30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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ドナルドは、しょんぼり佇んでいる。**
2010/09/04(Sat) 16時半頃
ドナルドは、フィリップに小さくうなづく。…きっと、両方だ。*
2010/09/04(Sat) 16時半頃
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─ 中庭 >>165 ─
…これ、くれるの…か? [渡された硝子玉を不思議そうに見つめ、言われるままに真似て空へとかざす。 逆さまにひっくりがえり、キラキラと気泡輝く変色した世界。
プールの水の中から見上げた、蒼い太陽を思い出した。]
…きれいだ。 [それ以上の言葉は、思いつかなかった。 ただその小さな球体の中の歪んだ世界にぼんやり見とれて。]
(220) 2010/09/05(Sun) 00時頃
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[ぽつりとこぼれたフィリップの本音に、小さくゆっくりうなづいて。]
…あるな。 いっそ、ケモノにでもなっちまえば…とかね。
[わずかに浮かぶ表情は、苦笑いにしかならず。 もう一度硝子玉越しに空を見上げた。]
試してみる、ありがとう。
[幾度か指先で転がして、大事そうにスラックスのポケットへと収める。 生地の上から一度、コロリと中で転がした。]
(222) 2010/09/05(Sun) 00時頃
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[囁かれる誘惑に、はっとして。迷うような視線を返す。
ふわりと淡く香る薔薇に、ずきりと頭が痛んだ。]
なに、いって…
[隻眼の平坦な視界は、現実味を失ったまま。 一度理性が決壊すれば、ただの悪戯ではきっと終われないから…それを恐れた。]
(230) 2010/09/05(Sun) 00時半頃
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…加減、わからねぇんだ。
やりたいようにやったら、きっとぶっ壊しちまう…。
[堪えるように目を閉じ、だがきっと拒むことも出来そうにない。 鼓動と同じリズムで脈打つ頭痛が消えない。]
(240) 2010/09/05(Sun) 01時頃
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…それとも、一番大事なもんじゃねぇなら、
大事にしなくても、構わない…?
[壊してと、そう囁いたあの銀髪の子が、脳裏をよぎった。]
(241) 2010/09/05(Sun) 01時頃
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[片目を失ったのは、取り返しのつかぬことをした代償だから。
暴れだしそうな裡のケモノを抑えこみ、見えぬ理性の鎖が軋むような音を立てた。
拮抗はきっと、とても危ういバランス。]
(247) 2010/09/05(Sun) 01時半頃
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……ぁ。
[その瞳が滲むのを、黙ってみていられなくて。
抱き寄せる腕はきっと、求められたものとは違う意味。 けれども触れ合えば、互いの体温は伝わり合ってしまう。]
(255) 2010/09/05(Sun) 01時半頃
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…なんつーか…その……
[ただ、泣かれるのは嫌だっただけ。]
………すんません。 [消え入るような声で詫びながら、そっと金色の髪を撫でた。]
(264) 2010/09/05(Sun) 02時頃
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[小さく、素直にうなづく。 ポケットの上からそっと、硝子玉に触れた。]
(267) 2010/09/05(Sun) 02時半頃
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[その言葉に、どう答えていいのかわからなくて。 撫でられる髪。
去っていく姿をただ陽の下で見送る。]
[まだこの時は、貪欲なケモノを繋ぎ止める鎖は断ち切られていなかった。*]
(275) 2010/09/05(Sun) 02時半頃
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[一番焦がれるもの、欲しいもの。 それは不可侵でなければいけないもの。
神聖化されるほどに高潔だと信じた相手に募らせる思いは、 「手の届かぬ月」なのだと訴えた下級生が抱くものととても似ている。
薔薇の木の下でとの約束。 いっそすべて捨てて狂ってしまいたいとの思いも、きっと彼とよく似ている。
狂ってしまえば、吹っ切れてしまえば、力尽くで手にすることも出来るのだろうか。]
(276) 2010/09/05(Sun) 02時半頃
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─ 自室 ─ [夕暮れの室内には、やはり帰ってきた形跡はない。 同時多発的家出事件が続出しているとかしていないとかはさておき、 傍に居ないことは、開放感と寂しさとが入り交じった変な感覚。 洗いたての洗濯物の日差しを吸った良い香りと、窓を開け忘れた部屋の中に淀んだ空気が混じり合う。]
…は、ぁ…… [ドアを閉めて、小さな深呼吸と共に溶ける自制心。 今ならきっとバレないだろう。留守番の子供の、ささやかな悪さ。 主の居ないベッドの、枕をそっと抱き上げて顔を埋める。]
ベネ…ッ……… [床にぺたりと座り込み、背中を小さく丸めて抱きしめて。 柔らかなそれは、染み付いたあの人の香り。 その生々しさと、こんなことに欲情する後ろめたさとが、ぞくぞくと背筋を駆け上がり、背中を小さく震わせる。]
(293) 2010/09/05(Sun) 09時頃
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……んっ、…んんっ………! [窒息しそうなほどに顔を埋めて貪って。 思わず漏れるくぐもった声。
欲しくて、欲しくてしょうがない。 これではなく、これにとても良く似たものが欲しい。
くらくらと、頭の芯が痺れていく…]
(294) 2010/09/05(Sun) 09時頃
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ドナルドは、胸が潰れそうな酷い罪悪感と共に、ベネットのベッドを整えなおしている…
2010/09/05(Sun) 12時半頃
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[室内はいつの間にか暗く、庭に差し込んでいた夕映えも色褪せて闇の中。 満たされぬまま、虚しさと自己嫌悪に息が詰まりそうで、 思わず開ける窓。 カーテンを揺らす風は、目眩を誘う薔薇の香り。
凭れた窓の下、銀色の髪が揺れる。 泣き腫らした薄氷色の瞳。薔薇色の唇が、ちいさく乞うように動いた。]
(327) 2010/09/05(Sun) 13時半頃
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[窓枠へと掛ける足。 危ないと咎められた事が脳裏を過る。
容易く越えられることも、越えてしまえばもう戻れないことも、ちゃんと分かっていた。 それでも…咎めるものは傍には居らず、押し込めた衝動はもはやどうにもならない。]
(328) 2010/09/05(Sun) 13時半頃
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[とん、と窓枠を蹴り、ケモノは檻から解き放たれた。]
(329) 2010/09/05(Sun) 13時半頃
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[ザ…と揺れる葉擦れの音。 十分に身を屈めて勢いを殺しても、着地の衝撃に膝は軋む。 立ち上がる前に、肌蹴た胸に飛びついてくる長い髪の姿を、半ば押し倒されるように抱きとめて。
薔薇が香る。
「どうにでもして」と囁く甘い声に誘われて、 自暴自棄のままに奪われる唇に荒々しく応えてしまう。]
(330) 2010/09/05(Sun) 13時半頃
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[薔薇の香に溺れ、長い銀髪に搦め捕られるかのように、もはや逃げられぬ。 ぎしりと体を入れ替えて、草の上に押し倒す華奢な身体。 引きちぎるように衣服を乱して、露にした白い肌へと貪りつく。
耳に届いた声は、悲鳴か嬌声か。]
(336) 2010/09/05(Sun) 13時半頃
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[堪えられぬ衝動を留めるものはもう何も無い。 ベルトを緩めて取り出す凶器は、行為の残滓に潤んだままの赤く咲いた蕾を探り当てて。
愛撫も碌にせず、強引に捩じ込む。 背中に爪を立てたまま、華奢な体は強く仰け反って啼いた。]
(338) 2010/09/05(Sun) 14時頃
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[無惨に引き裂かれ、散らされる赤い花弁。 咲き狂う赤い薔薇の木の下で、その行為は一方的な陵辱。
それでも、薔薇の呪いに狂った美しき銀色は、その長い髪を草の上に乱して、うわ言のようにもっと、もっと…と強請るのだ。 抱きすくめ、強く強く揺さぶって、互いの肌へと刻まれる鮮やかな赤い棘の傷。]
(340) 2010/09/05(Sun) 14時頃
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[息も絶え絶えに縋りつく華奢な少年は、組み敷くケダモノの左の鎖骨へ、 ガリリと強く歯を立てた。 身体へ染みこんでいく薔薇の香りに、赤い血錆の香りが交じる。]
…くッ、…があぁぁぁぁっ!!! [どくりと大きく脈打ち弾ける衝動。 腕の中の華奢な白い背も痙攣するように震えて。
赤い香りの中に、新たに混ざる違う色の香り。 二人折り重なって、暫くは荒い呼吸だけを繰り返す。]
(344) 2010/09/05(Sun) 14時半頃
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[既に魂は搦めとられて、逃れられぬ薔薇の呪いの虜。 銀の髪の少女じみた少年は妖艶な夢魔が如き様相を浮かべて、アイパッチごしに潰れた片目へ口付ける。
抜かぬまま身じろがれては、一度果てた箇所はまた熱を取り戻して…]
(345) 2010/09/05(Sun) 14時半頃
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[誰かに見られていることになど、気づける余裕があるはずもない。 誘われるまま導かれるまま、まるで身代わりにするように叩きつけるのはずっと堪えてきた衝動。
それでも渇望は何処かで、代用品では満たされぬと知っていた。]
(347) 2010/09/05(Sun) 14時半頃
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[ただ、力尽きるまで、骨の髄まで貪るように。
…いや、寧ろ搾取されているのだ。 薔薇の呪いに狂わされ、精気をこの茂みに捧げるために。**]
(352) 2010/09/05(Sun) 15時頃
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…足りない、まだ…足りない。 [うわ言のように呟く赤い思念は掠れ声。
共に交じるノイズは、もっと欲しいとねだり甘える下級生のもの。]
(*4) 2010/09/05(Sun) 15時頃
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ドナルドは、どこをどう歩いてきたものか。抜け殻のように虚ろな様子でひとりシャワーを浴びている。
2010/09/05(Sun) 22時半頃
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[水音と共に排水溝へ流れていく行為の残滓と滲んだ血。 無理矢理引き剥がされていた心と身体がようやく繋がっても、さほど経験のない身にはあまりに刺激が強過ぎた。 すでに身も心も青い薔薇の虜。 己の下で艶かしく身をくねらせる華奢な肢体も、鎖骨に残された噛み傷も、あまりに鮮やかであまりに不確か。 薔薇の香りと共に奪われた唇。 一度無理矢理引き裂かれてからは嫌悪感しか無かったはずの箇所すらも、背筋をかけ登るほどの強烈な官能を与えていて。
零れる吐息は身も心も染まり切った薔薇の香。 覗き込んだ鏡の中の姿は、酷く蒼ざめやつれて。隈の浮いた隻眼だけがギラついている。]
…はぁ、はぁ……。 [壁の鏡に手を付き、シャワーの雨に打たれて。 夢では無いとわかるのは、身体に刻まれた薔薇の棘の痕。 それが滲みて痛むたびに、どうしようもなく煽られる。
もう、戻れない。 理性はとうに……。]
(447) 2010/09/05(Sun) 23時頃
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…お? あぁ。 [ルーカスに声をかけられて、慌ててうわべだけは取り繕った。
身体の傷も恐らくは、アイパッチを外した顔の異様さに気を取られて気づかないはず。
洗っても洗っても、薔薇の香りが抜けぬことには気づかない。]
(452) 2010/09/05(Sun) 23時頃
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そうかもな。 こう毎日暑苦しいと男臭くてイヤだわって、寮母さんいってたし。 [口ぶりだけはいつも通りに。 だが、青い片眼は隣でシャワーを浴びる彼を値踏みするように鋭く見て。
分かるほど香りが届けば、誰もが願望を煽られる。 普段押しとどめているものほど強く。]
(457) 2010/09/05(Sun) 23時半頃
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…アンタは帰省しなかったのかい? 家族とか、故郷に居るんだろ?
[シャワーを止めてタオルで赤毛をぞんざいに拭きながら問う。 視線の合わぬまま続けるいつも通りの他愛のない会話。]
(466) 2010/09/06(Mon) 00時頃
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そっか…。 俺ァまぁ…色々あってね。ほとぼりが冷めるまではコッチで暮らせってさ。
["事件"の首謀者…抵抗して怪我をさせた相手はよりによってやんごとなきお方の遠縁で。 上下関係の厳しかったあの場所の影で蔓延っていた酒と煙草と暴力と。 流石に片目を失明した奴が出ては、もみ消そうにももみ消せなかったということらしい。
口止めに出た多額の傷病兵手当てと年金。 それと引き換えにこの学校へと半幽閉されているような待遇だ。]
…ん? [ラルフの視線に気づいて、白濁した左目も瞬いた。]
(476) 2010/09/06(Mon) 00時半頃
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