233 逢魔時の喫茶店
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[新入りの店員、もとい警備員についての説明に。 そういえば以前ケイもそのようなことを言っていたと思い出し。]
や、怖くはないけど だってブローリンさんでしょ
……って!何すんのホレさ…… ホレさん? どしたの大丈夫?
[猿のブローリンにおやつを強奪されたことはあるが、 不要と伝えたのにきっちり代金を払ってくれた、義理堅さとか。 これまでの彼との関わりを振り返れば、 本性や容貌を知っただけで敬遠するなんて無理なことだ。
実際痛くはなかったが、 背を叩かれた勢いのままよろめき、抗議しようとして。 何故かホレーショーの方がより体勢を崩していればきょとんと。]
(*32) mumriken 2015/08/14(Fri) 18時半頃
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[そういえば昼は臨時休業だった。 普段より喉の調子も悪そうで、様子を伺えばはぐらかされた。]
ケイのあれ、飲んでおきなよー あんたひとりの身体じゃないんだから
["あれ"とは以前病に冒された時に無理やり処方された酒で。 後半は従業員を抱える雇用主に対してのものだったが。
言葉尻をどうとらえるかは、本人次第。 恋の病の特効薬は、蛇酒よりもっと甘く激しく、 時に痛みを伴うことをトレイルはまだ、知らない。]*
(*33) mumriken 2015/08/14(Fri) 18時半頃
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[決して広くはないホール。 あちこち行き交う間も、その一角は常に意識に在った。
澄ました店員の顔は、 目線を揃えれば恋人のそれに変わる。]
そう。休憩と――充電
[甘い食べ物は身体を、甘い声はこころを癒す。 今飲んでいるものとも、きっと合うはずだがどうだろう。]
いいから、……ッ、…
[日頃漏らしている不満が返ってきても、素知らぬ顔。 覗く舌が、指ごと実を口腔に取りこめば 自然と己のくちびるも開き。
甘い蜜はすべて拭われ、濡れた指先に息を飲む。 こんな艶めかしいこと、こども相手にできるわけがない。]
(*34) mumriken 2015/08/14(Fri) 22時頃
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――…ん。ちょーだい
[清潔になった指を名残惜し気に擦り合わせ、 喉仏が上下する僅かな動作に吸い込まれるように。
珍しく血色のいい頬の理由が、 アルコール以外にあればいいと願いながら。 待ちきれないと、身を乗り出し瞼を伏せる。
本当に欲しいのは、ナッツでも蜂蜜でもないから。 差し出す手首を捉え、ちゅう、と指先に吸付く。
成程。確かにこれは愉しくそして――気持ちいい。]
(*35) mumriken 2015/08/14(Fri) 22時頃
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あ、まい。ね
[ぺろりと。自身のくちびるを纏う蜜まで舐めとって。 癖になりそう、と笑いながら零す吐息は 酒精を纏っていないのに、熱く、重い。]
まだ、もう少し仕事あるから ――その酒の味は、後で。教えて
[示す先はグラスでなく、つい今しがた己の指を食んだ、それ。 戯れを交えた休憩はあっと言う間に終わりを迎え。
洗い流すのを惜しむように、炭酸水をひとくち含むと。]
ごゆっくりどーぞ
[まだ半分ほど残った発砲水をそのままに、席を立つ。 去り際、美しい銀糸を摘まみ掠めるようにくちづければ充電完了] **
(*36) mumriken 2015/08/14(Fri) 22時頃
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[以前はコンプレックスのひとつだった、 幼子をあしらうような扱いも今は、触れ合う口実のひとつ。
互いに膨らます欲に知らず煽られ、煽りながら。 含む指は禁断の果実より蜜より甘い、倒錯を招く。]
ん。甘露でなくて、千冬がね
[日々の活力と充実の元は愛情だ。 遠回しで意味深な請いが、正しく伝わったのを感じれば笑みを深くして。
対面に残した透明なグラスは売約済みの証。 恋人から店員に気持ちを切り替えようとする試みは。
去り際耳に届く、己の名を呼ぶ声に阻まれ。 ふやけたように緩む口元を覆い、後の業務はより一層励みを増した。]
(*39) mumriken 2015/08/15(Sat) 10時半頃
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ホレさん、もう落ち着いた?
[業務の合間、カウンターで腕を奮う男に耳打ちする。 先ほどはあまりの動揺ぶりに二の句が告げられなかった。 一体何に慌てているのか、訝しげな視線を向けて。]
確かにケイのあれは味は酷いけど 効果は抜群だし
みんな、あんたを頼りにしてるんだよ
[お大事に、と腰のあたりをぽんと叩く。 彼と、彼との情事という名の事情を知っていたらもっといい揶揄が飛ばせたのにと、全てを悟るのはまだ少し先の話か。]*
(*40) mumriken 2015/08/15(Sat) 10時半頃
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−いつかのトワイライト−
んじゃ、お先ー
[トレイルの勤務は昼がメイン。 夜は日によって閉店までいることもあるが、 昼にもシフトが入っている日は夜明け前に勤務は終わる。
トータル8時間以上は働かないのがポリシーだ。 新人客がへべれけになっていようと、>>152>>153 昼が臨時休業でも、収入を増やしたくても変更は無い。]
――…お待た、せ……っ
[夜専用の制服を乱暴にトートバッグに押し込み、 一足早く外で待っていた恋人に駆け寄ると 勢いよく飛びつき、額をつき合わせ顎を傾ける。
充電はたっぷりしたはずなのに、 ほんの数刻で枯渇してしまったみたいだ。]
(154) mumriken 2015/08/15(Sat) 20時頃
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ふ、――あまにがい
[咥内に踏み込む舌は、勝手知ったる振る舞いで 宣言通り歯列に残る残滓を舐めとり。 満足すれば、勤労による暑さを鎮めるように、 しばし、平たい胸に顔を埋める。
布の合わせ目から覗く肌と、剥き出しの額が触れ合えば 違う熱を呼ぶので、ほどほどに。]*
(155) mumriken 2015/08/15(Sat) 20時頃
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[拒まれるかも、嫌がられるかも、 なんて躊躇を微塵も抱かず、真っ直ぐ愛情を向けられる唯一無二。
労いの言葉を掛けるために開かれたくちびるに狙いを定め、 ノックも無しにこじ開けることができる存在が 過去どれだけいたかなんて知りたくないし、どうでもいい。
この命尽きるまでは、己だけという傲慢さで以って。 多少乱暴に掴んでも乱れない髪を指に絡め、 どんな美酒よりも脳天に響く唾液をも取り込む。]
ンー……? すき
甘いのも、苦いのも…… 千冬が、呉れるものなら、なんでも
[きっと痛みですら、甘美だと下唇に軽く歯を立てる。]
(169) mumriken 2015/08/15(Sat) 22時頃
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[聡いと褒められれば、またこども扱いしてと小さく呟く。 亜麻色を撫で混ぜる五指を拒むことなく。 腰に腕を回し、浸っているようでは抗議に説得力はないか。
やがて、漆黒を切り裂くように羽が広がれば。
慈しむようにひと撫でして、 彼が身を抱えやすいよう腕の位置をずらす。
一体どこに、こんな力があるのかと不思議だし、 移動手段に使ってしまうことに申し訳ない気持ちはあれど。
率先しての、有無を言わさぬ好意が、行為が 夜だけの、特別な帰路が嬉しいということも変わりないから。]
よろしく、ダーリン
[大げさなリップ音を頬に響かせ、しばし地面との別れを告げた。]
(170) mumriken 2015/08/15(Sat) 22時半頃
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[猫の足音も届かない、静かな空。 互いに自由が利かないとい状況は、 普段言えないことを口にするのに、丁度いい気がして。]
あの、さ――… 千冬に、聞きたいことがあるんだけど
[ぎゅ、と。密着度を増して、はためく羽とその先。 あらゆる温度と無縁そうな顔を見上げた。
一回、二回。息継ぎして。 それから思い切って、ここ数日の汚泥を吐き出す。]
おれと、千冬って ――…セックス、できるの? [単純な、突っ込む突っ込まれるの問題の前。 やはり本人に確認を取るのが、一番だろうと。]*
(174) mumriken 2015/08/15(Sat) 22時半頃
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[まさかこの程度の酒気で酔ったはずもないが、 いつもよりテンションが高かったのは間違いない。
昨日、ケイとあんな話をして。 試験的に実践して、より実感したからか。]
……トレイル、で
[耳朶に響く囁きに、羞恥が追いつけば追撃も終わりだ。 『ハニー』なんて柄じゃないし、 千冬がそれを口にする姿なんて想像もつかない。
擽ったそうに目を細め、言葉の意味通り。 最愛のひとへ命を預ける。]
(198) mumriken 2015/08/16(Sun) 00時半頃
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[直球が過ぎる問いかけの後の、 いつもより多く瞬く瞳と、長い間に眉を寄せる。
人間と精霊ではやはり交われないのか。 そんな矢先の返答にも、表情はまだ曇ったまま。]
――…本当に? [疑心の矛先は、そんな簡単な条件なら。 とっくに繋がれているのではと日々の戯れを顧みて。
冷えが万病の元なのも、 身体が耐えられるのかというのも、未知の領域だ。 でもそんなことは、トレイルにとっては些事。
想いを遂げてからずっと案じ続けているのは――。 以前よりずっと痩せ細った、羽が指す彼の、寿命。]
(200) mumriken 2015/08/16(Sun) 00時半頃
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[彼は、以前こう言っていた。 必要とされること、信仰がその身を現に在らせると。 信仰のない精霊には、消滅があると。
この気持ちは、――そんな、綺麗なものじゃない。 慕い、敬い、愛し、恋し、妬み、乱す。 その綺麗な羽に包まれ安寧に暮らすだけでは、 もうこの身体も、こころも、満足できないと知っている。
塵ひとつない、まっさらな雪の大地を。 踏み荒らしたい、ぐちゃぐちゃになるところが見たい。 深く、深く交じり合う、その先の世界が知りたい。
愛したい――愛されたい。 この男に、この男だけに。
それはきっと、信仰から一番遠い。
この感情は、結局彼にとって毒になるのではないか。 その羽を焼き爛らせ、散らすのは。]
(202) mumriken 2015/08/16(Sun) 00時半頃
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[ほかの何者でもない、己かもしれないという恐怖。]
(*52) mumriken 2015/08/16(Sun) 00時半頃
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[肯定されれば、もう一緒には居られない。 彼がこの世から消えてしまうくらいなら。
今すぐ、今までのように別の誰かに明け渡す方がいい。 彼を手放すことに耐えられる自信なんて欠片もないが。]
――…千冬との、キスがさ すごく……気持ちいーから
ヤったらどんななんだろって、思っただけ
[確かめたくとも、己から別れの伏線を踏む勇気はなく。 だからわざと、何でもないことのように。 興味本位とうそぶいて軽薄な笑みを浮かべ、 嘘がばれないように、目を合わせないよう瞼を閉じた。
ぬるい夜風が、彼を通り抜ける度冷たくそよぐ。]
(205) mumriken 2015/08/16(Sun) 01時頃
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[物思いを見透かされているのか、 彼には彼で、やはり思うところあるのか。
地上に降りても、そのまま。 タネも仕掛けも小道具も必要とせずに部屋を開け、進むのを。 便利だなあ、なんて感心しながら腕の中で揺られて。]
おかえり、千冬 ――…ありがとう
[床に足をおろし向かい合えば、再び踵を浮かせる。 互いの身体に影響がない、この距離が最適ならば。
一生、清らかな身でいるのも悪くないし。 40度を超える熱帯地方にでも旅立てば。 舐めるくらいは許されるかも、なんて更に思考を明後日に。]
(207) mumriken 2015/08/16(Sun) 01時頃
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千冬……――…ちふゆ
[飲み込む愛の囁きの代わり、名を呼んで。 啄むようなくちづけを数回、交わした後。]
シャワー、浴びてくんね
[もう一度ぎゅ、っと強く抱きしめて、身を剥がすと 柔らかく笑みをうかべる。
飛行中の悲壮感は、もう消えてた。]**
(208) mumriken 2015/08/16(Sun) 01時頃
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[先の、そして今の言葉に嘘偽りがないのなら。 毎夜床を共にしても、 境界を超えないことには何か理由があるのだろう。
一回り大きな掌が、熱を生むように狭間を擽る。 慈しむような接吻に、胸がきゅう、と締め付けられる。 繋がりたいと、大切だと。 孕む希みが同じだと言葉で、態度で痛いほど伝えられれば。]
おれだって、そうだよ…… 千冬が好きで、欲しくて、だから
[――だから、これ以上追い詰めちゃだめだ。>>205 何よりも欲しいと願った、 己だけに向けられる、彼からのひたむきな愛情。
それはもうじゅうぶん過ぎるほど与えらているのだから。]
(229) mumriken 2015/08/16(Sun) 11時半頃
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[もどかしさと切なさと、どろりとした愛欲を払おうと。 苦し紛れの軽口に、音なく笑う気配。
嗚呼、これだ。>>220 昔からこの笑顔が煮えくり返るほど腹立たしく、口惜しく。 そして――大好きだった。今もそれは変わらず。]
正解を知りたくなるから ……ないしょ
[ぷいと。そっぽを向くように瞳を閉じる。 余裕がないようにも、弱いようにも見えないのは、 トレイルが更に弱くて臆病だからだろうか。
今はまだ、羽ばたく翼ごと包み込める腕を持っていないこと。 縋ることしかできない己の稚気が、何よりも腹立たしい。]
(233) mumriken 2015/08/16(Sun) 12時頃
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[抱擁と、くちづけと。 赦された行為繰り返していれば、 燻る熱も渇望もとめどなく湧く反面。
ささくれたこころが、癒されるのも事実。]
……千冬の、ばーか
[浴室への扉を閉める間際。>>222 制止する事も、追う事もみせない恋人への罵りを囁く。
いつかと同じく、様々な言葉を詰め込んで。]
――…は、……、ッ、
[熱い湯に、なかに籠る欲を吐き出すのはこれで何度目か。 想像の中の千冬は、何もしてくれない。 ただ、見ている。その視線だけで昂ぶるのに十分だなんて。]
(234) mumriken 2015/08/16(Sun) 12時頃
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……ックス、なんてしたこと、ねー…から どう触るかなんてわかん、ねーっつの……
[藍色の空の元。 月明かりより眩しく冷たく、太陽より温かい恋人からの。 問いについて、言えなかった本音を水音に混ぜ込む。
知りたいとも、教えてほしいと思う相手はただひとり。]
っ!? ――あ、あぁ、うん ありがとっ
[ブースの外から静かな声が聞こえたのは、呟きの直後。 途端我に帰って、水量をあげながら勢いよく返すと。
焦燥が去って冷えた頭をがしがし擦り、 タオルを手に取る。 残っていたのは、綺麗に畳まれた布の塊がひとつだけ。]
(235) mumriken 2015/08/16(Sun) 12時半頃
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[ユカタ、とは着物と似て非なるものらしいが、 確かに布地も、柄も全然違う。 外周は深紫で中心に十字の白が描かれた模様は、 この地では見かけないもの。 恐らく東洋に咲く花、だろうか。
――否、今はそんなことはどうでもいい。]
あんにゃろ……
[着替えの度に洗面所に向かう所為で、>>19 東洋の神秘のひとつである着物について、 まだ何も知らないに等しいと、知っている癖に。
ベルトにしては太すぎる紐。 ガウンに似た構造だがベルトループがない。 一体どの位置で縛ればいいのか。 右と左、どちらを上にすればいいのか思いだそうとしても。 記憶に色濃いのは、その間から覗く白磁の肌だけ。]
(236) mumriken 2015/08/16(Sun) 12時半頃
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[雫が落ちない程度に髪の水分を吸わせた後、 奮闘する時間は秒針が二周も終えない程の短さ。]
…………よろしく
[下着だけを見につけ、宛がわれた衣服は 羽織りのように腕を通しただけでの間抜けな姿で。
拗ねた顔で太紐を渡し、 代わりにその手にあるグラスを強奪して飲み干す。
乾いた喉を潤す水は、彼からのサプライズと同じく。 ほこほことした歓びと癒しを裡に運んでくれた。]**
(237) mumriken 2015/08/16(Sun) 12時半頃
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[別段違和も、動揺もなく扉を抜ける気配に、 いま一番知られては困る秘密の秘匿は叶ったらしい。
水音の間に、深く深くため息を落とすが、 シャワーの温度は下げないまま。
ほかほかに火照る頬の朱。 逆上せたのは湯気でなく恋人への飽く無き情欲の所為。]
っ、どこが
[自覚が、あったなら。>>242 トレイルが成人男性の平均ほどでも経験があれば、 この場の振る舞いも、また違ったかもしれない。
半裸で棒立ちの姿に扇情の意図はなく。 自慰の名残にくちづけられて、軽く息を飲む。>>244 グラスの水を奪うことで、溺死から救えたらいいのに。]
(249) mumriken 2015/08/16(Sun) 15時頃
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[どれだけ拗ねた顔を作っても、 招く声と引き寄せる腕には赤子並の従順さで、裡に納まる。
ほどよくゆとりを持ち合わさる麻布、 彼からは何らかの目印が見えているのか 納まりいい位置に巻かれる太紐(オビというらしい)に。]
さすが、慣れて、んっ……
[骨ばった、器用な指先が背中で結うのを助けるように、 肩に手を置き、身体を預けていればふいに走る刺激。>>244
ぞくりと、背筋を走るこの感覚は悪寒ではない。 思わず漏れる息と、僅かに腰を揺らすことで抗議して。]
(250) mumriken 2015/08/16(Sun) 15時頃
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[そうして着付けの終わった姿を披露する。 花の間を巡る蔦に、この身ごと囚われたような錯覚。]
んー……意外と、楽だけど なんか足元がスースーする……
[似合っているかどうか、自身では解らない。 でも彼がそう言うのならきっと、と。 上体を捩じり袖や裾をまじまじと見つめた後。]
――…ん、
[過ぎた賛辞を咎めることもできず、 頬を撫でる指の圧を深めるよう、擦り寄せ。 掌を重ね、ずらしてその先にくちづける。]
(251) mumriken 2015/08/16(Sun) 15時半頃
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また、少しだけ千冬に近づけたみたいで ――…嬉しい。ありがとう
[照れくさそうに微笑んだ後。 お返しをするように、額から頬へと指先でなぞり。]
ありがとう。千冬 ――…愛してる
[納まりきれなくなった想いが、溢れ。音となって零れた。]*
(252) mumriken 2015/08/16(Sun) 15時半頃
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[着付けに必要な接触なのに、腰骨やその先、 腹筋まで撫でる指に淫猥さを感じてしまうのは自惚れだろうか。 ひとつひとつの刺激に、くちびるを震わせ堪え忍ぶ。]
う、うるさい……
[揶揄でなく。しっとりと重い囁き。 それだけで足元の力が抜けそうになるのを誤魔化すように、 肩に縋る腕に力を込めて、衣服の形になるのを待ち。]
(270) mumriken 2015/08/16(Sun) 19時半頃
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