254 東京村U
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[Labeilleの看板が出ている店の前にたどり着いた]
あ、ここ、ここ。 なんだ、もうちょっと歩いてもよかったのに。
[ポーチから、ネイビーブルーのスマートフォンを取り出す]
あのさ、もしよかったら、交換しよ? 携帯の番号と、あとメアド。 いつかけてくれてもいいから。
(160) 2016/10/02(Sun) 01時半頃
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[スマートフォンを操作しながら、できるかぎり自然な口ぶりで、一番言いづらいことを口にした]
あたしね……ジリヤっていうの。雪野瀬 ジリヤ。 まぁ……覚えなくていいけど。
(161) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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[連絡先の交換を終え、山岸と別れると、大急ぎで本郷の元へ駆けより、車の中へ。『解放治療カルテ』がいるであろう新宿のスタジオへ向かう。
その車内で、交換したばかりの山岸のアドレスへ、2通のメールを送った]
(162) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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時折、自分も見るんですよね、夢で。 歌を歌うのは先生と一緒なんすけど、自分の場合はどっか吸い込まれちゃいそうな。何か、自分の意識が遠くに行っちゃうような…………そんな、感覚で……………
[一二三はフラッと立ち上がる。その表情は生気を失ったかのよう。]
(163) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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へ? ああ。なんでもないない。 ベッド下の隙間ってさ、なんか不安になるんだよねぇ。 何かが入り込んでたら怖いなって、突然思っちゃって。はは。
[恥ずかしい姿はしっかり見られていたらしい。 当然のことながら、ベッド下には誰もいるはずもない。]
とりあえず、みんなで集まろっか。 あっちの部屋に電話してみるね。
[入間澪音は、随分と消耗しているようだ。 クラスメイトと会わせれば、少しは元気になるだろうか? ベッドから手を伸ばし、スマートフォンを手に取る。 コンセントに繋がったLightningケーブルを抜き、木露流衣へとコールする。]
(164) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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[朝から今に至るまで、あの、「彼方」からの着信が、また届く様子はなかった。だからこそ、悪夢を見た後の経過のように、異常も不安も、遠ざかっていく一方だった。
遠ざかっていく一方だった。
ただこの瞬間の、ただ青年の主観においては]
(165) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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『すっごい変なこと聞くけど、笑わないでね? ドッペルゲンガーって、本当にあると思う?
あたし、見ちゃったんだ。どうしよう? あたしのドッペルゲンガー、人を殺しちゃったかも。
どうしたらいいかな?』
(166) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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『ごめん、今のやっぱなし。
忘れて。またね。』
(167) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 02時頃
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アイドル、だった……。
[『IKB32』の名前ぐらいは知っている、がメンバーの名前がわかるほどは精通していない。 知っていることといえば、歌番組で心霊的な映像が写ったとか霊の声が入っていたとか、そんな噂話ばかりである]
夢……吸い寄せられる……。 そのお姉さんは……って、おい、大丈夫か?
[鏡に一二三の顔が映る。 慌てて振り返り、その肩に手を伸ばした]
(168) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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『たすけて』って声が聞こえるんスよォ、あの日、『姉ちゃん』もそんな声が聞こえたって。
[一二三はぼんやりとした目をしながら、洗面台に置いてある剃刀に手をかける。]
(169) 2016/10/02(Sun) 02時頃
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[『たすけて』という声が聞こえる、と一二三が言った。 確か噂でもそんな声が……。 いや、そんな事は後だ。 明らかに一二三の様子がおかしい。
おい、聞こえてるか?
[伸ばした手で、肩を強く叩く。 二度。 三度]
(170) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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― 昼頃 新宿・某スタジオ ―
[演奏の合間を見計らって、ジリヤが『解放治療カルテ』メンバーの元へ小走りに駆けよってゆく。いまこの瞬間は、まだメディアによく映る空色のワンピースで着飾った、アイドルとしてのジリヤだった]
ごめんなさい!大変、おそくなってしまって! キャンディ・ノヴァの雪野瀬ジリヤです。 今日は、お声をかけていただいて、とっても嬉しいです! ありがとうございます! 『解放治療カルテ』の曲、どれも大好きで、 いつもよく聞いています。 あたしの憧れです。
あの、これ、つまらないものですが、みなさんで是非。
[すらすらと言葉を発しながら、表参道で買ってきたスイーツをテキパキと皿にとりわけてゆく]
(171) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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『たす けて』
(172) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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[肩を押されて、ぐらりと体勢を崩しながらも、握りしめた剃刀を自分の腕に向かって振りかざす――――]
(173) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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[躊躇なく、一二三を殴り飛ばす。 続けて、その頭を湯の中へと沈めた。 数秒経過してから、引き上げる]
(174) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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大丈夫か?
[掴み上げた頭、その前面に付いた瞳を覗き込みながら問いかけた]
(175) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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ぶへっ
[剃刀を振り降ろそうとした刹那、木露の拳が一二三の顔面に命中する。 そして手際よくその頭は浴槽へと押し付けられた。]
(176) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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―――――――!!!
[顔面を浴槽に押し付けられ、一二三は苦しさのあまり我に返る。 手をばたばたと振りながら助けを乞う。]
(177) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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[程なくして。 スタジオに一人の少女が姿を見せた。約束がなされていた、その少女。ジリヤと名乗るその少女に、シーシャは「やー、ジリヤちゃん。来てくれて有難うね。やっぱり可愛いなあ、テレビで見る三倍可愛い」と、まあライブ外の情報発信のイメージ通りではあるだろう、わかりやすくチャラい反応をした。 ヴェスパタインは「此方こそ有難う。わざわさ、差し入れまで貰ってしまって……まあ、ゆっくりしていって欲しい。男ばかりで、なんともむさ苦しい、お嬢さんには失礼なところだけれどね」と、やはりそれらしく言って]
[青年はといえば、 ジリヤという少女、そのアイドルとしての実態には、思い返せば確かにテレビや雑誌で見た事があるかもしれない、という程度の、流行りに疎い人間程度の認識しかなく。 ただ、]
……やあ。初めまして。 と、いうのも、違うかな。 ……よく、ライブに来てくれているよね。 曲を好いて貰えて、嬉しいよ。
[代わりに、オーディエンスとして、その少女には、見覚えがあって。素直に喜びを示す言葉と、微笑を返した]
(178) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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ぷはっ!!!先生マジでオレ何か悪いことしたっ!? ギブアップ!!!ギブアップ!!!
[どうやら話の途中で意識が朦朧としていたらしい、剃刀を手にした事さえも覚えていなくて。 涙目で木露に訴えかける。]
(179) 2016/10/02(Sun) 02時半頃
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したした、すっげー悪いこと。 命を粗末にしようとしてたんだけど、憶えてない?
[どうやら、普段の一二三に戻ったようだ。 それを確認して、頭から手を離す。 鏡の上の棚に重ねてあるタオルを取って、一二三の頭に載せてやった]
(180) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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え?命を粗末に…………
[きょとんとした顔をして、難しい顔になる。]
なんか、時折意識が遠のく感じがして。 単に疲れてるのかなって思ってたんですけど。 やっぱなんかあるんですかね。
[グシャグシャになった頭と顔をタオルで拭った。]
(181) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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…………なんかすいません。 こんなんなっちゃいましたけど、風呂どうします?
[水浸しになったバスルームを見て苦笑いする]
(182) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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ちょっと自分、横になります。 あとで自分も入りたいんでお湯抜かないでくださいねー。
[何かやらかした気まずさと、目まぐるしい昨日の疲れとで一二三はふたたびベッドへと沈んだ**]
(183) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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ああ、たしかに心ここにあらずって感じだったなぁ。 まるで、何かに取り憑かれてるようだった。 あるんだろうなぁ、何か。
[洗面台も排出する量より、蛇口から流れる出る量が多く溢れそうになっている 蛇口を捻り、水の流れを止めた]
どうするって、汗は流しておきたいから入るよ。 これから女性陣と合流するんだし。 もう、命を粗末にするんじゃないよ。
[洗面台からカミソリを全て回収しておく。 そうしてから、上着を脱ぎ*半裸になった*]
(184) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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[ライブで一方的に見知っているメンバーたちと、次々に挨拶を交わしてゆく(>>178)。その誰もが、キャンディ・ノヴァのジリヤと接している。それは本人がよくわかっていた。必要な挨拶は、ひとりでに浮かぶ笑顔と言葉に任せて、心の中は自由奔放に色めき立っていた]
(あー!シーシャ様!挨拶チャラい!想像どおり!
ヴェス様、紳士!礼儀正しーい!
ドラムくん、かーわーいーいー!)
[ただ一人、彼だけは違っていた]
(185) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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[微笑みと共に紡がれたドリベルの言葉に、 余所行きの笑顔が凍りついた]
……えっ?
[気付かれるはずがなかった]
な……なんで?
[ライブに足しげく通い、最前列で熱狂していたのは、 ボロボロのダメージジーンズに、無地のTシャツ。 スニーカーにキャップ帽の、 あの"みすぼらしい方"のジリヤなのだから]
(186) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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そ、そんな……だって、あたし、ちゃんと髪もセットして、 洋服だって、が、我慢して…… あっ、あっ、あの噂?あの噂、聞いたの!? ……あ、じゃなくて……そうじゃなくて。
[ネット上では、裏でジリヤが弾き語りをしていると見抜いた声が散見される。きっとそれだ、と自分を無理に納得さえようとする。焦るあまり、勝手に動いてくれるはだった口は鈍り、とたんに舌が回らなくなっていた]
(187) 2016/10/02(Sun) 03時頃
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え、
[動揺する少女の様子に、青年は、呼応するように、戸惑いを零した。なんで、という少女の言葉、 自分は何か間違った事を言ってしまったのだろうか、と、刹那傍らのメンバーに向けた視線は、また別の当惑を捉える事しか出来なかった]
噂……って、ええと……? うん、 多分、ボクは、その噂とやらは知らないと思うけれども。
[戸惑いのまま、言葉を継ぐ。 脳裏に微か過ぎったのは、 (はずれ) あの、彼女の、去り際の言葉だった]
「あー、あれだ、 こいつ、最近の色々みたいなの、疎い方だからな。 仮にもバンドマンのくせによ。 だから不届きな事に、ジリヤちゃんの事もしらねーの」
[ごめんなー、と、軽い調子で。状況は把握出来ないままにも場を繕おうとするシーシャの声が続く]
(188) 2016/10/02(Sun) 03時半頃
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し、知らない……? そう……ですか。
[取り繕うシーシャの声と、後ろから聞こえた本郷の控えめな咳払いが耳に入り、はっと我に返る]
ごめんなさい、こっちもちょっと、勘違いしてしまって。 ドリベルさん、よろしくお願いします……
[そういって、丁寧に会釈するジリヤの胸は、奇妙な高揚感に包まれていた]
(189) 2016/10/02(Sun) 04時頃
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