17 吸血鬼の城
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嗚呼……
[>>*25柔かな女の甘い囁き 其れが偽りだと、己が人としての生を奪った結果だと 知っているのに、空虚な胸がひととき塞がる心地]
愛しいローズ お前はお前の望むとおりに、あれば良い
[けれど其の口で泡と消えると言う 彼女にかける言葉は 傍に居て欲しいと願うものではなくなっていた]
(*29) 2010/06/24(Thu) 15時半頃
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[書庫に置かれた幾つかの手記 城主が知らぬものなど、無い
あれを燃やし、灰としなかったのは 何故か
何時か記憶が戻り この手をすり抜けて逝く事を 諦めていたのか 其れとも、其の上でまだ此処へ残ると 可憐な口元から紡ぎだされるのを、望んだのか
今になっては動機も遠く霞む**]
(*30) 2010/06/24(Thu) 15時半頃
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正しき道筋ならば――… 王子様は刺されはしないわ。
別の娘と幸せに暮らしました、でしょう?
[やがて白薔薇の眷属>>*27に 御伽噺の結末を語る聲には少しだけ懐かしむ音]
(*31) 2010/06/24(Thu) 16時半頃
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私の望みはお兄様と共にある事――…
[城主の言葉>>*29に返す聲には揺らがぬ音色**]
(*32) 2010/06/24(Thu) 16時半頃
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そう、では其の望みを叶えよう。 ……永久に私の傍らに……
愛しい、私のローズ
[意思の篭った風に響く聲 城主は満足気に囁き返す**]
(*33) 2010/06/24(Thu) 17時頃
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お兄様――…
あのこが、呼ぶの。 あのこの呼び声が、聞こえたの……
[今はもう其れも届かなくなり 感じるのは血の気配と死の匂い。
気が焦るばかりで上手く情報を集められない。 こめかみが酷く痛みを訴えていた]
(*34) 2010/06/24(Thu) 21時半頃
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――…私のローズ
[揺らぐ気配 僅かに眉根を寄せる]
其の娘は 取るに足らぬただの人の子だ。
お前とは別の存在だろう?
[言い聞かせるように囁きを送る]
白薔薇が食事を終えただけのこと。 片付けは影が間も無く。 ……何が呼ぶと言うのだ。
(*35) 2010/06/24(Thu) 21時半頃
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別の、存在…… 私とは違う世界の、こ……
分かってる 分かってるのに……
[行かなくてはいけないのだと 無くしたはずの記憶の欠片が告げている]
――……っ! 食事を、終えた……? 白薔薇が…、あのこを……?
[兄の囁く事実に目の前が白むような感覚]
(*36) 2010/06/24(Thu) 21時半頃
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わかっているのに――… なお、行こうと言うのか
[重い呟き]
………………――――好きにするが良い。
[やがて間を置いて 突き放すような一言が返った]
(*37) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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[ 兄の突き放すような聲に 心が 痛む ]
(*38) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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ひとつ 先に言っておこう ……其れの墓を作ることは、まかりならん。
わかっていような?
[書庫の様子に、城主は何時に無く厳しい聲を向ける。 彼女の揺らぎのもとを 特別に扱う事は絶対に、避けねばならなかった]
(*39) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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――…ぅ、……くっ
[酷い頭痛が女を苛む。 城主の聲が、何処か遠く聞こえた]
(*40) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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私のローズ お前が誰のものか……言えるだろう?
[僅かな嗚咽。 城主はうって変わって、穏やかな聲を響かせる]
(*41) 2010/06/24(Thu) 22時頃
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――…お兄様、の……
[穏やかな城主の聲に返す聲は何処か虚ろで]
(*42) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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愛しい私のローズ…… そう、お前は私のもの。
[閨で情人にかけるような囁き。 彼女のひととしての嘆きを拭い 魔へと――己へと繋ぎとめる為の]
其処にあるのは、遠い夢。 ……早く此方へ、戻ってくるのだ。
今其れを影に片付けさせよう。
(*43) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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[白薔薇の嫣然とした吐息、 満たされた今、揺らぎはなく、それは目覚めの時のように]
御伽噺の正しき道筋……
嗚呼、そんな終焉は訪れはしないのですから、
ではどちらにしても
我々は間違ってしまったのでしょうね?お嬢様――…
[彼女が「為した」者の手で、 彼女の「大事なもの」が奪われる、その因果]
(*44) 2010/06/24(Thu) 22時半頃
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[甘い囁きが耳朶を擽る。 其れを心地好いと女は思う。
全てを思い出しても 其れは変わらず――]
貴方が好きよ、 ヴェスパタイン……。
でも、如何して私に優しくして呉れたの? 私は、貴方を傷付けたはずなのに…… 如何して妹として慈しんで呉れたの?
[抗ったあの瞬間を思い出し 問う声は何処か不思議そうに――]
(*45) 2010/06/24(Thu) 23時頃
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――…
[己の名を呼ばれるのは、随分と久しぶりだった。 城主は沈黙を返すのみ]
(*46) 2010/06/24(Thu) 23時頃
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