249 Digital Devil Survivor
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「あの……」
[逃げてきた人の内の一人だろう、女性に話しかけられた。 昨日見た覚えはないから今朝にでも逃げてきたのだろうか。
彼女の手にはまだ黒く染まり切っていないマガタマがあって。 それをこちらへと向けて差し出してきた。]
「これを、慶一さんに。なんだか気味悪くて……」
[そう言って手渡された。 瞬間。]
(191) 2016/06/21(Tue) 13時頃
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[―――――――――――――――ドクン。]
(192) 2016/06/21(Tue) 13時頃
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[右目がずくり、と脈打つように痛む。]
え、……あ、なん……やばい、
[右目が紅く輝いて、魔法陣が刻まれる。 虹彩が激しく収縮と拡大を繰り返している。]
逃げて、すぐ、ここから……――――――――――!!
[女性を押しやり、右目を抑え何かを堪えるように背中を曲げる。 握っているマガタマが熱く、掌が焼けるよう。]
(193) 2016/06/21(Tue) 13時頃
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く…そ、なんで……っ!!
[全身が汗が吹き出て、それでもコレを止めようと抗っていたが。 昨日追った怪我で身体が痛むせいもある。 怪我のせいで熱が高いせいもある。 なんなら寝不足のせいもあった。]
(194) 2016/06/21(Tue) 13時頃
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ここには一般人もいるんだ、俺の…お前の、大事な氏子だろ、
[そして掌のマガタマのポケットに仕舞っていたマガタマ、合計4つ。 それらが共鳴して精神を蝕んでいく。]
大穴牟遅神《オオナムチ》
[完全に膝をついた瞬間、ソレは召喚された、 大穴牟遅神が吼える。 無数の雷がカッ、と轟きながら境内を奔る。 そこにいた人々を巻き込みながら、雷は落ちる。
人々が巻き込まれる度にマガタマは黒く染まっていく*]
(195) 2016/06/21(Tue) 13時頃
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[見渡神社の鳥居の内は一言で言うならば大参事であった。 逃げ惑う人々を襲う雷撃。
それを止めようと必死に制御しようと試みるも効果はみられない。 掌のマガタマが熱く、脈打つようで。 それに呼応するように大穴牟遅神は暴れている。
暴れる神の目を見れば、そこに理性はなく。 動く者があれば食らい、雷を落とし、焼き尽くす。
それはそこから動く者がなくなるまで続いた。]
鳴。
[鳴が鳥居の前に立った時、そこにあったのは血の海に佇む慶一と。 慶一の背後で殺気を放つ大穴牟遅神の姿だった*]
(231) 2016/06/21(Tue) 20時頃
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……暴走してる、なんで。 マガタマのせい?
[呆然とした声で呟く。 大切な氏子達が無残に引き裂かれ死んでいっているのに。 何も出来ず、ただ見ていた。]
(*14) 2016/06/21(Tue) 20時頃
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……うん、無理かな。 だってさぁ、これ喚んだの俺だし?
その気なかったけど、なんか勝手に出てきたんだけど。 そんで暴走してんのも、それを抑えられなかったのも俺のせい。
[大穴牟遅神が低く唸り、鳴を見据える。 慶一が口を開く、と同時に雷鳴が轟き。]
ね、俺のせい。 今ならまだ逃げられる、だから逃げなよ鳴。
[鳴と慶一の間に槍の如く落ちれば、そのまま真っすぐに鳴を狙って奔った。]
(235) 2016/06/21(Tue) 20時頃
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[近づいてくる気配>>228 あれには覚えがある。 この脇腹を抉ってくれた女の気配によく似ていた。
だが、随分と荒々しい。 あの時はもう少し穏やかだと思っていたが。
正直、現状で相手にするには分が悪い。 こちらの怪我もあるし、召喚する気のなかった大穴牟遅神はいう事を聞かないし。 なにより鳴がいる。 あまり彼女と戦いたくはないし、巻き込みたくもなかった。
多少なりとはいえ情が沸いてしまった相手。]
……どーせならカッコいいとこ見せたいんだけどなぁ。
[なんて嘯いてみせても、余裕はなく。 足を動かせばぬるりとした血の感触に心が軋む音がした*]
(236) 2016/06/21(Tue) 20時半頃
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ちょっと、大物が勝手に出てきて暴走してるだけ、なんだけど。 参ったな、これ俺死ぬかも。
[無茶をしたくてしたわけでもなく。 何が切っ掛けなのかも分からないけど。 おそらくはただの自分の力不足のせい。 簡単に言えばキャパオーバー。]
(*17) 2016/06/21(Tue) 21時頃
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[鳴の言葉と重なって仲間の声が聞こえる。 心配されているわけではないが、怪訝そうな声だった。]
ふ…は、はは…まいったな。 ごめんね、鳴。
これはさぁ、こう見えても西廼が信仰する神なんだよね。 だから、倒されるのは困る。
[雷撃は水の壁により防がれた。 逃げざまに放たれた水の刃は大穴牟遅神が吼えればその音圧で消し飛んだ。]
(243) 2016/06/21(Tue) 21時頃
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[慶一は何も命令を下さない。 大穴牟遅神は完全にこちらの手を離れて動いているから。 精神力はがりがりと削れていっているが、神にとってそんな事は些細な事だろう。
大穴牟遅神がゆらり、と身体を揺らして鳴を見据える。
”ペトラアイ”
邪眼が鳴を見据えて、発動したのは石化の呪詛*]
(244) 2016/06/21(Tue) 21時頃
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[鳴の足元が固まるのを見れば、動揺に僅かに揺れた。]
西廼はなんで地に降りたと思う?
[問いかけと同時だっただろうか、霧が視界を白くしたのは。 それでも鳴に話しかけようと口を開いて、しかし続きを声に出す事はなかった。
近づいてくる気配がある事には気づいていた。 だから油断はしていなかったはず、だが。]
(258) 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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…―――――――くっ、
[襲い来るリムドーラは三本。 鳥居を吹っ飛ばし、それは大穴牟遅神を一斉に狙う。
雷撃《ジオダイン》
大穴牟遅神は対抗するべく雷撃を放った。 幾らかは相殺されたが全てを消し去る事は出来ず、ダメージを食らう。
が、ダメージを食らったのは大穴牟遅神だけではない。 吹き飛んだ鳥居の破片や石、土が身体を打ち付け切り裂いた。
ただでさえ大穴牟遅神を召喚している事で精神が削れているというのに。 は、と息をつくとよろり、と片膝を地面についた。]
(259) 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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もー手遅れ、かな。
[鳴と小鈴を振り切って逃げられる気はしない。 それに。]
カミサマが容赦なくMAG食ってくれるんでね。 このまま衰弱死の未来が見えるよ、俺。
[削れる精神。 後どれ程耐えられるか。]
(*19) 2016/06/21(Tue) 21時半頃
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[霧が晴れて視界がクリアになって、まず目に飛び込んできたのは倒れようとする鬼の姿>>269]
おい、待て。 まじかよ。
[巨大な鬼が倒れればどうなるか、考えるまでもない。 動かない身体を叱咤して逃げようにも、やはり動かず。
鬼が倒れた衝撃で境内を壊れ、無残な姿へと変わっていく。 境内だけならまだいいだろう、社殿も壊れて、そして火が広がっていく。]
(275) 2016/06/21(Tue) 22時頃
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[大穴牟遅神が吼えた。 巨躯をうねらせ、倒れた鬼へと向かって飛びついて。 カ、と口を開けるとその肉を食らわんとする。
その光景すらも霞んでいく。 精神が削れていくのが分かる。 元より自分の技量では召喚出来ないモノ、それを喚んでしまった。 故に、削れていくのは精神のみではなく、生命そのものが削れていく。
大穴牟遅神が弱れば制御を取り戻して、そして還ってもらう事も出来るかもしれないが。 現状では難しそうだ。]
(276) 2016/06/21(Tue) 22時頃
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……あっつ、
[焦げる匂いがする。 熱風が吹き荒び、肌を焼く。 じりじりとした痛み、それに激しく脇腹も痛む。 痛む脇腹に手をやればぬるりとした感触がした。 傷口が開いたのだろう*]
(277) 2016/06/21(Tue) 22時頃
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分かるよ、だってこれはうちの祭神。 俺のカミサマだよ、西廼が護ってきたもの。
あーそのカミサマに食われんのか、俺。 まあ、悪くはねぇな。
[実際の口は苦痛と出血による貧血でまともに動かすのも困難なのに。 こっちだとこんなに饒舌に話す事が出来る、実に滑稽だ。]
鬼は連れて逝く。 ただで死ぬ気はねぇよ、これでも意地ってもんがあるんでね。
(*22) 2016/06/21(Tue) 22時半頃
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[傍らに鳴がいる。 こういう時、誰かが傍にいるというのは心強いものだと知った。 少しばかり遅かった気もするけれど。
酒呑童子が大穴牟遅神を叩きのめす。 炎を纏ったその拳は出鱈目ではあったけど、大穴牟遅神を捉えた。]
…――――――――いける、か。
[その瞬間、本当にほんの一瞬だけ大穴牟遅神の主導権を握る。
ふわり、と風が吹いて紅い右目が覗いた。 刻まれた魔法陣が広がって。]
(291) 2016/06/21(Tue) 23時頃
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いけよ雷撃《ジオダイン》
[慶一の命令に従って大穴牟遅神は天に昇り、一際大きく吼えると酒呑童子に向かって雷撃を落とした。]
(292) 2016/06/21(Tue) 23時頃
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[無理をした。 祭神だ、こちらが主になんてなれるわけのない大物。 それを抑え、従えさせたその代償。
それは、この命そのもの。
始まりはマガタマの暴走。 慶一の望んだ事ではなかったけど。 でも、そうなったのは自分の責任だ。 少なくとも、護るべき氏子達を殺した責任は取るべきだろう*]
(293) 2016/06/21(Tue) 23時頃
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俺の望みは、西廼の悲願の為。 この地を統べ、神の御姿を知らしめ、そして。
(*24) 2016/06/21(Tue) 23時頃
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まー、簡単に言ったら信仰集めたいだけなんだけどね。 日本はダメだよ、このままじゃ。 信仰は衰え、外来の神に侵食されて。
八百万、全てを受け入れて迎合してきた結果がこれ。
それも一つの形なんだろうけど。 西廼はそれを是としない。
そんだけだよ。
(*25) 2016/06/21(Tue) 23時頃
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[――――――――瀕死の一撃]
(317) 2016/06/21(Tue) 23時半頃
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ダメ…だ、俺の、カミサマ……やらせ、ない。
[紅い目が爛と輝き。 酒呑童子へと食いつかんとしていた大穴牟遅神の姿がふ、と消える。
鬼と慶一の間にいた大穴牟遅神が消えるという事は。 鬼の攻撃を全て慶一が受けるという事。]
(319) 2016/06/21(Tue) 23時半頃
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[西廼は地に降りた、それは未来を憂いていたから。 靖水を護り、山に籠ってただそれだけを管理していたのならよかったのかもしれない。 でもそれを是としなかった。
日本は全てを受け入れ、迎合し、変質する。
古き国津神の信仰は絶え、外来の神を迎える。 その先に何が待っているのか。]
……ぐ、ぅあ、ああああああああああっ!!
[苦痛に悲鳴をあげて地面に崩れ落ちる。]
(320) 2016/06/21(Tue) 23時半頃
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[信仰は途絶える事はなく、続かねばならない。 だから本当はまだ、死ねないのだけど。
だけど、もう目は開かない。
鬼が炎を包まれて滅びへと向かっていくその姿を見る事も出来ず。]
め…い、
[最後まで疑う事をしなかった彼女。 彼女の名前を呼んで、何を伝えればいいのだろう。 伝える言葉も思いつかなかったから、だから彼女に向かって手を伸ばして。]
(321) 2016/06/21(Tue) 23時半頃
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[声にならない言葉を乗せて、小さく笑って。 それを最後に意識は暗闇へと堕ちていった*]
(322) 2016/06/21(Tue) 23時半頃
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[意識の途切れた身体。 そこにはマガタマは4つ。
氏子達の怨嗟を吸い取ったそのマガタマは黒々と輝き。 誰かの手に渡るのを待っている。]
(*28) 2016/06/22(Wed) 00時頃
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