る限り、あの迷路は現実であり続ける。いつまた起こり得るかもしれない不思議として残り続けるのだろうなあ。
いつかハナコちゃんに会えるといいな。
(-197) dia 2016/10/10(Mon) 23時頃
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