156 カイレミネ島の雪
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― 翌昼 ―
[目が覚めた時の感覚は、 休日の日にうっかり寝すぎてしまった時の手遅れ感にも似たもので。 まだうまく回らない頭で視線は時計を探す]
…………。
[針を読んで、怖々仰ぐ窓の外。 白い景色は今日も変わらず。 だがそれは夜の暗さではないことを知り、 がば、と布団を撥ねのけた。
傍らには昨日着ていた衣服とタオル。 夜中に汗を拭ってくれた師の記憶がぼんやりと思い返された]
(48) 2013/12/23(Mon) 18時半頃
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え……今日はなんにち?
[丁度様子を見に顔を出した師に問うと、 トレイルの家を出た翌日であることがわかる。 丸二日寝ていたとかでなくて良かった、と思う反面、 今皆はどうなっているのだろうという焦りも募り]
確か、そろそろ薬できてる頃だよね。 行かなきゃ……。
[止める師を ”いいからわたしの目を見て!” という、 勢いだけの謎の説得で押し切って、なんとか外へ]
(49) 2013/12/23(Mon) 18時半頃
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モニカ、無茶すんなよ……!
[>>42手を伸ばした隙に、抜け出したモニカがヒューのところへと、部屋を飛び出していく。 マドカを、冬将軍を行かせてはいけない。そう抑え込もうとしたが、少女の見た目の油断が生まれたか。暴れられれば簡単に取り押さえることなどできず、予想外の力に腕を振りほどかれた。>>45]
……っ! マドカ、待て!!
[家を飛び出していくマドカを追いかけて家から外に出ようとして、吹きつけてきた風に足を止める。 真っ暗な闇で覆われたそこは、吹雪になっていた。]
(50) 2013/12/23(Mon) 21時頃
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……あっ、もしもし母さん? うん、俺だよ俺。
[電話に出たのは母だった。もう日付も変わっているというのに、まだ家でシーを預かってくれていた。夕飯は家にあったもので済ませたということ、お茶は頂いたということ、シーは今寝ていることを聞かされた。]
そっか、シーは今寝てるのか。 ……ごめん、ミナカタ先生の診療所で薬を作ってて、昼まで家に帰れそうにないんだ。
うん、ありがとう。もしなにかあったら診療所まで……。
[今日は泊まるつもりで来たから心配ないと母は言ってくれたが、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。お休み、と電話を切ったあとも胸の奥が重たかった。]
(51) 2013/12/23(Mon) 21時半頃
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っ……
[こちらを見つめるその瞳がマドカのそれと思えない程に冷たい色を含んでいても、恐ろしくなんかない筈だったのに 関心が自分から逸らされるまで凍りついたように視線が外せなかった、それは“彼女”は願いを叶えてくれるだけのお伽噺の魔女なんかではないと知ったから そうして先生が動き、モニカが、冬将軍が外へ走る]
ああ……
[追いかけていく先生、独りぼっちになってもまだ力が入らない身体。恐ろしくて仕方ないのは彼らの身に何かがあることなのに どうしようもない自分に涙が溢れた、いっそのこと、マドカではなく俺が取り込まれればよかった]
(52) 2013/12/23(Mon) 21時半頃
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[マドカが冬将軍だと知ったら、マユミはどんな顔をするだろう。 あの、従姉妹を妹のように思っている。人一倍優しい少女は。
冬将軍を、許せないと言っていた。 けれどマドカの言葉が。70年前の話が本当なら。冬将軍を眠らせればマドカも一緒に眠ってしまう。
苦々しい顔で、はぁ、と詰めていた息を吐き出した。]
…………。 言っても信じてもらえるかも、わかんねぇよなぁ。 俺が冬将軍で、嘘をついてるって思うかもしれん。
[冬将軍を望んでいた様子のトレイルが、冬将軍がマドカだと証言したところで後押ししてくれるとは思えない。モニカと自分の二人で、どこまで信じてもらえるか。 それは、マユミに限ったことではなく。島の誰もがそうなのかと思うと、再びぞくりと背筋が震えた。]
(53) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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−翌昼− [気付いたときはベッドの中だった。 起きたことに気付いたのか、近くの民家の夫婦が心配そうに顔を出す。どうやら雪道で気絶していたところを、二人に助けられたらしい。]
今、何時!?
[お礼の言葉もそこそこに、ハッと時計を見る。 一瞬夜の時間と勘違いしたが、外は吹雪いているものの、夜のとばりは降りていない。お昼を回っていることに気が付くと、慌てて駆け出そうとする。]
……っ。
[体が上手いように動かない。どうやら自分でも気づいていないうちに、ずいぶんと体力を消耗していたらしい。 起き上がろうとするのを見て夫婦は慌てて止めようとするが、その言葉に甘えるわけにはいかなかった。]
診療所に、行かないと…だから。
[目の前の少女が頑固であることは、若い夫婦はよく知っていた。]
(54) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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[夫婦にせめてと、過剰なほど厚着を施され。 倒れたばかりのフラフラの体を押して、ひたすら歩いた。 走る体力は、もう残っていなかった。 二人は送ってくれると提案したが、この吹雪だ。これからもっとひどくなったら帰れなくなるかもしれないと、無理やり断った。
途中、道に見ているバスケットと、こぼれおちてぐしゃぐしゃになっている料理が落ちていた。]
………。
[何度も倒れそうになる体を叱咤しつつあるく。 幸い診療所の方へ向かうにつれ、吹雪は穏やかになっていた。 そして、何とかそこにたどり着いたとき、
それは、すでに終わっていた。]
(55) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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−診療所−
何、でよ…っ!
[思わずこぶしで近くの壁に八つ当たりする。 誰よりも冬将軍を探すのに一生懸命だった。雪雫草の薬だって、率先して詰みに行ったのは彼だった。]
…なんでそんなヒューが、薬を飲んでいるのよ!
[昨日、彼と交わした言葉を思い出す。>>3:158]
『マユミ、俺が冬将軍だって可能性まるで考えてねーのかよ』
自分は何と返しただろうか。
『馬鹿ね。率先して自ら眠ろうとする冬将軍なんて、おかしいじゃない。』
[そう。そんなのおかしい。だから思っていた。 たとえ誰が冬将軍だとしても、おそらく彼だけは違うのだろうと。 なのに、そんな彼が今。―――冬将軍を眠らせるための薬で、眠っている。]
(56) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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[しかしここで現実に失望して倒れ込むわけにはいかなかった。 自分の仕事をしなければと、ここに来た目的を思い出す、ふらふらと眠りに付いたヒューに近寄る。
ヨーランダ、ジリヤと、話に聞いてはいたが、実際に眠りに落ちている人を見るのは初めてだった。 本当にただ眠っているようなその姿に、今からむくりと起き上がらないかしら?とありえないことと思いつつ、そんな幻想を抱きそうになる。
震える手で、彼の体を丁寧に調べる。 本で読んだ知識を脳裏に浮かべながら、決死で間違えないように、一つ一つの工程を、慎重にこなす。
作業が進むにつれて、額に焦りが生まれ、瞳が驚愕に彩られていく。 何度も何度も確認し、他の可能性を考慮し、
そして一つの、結論を出した。]
(57) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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[開いたままの窓から勢いが強まった風と雪が室内に舞い込んでくる。部屋の温度は随分下がっていた ああいけない、きっとマユミが暖めてくれたのに……やっと立ち上がってそれを閉めてふらふらと外へ向かう]
……先生
[そこにいた先生は吹雪から帰れなくなったのだろう、だから泊まっていくように言うつもりだった]
……行かないで
[けれど絞り出すように震える声が発したのはただの身勝手な子供の言葉で 自分が独りになりたくないだけだと自覚した]
(58) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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ねえ、ブローリン。
[昨日からずっとここに立ち会っていたのだという彼に、声をかける。 少しでも気を抜くと、声が震えてしまいそうで、それを無理やり抑え込む。]
…一つ、お願いがあるのだけれど、聞いてくれたら嬉しいわ。
[彼が肯定してくれたのなら、そのまま続ける。]
あなたが今作ってくれている、雪雫草の薬ね。
明日飲むのは、私にしてほしいのよ。
[自分が今どんな顔をしているのか。 それを確かめる余裕は、無かった。]
(59) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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― 翌日の昼 ―
そろそろ、抽出し終わった……?
[途中何度か眠りかけたが、なんとか完成まで漕ぎ着けた。フラスコの中には、抽出された薄いブルーの液体が溜まっている。これだけあれば十分だろう。]
これを飲むだけでいいのか。 はぁ、ヒュー本当に飲むんだな?
[自分に止める権利などないのだが。薬をコップの中に移し替えてヒューに手渡す。薬はどれくらいで効果を発揮するのかまでは把握していなかったが、薬を飲み干して19分後に、ヒューが眠気を訴えた為、診療所のベッドまで連れていく。]
……ヒュー?
[ベッドに着いた時にはもう、ヒューは深い眠りについていた。]
(60) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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[何故?と聞かれれば、言葉がつまる。 口が鉛になったように、それを口にすることができなかった。 いっそ、昨日ヒューの次は私って約束したでしょ?と嘯いてしまいたかった。だが目の前の青年は、そんな言葉では決して納得しないだろう。 だから告げる。自分が分かったことと、それによって考えたことを。 そうでなくとも、おそらく自分が誰かにこれを伝えるチャンスは、ほとんどないだろう。]
あのね、ブローリン。聞いてほしいの。
―――――――――ヒューは、冬将軍だったわ。
(61) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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[重い気持ちで部屋に戻ろうとし。
――――くらり。
また、軽く視界が揺れて壁に手をついた。 頭を振って目を開ければ、いつも通り。なんなんだとまた首を傾げながら、部屋に戻った。]
(62) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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[彼はどんな反応をしただろうか?確かめるのが怖くて、そのまま言葉を並べた。]
でもね。雪がやまないのよ。 ヒューが眠ったのに!その後も、雪はどんどん降り続いているのよ。 ヒューは確かに冬将軍だった。おばあちゃんの本に書いてある通りだった、なのに!
[そこで感情的になっていた子をに気付き、声を潜める。]
…だから私思ったのよ、きっと。 これはあなた達が言っていた通り、冬将軍が複数いるか。
「私」が嘘をついているか、どっちかだって。
[涙が溢れそうになるのを懸命にこらえる。 駄目だ、こんなところで泣いてしまったら。きっとブローリンを困らせてしまう。]
(63) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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[念のため師に場所を確認し、診療所へ走る。 寒さは相変わらずだったが、一晩以上ぐっすり眠ったせいか身体の調子は良かった。 墓地に通りかかればトレイルのことを思い出し、 2度もトレイルを置いてきたという事実が胸を刺す。 ” 誰か ” 彼は確かに何かを求めていたというのに――]
(ううん、大丈夫) (あそこにはミナカタさんもいたし、いざとなればマユミだって)
[根拠などなかったが、そう言い聞かせ、 やがて目的の場所へ辿りついた]
(64) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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[>>58部屋から出てきた泣いているトレイルを見つければ、近づき。幼い震える声で引き止められ、その体を引き寄せると緩く抱きしめた。 この家と同じ。まるで、少年で時間を止めてしまったような。
子供をあやすように、ぽんぽんと頭を撫で。]
行かねぇよ。 傍にいてやるから、もう寝とけ。
[再びトレイルを寝台へ押しこんで冷えた体に毛布を掛けると、傍の椅子に腰かけ。 もしマドカとモニカの行方を聞かれれば、ゆるく首を振って。外が吹雪で追いかけられないことを伝えた。 そして。]
(65) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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私ね。昨日のヒューの言葉が「冬将軍」の言葉とは思えないの。
[彼の言葉、表情の数々を。今でもはっきりと、思い出せる。 あの時あそこにいた彼は、「ヒュー」だった。]
そうなると冬将軍は、自分でも気づいていないうちに、誰かに取り込んでいるってことになるわ。その人の意識を、残したままね。 そうなるとね、今冬将軍の可能性が一番高いのは、きっと私なのよ。
[雪が振り始めてから、ヨーランダとジリヤに会ったのは誰だったか?
それは自分だと、彼女は言った。 自分もそうだと、彼は言った。
目の前の青年も当然その会話は覚えているだろう。]
(66) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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もし冬将軍が複数だとしたら。 ヨーランダとジリヤに出会っていたヒューは冬将軍で、同じように私も彼女らと出会っているわ。
そして冬将軍が一人だとしたら。 ヒューは無実で、私が自分でもわからないまま、「嘘の判定」を言っている可能性がある。
そして冬はまだ終わっていない。どっちにしても、私は私が冬将軍である可能性があると思っている。なら、
[そこで一瞬、息をのむ。]
次に飲むのは、私でいいと思うの。
[そう言って、ほほ笑んだ。]
(67) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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さっき邪魔したことは、謝らねぇから。
お前は待ってたのかもしんねぇけどな。 取り込まれそうになりゃ、全力で止めようとする奴がいることと。 取り込まれたら泣く奴がいるってことは、覚えとけ。
[自分とマユミ。そしてモニカ。それ以外にも、息を切らせて呼びに来たケヴィン、様子を見に来たクリストファー。こんなに、気にかけている者がいるのに。]
……誰も、代わりになんてなれねぇ。 それは、お前も同じなんだぞ。
[気にかけてくれる者が何人いようと、足りないのかもしれない。 診療所の前に並んだ雪だるま。昔この家で感じた空虚感を思い出し。自分が代わりになんてならないこと、なれないことの無力さを、黙って飲みこむ。 静かにとつとつと話しながら、いつかの記憶のようにその手を眠るまで握っていた。]*
(68) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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[これでいいと思った。 もし自分が冬将軍で。 そのせいで大切な誰かが眠ってしまうのなら、そんなのは耐えれない。
もしブローリンが渋るようなら、安心させるように笑顔を浮かべる。]
心配いらないわ。たとえ私が冬将軍じゃなかったとしてもね。 あなた達ならきっと、この冬を終わらせてくれるって信じているもの。 そうしたら、私はきっと目覚めるわ。それに…。
[少し言いづらいように逡巡したが、やがて意を決したように続ける。]
私、夢があるの。叶えたい夢。 だから絶対に眠ったままにはならないわ。どんなことがあっても目覚めてみせる。
[そして最後に悪戯っぽく付け加えた。]
私の大切な人ね、みんなちょっとお寝坊なの。 だからその人たちが眠っちゃうより、ずっとましだと思うのよ。
(69) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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マユミ……。
[ヒューが眠りについたのを確認した時、診療所に強く壁を殴る音が響く。 振り返るとマユミがふらりとベッドに近づいてきて、ヒューの身体を調べ上げる。
そうだ、マユミには冬将軍が分かるんだった。 ベッドから一歩下がり、マユミの作業をじっと見守っていたが、彼女の顔に変化が表れると、じわりと嫌な汗が出てくる。>>57]
(70) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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[もし彼が頷いてくれるようなら礼を言い、それでもなお反対するようなら、無理やり約束させた。]
この話、皆には内緒にしてね。 私が冬将軍なら、もし私が冬将軍じゃなかったらとか、余計な心配させてしまうの申し訳ないし。
…冬将軍じゃなくとも、結局起きるんだから、やっぱり余計な心配だもの。
[不意にトレイルとマドカの顔が浮かぶ。 二人とも、私が薬を飲むと言ったら、なんて思うのかしら。 止めてくれるのかしら?それとも仕方ないって、送ってくれるのかしら。 考えても仕方がない。二人に自分の考えを告げるつもりがない以上、その答えを確かめることはできないのだから。 送ってくれるのなら、それでいい。私も笑顔で受け入れられる。]
(でも、もしも止めてくれるのなら)
[…やはり私は、二人に言わないで眠るのが正解なのだろう。]
(71) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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[引き寄せられ、緩く抱き締められる>>65 不馴れなものになってしまった他人の体温に包まれ少しの間きょとんと幼子の顔で見上げた後、表情を歪めて先生の服を涙で濡らした 頭を撫でられながら傍にいるという言葉にこくこくと頷いて、嗚咽を漏らしながら部屋に戻り寝台に押し込められる 上手く言葉を成せなくて、何度もつっかえながら少女達について尋ねた。]
……そっか
[短い相槌は複雑な色を乗せて]
(72) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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−その日の夜・自宅−
[その後家に帰ると、雪の中出て行った娘を両親が心配して出迎えてくれた。 心配かけたことを謝り、いつものように家族で食卓に付き、団欒を交わす。 両親には、何も言わなかった。
心の中でだけ、ごめんなさいと、ありがとうを告げた。]
(心配かけて、ごめんなさい)
(私の人生はあなた達のおかげで、とてもとても、幸せだったわ)
[ベッドに入ると、窓からずっと外を眺めていた。 際限なく振る白を。幼い頃から夢に見た光景を。
瞳に焼き付けるように。 ずっと、ずっと、眺めていた。]
(73) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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うん、なんだろうか。
[マユミに声をかけられ、鼓動が早くなる。>>59]
……
[告げられた願いに、首を縦にも横にも振る事が出来ず。 じっとマユミを見つめただけで、言葉すら出て来なかったが、次の言葉で納得した。>>61]
…そうか、ヒューは冬将軍だったのか。
[やっとのことでそれだけ言うと、ベッドの上で眠るヒューに視線を移す。さっきまで一緒にの薬を作っていたヒューが冬将軍だったなんてと、複雑な気持ちになってしまう。]
(74) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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― 診療所 ―
ヒューさん、ブローリンさん……!! 薬は……!!
[勢いよく扉を開け放ち、声をあげる]
あ…あ、ブローリンさん……! 薬、ちゃんとできたかなあ?
[近寄って問い掛ける。 その場に見えないもうひとりの姿、 包帯姿の男が深い眠りに就いていることなど知らずに]
(75) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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−次の日−
[雪の結晶のストラップ。 それをお気に入りの紐に通すと、自らの首にかけた。 鏡に映すと、それはあつらえたかのようにぴったりだった。こんな時なのに少し嬉しくなる自分が、不思議だった。
自分は化粧はしない。肌があまり強くないのと、普段の気候だと、汗で流れた時の不快感の方が勝るからだ。]
(…化粧の一つでも覚えているような子だったら、私ももう少し、女の子らしくなれたのかしらね?)
[鏡の向こうには、一見華奢でお淑やかそうな娘が映っている。だがその娘が決してそうでないことは、自分が一番よく知っている。]
ストラップをくれた女性のことを思い出す。 とてもとても、きれいな人だ。外見も心も。 彼女も今、眠っている。
こうして彼女にもらったものを身につけていれば、少しでも彼女の強さに近付ける気がした。
化粧のしない自分にとって、唯一の戦装束であり。 死に化粧だった。]
(76) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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ひょっとしてブローリンさん。 ずっとここいたの?
[ブローリンの肩に小猿の見えないことに気付いて問う]
気のせいかな。 来る途中マユミ見た気がして、声かけたのだけど、 反応なかったの。 ここ来てた?
あとヒューさんは? 疲れて寝ちゃってる?
[矢継ぎ早に言葉を紡ぎながら、 きょろきょろと辺りを見渡す]
(77) 2013/12/23(Mon) 23時半頃
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