25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[褥での囁きと同じ言葉、 目元赤くして]
ばか、
[小さく謂った。 絡める手を握りかえして かき抱かれた腕の中、 背に手を触れて、精一杯力を込めた。 ―――煌めく糸は確かに結ばれ]
胡蝶、… ―――――っ、こちょう…
[堰を切ったように名前を繰り返す。 涙の気配を滲ませて]
(+30) 2010/08/08(Sun) 17時半頃
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ほら、今も其処に
[つと指差す先に、対峙する二人]
獣故に 人故に 想いあれど、交わらぬ
[溜息。 主の胸に頬寄せて、秋の心が漏れる]
あれが本来あるべき姿だよ。 ボクもきっと主さまが居なかったら
[口を噤んだ。 花が花を呼ぶこえを、かき消さぬように]
(+31) 2010/08/08(Sun) 17時半頃
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嗚呼、胡蝶、胡蝶やで。 鵠と朧様のおかげで、胡蝶に戻れた……―――
[鵠を白以外の何かに染めようとして、 白に染められたのは華月だった。 そして、花主に死を望まれながら死ねなかった花としての業を、 花主として断ち切ってくれたのが朧だった。
――今、抱き寄せる人が強く抱きしめる背の業も 二人が居たから、忘れずに在れる。 華月であり、胡蝶であれる。
白に染められたからこそ、改めて紅に染まることができた。]
(+32) 2010/08/08(Sun) 18時頃
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[抱き寄せた胸元に、涙の気配感じて。 莫迦となじられた言葉の後の行動をとろうとする。
鵠の顔を上げようとして、 ふと乾に抱かれて在るロビンと視線があった。]
哀しいな……―――
[聴こえた言葉に、一言だけ漏らす。
―――悲しいだけでなく、愛(かな)しい。 だから 哀しい。
浮かべる微笑。 眼差しは、ロビンから濡れる紫苑に移って、 小鳥が啄ばむように露を食んだ。]
(+33) 2010/08/08(Sun) 18時頃
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[視線は一度、毀れた言葉を追って蝶に。 瞳を伏せる。 愁い混じる冬の色]
……
[独白は音にならない。 誰に届かなくてもいい]
(+34) 2010/08/08(Sun) 18時頃
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[彼岸にあるべき現世の椿が問い 総ては獣の血が知る事 冬の蕾も人食いの花も、交わりには口を閉ざして首を振る]
夜光を喰ろうたのは、髪を結い上げた男 私はそれ以上を言わぬ
セシルは、友達 ボクはそれ以上を知らない。
(+35) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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――そんな、 ……―己は、何も…
[謂いかけて少し、眼を伏せた。 ――おぼろさま、と小さく呟く。 そうっと、背をなぜる。
ロビンの声が聞こえ、 ひとと獣の声が聞こえ 眉根を少し、寄せた]
…かな、しい ―――か
[奇妙に、胸に落ちてくるような言葉。 目元に触れる唇に、そっと眼を閉じた。]
(+36) 2010/08/08(Sun) 18時半頃
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ほら。
[それみたことかと、亡者が謂う]
……人は獣を本能的に恐れるもの 獣はひとを、本能的に喰らうもの
たとえ交えたとしても 長くは続かず やがて
(+37) 2010/08/08(Sun) 19時半頃
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門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 19時半頃
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――嗚呼、別離の時だ
[呟き、主の胸に顔を埋めた。
子を成しても月瀬はひとのまま。 彼が生きて此処を出たとしても 遠くない先に、繰り返す事になるだろう 発症してしまえば、きっと*]
(+38) 2010/08/08(Sun) 20時頃
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―表座敷―
[ゆらり。伏した人の傍で光る。 いまは無力な小さなひかり。
記憶が影と流れてゆく。 あか。 白に飛んだ緋。床に落ちた紅。
ああ、そうだ]
ごめんなさい…。 約束、したのに……。
[命の欠片が、姿を変える。 その目の前で倒れる人>>59 慌てて支えようと手を出しても。すり抜ける]
(+39) 2010/08/08(Sun) 20時頃
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門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 20時頃
手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 20時頃
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鵠が鵠やから、双花になれたんやよ。 多分、双花であることが、朧様んとって大事やったんと思うわ。
わての相棒になれるんは、鵠だけやで?
[常世に二つ並んだ花の亡骸。重ねるのは2つの月。 彼岸では瞼を伏せれば、目裏に映る。 そこに、弟弟子の姿を見た気がして、嗚呼と息を漏らした。 悟ること――「また、後で話が出来ればええ」 意識が対岸に強くある人に、密かに想う。]
鵠が鵠であるだけで、えかったんや。
[かなしい――胡蝶が零した音を拾う唇に、 眦に触れた後、掠めるだけの接吻けを贈る。]
(+40) 2010/08/08(Sun) 21時頃
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獣と人だけやない。 獣と獣、人と人……――― 全部、巡り合わせや。
やから、悲しゅうて、愛(かな)しぃんやろな。 歯車ひとつ、ちごたらと、想うから。
[僅かに離した唇と唇の間で、 ロビンに直ぐに謂わなかった裡を語る。 胡蝶の腕も、鵠の背にしかとまわっている。
歯車一つ違ったならと、その可能性を見て悲しいんで。 今、傍に在れることを、愛しむ。
瞼伏せれば、今、目裏に映るのは、耳奥に響くのは 命生きし世の、獣と人の織りなす物語の切片。
―――胸を満たす感情は、哀しい。]
(+41) 2010/08/08(Sun) 21時頃
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――巡り合わせ
[聴こえた音に、噛み締めるよう呟く硬質な声]
若し、あのとき
[夢の続きがあったなら]
……若し、あのとき
[手折られる事がなかったら]
嗚呼 そうかな そうなのかもしれないね。 [自身に置き換え、呟いた]
(+42) 2010/08/08(Sun) 21時頃
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説法師 法泉は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 21時半頃
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あれが普通の人間の反応だね。
[ちら、と 視線流す先に高嶺の 対峙する相手の言葉に、吐息でわらう]
(+43) 2010/08/08(Sun) 21時半頃
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[骸に合わせられた手が、また一つ区切りをつける。
苦心する人の傍、か細い光を残しながら。 意識は響く声に向き、引かれた]
若し、あのとき?
[獣の面を持てる者にも哀も愛もあるとはまだ理解及ばぬ所。 声のする方へと顔を向け。 獣と伝えられた花が僧の腕に抱かれているのを見、言葉失う]
(+44) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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[聞こえてきたのは白鳥と対を成した蝶の声。 此方に似合わぬ生者と同じ音。
そちらを一度見て。
揃った花へ薄っすらと笑みを向ける]
仏にはなれぬか。
私も、そのようなものにはなれぬ。 けれど。人を獣を憎むことは出来ぬ。
(+45) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 22時頃
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……やあ、夜光
[庭の見える廊下、 主の膝の上に座り擁かれたまま 片手でひらりと挨拶をかける。 困ったような笑みで]
気分は、如何?
(+46) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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――夜光。
貴方も此方に参ったのですね。
[新たに増えた声。 そちらを見れば花が一つ。
抱いた冬の花へ横に下がるように促して、けれど手は握ったまま。 着物を正す]
(+47) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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[駒鳥の言葉に、瞼を持ち上げる。 向けるは、やはり、生前と変わらぬ微笑。
彼の裡は、親しくあったわけではないから識れぬ。 けれど、放った言の葉に、欠片でも琴線に触れるものがあったなら 獣と人、同じ道をたとえ歩めずとも、悲しいだけではないと。]
[と、揺れる翅に絡まりし細糸。 瞼伏せずとも、浮かぶ情景は、花の主の様。]
(+48) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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ロ、ビン、殿。
[己に死を齎したのは獣であり。 同じ獣と思えば震えもするのだけれど。 その困ったような顔は拒絶されたいつぞより、ずっと近しさを感じてしまい、混乱する]
法泉様…。
[そして縋った主の他、幾度か手を差し伸べてくれた人に呼ばれ。 その手が確りと花を握っているのを見る]
気分は…苦しい。 どうして。獣なのに。
(+49) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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そういや、刷衛様に刀の礼できへんかったなぁ。
[恨むには遠い言の葉を紡ぐ。 歪な双花――腕の中の片割れが、 先程、憎の念に悩んでいたとは識らず。 全て重ならぬからこそ、高嶺の花になれたのか。 乾の憎に対する言に、心裡で密かに蝶は同意を示す。
刷衛の口から華月の名が出れば、微かに浮かべる苦笑。 抱き寄せたままの鵠は、どんな反応をしていたか。 どのようであっても、抱きとめたまま離さずに。
次に狭間の世界の音を拾えば、苔色は夜光の姿を映す。]
(+50) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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[ロビンと乾と、言葉交わすようなら 生前と変わらぬ微笑をだけを挨拶に向けた。
苔色は、狭間の世界と生者の世界を、静かに見詰める。]
(+51) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 22時頃
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[蝶が笑むをきょとんと瞬きひとつ。 主に促されて身を離し、乱れた裾を直す]
うん。 そりゃそうだ。 あの方は、手加減なかったでしょう。
[手は繋がったまま、半歩下がって首を傾いだ。 二人の会話に割り入って良いものか、訪ねる風]
(+52) 2010/08/08(Sun) 22時頃
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[夜光を見て、そしてあちらを見る]
貴方が、縋りたかった方の無事を、願っております。
[祈るとは、口にせず。 けれども。 もし獣がここを出るときには、獣でないものはすべて死してしまうのだろうかとも思い]
獣、なのに? 私にとって、ロビンは花。 それ以外にはなにもなく。
獣であったか人であったかなど、意味を持たぬ。
(+53) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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……、――そう か。 そうだな、…己がいきているうち、 聞けなかった――朧様の“理由” は
[伏せていた眼を、苔色に合す]
――…己の相棒になれるのも、 …胡蝶、だけだ。
[囁く。並び、咲くと願ったのに 半ばで散った愚かな生贄――だが。]
…ありが、 とう
[俯いて、本当に消え入りそうなくらいの声で謂う。 掠めるような口付けに、紫苑色を一度薄く開いた。]
(+54) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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[>>+41間近で苔色が語る。 一つ、瞬いた。 裡なる想い。かなしい。――哀しい。]
…嗚呼、
[物思うように眼をまた伏せた。 ロビンの、呟きもまた――耳に入り。>>+42]
かなしい、… か。 …そう、だな。
[瞑目する。かなしげな、くるしげな――]
(+55) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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此処は、何処なのですか。 彼岸とはこういう場所なのですか。
[法泉を見て小さく問う。 法師ならば知っているだろうかと]
恨んでも憎んでもいいと言われた。 当たり前だ。僕は主様の傍に居たかった。 ようやく。みつけたのに。
[ロビンへと戻る怨みの視線。羽織の上からぐっと胸を掴む]
(+56) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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[>>+45 僧が、答える。静かな、 悟りを開いたような薄い笑みが見えた。 対する鵠はくるしげな表情を浮かべ]
憎めないなら… なん、なのだ。
[片手、顔を覆って。 現世の言葉が聞こえる。朧月の言葉が己の想いと重なる。]
――… …かなしい のか、
[相手への問いかけのようで居て、 自分の内側への問いでもあったか。 ――あらたなこえが在る。常世へ迷う魂が。 顔を其方へ向けて、覆っていた手を下へずらした。]
……夜光……
(+57) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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――…、…わからない
[首を横に振る。 ――りん。鈴が鳴る。
己を殺した刷衛へ抱く思いも、 人狼でありながら情を強く見せる 本郷や、ロビンや――霞月夜。
微笑み浮かべる胡蝶とは対照的か。 全てが重ならない故に双花足りえる。
胡蝶の衣の裾を、く、と握った。]
(+58) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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さて。 ここは、あちらと死した世界を結ぶ場所、なのかもしれません。 場所は同じであるのに。
あちらに此方の姿は見えず、声は聞こえず。
ああ、でも。
二人には聞こえているようですね。
[いずこかを見る。 そしてまた夜光の方を向いた]
憎めといわれたのなら、憎むと良いでしょう。 けれど、それで何が変わるわけでもなく。
憎むことは、己の醜さを表に出すこと。
それが悪いことだとは思いませんけれど、ね。
(+59) 2010/08/08(Sun) 22時半頃
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