103 善と悪の果実
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一度、部屋に戻って…少しだけ休ませてもらおうと思います… 皆さん、大広間にいらっしゃるのかしら。 すぐにそちらへ行くようにしますから…
[共に歩き、自室の前まで付いて来てくれた彼女に また後で、と言って、繋いでいた手を離す。]
(136) 2012/09/27(Thu) 21時頃
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[ポーチュラカと別れる直前。
今ここで訊くのは憚られるが、しかし、 どうしても気になったことを問うた。]
あの、失礼な事を訊くかも知れませんけど… グロリア様は、ミス・ポーチュラカにとって どういった方なのでしょうか…?
[栄光と私の事を、姉様、と呼ぶ少女。 グロリアとの関係が分からず、 どういう言葉を掛けたら良いのかも分からなかったから。
彼女は何と答えただろうか。
その後、部屋に入って扉を閉め、そのまま扉に凭れ掛かった。]
(137) 2012/09/27(Thu) 21時頃
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―自室―
[栄光の部屋で見た紅い色が、頭にこびり付いて離れない。 胸の奥がざわつく不吉な色。 頭が疼くような感覚も伴っている。
栄光は殺された。 おそらく、黄金の果実を隠した人物によってだろうと想像する。
この日に偶然、果実の消失とグロリアの殺害が重なるなんて 考えられなかった。
朝、慌てて飛び出したために ベッド脇に置きっぱなしにしていたバッグへと手を伸ばす。 触れると、すぐに固い感触が見つけられた。]
……………
[溜息が零れた。]
(138) 2012/09/27(Thu) 21時頃
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― コリーンの部屋の前で ―
グロリア姉様はね ……私の未来だったの
[憧れとも言うべきか。 全てを手にし、自覚と自負を知り、 誇り高く咲いていた、栄光という名に見合った姿。 美しく、また完璧に見えた。
少女がまだ、小さな世界における"全て"を失う前に出会った、栄光。 望みを全て叶えてくれる、絶対の存在。 その、はずだった]
(139) 2012/09/27(Thu) 21時頃
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……大好き、だったわ
[その言葉は扉の向こうに消えたコリーンには届かなかったかもしれない。
グロリアにとっての少女が、ただの小さな とるにたらない存在だったとしても そのことを少女は知らず、また想像すらしなかった]
(140) 2012/09/27(Thu) 21時頃
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―大広間―
ええ、約束です。 ―――…其れならこれが、初めての約束ですね。
[オスカーの言葉に、 子供のように"あの頃"のように、くすくすと笑う。 嗚呼、瞳の奥の暗色まで、それはあの頃のそのままに]
みんなみんな、いなくなってしまったら。 果たして林檎は何処へ行くのでしょうね。
…ふふふ、でも、私はオスカー君は壊しませんよ。
[にこりとしたその表情を、彼が信じてくれるとも思わないが]
(141) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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とっておきが欲しいなら、 今夜、私の部屋へおいでくださいな。
特別の処方を差し上げましょう。
[黒い蝶は広間の薄明りに照らされ、鈍く光る]
(142) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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―自室の前>>139―
……未来?
[グロリアのようになりたかった、という事だろうか。 彼女がグロリアに憧れていたのだろうという事は 何となく分かった。 実際、それに足るだけの人物だったと思う。]
そう… ありがとう。 ごめんなさい、変な事を訊いてしまって。
[部屋に入ってすぐ、凭れ掛かっていた扉の向こうから ポーチュラカの声が届いた。 大好きな、姉と慕う人物の死を目の当たりにした 少女の気持ちは如何程か…]
(143) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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―大広間―
[やがて姿を現した小さな少女。 この場の緊迫した空気の中、 発せられた言葉に少しだけ肩を揺らした]
――――…御機嫌よう、レディ。
[許されるならば一度、 彼女の髪をさらりとあやす様に撫でて]
この騒ぎでは、お疲れでしょう。 何か温かい物でも用意してもらいましょうか。
(144) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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―自室―
善と悪の果実は、何処に行ってしまったのでしょうね……
――……グロリア様……
[呟きに答える者など、いるはずもないのに。
あまり疲れた表情で皆に合流する訳にもいかないだろうと 椅子に腰掛けて、しばし無理矢理目を閉じた。]
(145) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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― 大広間 ―
御機嫌よう、ペラジー様
[髪を撫ぜる感覚に頬を緩ませるも 白に隠されたストロベリーブロンドを探るように見やった]
ええ… また、何か?
[首を傾げる少女はやっとその騒ぎの中心に気づく。 宴の最中のこと、そして先ほどの刺青の男が発した言葉。 感情の高ぶりは、その表出は伝染する。 止めようとした前に出ようとする客、それを押しとどめる者。 まったく関係のない所でも口論は始まり、眉を顰めるだけの者も囁き始め、喧騒は少しずつ大きくなっていく]
まあ…
(146) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 21時半頃
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[少女へ触れる仕草は、まるで少し歳の離れた兄のように。 慌ただしい様子の使用人へも、臆することなく注文を。 温かいパンとスープを用意するようにと]
そうですね。予測のつかない事態ばかりですから…。 皆さん、混乱なさっているのですよ。
レディ・ポーチュラカ。 むやみに近づいてはいけませんよ。 貴女様がお怪我をしてしまいます。
[何処までも穏やかな声をかけながら、髪を揺らす]
……おや。
[しかし喧騒がより大きくなり、 その中心の男たちが本格的に争いを始めれば―――…]
(147) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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ふふふ。 いけません。
あまり恐ろしい物を見ると、 今夜眠れなくなってしまいますね。
[戯れにも似た様子で、そっと少女の眼を両手で覆い囁く。 もっとも力のこもっていない其れは、 簡単にどかすことができるだろうけれど]
(148) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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そうね…怪我はしたくないわ 痛いのは嫌いだもの
[すました顔をつくり、使用人がテーブルやらなんやら準備を始めるのを確認した]
…あら
[目の前が暗くなれば、そっと手を重ね、それでもどけることはしない]
ペラジー様? …私、グロリア姉様に会ってきたのよ
[これより恐ろしいものは既に見た、と 恐怖の残滓すらない表情と声音で告げる]
(149) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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捜査官 ジェフは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 22時頃
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[警官が去った後に大広間へ辿り着いた蛇には、 烏の落とした推理を直接拾う機会はなかったが。
けれどざわめく人々の言葉端より、 彼が話していたことは伝わるだろう。
…あの夜、まさに林檎へてをかけた、 他ならぬ彼の言葉を]
(*36) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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―回想>>122>>123―
[こちらの掛けた声に気付いたらしく、 我に返ったかのように言葉を返す草臥れたスーツの男。 喉は渇いていたようなので 使用人に声を掛け、檸檬水を受け取って それを男に渡した。
彼はジョセフと言う名前らしい。]
私はコリーンと申します。 宜しくお願い致しますね。
ええ。 グロリア様には、以前お仕事の関係でお世話になった事がありまして。
[少しは落ち着いた様子の彼と他愛も無い会話をした後、 もう一度林檎の元へと足を運んだのだった。]
(150) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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―大広間―
[争う刺青の男と夕闇伯を見て、柳眉を持ち上げる。 失われた善と悪の果実は、誰がもいでしまったのだろうか? 無垢を失い、欲望を得る。金銭的な価値観こそ至上。 そのはずなのに。少しずつ少しずつ 当然のようにあった日常を、世界を、侵食していく。 それはまるで不治の病にも似て]
……………っ。
[死神が蝋燭の炎で戯れるような、冷笑を浮かべると。 薄氷の下に破滅と悪夢、愉快さを封じ込めた上を、 摺り足で歩くような、奇妙な昂揚が僅かに肩を震わせる]
(151) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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[ペラジーの黒蝶が鈍く煌く様に 目蓋と瞳の隙間を薄く細め、口角を可笑しそうに持ち上げた]
初めての約束って、なんだ。 まるで御伽噺( 別 の 世 界 )で口にするような台詞だな。
[まさに楽園のような、そんな世界。 言い様が可笑しくて、仄暗い瞳をギラギラと光らせる。 いつも飢えて、奪って、殺して、騙して、騙された子供の頃。 そんな過去の様を髣髴とさせる眼光のまま、クスクス嗤い合う]
そんときは、きっとただの腐った土塊になるだけさ。
[何処へ行くか、ただ口をついて出た言葉を短く答えて。 誰にも省みられない黄金の林檎はさぞ滑稽だろう]
俺もだよ、ペラジー。
[懐かしさが籠もった声音で愛しげに名前を呼んで、 拒まれなければ、黒蝶の傍の艶褪せた髪を、その唇で擽った]
(152) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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ああ。今は学者だったな。 とっておき、か。
[何かを考えるよう瞳を一度閉じると、 ポケットから垂れている懐中時計用の真鍮の鎖を 指で引っ掛けて、時計を取り出し時間を確認する]
行こう。今夜。
[ぎちぎち、ぎちぎちと 耳障りな不協和音を奏でながら歯車は歪に回り続ける。 彼女が小さな少女に声を掛ける様を見送って、踵を返した]
(153) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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―大広間― [「おやめください……!」 使用人が震えながらも制止しようとしたのは称賛に値する行動であった。 もっとも、それでおさまるようなら端からいがみ合ったりはしないのだが。]
――――ッ、!
[集まる視線のただ中で、黒髪が再び翼のように翻る。 ひとつ大きな衝撃のあと、硝子が砕ける音が続く]
……、ァ、くッ
[夕闇伯が男にいなされ、机にしたたか背を打ち付けたのだ。 飾られていた細工物はばらばらになり、崩れ落ちた伯の肩を傷つけた。赤い絨毯に、ぽたりと落ちる。
狂乱の証のようだ。]
(154) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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――――…そう。
怪我をしてしまったら、 折角の陶器のような肌が台無しです。
[血塗れていたと噂の栄光の肌も、 白く美しかっただろうとふと脳裏によぎり]
そうでございましたか。
…お別れは。
きちんとできましたか?
[手を重ね合わせたまま、視界を奪ったまま。 少女に囁く声は甘く優しく]
(155) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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…そう、昨日の夜。
(*37) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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――――――…栄光(グロリア様)へ、永遠のお別れを。
(*38) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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―大広間― [崩れ落ち体を折った体勢だと、 黒髪は床につき広がる。]
……っ、ぃ、っつ
[スティレットを取り落とす。 そのまま服が切れて露出した肩に手をやり、小さく呻いた。 痛みに少しは冷静さが戻ったらしく 闇雲にまた切りかかるようなことはしなかった。
男を睨みつけるほうに、先に意識が向いたようではあるが。
これ幸いにと使用人が諌めるように動く。 懸命な客人連中は近づきもせぬようであった。]
(156) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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ええ…
姉様、とても綺麗だったわ
[小さな手は眼前を覆う手を握り、やがてその力に力が篭る。 誰からも隠された表情は、やがて変化し――]
…これじゃあペラジー様の顔も見れませんわ
(157) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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[見開かれた瞳は、やがて力を失った]
………姉様、とても柔らかかった あたたかかった
…今は きっと 冷たくなってしまったのね
[諦めたように呟いた後、 意思を確認しようと顔を見たがる。 少女は蛇の意図を知らず、それでもまだ、無防備なままだった]
(*39) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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[落ち着きを、余裕を見せていた夕闇伯>>127の姿は 刺青の男と対峙する間にみるみる剥がれ落ち、鮮血が飛び散る。
絨毯の赤に吸われる、鮮明な赤。 刃を抜き取った彼にはもう、先ほどの余裕など見えず 大広間をただただ狂気が支配する。伝染、してゆく。]
お前が、殺したのか………?
[ぽつりと漏らした先は、刺青の男。 犯人の目星について、ただ暈かされただけと謂う理由で。責め立てる材料としては余りにも弱いが。 「盗んだのか」と言わないのは 男自身が、果実ではなく明確な殺意に囚われているからに、他ならない。]
(158) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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[翼のように視界に広がる黒髪。 耳に擦れる、連鎖する硝子の破砕音]
大丈夫ですか? 夕闇伯。 お怪我は……ああ、血が出てますね。
[机に背を打ちつけた夕闇伯へ気遣わしげな声が掛かる。 傍に寄るとしゃがみ込み怪我の具合を観察して、溜息の後 相手の男を睨みつける様子の夕闇伯を見て、 使用人と共に、手を貸す仕草]
おや。
[絨毯に落ちたスティレットをちらりと見れば]
どうぞ。
[そっと摘み上げた短剣を、夕闇伯へと差し出した]
(159) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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それは良かった。 生前のあのお方も、とても美しくありましたから。
最後まで華やかであれたことは、 きっと幸福なのでございましょう。
[少女の手に力がこもるのに気づき、 くすりと彼女の目を覆う掌は緩められ、 額を撫でるようになる]
ははは。 私の顔など見ても、面白いことはありませんよ。
[言葉とは裏腹に、それを拒む様子はなく]
(160) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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[ドアを叩く音に、開いていると声をかける。 入ってきたのは、煙草を頼んだ使用人だった。 二つの箱を受け取った後、短く礼を言い背中を向けたが。
背後で使用人が出て行かない気配に、怪訝に振り向き見る。]
なんだ?
「恐れ入ります…。あの―― 、お客様は、夕闇伯とはお知り合いでいらっしゃいますか」
[思いもよらぬ言葉に、数度瞬く。]
何故そんな事を聞く?
[男の促しに、躊躇いがちだった口を堰切るように使用人が話し出す。 どうやら、広間で夕闇と刺青が昨日の続きを始めたらしい。 使用人は、数度短く言葉を交わしただけの男と伯の様子を見かけ、知り合いなのではと期待をしたようだ。
あの目立つ容姿。 少しの行動も目立つのかも知れないが。]
(161) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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