254 東京村U
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― 早朝:渋谷・木露 流衣の宿泊部屋 ―
[それは木露 流衣の目には、はっきりと映っていただろう。 あるいは、周囲にいた人間の目にも見えていたかもしれない]
(49) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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えっ 斧を持った男って『解放治療カルテ』みたいじゃないっすか。 ちょっと待ってくださいよー
[一二三は入間と共に木露に渋谷のホテルまで着いていく。 斧を持った男が実際の出来事であることも*知らずに*]
(50) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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[木露 流衣が眠りから目覚め、瞼を開いたそのとき。
すぐ目の前に、"ソレ"はいた]
(51) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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[きらびやかな空色のステージドレス。 ミニのスカートからすらりと伸びた白いタイツ。 差し色の赤いチョーカー。 猫耳のボンボン耳当て。
重力など存在しないかのように、"ソレ"は跳ね、踊り、舞った。 どこにもつながれていないマイクからは、しかし、ハッキリと、BGMを伴って街に流れるあの歌が流れていた]
(52) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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えぇ……代々木って今通り魔でてるんですか?
[斧を持った男が……なんてニュースはここ最近で見たことはなかったが、今日の午後いろんな意味で忙しくしている間に起きた出来事なのだろうか? 何にしても、住んでいる人が物騒だというのだから、そうなのだろう。 素直に代々木から渋谷へと向かう電車に乗った。**]
(53) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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♪らぶらぶにゃんにゃん、らぶにゃんにゃん ♪あなたのこねこになりたいの
(54) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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["ソレ"は、前かがみに顔を近寄せた。
熱をおびない、無機質なつくられた笑顔。
閉ざされた口からは、しかし、はっきりと言葉が紡がれた]
(55) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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ねぇ、木露先生。わたしを……抱いて。
(56) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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[木露の反応はいかなるものだったのか。 なんにせよ"ソレ"は、無機質な笑顔を浮かべながら、 後ろ手に隠し持っていたキッチンナイフを振り上げる]
(57) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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シク アイ クンネ
フレ ラクル
(58) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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[そのとき
バチンッ
と、なにかが弾ける音が響いた]
(59) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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[木露の目の前には、もうなにもなかった。
"ソレ"の気配は、朝日の中に溶けたかのように霧散し、
ただ平凡な朝の光景だけが、そこにはあった。]
(60) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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うん、早く行こう。早く。 ……あ、ほんとに付き合ってないからね!
[落ち着かない素振りで、周囲をきょろきょろと見回しつつ、電車に乗り込んだ。**]
(61) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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[そして、青年は、それに気が付いた。 PCデスクと書き物机を兼用するシンプルな形の机。 その上に置かれた、一枚の紙に]
…… なに、 これ。
[それを手に取り見て、呟いた声は、掠れていた]
(62) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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・ ・ ・
さようなら その裏側を見る 裏側に書かれたそれに 私は気付かない 私は気が付かない その裏側に すべてがかかれているというのに
私は気が付く事はなく そうして私は 柘榴を食べて笑うのであり
さようなら さようなら さようなら
私が柘榴を食べ切ったなら 貴方も私を食べて欲しい 柘榴のようにたべてほしい
業火に焼かれる私を想って
(63) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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柘榴のように きらきらとあかく ひかった 私のノウズイは
きっと あまいです
・ ・ ・
(64) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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― 同刻:練馬 賃貸マンション105号室 寝室 ―
あっ……!
[短い悲鳴と共に眠りから目覚めた。 なにかが弾ける音の感触が、まだ耳に残っている。 それはまるで、あのときのような――
恐々と、祈るような気持ちで、 枕元に置いてある1冊の本を手に取った]
……うそ。 な、なんで!?
[ページの隙間から、紫の煙が立ち立ち昇っている。
ラクガキだらけの『東京村』 更に1/4ほどの頁がぼろぼろにやけただれていた]
(65) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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[紙に書かれたそれは、歌詞のようだった。 それは確かに己の字で書かれていた。 己が書く歌詞らしい、ものだった。
だが、それに、青年は全く覚えがなかった。
一つ、二つ、三つ、 何やら水滴の染みが付いた紙面を、無言に見つめ]
(66) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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[続けて、青年は、それ、にも気が付いた。 リンフォン。 それを、青年は鷹の完成まで進めていた。 それが、更に、魚のはじめまで進んでいる、事に]
(67) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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「……おい。……おい?」
(68) 2016/10/01(Sat) 03時頃
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― 昼頃 新宿・某スタジオ ―
[はっとする。重なる呼びかけに、己が意識を遠くしていた事に気が付いた。見れば、呼びかけの主ヴェスパタインは、また他のメンバー達は、心配げに此方を見つめていて]
「大丈夫か? 顔色、悪いぞ」
……ああ、うん、ごめん。大丈夫だよ。 少し、ぼんやりしてた。 寝不足かな。呆れたものだよ。我ながら不摂生で。
[そう冗談めかして言い、笑う。胸の裡には、昨日からの幾つもの奇妙が、不穏な感情が、渦巻いていた。 己は、何か病気にでもなったのだろうか、と思う。 夢遊病、怪奇小説を思わせる、それにでも、……**]
(69) 2016/10/01(Sat) 03時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/01(Sat) 03時半頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/01(Sat) 14時頃
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―朝: 練馬 賃貸マンション― 『も〜、ほんと元気出しなって〜。 ゆうくん、平気だったんでしょ?』
うん、そうなんだけど······
[同グループメンバー“てるみー”(>>1:253)からの電話に応えながら、トーストの耳をちびちびかじる。女性スタッフが目の前でスクランブルエッグを調理してくれているが、至れり尽くせりな対応はかえって居心地が悪い]
(70) 2016/10/01(Sat) 14時頃
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[本郷からの連絡を受けたのは今朝はやく。
入間宅に警官を装って訪問したS面子が、入間祐輔の無事を確認したそうだ。連絡がつかなかったのは、携帯の電源が切れていただけ。顔を知っている面子も同行し、会員番号も暗証できたので、まず間違いないようだ。
ただ会員カードを紛失してしまったそうだが······]
(71) 2016/10/01(Sat) 14時頃
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[テレビから報道番組のニュースがながれる]
『ライブゲート代表取締役 赤羽忠雄さんが、東京都六本木の自宅で倒れているのを家族が発見し、搬送先の緊急病院で死亡が確認されました。死因は急性心不全でした。』
[赤羽の“対処”が完了していた。おそらくは立川も。 ため息を漏らして、チャンネルを無作為にかえる]
(72) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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[殺したのは“もうひとりのあたし”だ。本郷には、自分が体験したことの一部始終をつたえたが、まもとに受け取ってはもらえなかった。
ジリヤを確保したとき、本郷たちが目撃したのは、窓から飛び降りる人影の背後のみ。ステージ衣装は目についたらしく、本郷は異常者の仕業だと決めつけている]
(73) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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ええ!? 『解治』って、あの『解治』······ 『解放治療カルテ』!?
『そうそう、うちに好きすぎてヤバイ子いるっていったら、四ツ谷くんが、遊びにおいでって。今日の昼からスタジオはいるってさ』
(74) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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(四ツ谷くん? “シーシャ様”だよ!バカ!) え、でも初めて知ったよ!? 輝美が知り合いなんて!
『前の打ち上げイベントで一緒に飲んでさ。ぶっちゃけ、うち興味ないし、あんたいってきなよ』
いくよ! 絶対いく!!
(75) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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[電話を切ると即座に食べかけのトーストを口の中にねじこみ、ミルクティーで一気に流し込んだ]
えと、えと、着替えして、美容院いって、 "先生"に電話して、えーと、渋谷まで何分? あっ、その前にシャワー! 先生の前に、自分でも調べなきゃだし! ジーパンNGだよね!?ワンピ?ゴス? あー、空色のしかない! あっあっ!美容院!予約しなきゃ!
(76) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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[目の前に出されたスクランブルエッグを 皿ごともちあげて、がばがばと口に流し込み、 頬張りながら席をたった]
ほひほうははへひた! (ごちそうさまでした)
んぐっ······ま、間に合えぇぇ!!
[ワタワタとパジャマを脱ぎ散らかしながら バスルームへ駆け込んでゆく]
(77) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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あ············っ!
[右足に突然痛みが走った。 昨晩のあのときに傷んだ脛が青黒く腫れている]
······やっぱり、どっかにぶつけたかな?
[脛を擦りながら、空色に合うタイツ買わなきゃと考えていた]
(78) 2016/10/01(Sat) 14時半頃
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