260 3日村
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バカなこといわないで! 約束を破ったのはわたしじゃない!
──だって、一緒に、一緒に生きようって言ったんだもの!
[慟哭は刃となって。大きく広げられた翼から青い翼刃が各所に放たれる。 一緒に生きるのがこんな意味(彼と一体となった世界樹と共に)だったなんて認めたくない。 猫が何かを口に出そうとしていたが、それを自ら遮るように腕を抑える。>>222 その隙を、見逃すわけがない。]
(0) 2016/12/05(Mon) 18時頃
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──回想:彼が英雄と呼ばれた日──
[大きな背中に肩車をされて、世界樹の太い幹の周りを駆け回る。兄と妹のような光景は微笑ましく、柔らかい光が豊かな土地へ降り注いだ。 その中で、男が足を止める。]
バルメロス、どうしたの?
[きゃらきゃらと少女は無垢な笑顔のまま問いかける。 今まで数度この場に足を運んでいた男は、静かに少女を肩から降ろして向き直り、話を始めた。
──デメテル、聞いてくれ。
そうして明かされたのは"少女の運命"を改竄した歴史には記されない"英雄の運命"≪英雄の死≫。 そして、彼はそれを乗り越えると──少女と共に、この先を生きていこうと、そう誓った。]
なら、わたし待ってるわ。 バルメロスはここの地下にいくんでしょう? だから、バルメロスがここから登ってくるまで、わたし、待っててあげる!
[──"英雄"となった二度と戻ってこないと"彼"に知らされたのは、その遥か後の時代のことだ。]
(1) 2016/12/05(Mon) 18時頃
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───シメオン!
[いるんでしょう。出てきて、わたしを、わたしをたすけて! 泣き叫ぶ少女は両手で顔を覆ってかぶりを振る。 たすけて、たすけて。 子どものように叫ぶ声は聞こえただろうか。>>216]**
(2) 2016/12/05(Mon) 18時頃
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[ギリ、予想せぬ加勢≪守護神 Θάνατος≫に奥歯を食いしばると、徐ろに声を上げようとし──、一発。赤い炎弾が二人の中>>3を遮ろうとする。 危険を判断した反応が咄嗟にシメオンを庇うと、アプリコットの髪が広がり炎の槍を包み込む。そのまま腹を槍に貫かせれば、少女は指で大きく空を指差し、言った。]
シメオン、抱っこ! 青い鳥≪bluebird≫、飛んで!高く、高く!
[じゅうじゅうと燃え盛る炎が肉を断ち、木の焦げる匂いが辺りに充満していく。けれど、少女の顔は痛みに歪むことは無く。──辺りの、養分を吸い取って徐々に傷を塞いでいく。]
(12) 2016/12/05(Mon) 23時頃
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──謳え、母なる大地よ。 ──手を広げろ、大木よ。 ──永遠の緑を、恩寵をここに示せ。
(13) 2016/12/05(Mon) 23時頃
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───大地讃頌≪ロスト・オールグランド≫
(14) 2016/12/05(Mon) 23時頃
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[紅い瞳を蒼く光らせ、その奥に緑が宿る。 豊穣の女神のその力をすべて解放するかのように。 短い詠唱を終えると、世界樹一帯≪PERFECT AREA≫はまるで物語に伝わる楽園かのように、緑を生い茂らせていた。]
(15) 2016/12/05(Mon) 23時頃
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この空間の中でなら、わたしは、何度だって謳える。詠える。 永遠の緑が、わたしの手助けをしてくれる! わたしの祈りを、救済を、こんなところで尽かせたりしない!
[少女はシメオンの腕に抱きついたまま、まだ遊びたいのだと駄々をこねる稚児のように──その純粋な願い(すくい)を、2人>>11にぶつけた。 もちろん合言葉は、やっちゃえシメオン!だ。]**
(16) 2016/12/05(Mon) 23時頃
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やっちゃえシメオン!
(*1) 2016/12/05(Mon) 23時頃
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わあ、すてき!ありがとう、シメオ、ン…!? ───ばかばか! そっちにいったら助けられなくなっちゃうでしょ! [優しく手渡された二つの甘味芋≪スゥィート・ポティトゥ≫>>23に喜ぶのも束の間、クシャミの上へと躍り出た青年>>24に焦ったように声を上げる。青い鳥≪bluebird≫の上でじたじたと脚を暴れさせると、次々と現れる植物たちに唇を尖らせて。]
それ≪大地の恵み≫はわたしの十八番なのに… …それに、あぶないのは嫌よ、わたし。
[空中に生成される弾丸≪死の塊≫>>31の数々には眼も向けず、守護者Θάνατοςをじっとりと見つめる。 青い鳥≪bluebird≫の各箇所がいくつもの弾丸に貫かれ木の葉を散らしてゆくも、それでも小さな少女を狙うには多少大雑把すぎる攻撃だ。数歩の動きでそれを避けるとひとつ、大きく跳ねてみる。 さて、そうすればどうだろうか──大地≪Waltz of the forest≫が地震を起こしたかのように大きく揺れる。 そしてゆるり、少女が手を挙げれば青い鳥≪bluebird≫は羽を広げ、彼の攻撃を真似たような単調な翼刃(模倣の刃)を放った。]
(39) 2016/12/06(Tue) 19時頃
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ええー!? やあよ、だってせっかくシメオンからもらったんだもの!
[これはわたしの!抱えた甘味芋≪スゥィート・ポティトゥ≫を青い鳥≪bluebird≫の羽毛に隠すようにして眼下にいるガーディに口を尖らせる。 単調な攻撃はもちろん、ガーディなら避けられるものと予想して…そしてこちらを見ていると予想して舌さえ出してみせる。
そして2人のじゃれあい≪攻防≫と軽口≪駆け引き≫に笑みを浮かべてみせた。]
もし間違って当たっちゃっても、 わたしが治してあげるから大丈夫よ!
[なんて、きゃらきゃらと声を上げて。]
(*9) 2016/12/06(Tue) 19時半頃
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ううん…あんまり。 だってわたし、クシャミくんなんてどうでもいいもの! …どうでもいいもの。約束破りのひとたちなんて。
[拗ねた声。そっぽを向けば鳥の羽毛に顔を埋めて。]
(*12) 2016/12/07(Wed) 13時半頃
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[突如世界樹≪bluebird≫の前…彼らの攻防>>66の中心、クシャミが血に膝をつけたその時>>67、巨大な魔法陣が銀の上に描かれる。 魔法陣を描くために必要な全てはここにあると言わんばかりに周囲の魔力≪マナ≫を食い尽くし、攻撃の為に発された水泡の残花≪水銀≫が魔法陣の中にルーン語を記していく。
──ドオ──ン
一瞬の圧力、暴風、荒れ狂う花弁。 そして皆が目を開けたその時────"彼"は居た。]
(74) 2016/12/07(Wed) 14時頃
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[ ──"正義の味方"トレイル・モンブラン・オルディス・ラフェリオン
その人と、その側に佇む自動人形≪オートマタ≫が────]
(75) 2016/12/07(Wed) 14時頃
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…来た。
[鳥≪bluebird≫の上、暴風で荒れた髪を気にもせず、顔に飛んで来た草を貼り付けたまま少女は呆然とつぶやく。]
───来た。
[そして二度目の呟きは、歓喜の色に染まり。 最早下での争いなど目にもくれぬ。 ただ、そこに"英雄の魂"を宿した彼がいるのだと、思うべき救いを今こそ果たせるのだと、打ち震える心臓が叫んでいる。]
"英雄"よ!いまこそ、いまこそ! わたし≪豊穣の女神≫との約束≪ギアス≫を果たすべきだ! この世界に、救済を! そしてわたしの心に、安寧を!
(76) 2016/12/07(Wed) 14時頃
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[吐きそうなトレイルの目線の先にトレイルの幸福≪世界の幸福のトイレ≫はあったのだろうか?]**
(83) 2016/12/07(Wed) 19時半頃
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うふふ、大丈夫ぅ?
[くたくたと地に伏す青年>>81に声をかける。 青年の体を拾い上げるように木の蔦を這わせると、そっと少女≪豊穣の女神≫の元に持ち上げて。]
会いたかったわ、バルメロス!
[ぎゅう、無邪気に抱きついたならその幸せそうな笑顔の元に、青い鳥≪希望(憎しみ)の権化≫は消え失せるだろう。 残るは、癒しの固有結界≪≪Waltz of the forest≫と、鳥≪bluebird≫を具現化し続けるために消耗した、無防備な少女だけだ。]**
(84) 2016/12/07(Wed) 19時半頃
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うふふ、やっちゃえガーディ?
(*16) 2016/12/08(Thu) 00時頃
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ねえ、バルメロス。 あなた、剣はどうしたの? あのキラキラした素敵な剣よ。 ───核≪コア≫を、破壊するための。
[少女は無邪気な声で問いかける。人形>>93の祈りなど知らずに。救いを──正当なる、美しき救いを知らずに。 雛罌粟は美しい花言葉を持つことを彼女は知っていたのだろう。本来の、女神としての少女がこの場に居たのならば、その花言葉の通りにきっと皆を導いた筈だ。 けれど。]
──ねえバルメロス。あなたにお花をあげるわ。 雛罌粟の花よ。 花言葉は、眠り────。
(95) 2016/12/08(Thu) 00時頃
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──あなたを、眠らせてあげる。
[ゆるりと弧を描いた唇が、彼の額に口付けを落とした。]
(96) 2016/12/08(Thu) 00時頃
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覚えてないのね、バルメロス。 うふふ、いいのよ。 わたしは豊穣の女神≪Δημήτηρ,Dēmētēr≫。 もう、思い出さしてくれなくても、いいの…───
[だから、もう一度。せめてもう一度だけ、あの暖かい腕で抱きしめてほしいのだと。本当の願いを口にはせず、少女は慈愛の微笑みを見せる。 否定を続ける本能と理解を得た思考は齟齬を繰り返して、一つの結果に辿り着く。結局は、猫の言った通りなのだ。 遥か昔、バルメロスが地下に降りた時、本当は彼>>38に「もうあいつは戻ってこない」と告げられた時から、真の願い≪もう一度愛してほしい≫は叶わないことなど、心の奥底では理解して居たのだ。]
(101) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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────いいのよ、バルメロス。何も思い出さなくて。 あなたは、真に世界を救いなさい。 それがわたしの、女神としての最後の言葉と…祝福です。
[最後は、叱責するように。混乱する彼>>98に畳み掛ける。 そして、あなたに。]
(103) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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わたしの中のあなたに、最後の眠りを。
ごめんなさい、しめおん、たなとす、そして ────おやすみなさい、バルメロス。 あいしていたわ。
(104) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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[ 英雄からそっと手を離すと、
────おちる、 おちる
崖の下 ]
(105) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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[ 世界樹から放り出された体は、軽く 軽く 花のように。
落ちた先から祝福の花が、雛罌粟達が散ってゆく。 開かれる大地に、ゆっくりとその体は包み込まれて──
ぐしゃり ]
(108) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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[ 散った実は柘榴の粒。
女神の体は呆気なく、地面に取り込まれて ────そして、門が開かれる。 ]
(109) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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────沈んだ世界の中心≪Ocutopusの心臓≫
(110) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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[ 少女を喪う世界樹はまるで後を追うように、走る、疾る。 幹を割って現れたそれは、地下への扉。 その奥に見える────世界の心臓≪コア≫。]
──ごめんね、ふたりとも。 わたし、堕ちてもめがみだったわ。 あとは、おねがい。
[ そうして幻想的な理想郷≪Waltz of the forest≫は青い希望の鳥と共に、消え去った。 残るのは雛罌粟の花弁、柘榴の粒と────あの時、彼にあげた雛罌粟の栞の、もう片割れ。]**
(111) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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[ ハンプティ・ダンプティ
割れた卵≪あのころのしあわせ≫は 二度と元には戻らない。 ]**
(114) 2016/12/08(Thu) 00時半頃
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Humpty Dumpty sat on a wall, Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses and all the king's men Couldn't put Humpty together a gain…
[彼…シメオンとガーディと出会ったのは遥か昔だ。 わたしが、独りぼっちで泣いていた時に、手を差し伸べてくれた。 わたしにとっての、長い時間を──それこそ、バルメロスより長く過ごした、家族のような存在に。
消えゆく意識の中、満足そうな笑みを浮かべた。 ]
(*18) 2016/12/08(Thu) 01時半頃
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