254 東京村U
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次住んでた人がね、俺よりちょい上くらいのねーちゃんなんスよ。明らかにお水系の。
ま、ちょいケバめだったけど、いい感じでしたよ。顔も可愛い系だったし。挨拶もきちんとしてくれてましたし。まー、前のあのオタクの部屋に住んでるのはちょっとかわいそうな気もしたんスけどね。オタクの部屋っスよ。キモイって。絶対オタクの汗とかなんか部屋に染み込んでますもん。
twitterで話題になってましたけど、ヤヘイ?っつーんでしたっけ。アイツよりよっぽど……
……えーと。話がそれましたね。すいません。 で、つまり。
(47) 2016/09/26(Mon) 21時半頃
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そのねーちゃんが今日ベランダから転落死してて。
だから俺がこうしてハロワ帰りに即110番して、第一発見者として警察の取り調べ受けてるっつー事っスよ。 ここまではいいっスか?
[まったく面倒な事になったな、と思いながら山岸五郎は警察の取り調べを5階の自室で受けていた。遥か下のコンクリート地面にはまだ血の跡が生々しく残っている*]
(48) 2016/09/26(Mon) 21時半頃
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― 朝:東中野 あるマンション 0805号の入間家 ―
[リビングへ続く格子ガラス入りのドアの向こうから、父親と母親の声がする。 ドアノブに触れながら、二人の娘である入間 澪音(いるま みおん)は胸に詰まる苛立ちを、ため息と一緒に吐き出した。
リビングの大きな窓からは秋の朗らかな朝日が入り込み、エアコンは室温を適温に保っているというのに、部屋の空気はぎすぎすと強張って、天井からツララでも生えてきそうなくらい冷え切っていた。]
うるさ……
(49) 2016/09/26(Mon) 22時頃
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[母親の祥子は父親の高額の夜遊びに立腹しており、父親の祐輔は最早半ば居直っているとみえる。 怒鳴り声と嫌味、嘲り笑いや舌打ち、説教くさい愚痴、言い訳みたいな八つ当たり。 離婚や別居の話がもちあがるたびに、それをしない理由として子供の話がでるのだが、子供(こちら)の気持ちなんて、どうせこいつらには考えられないに違いない。 毎度毎度引き合いには出すくせに、こいつらには何一つ解決なんて出来やしないんだ。]
いいかげんにしてよ。
[ヒートアップしている両親に、侮蔑軽蔑を込めて挨拶代わりにかけた一声が流され、娘はますます苛立った。 まだ新しい広いリビングを突っ切ってバスルームの方へ向かうと、八つ当たりで思い切りドアを閉めた。]
(50) 2016/09/26(Mon) 22時頃
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[ドアに寄りかかり、心の底から呆れてため息をつく。]
くだらなすぎ。
朝ぐらい静かにしてよね。 あたまおかしいんじゃない……
[バカ親の仲なんてどうだっていい。 喧嘩している方は発散しているつもりかもしれないが、罵りあいを毎日毎日聞かされいる身としては、このままではノイローゼにでもなりそうだ。いや、既になってるのかも。 いい迷惑だし、なんならさっさと別れて欲しい。]
(51) 2016/09/26(Mon) 22時頃
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[シャワーを済ませて制服を着ると、朝食をとらずに家を出た。 八階からエレベーターに乗って一階のエントランスへ。 オートロックの門をくぐって、東中野駅へ向かった。
この東中野へ越してきたのは今年の春。 父親の仕事の都合でのことだ。 その前までは清瀬市のほうに住んでいた。 新宿や渋谷へ遊びに行きやすい家に変わったことは事は嬉しいのだが、今も清瀬市の高校に電車で約三十分かけて通っているため、通学時間には非常に面倒な思いをさせられている。
毎朝の込み合う電車には辟易としているものの、今の高校を離れればまた新しい友達付き合いを構築しなければならない。
なにせ彼女は今現在の女子グループ内での立ち位置にそれなりに満足していたし、都合のいい友達付き合いを手放す気は無かった。]
(52) 2016/09/26(Mon) 22時頃
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― 朝:東中野駅 ―
[駅前にはいつも通りスーツのおじさんの背中がたくさんあって、入間はその背中をちゃんとみるでもなし、けれどぶつかるでもなし、スマホに視線をおとして人波にあわせて歩いた。 朝の鬱憤をどこかにぶつけたくて、Twitterに愚痴をこぼしていた時のことである。
視界の片側にふっと陰がおちた。 続けて、「すみません」と声がかかった。]
はぁ。
[入間はわざと刺々しく返事をした。 人の気もしらないで、声の主は笑顔で続ける。 「今お時間ありますか? アンケートにご協力お願いしたいのですが──」 その人は、アンケート用紙を差し出していた。]
(53) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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[そこに書かれていたのは
「どんな未来をご希望になりますか?」
というたったの一項目だった。
短い一文を、入間は束の間睨み付け―― 用紙をひったくり、安っぽいボールペンを借りると、このように乱暴に記入した。]
(54) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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◆希望調査アンケート
記入者氏名 : 日付: /
項目1 どんな未来をご希望になりますか?
ケンカしないマトモでやさしい親のいる未来!
E4298749
※ アンケートへのご協力 ありがとうございます。 よりよい社会のために、ご意見を反映させてまいります。
(55) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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[浮気だかなんだかしらないが、毎日夫婦喧嘩を子供に聞かせるだなんて馬鹿げた恥ずかしいことをしていると、他人にばらしてやった。 そんな気になって、ほんの僅かに溜飲をさげる。 入間はアンケートを配っていた笑顔のボランティアに突っ返すと、改札をくぐった。**]
(56) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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アンケートの回答、ありがとうございました
(57) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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― 朝:東中野駅 ―
[さんさんと朝の陽ざしが駅の屋根に降りそそいでいる。早朝ながらも、空気はややもけだるく周囲を照らしていた。白く明瞭に照らされた駅前に、淡い色の服を着た女はよく馴染んでいた。日常の風景のひとつのように。]
いってらっしゃいねぇー
[突っ返されたアンケート用紙を片手に、眼鏡の女はにこにこと笑って女子高生の背中に手を振った。声かけも「ボランティア」の一種だというみたいに。 ふりかえらない背中はそのまま、駅の中に消えていく。]
(58) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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[改札に消えた女子高生を見送ってから、ようやく遅ればせに文字に視線を落とす。あら。と少し目が開かれて曲げた指が頬に寄せられた。]
大変ねえ……
[ふう。と小さくため息が吐かれた。子どもからしてみれば、親の問題は大きいだろう。先ほどのように、つっけんどんになってしまうのも、余裕がないからかもしれない。首が添えた手側に傾ぐ。困ったわ。といいたげに、眉は下げられた。]
(59) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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― 午前:麻布・住宅街・シェアハウス ―
[麻布の駅から徒歩十数分の閑静な住宅街にある小さなシェアハウス。それがジリヤに与えられた住まいだった。玄関の戸をあけて中に入ると、共用リビングで少女が1人、TVを眺めながらくつろいでいる]
『あ……ども』
[少女を顔をあげて、ジリヤに声をかけた。彼女もまた、ジリヤと同じく"組織"に所属する1人。アイドルを夢見て甘言にそそのかされたのか、売春の隠れ蓑として組織を利用したのか、知る由もないが、このシェアハウスに居る以上、実家に戻れない"ワケアリ"であることは確かだ。ジリヤと同じように。
ここには他に3名の少女たちがいる。キャンディ・ノバとは別グループのメンバーだが、境遇は変わらない。ただ"仕事"に対する姿勢は、皆ジリヤよりもよほど積極的だ。
声をかけてきた少女の手元に、真新しいシャネルのポーチが鎮座しているのが見える]
……うん。
[ここの少女たちとは出会って半年になるが、いまだに馴染めずにいる。小さな頷きだけ返すと、ジリヤは自分の個室に入っていった]
(60) 2016/09/26(Mon) 22時半頃
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― 午前:新宿駅・南口前 ―
[この時間でも新宿駅はいつものように人でごった返していた。 パーカーを着た青年、スーツ姿の男性、制服姿の少女たち。 行きかう人々の顔を眺めながら、南口前の歩道脇に座るジリヤは、今朝のガーリーなワンピースとは違い、ダメージジーンズに白いTシャツという出立だった。
黒いキャップのツバを下げ、身の丈に不釣り合いなアコースティックギターを鳴らす。収入を得た今になっても、時折こうして新宿に出ては、貧困生活を送っていたあの頃のように南口前で弾き語りをしていた]
♪殺さなくちゃ 昨日のわたしを ♪切り刻んで くだらない愛を ♪叩き潰して むなしい夢を
[ただいつもと違うのは、脇に置かれたダンボール製の立札。 顔見知りのホームレスから買い取ったそれに、ある文面が目立つように書かれていた]
(61) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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『ヤヘイ という男性をさがしています なにかしっている人は おしえてください 090-××××-××××』
[すこしでも人目を引くように、ギターを荒々しくかき鳴らしながら、暗く鬱屈した歌を叫んだ。 世間に怒りを叩きつけるように**]
(62) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/09/26(Mon) 23時頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/09/26(Mon) 23時頃
PPP イルマは、メモを貼った。
2016/09/26(Mon) 23時頃
PPP イルマは、メモを貼った。
2016/09/26(Mon) 23時頃
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「あの駅前ぶらついてるキモい男、最近見ないですよね。 ほら、鼻に包帯みたいなの巻いてて声かけてくる……」
「ヤヘイのこと?」
「ヤヘイっつーんすか。 そういう……名前?って……どこで知るもんなんです?」
「俺は先輩から聞いた。 捕まったらしいよ。クスリやってたとかで」
(63) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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[喫煙所からは同僚たちの雑談が聴こえる。信憑性も何もない、無責任な噂話。 なるほど、あの男はヤヘイと呼ばれているのか。Twitterとかで検索したら引っかかるだろうか? 興味のない話題でもないが、今は向かうべき場所がある。 エレベーターへと足を運ぶ途中、後ろから両肩に、ぬちゃりと手が乗せられる。]
『おっはよぉ。デメちゃん。 俺、喉渇いちゃった。』
[下卑た笑い声で引き止める、大柄な男の声。指先が頬にかすかに触れる。 不快感を胸に隠し、笑顔で振り向き、用意していた言葉を読み上げてみた。]
おつかれさまですっ。 ごめんなさい、お飲み物用意して差し上げたいんですけど、今から外出でぇ。 これから先生と打ち合わせなんです。
(64) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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『そっかぁ……。じゃあ今は許してあげる。 後で美味しいの淹れてね。』
[少し拗ねたように唇を尖らせて見せる50歳、脂ぎった小太りの男。 口を開くごとに、息に乗って、顔をそむけたくなるような香りの温かい風を押し付けられる。
飲み物ぐらい、自分で用意できないのだろうか? この男には、自分がぶら下げている鞄が見えないのだろうか? 笑顔は崩さずに頭を下げ、ワントーン高い声で、嬉しそうに返した。]
はいっ。ありがとうございます! すぐ帰って美味しいの作りますから、楽しみにしててくださいね。
(65) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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[出目照子(いずましょうこ)は、編集者である。 ホラー文庫レーベル『黒い鳥』で、一人の作家を担当している。 大手出版社『青い鳥グループホールディングス』(現AOTORI)へと大学新卒で駒を進め、すぐに新規レーベルの立ち上げに手伝いという形で関わることとなる。レーベルは成長し、ホラー専門完全子会社『株式会社 黒い鳥』として独立、そちらへ異動となり順風満帆な人生……と思ったのも昔の話。 本社と切り離された子会社は、秩序とは無縁の無法地帯であった。 新卒とは思えない破格の年収は、異動以来一度も上がっていない。ボーナスは廃止、有給を取ると叱責される。平社員は休日でも自宅待機を強制され、ペナルティ休日出勤なる謎の制度まで登場。全社員に「残業する場合はタイムカードを20時に打刻すること」などというお達しが行き渡った時には耳を疑ったものだ。「残業は認めていないため」仮眠室は用意されず、唯一の女性社員である出目も、自分の席の床に寝袋で眠らされる。上司からのセクハラ、パワハラなど日常茶飯事だが、それらを咎める者は何処にも居ない。当然そんな環境を社員が受け入れるはずもなく、たまの昼食での話題は専ら会社への愚痴となる。]
(66) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/09/26(Mon) 23時頃
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[この会社で誇れることといえば、囲った作家の質ぐらいのものだ。 作家の手によって生きながらえている風前の灯火……というのが、昼食メンバー達の会社への評価である。 他にせいぜい誇るとするならば……本社のテンプレートを流用して造られた契約書の美しい書式。 あとホームページが美しい。それから来客用のトイレが整っている。外面のよい会社なのだ。
以前、興味本位で自社の評判を調べてみたが、地獄と形容して差し支えないひどいものだった。 文章に乗せた怒りがこれでもかと伝わってくる、ざっくばらんな殴り書き。 ある意味では名文とも言えるこの文章も、感情的すぎるがゆえに就活サイトに乗せる文章としては少しばかり信憑性に欠けてしまう。許されるのならば、それが本当のことだと伝えてやりたい気分だった。]
(67) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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[しかし、会社などは潰れてしまえと思えども、このレーベルだけは消したくはなかった。 『黒い鳥』は、出目照子が知る限り、最も素晴らしいホラー文庫だと思っている。 それはひとえに本社の人脈を活かして立ち上げたレーベルで、なんとか作家との繋がりを今日まで保ち続けたおかげであり、レーベルに関わる人間として、いちファンとして、これだけは残さなければならなかった。
そして自分自身も、一人の才能を抱えている。 会社の余命は、あまり永くないかもしれない。 今、作家へと提供できるこの環境が消えてしまう前に…… なんとしても、彼の名前を世界へと轟かせたかった。]
(68) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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― 午前:新宿駅周辺 書店 ―
[打ち合わせ場所は、オフィスを出て、徒歩で5分。
少し早く出過ぎてしまった。 通り道の書店で時間を潰すことにする。
職業病か、ついつい書店へと立ち寄ると担当の作品を探してしまう。 もっとも、ここは最寄りの書店だから、どこに目的のものが列んでいるかは、既に知っているのだ。
二作目の文庫本が、目立たぬところにひっそりと陳列されていることも知っている。 今日は変わっていやしまいか、などと無意味な期待を抱きながら、 ぐるりぐるりと目的の本棚へ向けて、おでこ靴のかかとを鳴らし―― 偶然にも、そこで、約束の人を見つけてしまう。]
あれぇ……、キルロイちゃん。 どしたの、こんなところで。
(69) 2016/09/26(Mon) 23時頃
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……冷蔵庫、あいてる。
[朝7時、この時間には両親はもう出勤して私一人の時間だ。 ゆっくり朝ご飯を食べるのなら、あと30分は早く起きないとダメだけど、幸いなことにおよそ一般家庭に普通にあるようなその習慣は、うちにはなかった。
なのに、『冷蔵庫』はいつからあいていたんだろう]
ま、いっか。早く行かなきゃ。
[ぱたりと冷蔵庫を閉めて、ディパックを片腕に通し家を出る。 かちゃりと、鍵を閉めて]
(70) 2016/09/26(Mon) 23時半頃
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[ほかの列の棚へと移動しようとした時、聞き覚えのある声(>>69)が飛んできた。 景気の悪い顔をした作家が自作の前で立っている。 いまいち人に見られたくない姿である。 その相手が担当編集ならば、尚更だ。 内心の焦りを取り繕いながら、返事をした]
ああ、びっくりした。
[取り繕おうとした動揺は普通に口から出てしまった]
おはよう、出目さん。 ええと、市場調査ってやつ?をたまにはしてみようかと思って。
(71) 2016/09/26(Mon) 23時半頃
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[駅に近いマンションは徒歩5分の場所。 ここに越してきたのは、6年前のこと。
12階建ての、一番上の1フロア。 本当は広いテラスが広がっているのに、使えるのはその半分だけだ。 遮るように後から作られたフェンスが張られていて、その向こうは黒く煤けている。 越してきたばかりの頃は、テラスに洗濯物を干していたっけ、と地上からそのテラスを仰ぎ見た]
……?
[また、だ。何かが光る。そのテラスからなのか、その下の階からなのかわからないけど。 反射光が目に焼き付いて、電車に乗ってからもしばらくは残像が残っていた。 満員電車に揺られながら、窓の外を見る。今日は、どこに寄って帰ろう? そんなことを思いながら始まる一日を少し憂鬱に思った]
(72) 2016/09/26(Mon) 23時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/09/27(Tue) 00時頃
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―上野・上野中下アパート―
[どうにか自分に対する警察の取り調べは終わったようだが、現場検証は続いている。それを放っておいて外に出るわけにもいかず、さりとてあまりに居心地の悪い場面。結局ジャージ姿のままアパートの自室前あたりをうろついていた。]
『あら五郎ちゃん。帰ってたのね。……なあに、また何かあったの?』
ああ……大家さんじゃないスか。どうも。 ……ええ。隣のねーちゃんが。参りましたね。
(73) 2016/09/27(Tue) 00時頃
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