215 【誰歓】エンドローグ
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― 夢の始まり ―
明日香の様子がおかしいとそう耳にした頃には、彼女は既に消毒液の匂いのする白い部屋に横たわっていて。 何時訪れても大抵は眠り顔。食事もロクに受け付けず、水すら飲まないのだと…聞いた。
久しぶりに見た明日香の姿は、何時しかの溌剌とした面影などどこにもなく。 目を覚ましている時さえぼんやりと遠くを見ているようだった。
『 最近ね、よく、夢を見るの。 昔、みんなで行ったあの合宿所の夢。 ――あの頃は、楽しかったなあ… 』
呟いた彼女の目は、何処かを見ているようで、何処も見ていないようだった。 ――あまりに変わってしまった明日香に、臨也は、
「 気分転換に、一度、テーマパークに行かねェかい。 」
医者に聞いたところ、動けないほど弱ってはいないということだったから、そんなことを尋ねてみた。 元々臨也は喧騒を好まないタチであったけれど、彼女がそういう場所が好きであるとは知っていたから。
(113) 2015/02/04(Wed) 05時半頃
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『 ……リーくん、そういうとこは、嫌いじゃなかったの? 』
力なく笑った彼女は、それでも嬉しそうで。 体調のいい日にと決めて、幾日か後、夢の国と称されるテーマパークを訪れたのだった。
ピエロの手のひらから現れた薔薇の花(>>0:15)を子供たちに混じって嬉しそうに受け取り、時折眠たげにしながらも彼女の好物である飴を時折渡してやれば嬉しそうにしていた。
さすがに激しいアトラクションには乗せるわけには行かず、メリーゴーランドに乗って燥ぐ彼女を見ていた。
そうそう長くは居られなかったけれど、楽しい時間だった。 最後に、大きいテディベアのぬいぐるみを渡したら、その時ばかりは昔の彼女のように眩しい笑顔で受け取ってくれた。
(114) 2015/02/04(Wed) 07時半頃
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次に明日香に会いに赴いた時は、彼女は病室に飾られたテディベアの手をぎゅっと握り締め、それでも臨也の半眼より尚薄めた目でぼんやりと天井を眺めていた。 まるで、臨也が訪れるのを待っていたように、扉を潜る男を確認すると、彼女は言った。
『 ――ごめんね、…ありがとう。 』
それが、臨也の聞いた明日香の最後の言葉だった。 その言葉を最後に再び意識を失った彼女が目を覚ますことはもう無く。
その後だったっけ。当時通っていた大学院の顔も声も忘れた誰かから、「 突然意識を無くして眠り続けて、そのまま死んでしまう病気があるらしい。 」なんて、噂話を聞いたのは。
(115) 2015/02/04(Wed) 07時半頃
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それから、臨也は大学院をやめてしまった。 もう、勉学をし続けることに意味を見い出せなくなっていたのだ。
学習することへの意識も、研究を行うことへの好奇心も。 全てが全て消えてしまったようで、何もする気力が起きず。
ただ、これからどうしたらいいのか。それすらもわからなくなり。 たまに何処かの劇団の配役に穴があいたと聞くと、その代役として出演する事だけをして日々を過ごしていた。
演じることだけが、無為に歳を重ねては失われていく過去を繋ぎ留めておけると、信じていた。
嗚呼、そんな生活を繰り返していた時だった。
「 気付いたら、ここにいた。 」*
(116) 2015/02/04(Wed) 07時半頃
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― 二階/とある個室 ―
( アンタも、此処に来たのかい? )
[ 声に成る事すらない呟きは、男の心の奥の奥。 小さく浮き上がっては、……消えた。
…どれだけ意識を無くしていたのだろう。 三十分?一時間?――それとも、もっと?
目を開けた時、男は見たはずの夢を何一つ覚えていなかった。 ――その代わり、目の端を一筋微温い液体が伝って、落ちた。
…ただ、それだけ。 頭の中を靄のように漂っていた眠気(>>0:265)は、 まるで嘘のように綺麗さっぱりと無くなっていた。 ]
(160) 2015/02/05(Thu) 03時半頃
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――…アンタのいない世界。 センパイのいない世界。
そんなトコロに帰って、俺は…どうしたいんだろうなァ。
[ 此処から出る。 それを望む者がきっと、多いのだろうけれど。 ――男は黙々と思考を巡らせた。 開かない扉(>>0:129)。割れない窓(>>54)。 どこからも出られはしないという少女の言葉(>>0:@34)
一つ一つを思い返し。 仮に、此処から出たとして、――日常へ戻ったとして。 待ち受けている現実は生きた屍と変わらぬもの。 ……果たして、此処を出る意味は、あるのだろうか。
そう思い至り、ぞくりと背筋を震わせた。]
(161) 2015/02/05(Thu) 03時半頃
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――――……何も。
[ 男には、何もないこと。 ――友達と呼んだ鳥は何時しか命を失って、久しく。 頭の中、決して色褪せはしない幾つもの記憶と、声と顔と。
…それ以外に男を構成するものは何一つとして、無い。 己の幸せを求める意味も、意義もとうに無くして。 無関心な「親」という生き物は男に興味がなく。
ただただ、ゆっくり、ゆっくりと、死へ向かう日常。
此処を出たとして、男に待ち受けているのはそれだけだと。 ……思い出したくも無かったことを思い出して、しまった。]
(162) 2015/02/05(Thu) 03時半頃
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[ その時、派手なくしゃみがひとつ。 勢いの為か、粟立った肌は元へと戻り。 ]
…誰か、俺の噂でもしてんのかねェ…。
[ まさに自分の話が別の場所でされているとは知らず。 >>144>>150鼻をひとつ、鳴らしては立ち上がり。
不意に顔を向けた窓の外、 男が意識を無くす前>>95と大して――全く、だろうか。 顔に降る陽光の位置が変わっていないことに気付いた。]
「異常時ほど冷静になれ――、」
誰が言ったんだっけなァ。…ま。 取り乱してみたところでどうしようもねェし。
[ 日の位置が変わらない場所なんて夢の世界じゃあるまいし、 とは思いつつも既に男の頭は鈍麻を始めているようで。 そういうモンか、と納得しかけていた。]
(163) 2015/02/05(Thu) 03時半頃
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[ それでも、それはそれ。 何時までも誰のものか知らぬ個室を占領するのも悪いかと、 男は布団を丁寧に畳み、端へと寄せた。 自分の身なりには気を使わずとも、公共のものは大事にしろ。 幼い頃から煩く言われ続けて来たが故の習慣のようなもの。
布団を片付け、脱いでいた下駄を履き直し。 鼻緒が僅か解れているのを目敏く見つけては、 そろそろ繕わなきゃいけねェなァ、なんて考え半分。
廊下へとことり。音をさせて踏み出したのだった。 はてさて、階段を登る足音>>155が聞こえた気がしたが、 一つではなさそうなそれの持ち主の姿は見えたのだっけ。**]
(164) 2015/02/05(Thu) 03時半頃
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[ 廊下へと踏み出した直後のこと。 そう言えば他の面々はこの合宿所に覚えがあるのだろうか。 はたとそんな考えが頭を過ぎって。 そういえば男がここへ訪れた時分も、暫くの滞在の間に、 小学生の集団(>>138)や、部活の合宿と思われる集団(>>0:5) を目にしたような朧気な記憶があった。
チアキチ(>>0:132)やミズキ(>>0:253)のように覚えが無いと、 明言している者も何人か居たようであったけれど。
赤い斜陽の場所は変わらず。不自然なほどに室温は快適で。 外へ出る手段もなく、又聞きしてうろ覚えであったが、 食料はあった(>>0:203)と聞いたような気もする。 ]
(176) 2015/02/05(Thu) 20時半頃
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――…とんだ合宿に巻き込まれたもんだなァ。
[ 場所柄、愚痴を零して溜息を吐いた。 …それでも、回りだした頭は止まらずに。
――望めば此処で暮らしていけるのでは?
そんな一縷の思考を弾き出して、それきり、止まった。
ぬるま湯の中に浸るように穏やかに穏やかに。 思い出に埋没して、見たくもない未来を見ることもなく。
それは何と魅力的なことだろう。…少なくとも、男にとっては。 ]
――…あ?
[ そんなことを考えながらふらふらりと歩いていたものだから、 階段を登ってきた人影を眼前にして>>172>>175、 随分と間の抜けた声を出してしまった。]
(177) 2015/02/05(Thu) 21時頃
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――あー…、……。 タイチと…ミズキ、だっけ。
[ 面々の顔をじろじろと見ながら、 半ば己への確認の意も込めて二人分の名を口にする。
その直後、何を喋ったものかと、 両手を下衣のポケットへと突っ込み、下駄を鳴らした。 ]
――――その、なんだ。
お二人さんは…逢引で?
[ そうして出てきた言葉はそんなもの。 男は最近の若者の恋愛事情なんて知らないものだから。
個室の集まる二階へ顔見知りのようだった男女が二人で。 ――つまりはそういうことなのだろうかと。 心中で下世話な考えを巡らせ、若いっていいなァ。 なんて、密かに付け加えた。]
(178) 2015/02/05(Thu) 21時頃
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