人狼議事


216 宵闇駆けるは天つ星

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【人】 薬売り 芙蓉

― 岩場 ―

[呼び掛けに返る声はない。
 岩場に手を着き覗き込んだ海は底が知れず、林の妖は思わず息を呑む。
 果てを見ようと顔を上げた先、空間を隔てる結界が、少しずつ薄れていくのが見えた>>0]

 もう、仕舞いかねえ……。

[は、とゆるく息を吐く。
 己は林の主、生かすも殺すも己次第と思っていた。
 しかし、それはあくまで殺す側に立った時の話だ。
 生かす側に立った時、妖はあまりに無力だった]

(7) suzukake 2015/02/15(Sun) 23時半頃

【人】 薬売り 芙蓉

 退魔師と妖がやりあえば。
 こうなるが必然、かねえ。

[祓うと決めた妖を見逃す方が稀有であり、その息子を生かした樹怪もまた、確実に彼の影響を受けていた。
 沙耶はあの退魔師からは逃げおおせたけれど、長くは生きられぬ傷を負ったのは確実であろう]

 でも、意地が悪いじゃないか。
 人喰いのあたしがこうして生き延びて、何も知らないあの子が死んでいくなんてさ……。

[波立つ水面を、覗く。
 衣の切れ端一つでも、見えるものはないだろうかと]

 沙耶、あんたは本当に、これで良かったのかい……?

(8) suzukake 2015/02/15(Sun) 23時半頃

【人】 薬売り 芙蓉

[――それに気付いたのは、全くの偶然だっただろう。
 波間にこぽりと、それまではなかった泡が浮かび上がる>>6]

 沙耶……?

[見間違いと言われても頷ける程の、小さな泡。
 それでも、妖は、それが小さな小さな、沙耶の叫びだと信じることにした]

 諦めない、って、言っちまったからねえ……!

[岩場と塩水は、樹と相性が悪い。
 その身を植物へ変じれば、残り少ない妖力を急速に削られると承知で、妖は人に似せた身に再び妖力を呼び起こし、下腕から蔓を生み出し海中向けて垂らす。
 もう掴む力もないかも知れぬから、触れた物をこちらから絡ませては引っ張り上げる。
 それを、何度も何度も――見付からねば力尽きるまで、何度も繰り返した*]

(9) suzukake 2015/02/16(Mon) 00時頃

薬売り 芙蓉は、メモを貼った。

suzukake 2015/02/16(Mon) 00時頃


【人】 薬売り 芙蓉

― 岩場 ―

[冷たい海水に触れた蔓は、妖力を送る傍から枯れていく。
 それでもどうにか保ち続けたそれに、引っ掛かるものがあった>>22
 人の大きさほどの、滑らかな表面を持つそれを、蔓を巻き付け引き上げていく]

[姿は変わってしまっていたが、間違えるはずもなかった]

 沙耶……!

[くたりとして動かぬウミヘビを、それでもその名を呼んで抱き締める。
 熱い血潮は持たぬが、それでも少しでも冷たい体を温めようと]

 良かったよ、間に合って……。

[呼び掛けに答える声はない。
 それでも、微かな吐息とちろりと見えた舌が、確かに彼女がまだ生きていることを教えてくれた>>23]

 でも、このままでは凍えてしまいそうだよ。
 少しでも、傷を癒さないとねえ。

(24) suzukake 2015/02/18(Wed) 00時半頃

【人】 薬売り 芙蓉

― 村外れ ―

[沙耶を抱えたまま、ゆっくりと、土のある方目指し歩き始める。
 それは必然的に退魔師たちへ近付くことにもなったが、今は気にしている余裕はなかった。
 ようやく片足が土を踏んだ所で、どさり、と頽れるように座り込む]

 ああ……あたしも今日は、派手に動き過ぎたよ。
 少し……眠くなってきた……ね……。

[沙耶の頭を膝の上に乗せ、見守る妖の首がうと、と傾ぐ。
 樹怪の身は本来、土を離れ長く動き回るようには出来ていない。
 妖気が尽き、再び微睡みの刻が来た――そう、妖は解釈する]

 大丈夫……沙耶をこのまま放っておきは、しな……い……。

(25) suzukake 2015/02/18(Wed) 00時半頃

【人】 薬売り 芙蓉

[座り込んだ妖の周囲から草が芽吹き始める。
 妖気孕むその草は、人にとっては毒だが、妖にとっては傷を癒す薬草であり、柔らかな寝床ともなるだろう。
 それが少しでも、沙耶の回復を早めればいいのだが――樹怪が意識を保ったまま、それを見届けるのは難しかった]

 すまないね……気が向いたら、起こしておく……れ……。

[沙耶に覆い被さるようにして眠りに就く妖。
 やがてその身は地へ根を張った、小さな樹へと変化する。
 妖気が満ちれば、再び人型を取り動くことも出来るようになるだろう。
 しかし――もう人が訪れることもない、滅びた村の片隅で。
 人喰いの妖に、妖気が満ちるはいつのことになるのだろう*]

(26) suzukake 2015/02/18(Wed) 00時半頃

薬売り 芙蓉は、メモを貼った。

suzukake 2015/02/18(Wed) 00時半頃


【人】 薬売り 芙蓉

[沙耶>>46の声ならぬ声は聞こえない。
 ただ、微かな吐息や、寄せられる身から、彼女の思いは確かに伝わっていた]

 ……ありがとう……。

[頬に舌が触れる>>48のを感じ、重い瞼を持ち上げ沙耶を見る。
 眠りに就く前の最後の思い出に、彼女の姿を記憶に刻もうとするかのように。
 そして、囁きの余韻が消える頃には樹怪の瞼は閉じられ、溶けるように樹の肌へと消えていった]

[冬の海風とは違うやわらかな風>>50が、妖の樹の枝を揺らし通り過ぎていく。
 血の通わぬ妖の身の内には、消えることのない温もりが確かに宿っていた。
 遠くない春に開く、蕾のように*]

(55) suzukake 2015/02/19(Thu) 23時半頃

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