17 吸血鬼の城
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[言葉を途切れさせると、傍らに佇む血を分けた相手へ 薄く笑みを向ける]
勿論、お前も愉しむと良い。 渇きのままに、欲望のままに もう…… 我慢する事は無い。
[語りかける声音は低く甘く されど其れは人の耳には届かぬ波長を持って響く。 元は人間であった彼女が人間の血を啜るさまを見るのは 城主の愉しみのひとつでもあった]
望みがあれば、何でも叶えよう。 ……私のローズ。
(*0) 2010/06/19(Sat) 23時半頃
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[くすくすと人間には聞こえぬ聲で笑う]
私もお兄様を楽しませられると良いのだけれど。
[城主を愉しませる為の宴と客人に告げた者に 女は控えめな態度の儘言葉を返し]
渇きのままに、欲望のままに お兄様は私に甘くてらっしゃる……。
[兄の笑みに嬉しそうに細まる女の眸]
優しい、私のお兄様。 大好きよ……。
[睦言を交わすかのように甘く囁き 切なさを隠すように胸元でぎゅっと拳を握った]
(*1) 2010/06/20(Sun) 00時頃
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私のローズ……お前は客では無いだろう? 傍に居るだけで、充分私は満足している。
[人間の中では類稀な美しい薔薇を この手で手折ったその瞬間と 変じた彼女が作り出す新たな犠牲者と 其れを眺める事こそ、城主を愉しませているのだが]
愛しいローズ。 お前に甘いのは、仕方が無いだろう。 永遠に続く孤独の中で漸く見つけた同胞なのだからな。
[人の言う愛は、城主には当てはまらない。 けれどその薄い唇は愛しいとそう何度も彼女へ呟くのだった]
(*2) 2010/06/20(Sun) 00時頃
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客人ではないけれど…… 私はお兄様の為だけに存在するの。 お兄様に喜んで貰える事が無上の喜び……。
[目覚めて初めて目にした美しい兄に心酔していた。 長く共にあれど其れは変わる事無く]
愛しいお兄様。 貴方の孤独を私の存在が少しでも埋められたなら……
[薄い兄の唇が紡ぐ言葉に女の心は満たされる。 それは先ほどまでの飢えさえ忘れさせて呉れる魔法の言葉]
(*3) 2010/06/20(Sun) 00時半頃
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私のためだけに……
[存在する。 鸚鵡返しに囁き、ちらりと視線を投げた。 其れは彼女が真に望むことか 其れとも、己が与えた力によるものか 其の先を考える事はしなかった]
永遠に続くこの命がある限り 孤独が消える事は無いが……そうだな、 お前が愉しむその姿が傍にあれば 私は満たされる。
……喉が渇いているのだろう? 先ずはどれが欲しい。 あの粗暴な男か、其れともこの女が良いか?
(*4) 2010/06/20(Sun) 01時頃
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お兄様のためだけに。
[同じ言葉を繰り返す。 過去を失った女は彼の同胞になることを自ら望んだのか 望まぬままそうなったのか知らないけれど 今は望んでそうなったのだと思っている]
貴方に与えられたこの命が尽きるまで 私は貴方の傍にいます。
[満たして差し上げたいと思いながらも 傍にいて愉しむだけで本当に良いのか女には判断がつかない。 渇きを指摘され恥ずかしげに眸を伏せる]
――…お兄様は何方をお気に召したの?
[答えを用意できぬ女は質問を返した]
(*5) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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愛しいローズ。 ……私は、多くを望まない。 ただお前が傍に居るだけでも、充分だ。
[まるで己は生ける死人のようだと、常々思うようになった。 刹那に生きる人間達の傍で暮らすうちに。 彼らが己の存在に踊り、狂い 破滅――若しくは自滅する様を観察するのが唯一の愉しみ。 其の後に襲う虚無からは、どう足掻いても逃れられはしないのだけれど、同属が傍に居ると思えばいくらかは紛れる]
――…そうだな、私は
[彼女の問い掛けには汚れたチーフを振り、目配せを一つ。 その血の持ち主に幾らかの興味を抱いたのだと、暗に告げた**]
(*6) 2010/06/20(Sun) 01時半頃
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[兄の聲は女の耳に心地好い]
お兄様の望むままに。 誰よりも、私はお兄様を想っています。
[自分の知る世界の中心である兄の望む者を知れば 伏せた睫毛がぴくりと震えた]
ならばその者には手出し致しません。 お兄様にとって愉しい宴となりますように。
[女は心得ているとばかりにそう紡ぎ 複雑な思いを心の内に留めおく]
(*7) 2010/06/20(Sun) 02時半頃
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[城主の妹となった女に記憶がないのは幸い。 何故なら人間であった頃の記憶を持ちながら 人間の血を啜ることに弱い心は耐えられないから。 そんなことは露とも知らず女は人間の血を啜る]
――…私はお兄様の同胞。 私は、ヒトではなく闇に住まう者。
昔のことなんて思いだせなくて良い。
[郷愁も思い出の品も捨てられぬのに 自らに言い聞かせるようにして]
私はあの方の妹。 私は――…私以外にはなれない。
[女の耳朶は拾わずともよい声さえ拾ってしまう。 サイモンの呼ぶ声に物憂げに柳眉が顰められた]
(*8) 2010/06/20(Sun) 05時頃
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お前が望むなら、あの客人も与えてやろう。 ――私の同胞……私のローズ。
[言い聞かせる聲に囁きかける。 暗示にも似た言葉 「私のローズ」 彼女が目覚めてから、そう呼び続けてきた]
お前の美しい顔を顰める者が居るようだな。
[影の密告を受け、城主は低く洩らす]
その憂い、私が晴らすが良いか 其れとも、お前が喰らうか……?**
(*9) 2010/06/20(Sun) 08時半頃
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[気高く美しい兄の聲に伏せた睫毛が小さく震える。 幾度となく繰り返された暗示のような言葉]
お兄様…… 私はあの客人を望んでなどいないのです。
[興味がないと言えば嘘になる。 けれどその興味はあの客人が兄の目にとまったから。 本当に望むものは口に出来ぬまま――]
…………。
[白薔薇の執事が影を通じなされた密告。 兄の問い掛けに妹は逡巡する]
もうあの声を聞きたくはないのです。 お兄様にあの者の処遇をお任せします。
[憂いを滲ませた聲が密やかに囁かれた]
(*10) 2010/06/20(Sun) 16時半頃
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――…私のローズ。
[囁く聲に混じる憂い。 まるで彼女に呼応するかのよう]
お前が望まぬ客人 けれどあの客人はお前を望んでいる
ならば、すべき事はひとつ お前が楽にしてやるが良い。
[彼女を求めるものが、彼女によって逝かされる そのとき彼はどのような声をあげるだろう ざわ、と背筋に走るものを感じ、語尾は甘く震えた]
(*11) 2010/06/20(Sun) 16時半頃
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――…私が、それを為せと…?
[兄の囁きに女の聲が沈む]
意地悪なお兄様。 私の願いを聞き届けては下さらないのね。
[甘い震えを伝える聲の主に女は逆らえない。 望まぬ男の求めに応じる苦痛よりも 兄たる者の悦びを女は優先する]
嗚呼……
[悩ましげな吐息が零れた]
(*12) 2010/06/20(Sun) 17時頃
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……意地悪な私は、嫌いか?
[からかうように吐息混ざる笑みを送る。 彼女が己に逆らうなど、考えぬ風]
私に、見せてくれ。 お前に懸想した 哀れな男が壊れ朽ち行くさまを。
[彼女の沈む様子とは裏腹、愉しげな聲が囁き響く。 先に待つ仄暗い悦びを思い、ひとりほくそ笑む*]
(*13) 2010/06/20(Sun) 18時頃
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――…嫌いになどなれません。 知っていてそんなことを聞くなんて……
[恥じ入る聲はまるで乙女の如く]
お兄様の望みとあらば……
[静々と了承の意を兄に告げる]
(*14) 2010/06/20(Sun) 20時半頃
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――…違う。 私は……人間のものになんてならない。 貴方のものなんかじゃ、ない。
止めて…… 私をそんな風に呼ばないで。
[想いが震える聲となり密やかに響く。 否定の言葉は無論兄に向けられたものではなく ただ過去に縋る憐れな男へのもの]
私をそう呼んで良いのは…… お兄様だけ――…
(*15) 2010/06/20(Sun) 21時半頃
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[城主には届いている。 彼女に縋る哀れな男の声も、 痛みに揺らぐ彼女の聲も]
私のローズ
[重ねるように 男の声音を掻き消すように、囁く]
お前は私のモノ。 私の為に在る。 そうだろう?
(*16) 2010/06/20(Sun) 21時半頃
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[城主の聲にはっとする。 紡がれた綴りは同じだというのに 城主からの囁きには安堵さえ覚えた]
お兄様。
[切なく響く聲]
私はお兄様のモノ。 お兄様の為に――…
[そう繰り返しながらも 胸の痛みはなかなか消えてはくれなかった]
(*17) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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そう、お前は私のモノ。 ……私のローズ
人間に惑わされては、ならんぞ?
[囁きながらも、何処か其れすら愉しむ風に]
(*18) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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わかっています。 人間に惑わされなどしません。
[人間の囁きに心乱されながらも 惑わされてはいないと強く言う]
――…私を意のままに出来るのはお兄様だけ。
(*19) 2010/06/20(Sun) 22時頃
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そう、可愛い私の薔薇。 ……食事を終えたら、私の元へ来るが良い。
口直しをやろう。
[己の血を分け与える行為を仄めかす柔かな声音。 吸血鬼の本能を強める為 己の下へ縛り付けておく為 今一度、あの極上の悦楽を共にと誘った]
(*20) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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――…嗚呼。
[仄めかされたその行為は女の望むもの。 込み上げる歓喜が女の聲を切なく震わせる]
記者と黒薔薇が傍におりますが…… 滞りなく成し遂げてみせましょう。
愛しいお兄様のために。
(*21) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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黒薔薇か……あれは、 我等の食事を見る時 なんとも言えぬ顔をする。
[愉しげに笑い、何の問題も無いと囁く]
記者が居たとして、従者は何の為に居るのか 上手く使うと良い
愛しい――…私のローズ。
(*22) 2010/06/20(Sun) 22時半頃
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折角だから黒薔薇にも見せてあげましょうか。 私の食事を――…
本当に気のまわる従者ね。 命じる必要がないくらいに…… 嗚呼、少しだけ憎らしいこと。
[憎らしいといいながら それは愉しそうに呟かれて]
(*23) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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嗚呼 其れは……良い、な。
[食事を見せ付ける 提案にくすくすと哂った]
憎らしいなら 存分に見せ付けてやるが良い。
(*24) 2010/06/20(Sun) 23時頃
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